理想組織研究所ひとラボ

ある医療機関では、社員数20名で、すでに経営理念が存在していましたが、院長の思いがスタッフに十分に伝わっていないと感じていました。この課題に対応するため、すでにある経営理念を社員に理解しやすく、日々の業務に落とし込みやすくするために、新たに行動指針を作成することにしました。作成は、院長だけでなく、スタッフも参加し、研修形式で自分たちらしい行動指針を選出・改変し、策定しました。院長との打ち合わせで素案のようなものは作成してから、スタッフの研修での選出・改変に進んだのですが、院長と「おそらくコレとコレが選ばれるんじゃないか」と言っていたものが、案外、スタッフには選ばれず、「意外だった」と院長が言っていたのが印象的でした。しかし、このエピソードは、経営者や経営幹部だけで作成してしまうと、社員には「上からの押しつけ」のように感じてしまい、自分ごと化できないので、社員も巻き込んで作成する方が好ましいということの裏付けでもあります。

行動指針の策定後、分院化にも成功し、売上の増加はもちろん、スタッフや幹部の成長にも貢献しました。特に、分院化によって新しくできた医院の幹部スタッフの成長は驚くほどで、院長不在でも、行動指針に則って行動し、新しい社員たちをリードしてくれています。年上のスタッフや何回指導しても上手くできないスタッフに対し、くじけそうになり、時には院長との面談で涙しながらも、自身の担当責務をまっとうし、毅然としたリーダーであり続けています。
また、毎年、経営計画発表会を実施し、改善を加えながらより良いものにしていこうと工夫しています。最初は市民会館のようなところだった会場が、ホテルのレセプションホールで行われるようになり、また企画も、表彰やムービー上映、懇親会など、随時アップデートしていっています。経営計画発表会は、特に院長（経営者）の思いをしっかりと伝え、全員が深く理解し、一体感が強まるきっかけになるイベントだと、改めて実感させられます。
現在、人事評価制度の構築も進行中で、経営理念や行動指針を中心に評価項目などを精査している最中です。