【2024年】HEMS(ヘムス)導入の補助金は?打ち切りや導入費用を解説

マネーライフワークス
監修者
最終更新日:2024年05月24日
【2024年】HEMS(ヘムス)導入の補助金は?打ち切りや導入費用を解説
この記事で解決できるお悩み
  • HEMSの導入で補助金を受けられる?
  • HEMSの補助金制度がある自治体は?
  • HEMSの導入費用は?

HEMS導入の補助金制度は2013年9月に打ち切られています。国のほかの補助金制度や、地方自治体の一部の補助金制度では、2024年現在もHEMSを対象とした補助金を受けられます。HEMS導入が対象となる補助金制度を把握しておきましょう。

この記事では、HEMS導入に利用できる補助金制度を解説します。地方自治体のHEMS補助金に関連した情報や、DER補助金に関しても紹介しているため、読み終えた頃には補助金活用に必要な知識が身についているでしょう。

「HEMSに関連した補助金を知りたい」「HEMS導入の費用を抑えたい」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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HEMSの補助金制度とは?

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HEMSの補助金制度は、家庭内のエネルギー使用を効率化し、省エネルギー化を促進するための支援制度です。太陽光発電や蓄電池、電力制御システムなどを導入する際に、費用の一部を補助金として受け取ることが可能です。

補助金の申請には一定の条件や手続きがありますが、家庭の電力消費を最適化し、省エネ効果を高めることが期待されています。HEMSの補助金は、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が担当し、補助の目的は「2011年に発生した東日本大震災の震災復興」でした。

現在、国レベルでのHEMS補助金制度は終了していますが、多くの自治体では独自の補助金制度を設けています。

HEMSの導入費用の目安は20万〜100万円

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HEMSの導入費用の目安は20万〜100万円です。製品の種類や機能、設置工事の規模によって大きく異なります。

HEMSの初期費用は下記のとおりです。

HEMS本体機器 8万〜14万円
分電盤 12万〜20万円
HEMS対応設備 数十万円〜
IoT家電 数千円〜

HEMS導入には対応家電の入れ替えが必要です。すべての家庭が最新の家電を使用しているわけではないため、HEMSに対応している家電を徐々に導入することが一般的です。

HEMS導入は、初期費用だけではなくランニングコストが発生します。 HEMS導入を検討する際は、節電効果や快適性向上などのメリットも考慮して判断しましょう。

【国】HEMS導入の補助金制度は2013年で打ち切り

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国のHEMS導入補助金制度は2013年に打ち切られています。これまで支払われたHEMS補助金は2011年と2013年の2回のみでした。HEMSは東日本大震災の復興を目指して導入され、補助金は環境対応車普及促進基金の一部として復興予算から捻出されていました。

復興予算は、被災地の復興を目的としています。震災直後と比べて経済状況が改善されたため、復興関連予算の使途が厳格化されました。2013年9月、使途の厳格化によって予算の対象外となり、補助金の打ち切りが決定しました。

【国】HEMS導入が対象となるその他の補助金制度

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国によるHEMSの補助金制度は打ち切られていますが、省エネ住宅向けの補助金制度はいくつか存在します。

HEMS導入が対象となる他の補助金制度には下記が挙げられます。

  1. DER(分散型エネルギーリソース)補助金
  2. 次世代HEMS実証事業

1. DER(分散型エネルギーリソース)補助金

DER(分散型エネルギーリソース)補助金は、DERを行う家庭や事業者を対象とした国からの補助金制度の一環です。太陽光発電設備設置済、太陽光発電設備と蓄電池を同時設置する場合が助成対象です。

補助金の金額は蓄電池やV2H、エネファームなどの設備費用によって異なります。令和5年度のDER補助金の全体予算は29億円でした。蓄電池には初期実効容量に応じて補助金が支給され、HEMSの設置が必須です。

V2Hには設備費用と工事費用が、エネファームには設備費用と工事費用がそれぞれ支給されます。

DER補助金は下記の3つが設置されていることが必要です。

  設置場所 購入場所
太陽光発電設備 自宅または事業所 特に制限なし
蓄電池 自宅または事業所 経済産業省が指定する販売店
HEMS(電量使用最適化の仕組み) 自宅または事業所 経済産業省が指定する販売店

蓄電池とV2H、エネファームに対してのDERの補助金額は次のとおりです。

蓄電池 ・初期実効容量×2.7万円/kWh
・設備費+工事費用の3分の1以内
HEMS ・5万円
V2H ・設備費:75万円/台(設備費の2分の1以内)
・工事費:40万円/台(定額)
エネファーム ・設備費、工事費:4万円/台(設備費工事費)
V2Hとは

「Vehicle to Home」の略称です。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーに蓄えた電力を、自宅で使えるようにするシステムです。

エネファームとは

都市ガスやLPガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて発電します。発電時に発生する熱を利用してお湯を沸かします。

2. 次世代HEMS実証事業

次世代HEMS実証事業は「次世代HEMS」の普及促進を目的とした事業です。2020年度から開始された事業で、経済産業省と環境省が共同で実施しています。ZEH+住宅に「次世代HEMS」を導入する事業者に対して補助金を交付します。

ZEH+とは「net Zero Energy House/ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略語で「エネルギー収支をゼロ以下にする家」の意味です。

次世代HEMS実証事業の補助金の対象条件は下記の3点が挙げられます。

  • 「ZEH+の要件」を満たしていること
  • 高度エネルギーマネジメントを選択し蓄電システムまたはV2H充電設備(充放電設備)を導入すること
  • 燃料電池、太陽熱利用温水システムの設備を導入すること
  • AI・IoT技術等による最適制御を行う仕組みを備えていること

参照:次世代HEMS実証事業

申請対象者は新築住宅を建築する個人であり、建売住宅を購入する場合は適用されません。

【地方自治体】HEMS導入が対象となる補助金制度

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  1. 東京都江東区|江東区地球温暖化防止設備導入助成事業
  2. 埼玉県熊谷市|越谷市ゼロカーボン推進補助金
  3. 愛知県刈谷市|住宅用地球温暖化対策設備設置費補助制度
  4. 愛知県豊田市|豊田市エコファミリー支援補助金
  5. 大阪府東大阪市|事業者用太陽光発電設備導入促進事業補助金

1. 東京都江東区|江東区地球温暖化防止設備導入助成事業

江東区では、区内に太陽光発電や省エネルギー設備などを導入する個人・事業者・管理組合などに対し、設置費用の一部を助成しています。

対象となる設備と助成金額は下記のとおりです。

太陽光発電システム 太陽電池モジュールの公称最大出力の合計値1kWあたり50,000円 (上限200,000円) 蓄電池と同時に申請する場合は、太陽電池モジュールの公称最大出力の合計値1kWあたり60,000円(上限240,000円)
蓄電池 蓄電池容量1kWhあたり10,000円(上限1設備あたり100,000円) 太陽光発電システムと同時に申請する場合は、1kWhあたり 25,000円(上限1設備あたり200,000円)
エネルギー管理システム機器(HEMS・MEMS) 設置に要する経費の5%(上限1設備あたり20,000円)
CO2冷媒ヒートポンプ給湯機(エコキュート)※個人住宅のみ 設置に要する経費の5%(上限1設備あたり40,000円)
家庭用燃料電池装置(エネファーム)※個人住宅のみ 設置に要する経費の5%(上限1設備あたり100,000円)
高反射率塗装 施工面積平方メートルあたり1,000円(上限200,000円)
高断熱窓(既築のみ) 設置に要する経費の10%(上限1件あたり100,000円)
電気自動車等充電設備 設置に要する経費の10%(上限普通充電設備※充電用コンセント・充電用コンセントスタンド・V2Hを含む「5基まで」1基あたり100,000円、急速充電設備「1基まで」の場合、1基あたり500,000円)

参照:江東区地球温暖化防止設備導入助成事業

申請受付期間は、令和6年4月1日(月)〜令和7年3月14日(金)です。令和7年3月31日(月)までに設備導入完了報告書を提出する必要があります。

2. 埼玉県熊谷市|越谷市ゼロカーボン推進補助金

埼玉県熊谷市では、ゼロカーボンシティ実現のため再生可能エネルギー設備などの導入に対し、補助金を交付しています。

家庭用補助金の対象となる設備は次のとおりです。

  • 太陽光発電設備
  • リチウムイオン蓄電池とV2H(電気自動車等充給電設備)
  • EV(電気自動車)・PHEV(プラグインハイブリッド車)
  • ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)

条件が合致した場合、補助金額は2万〜20万円が受給されます。令和6年度の補助金については、令和5年度と同様の方法で受付を実施する予定です。現在はサイトへの記載がないため、詳細は熊谷市の公式HPをご覧ください。

3. 愛知県刈谷市|住宅用地球温暖化対策設備設置費補助制度

愛知県刈谷市では、住宅用地球温暖化対策設備の設置を検討し、一定の要件を満たす人に予算の範囲内で補助金を交付しています。複数の補助対象システムを設置する場合、どれか1つではなく複数の補助が利用可能です。

補助対象のシステムと補助金額は下記のとおりです。

住宅用太陽光発電システム(一体的導入) 5万円/kW(上限15万円)(千円未満切捨て)
※単体での補助不可
家庭用燃料電池システム(エネファーム) 上限10万円(千円未満切捨て)
住宅用エネルギー管理システム(HEMS) 上限2万円(千円未満切捨て)
住宅用リチウムイオン蓄電システム 上限15万円(千円未満切捨て)
住宅用電気自動車等充給電システム 上限5万円(千円未満切捨て)
住宅用太陽熱利用システム 自然循環型上限2万5千円(千円未満切捨て)
強制循環型・空気集熱型上限5万円(千円未満切捨て)
高性能外皮等 上限10万円(千円未満切捨て)
※単体での補助不可

参照:住宅用地球温暖化対策設備設置費補助制度

申請受付期間は令和7年3月31日までです。補助対象システムの着工前に申請する必要があります。建売住宅の場合は、売買契約後から引渡し前までに申請してください。

4. 愛知県豊田市|豊田市エコファミリー支援補助金

愛知県豊田市では、エネルギーの地産地消および市民の暮らしの脱炭素化を推進することを目的として、豊田市エコファミリー支援補助金を交付しています。

豊田市エコファミリー支援補助金の項目と補助金額は下記のとおりです。

スマートハウス化設備 上限15万円
スマートゼロハウス(ZEH+蓄電池) 上限20万円
家庭用燃料電池システム 設置費の5%
上限5万円
家庭用リチウムイオン蓄電池システム又は電気自動車等充給電設備(V2H) 蓄電容量1kWhあたり1万円

参照:豊田市エコファミリー支援補助金

申請受付期間は、令和6年4月1日(月)〜令和7年3月31日(月)です。令和7年3月31日(月)までに「設置予定届出書」と「交付申請兼実績報告書」を提出する必要があります。

5. 大阪府東大阪市|事業者用太陽光発電設備導入促進事業補助金

大阪府東大阪市では、事業者用太陽光発電設備導入促進事業における対象設備設置費用の一部を補助しています。

対象設備と補助金額は下記のとおりです。

対象設備 補助金額
太陽光発電設備 上限40万円(2万円/kW×20kWまで)

2024年4月1日現在、令和6年度の太陽光発電設備導入促進事業補助金は準備中です。

参照:事業者用太陽光発電設備導入促進事業

HEMS導入における補助金申請から受給までの基本の流れ

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HEMS導入における補助金申請から受給までの基本の流れは下記のとおりです。

  1. 対象の補助金の有無を確認する
  2. 補助金の申請手続きをする
  3. 交付決定通知を受け取る
  4. 着工・完工の書類を提出する
  5. 入金される

1. 対象の補助金の有無を確認する

最初は対象の補助金の有無を確認します。自治体や国が提供するさまざまな補助金制度のなかで、導入予定のHEMSが対象となる補助金を事前に確認しましょう。

関連機関のWebサイトには下記があります。

申請条件や必要書類もあわせて確認が必要です。

2. 補助金の申請手続きをする

次に、補助金の申請手続きを行います。申請書の記入や必要書類の準備を行い、必要な手続きを完了させましょう。一般的には、工事が始まる前に申請を行います。

申請手続きの手順は下記のとおりです。

  1. 申請書をダウンロード
  2. 必要書類を準備する
  3. 申請書に必要事項を記入する
  4. 必要書類と申請書を提出する

申請方法は自治体によって異なるため、事前に確認が必要です。

3. 交付決定通知を受け取る

申請手続きを済ませた後は、補助金の交付先から届いた交付決定通知を受け取ります。通知を受け取ることで工事を開始できます。申請書を出した時点では、まだ補助金の交付は決定していません。

申請後、1〜2カ月で補助金の交付決定通知書が届きます。通知書を受け取るまで時間がかかる場合があるため、余裕を持って計画しましょう。

4. 着工・完工の書類を提出する

補助金の交付先から交付決定通知が届いたあとは、着工・完工後の書類を補助金の交付先に提出します。

提出する書類は下記が挙げられます。

  1. 工事着工届
  2. 工事完了報告書
  3. 領収書
  4. 契約書
  5. 写真

提出期限は各補助金の交付先によって異なるため、注意が必要です。かならず交付先のホームページで提出期限を確認しましょう。

5. 入金される

自治体が報告書を審査し、不備がない場合は補助金が入金されます。通常は1カ月程度で入金されますが、確認に時間がかかる場合があり、半年以上入金されないこともあります。

入金までの流れは下記のとおりです。

  1. 自治体が書類を審査する
  2. 審査後に補助金が振り込まれる
  3. 振込完了の通知が届く

まとめ

HEMSは、家庭全体のエネルギー使用量を可視化して把握することで、電気料金の削減に役立つシステムです。HEMS導入を検討する際は、初期費用やランニングコスト、導入条件などを理解することが重要です。

HEMSを導入することで、自社がどのような経済的な効果を生むのかを計画書にまとめる必要があります。補助金の申請に強い専門家と連携を取りながら行うことが重要です。

「比較ビズ」では、必要事項を入力すると、2分程度で目的や用途に合致したコンサルタントやリノベーション企業を無料で紹介しています。HEMS導入に関する専門的なアドバイスも得られるため、ぜひ利用してみてください。

監修者のコメント
マネーライフワークス
岡崎 壮史

1980年3月23日生まれ。社会保険労務士・1級FP技能士・CFP認定者。令和3年度 中小企業・小規模事業者等に対する働き方改革推進支援事業(専門家派遣事業) 派遣専門家。大学卒業後、外資系生命保険会社の営業、資格の専門学校の簿記・FPの講師、不動産会社の経営企画を経て現在に至る。

hemsとは、住宅の省エネ効果や節電効果を高めるシステムのことを言い、ビル単位の省エネ効果や節電効果を他変えるシステムであるbemsとは、対象となる建物が異なります。

hemsは、世間的にはまだ認知度は低いですが、使用エネルギーの管理を徹底することで、経費の削減や環境に配慮したエネルギー活動を行うことにもつながり、SDG'sの活動にもつながるものといえます。

また、hemsを導入することで補助金が支給される制度を行っている自治体も多いため積極的に活用するチャンスが到来しているとも言えます。

しかし、補助金は申請をすれば、だれでも支給されるものではなく、予算の範囲内で支給されるものである点や、hemsを導入することで、会社にとってどのような経済的な効果が生まれるかなどをしっかりと計画書にまとめることなどが必要となるため、補助金の申請に強い専門家と連携をしっかりと取りながら行うことが重要であるといえます。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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