現金出納帳とは?作成が必要な3つの理由・書き方7ステップを解説
- 現金出納帳とは何か知りたい
- 現金出納帳の書き方について知りたい
「現金出納帳って聞いたことはあるけど、どんな手順で書けばいいんだろう。」とお悩みの方必見です。
現金出納帳は、企業や組織において現金の収入と支出を管理する重要な帳簿です。現金の流れを正確に記録することで、企業の財務状況を把握し、透明性や安定性を向上させる役割を果たします。
この記事では、現金出納帳の書き方がわからず困っている方向けに解説します。記事を読み終わった頃には、現金出納帳の書き方・必要な理由がわかるでしょう。
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現金出納帳とは|現金の出入りを管理する帳簿のこと
現金出納帳は、企業や組織において実際の現金の出入りを記録するための帳簿です。日々の現金の収入と支出を正確に記載し、現金の残高を把握することで、財務管理の透明性向上・会計処理の誤り防止・不正防止に役立つでしょう。
小口現金出納帳・金銭出納帳との役割の違いも把握しておきましょう。
- 小口現金出納帳との違い
- 金銭出納帳との違い
現金出納帳は企業の現金の出入りを管理する帳簿であり、小口現金出納帳は小額の取引に使用されます。一方で、金銭出納帳は紙幣・硬貨以外の金融商品も含めた出入りを記録するのに使用されます。
1. 小口現金出納帳との違い
小口現金出納帳は現金の出入りを管理する帳簿です。企業内で頻繁に行われる日常の経費や雑費など、金額が小さい支出に対して利用されます。
小口現金出納帳では、詳細な取引の内容よりも簡略な記録が行われる場合があります。
2. 金銭出納帳との違い
金銭出納帳は、現金の出入りを記録する帳簿であり、企業や団体によって利用されます。ただし、金銭出納帳は紙幣や硬貨などの現金だけではなく、手形や小切手などの金融商品の出入りも含めて記録されます。
現金出納帳の作成が必要な3つの理由
現金出納帳は企業の適切な財務管理と健全な経営に欠かせない重要なツールとなります。
- 財務管理の透明性向上
- 帳簿残高と現金残高の誤差や社内不正の検出
- 予算管理の精度向上
作成が必要な理由を理解しておきましょう。
1. 財務管理の透明性向上
現金出納帳を記載することで、企業の現金の流れが明確になり、収入と支出が詳細に把握できます。企業の財務状況を正確に把握し、資金の使途や適切な予算配分に対する理解を深めるのに役立つでしょう。
2. 帳簿残高と現金残高の誤差や社内不正の検出
現金出納帳に記録された取引詳細は、ヒューマンエラーや不正行為を発見するのに役立ちます。正確な記入と監査を通じて、不正の防止や誤りの早期発見が可能になり、企業の財務データの信頼性が向上するでしょう。
3. 予算管理の精度向上
現金出納帳の正確な記録により、企業は収入と支出を詳細に把握できます。予算管理が効果的に行われ、将来の予測が向上します。
現金の流れが明確になることで、経費の見直しや支出管理・予算管理の効率化が可能となり、予算の策定や調整がより的確に行われるでしょう。将来の現金の必要性を正確に予測することで、適切な投資や資金調達戦略の立案にも役立ちます。
現金出納帳を書く前に知っておきたい5つの用語
現金出納帳を作成する前に下記の用語を覚えておきましょう。
- 勘定科目
- 摘要
- 入金/出金
- 残高
- 次月繰越
用語を理解しておくことで、現金出納帳の記入がスムーズに行えるだけではなく、取引内容を正確に把握できます。
1. 勘定科目
勘定科目は、企業の取引を分類し整理するために使用されるカテゴリや項目です。
現金出納帳の収入金額としてよく使われる勘定科目と使用例は、主に以下の3つが挙げられます。
売上 | 商品やサービスの売上を現金で受け取った |
---|---|
受取手数料 | サービス提供や取引に伴う手数料を現金で受け取った |
売掛金 | 売り上げた際の掛け金を現金で回収した |
反対に、現金出納帳の支出金額としてよく使われる勘定科目は、主に以下の6つが挙げられます。
仕入 | 商品や原材料の仕入れを現金で支払った |
---|---|
給与・賃金 | 従業員への給与や賃金を現金で支払った |
水道光熱費 | 水道や電気、ガスなどの公共料金を現金で支払った |
交通費 | 仕事関連の移動や出張に伴う交通費を現金で支払った |
事務用品費 | オフィスや事務所で使用する文具や消耗品を現金を支払って購入した |
買掛金 | 仕入時の掛け金を現金で支払った |
現金出納帳では、現金の入出を記帳するため、現金以外での資産の入出は記帳しません。収入や支出の内容を適切な勘定科目に分類して記入しましょう。
2. 摘要
「摘要」は、現金出納帳において取引内容を簡潔に記述するための項目です。1つの取引に対して、その内容や目的を簡潔に説明するために使用されます。
たとえば、商品の仕入れに対する取引であれば「〇〇会社より仕入」の旨を摘要に記入します。出張経費の支出であれば、どこに行った際の費用であるか具体的な内容を記述しましょう。
正確かつ明確な摘要を記入することで、現金出納帳を見た際に取引内容を素早く把握でき、後での参照や集計作業がスムーズになります。
3. 入金/出金
入金は現金が入ることを意味し、出金は現金が出ることを意味します。現金出納帳では、収入があった場合には「入金」欄に金額を記入し、支出があった場合には「出金」欄に金額を記入します。
対応する総勘定元帳への記帳は忘れずに行いましょう。各勘定科目ごとの収支がわかりやすくなります。現金出納帳を記入することにより、正確な現金の流れの記録が可能です。
4. 残高
残高とは、ある時点での現金出納帳の現金の総額を指します。現金の収入と支出の差を計算して求めます。残高を定期的に確認することで、現金の状況を把握し、不正やミスを防ぐために重要な指標となるでしょう。
5. 次月繰越
次月繰越とは、前月の現金出納帳の最終日における残高を、次の月のはじめの残高として繰り越すことを意味します。1カ月が終了した後に、次の月の最初の取引に反映させるための処理です。
前月の最終残高は次月の初期残高としてスタートするため、連続した現金出納帳のバランスを保つのに役立ちます。
現金出納帳の書き方7ステップ
現金出納帳の基礎知識をひととおり把握したところで、具体的な書き方を見ていきましょう。
- 現時点での残高を記入する
- 出入金のあった日付・金額を記入する
- 科目を記入する
- 摘要を記入する
- 使った金額と残高を記入する
- 月の最後に次月繰越を記入する
- 翌月の最初に前月繰越を記入する
7つのステップに従って現金出納帳を書くことで、現金の収支や残高を的確に管理し、財務状況を把握できます。
1. 現時点での残高を記入する
最初に現金の残高を記入しましょう。前日の残高や前回の出納帳の最終残高を基にします。
2. 出入金のあった日付・金額を記入する
日々の取引において、出金(支出)や入金(収入)があった場合には、日付と金額を正確に記入します。現金出納帳に記入する際、実際に現金が動いた日を記録することを優先しましょう。
たとえば、商品の購入日が取引日であり、商品代金を現金で支払った日が実際の現金の出納日である場合、現金出納帳には商品代金の支払日を記入します。同様に、売上が発生した日が取引日であり、売上金を現金で受け取った日が実際の現金の入金日である場合、現金出納帳には売上金の入金日を記入します。
記入することで、実際の現金の流れが正確に把握できるため、日々の取引を的確に記録できるでしょう。
3. 勘定科目を記入する
各取引に対して適切な勘定科目を記入しましょう。たとえば、売上・仕入・給与・水道光熱費・消耗品費などの科目を指定します。
4. 摘要を記入する
各取引の概要を簡潔に表す摘要欄に記入しましょう。たとえば売上であれば「〇〇社から」と書き、どこから得た収入なのかを具体的に明記しましょう。
摘要をしっかりと書いておくことで、税務調査が入った場合に証拠として認められます。
5. 使った金額と残高を記入する
出金や入金の金額を記入した後、残高を計算し残高欄に記入しましょう。記入することにより、次回の取引の出発点となる現金残高が確定します。
相手に支払った場合は「出金額」に、相手から報酬が支払われた場合は「入金額」に金額を書き、残高を算出しましょう。
6. 月の最後に次月繰越を記入する
最終残高を次の月の初期残高として次月繰越の項目に記入しましょう。次月繰越を記入することで、現金出納帳をスムーズに次の月に繰り越すことができます。
月の最初の取引から順に記入していくことで、現金出納帳を正確かつ連続的に管理できます。
7. 翌月の最初に前月繰越を記入する
新しい月が始まったら、前月の最終残高を当月の初期残高として前月繰越の項目に記入します。記入することで、連続した正確な記録が保持され、現金の流れが明確に把握できます。
まとめ
現金出納帳の書き方は初めは難しく思えますが、現金出納帳は順番に書いていけば複雑ではありません。
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岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。
なぜ現金出納帳が必要かといえば、預金出納帳などは、預金通帳や当座照合表によって、実態は担保されていますので、最悪後日に仕訳を起こすことも可能かもしれませんが、現金出納帳はそれ以外に現金の動きを担保するものはありませんので、放置しておくことで動きは全く分からなくなりますので、再現ができなくなります。日々の処理が重要になります。
現金出納帳はその記載以外証拠がありませんので、記載内容をサポートする領収書等の保存は必要です。また、現金出納帳はその残高と現金実査を行った際の残高は合致しなければなりません。実際に実務上であったケースで、現金残高は大きくマイナスになっていました。
結局それは、現金回収した売上を除外していたため、利益が出ていない(納税額が少なくなる)という状況を作り出していました。また、似たようなケースとして、やたらと社長借入金が頻繁に発生していたケースでは、やはり現金売上げを社長借入に仮装していたケースがありました。
現金は動きが残らないので、その証拠を確保することが重要です。なるべく通帳を通して、証拠作りが大切です。
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