理想組織研究所ひとラボ

小売業のある老舗企業は、社員数4名の小規模ながら、4代目の経営者への代替わりと法人化を機に、経営理念を新たに策定しました。これまで経営理念が存在しなかった同社ですが、今後の社員増加を見据え、経営の根幹を形成する経営理念をしっかりと作り込むことが重要と考えました。
作成時には、先代である3代目の経営者（4代目の父）も交えて、行いました。脈々と受け継がれてきた伝統と、時代の変化に柔軟に対応していかなければならない変化と、それぞれ表現こそ違えど、同じ方向の話しをしているのは、さすがでした。親子だと意見が分かれてしまい双方の言い分をどうやってまとめようか難しい場合もありますが、基本的な姿勢は、3代目が「今は、4代目の時代だから、思うようにすればいい」と全幅の信頼を示してくれたので、スムーズに進みました。

規模は小さいながら、経営計画発表会を実施し、その場で新しくできあがった経営理念を発表しました。場所は、いつも使っている社員休憩室の一角です。でも、やることに意義があるのです。まずは、場所や方法なんてこだわらずに、自社らしいやり方で実施すればいいんです。新しい経営理念を聞いた社員のひとりが言いました「これを聞いてみて思いました。これから色々と工夫したいなって。みんなで工夫できることっていっぱいあると思うし」。とても素敵な感想であり、まずは経営理念に対し、全員が同じ価値観になれた瞬間でもあったと思います。
経営理念策定後、新規採用が進み、従来の伝統ある基幹事業だけでなく、IT技術を活用した事業をおこしたり、地域活性化事業で他社を巻き込んでいく中心的存在になったりと、新規事業への挑戦も積極的に行われるようになりました。経営理念を共有することで、一体感と成長志向が強まりました。