持続化給付金とは?支給要件や申請書類・支給額の計算方法などを解説
- 持続化給付金の概要は?
- 持続化給付金の支給要件は?
- 持続化給付金の申請・計算方法は?
持続化給付金とは、新型コロナウイルス感染症拡大により、大きな影響を受けている事業者の事業存続を支えるための政府が行う給付金制度です。
この記事では、持続化給付金で事業を立て直したい中小法人・個人事業主向けに、支給要件を紹介します。
記事を読み終わった頃には、持続化給付金の申請書類・支給額の計算方法を把握できるようになるでしょう。「新型コロナウイルスの影響で事業での収入が減ってしまった」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
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持続化給付金とは:コロナの影響を受けている事業者への給付金
持続化給付金は、新型コロナウイルスによる営業の自粛・事業の縮小などで影響を受けている事業者に給付される支援金です。事業の存続・経営の立て直しのために、今まで続けてきた事業において広く活用可能です。
給付金は、融資と異なり返済の義務はありません。給付額が大きいため、条件に見合い給付を受けることができれば、再起のきっかけになるでしょう。
※持続化給付金の申請期間は、2021年2月15日で終了しています。
持続化給付金の支給要件
持続化給付金は、以下を満たす幅広い業種の法人・個人事業主が対象です。
- 新型コロナウイルス感染症の影響によりひと月の売上が前年同月比で50%以上減っている事業者
- 2019年以前から事業による事業収入を得ておりこれからも事業を続ける意思がある事業者
- 法人は資本金の額・出資の総額が10億円未満で上記の定めがない場合は常時使用する就業者の数が2,000人以下である事業者
※2019年に創設した方・売上が一定期間に偏っている方などには特例があります
※1度給付を受けた方は給付の再申請はできません
2020年6月から拡大された持続化給付金の支給対象者
2020年6月29日から持続化給付金の支給該当者が広がりました。持続化給付金の開始時は非該当であった創設まもない事業者も該当になり、主たる収入が雑所得・給与所得の事業者も該当者となりました。追加された該当者は以下のとおりです。
- 主たる収入を雑所得・給与所得として確定申告した個人事業主
- 2020年1月から3月に創業した中小法人・個人事業主
以下から、新制度で該当者に含められた事業者の要件を解説します。
主たる収入を雑所得・給与所得として確定申告した個人事業主
2020年6月から、主たる収入を雑所得・給与所得として確定申告した方も該当します。主たる収入の要件が軽減され、事業所得以外で確定申告している個人事業主も申し出が可能になりました。
今までの制度は、主たる収入が事業所得の個人事業主のみが該当者でした。持続化給付金の申し出には、今までの制度と同じくこれからも事業を続ける意思があることが前提です。
事業者の要件は以下のとおりです。
- 前年度月平均と比べて50%以上収入が減っている月がある場合
- 業務委託契約書の提出が必要
前年度月平均と比べて50%以上収入が減っている月がある場合
主たる収入を雑所得・給与所得として申告した個人事業主は、前年度月平均と比べて50%以上収入が減っている月がある場合、給付金の該当します。事業所得を青色申告している場合、申告決算書に月間事業収入を書き記しているため、前年同月との比較が容易です。
一方、雑所得・給与所得で申告している場合、前年同月の収入を証明する資料がありません。前年度の年間収入を12で割り、月間平均収入として比較対象とします。給付額の計算方法・給付額の最大値が100万円である点は、今までの制度と同様です。
業務委託契約書の提出が必要
主たる収入が雑所得・給与所得の個人事業主が持続化給付金を申し出する場合、業務委託契約にもとづき収入が発生している証明書が必要です。
以下の書類のうち2つを追加で出します。
- 業務委託契約書の写し
- 支払調書・源泉徴収票
- 支払を証明する通帳の写し
契約書がない場合「持続化給付金業務委託契約等契約申立書」を作成し、当事者が署名・記名押印して出します。支払調書・源泉徴収票を出す場合、業務委託契約書の写しの提出が必須です。
通帳の写しは、申請者本人名義の通帳で、報酬の入金がわかる部分の写しを出します。
2020年1月から3月に創業した中小法人・個人事業主
2020年6月から広がった要件では、2020年に創設した事業者も持続化給付金の申し出が可能です。特例により、2020年1月から3月の間に創設した事業者も持続化給付金の申し出ができるようになりました。
中小法人においては「2020年新規創業特例」個人事業主においては「2020年新規開業特例」といいます。
事業者の要件は以下のとおりです。
- 収入は本年度と比較する
- 新規創業特例・新規開業特例は異なる書類を提出する
- 税理士の確認を受ける
収入は本年度と比較する
2020年1月から3月に創設した事業者の場合、該当月の収入が50%以上減っているならば持続化給付金の申し出が可能です。創設月から3月までの月間平均収入と比べます。
新規創業特例・新規開業特例は異なる書類を提出する
中小法人が2020年新規創業特例を活用する場合、会社設立日の証明のため、履歴事項全部証明書の提出が必要です。個人事業主が2020年新規開業特例を活用する場合、税務署の受付印のある個人事業の開業・廃業などの届出書を出します。
税理士の確認を受ける
2020年に創設した事業者は、持続化給付金に係る収入等申立書を作成のうえ、申立書に税理士の確認を受けなければいけません。確定申告書で収入の証明ができないためです。
書類の偽造で不正受給と判断された場合、延滞金を含め2割加算した金額の返還を求められます。日本税理士会連合会では、税理士への確認依頼の受付窓口を設けており、無料で活用可能です。
※日本税理士会連合会の拡大版持続化給付金に係るオンライン確認受付は、令和2年10月29日をもって終了しています。
持続化給付金の申請書類
持続化給付金の申し出をする際、昨年度の事業収入と今年度の50%以上減った月の収入の比較の根拠となる書類が必要です。持続化給付金の振込不備防止のために、振込先の口座情報に通帳の写しを添付しなければいけません。
申し出の方法は、持続化給付金Webサイトの申請フォームで行います。郵送での申し出も可能です。
持続化給付金の申請書類は、法人と個人事業主で異なるため、以下に紹介します。
法人の場合
法人の場合の必要書類は以下のとおりです。
- 確定申告書別表一の控え(1枚)※1
- 法人事業概況説明書の控え(2枚)
- 該当月の月間事業収入がわかる書類(売上台帳・帳簿など確定申告の際に根拠となる書類)
※1 該当月(前年の事業収入よりも50%以上減った月)の属する事業年度の直前の事業年度の書類
個人事業主の場合
個人事業主の場合の必要書類は以下のとおりです。
- 青色申告では直前の事業年度の確定申告書第一表の控え(1枚)と所得税青色申告決算書の控え(2枚)
- 白色申告では直前の事業年度の確定申告書第一表の控え(1枚)
- 青色・白色共通では該当月の月間事業収入のわかる書類(売上台帳・帳簿など)
- 個人事業主の場合は本人確認書類の写しが必要
持続化給付金の支給額の計算方法
支給額の計算方法は、法人・個人ともに申し出た日付を基準にして、事業収入を直前の事業年度の同月と比べます。直前の事業年度の年間事業収入から、事業収入が50%以上減っている任意の月間事業収入の12カ月分を差し引いた金額が給付額です。
10万円未満は切り捨てで、四捨五入ではないため注意しましょう。支給額は、法人と個人事業主で異なるため、詳細な計算方法も踏まえて以下に紹介します。
法人の場合
法人の場合、支給額の計算方法は、直前の事業年度の年間事業収入−該当月の月間事業収入×12(カ月)=給付額となります。法人の持続化給付金の支給額は最大で200万円です。昨年度の年間事業収入から減っている分が最大値となります。
個人事業主の場合
個人の場合も法人と同じく、支給額の計算方法は直前の事業年度の年間事業収入−該当月の月間事業収入×12(カ月)=給付額となります。個人の場合、持続化給付金は最大100万円です。昨年度の年間事業収入から減っている分を最大値とします。
持続化給付金以外の5つの補助金と助成金
持続化給付金以外の補助金と助成金を5つ紹介します。
- ものづくり補助金
- 持続化補助金
- IT導入補助金
- 事業承継・引継ぎ補助
- 雇用調整助成金
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、新製品の開発・新サービスなどを提供するうえで、必要な設備投資・事業に関連する費用を支援する補助金です。製造業・卸売業・サービス業・小売業などの職種が該当します。中小企業だけではなく個人事業主も該当するところが特徴でしょう。
補助金の該当者は事業内容によって異なり、基本形となる一般型賃上げがあります。他には、雇用拡大に取り組むならば回復型賃上げ・雇用拡大枠・デジタル枠・グリーン枠に分けられます。
持続化補助金
持続化補助金は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者の地道な販路開拓の取り組み・業務効率化の取り組みを支援するための補助金です。中小企業・個人事業主が該当します。
商業・サービス業などを中心にさまざまな業種が該当する可能性があり、支援該当者の範囲が広い補助金です。基本的な一般枠に加えて、賃金引き上げ枠・インボイス枠などの特別枠が2021年から拡充されています。
IT導入補助金
IT導入補助金は、自社の課題・ニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートする補助金です。中小企業・小規模事業者が該当します。
飲食・宿泊・医療なども含めた幅広い業種において、業務を効率化するITツールの導入を支援する制度です。ソフトウエアの購入費・クラウド利用料などのITツールで発生する費用や、パソコンの購入・POSレジの導入なども該当します。
事業承継・引継ぎ補助
事業継承・引継ぎ補助は、事業再編・事業統合を含む事業承継を契機として、経営革新を行う取り組みに要する経費の一部を補助する制度です。中小企業・小規模事業者が該当します。
特定の条件を満たす幅広い業種において、事業継承に関連する費用を専門家活用費も含めて補助が受けることが可能です。経営資金の引継ぎ・M&Aで事業を譲り受けた際に譲渡された一部事業の廃業で発生する費用が該当します。
雇用調整助成金
雇用調整助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動を縮小した場合に、雇用維持を図るために、雇用調整(休業)実施を助成する制度です。個人事業主を含む事業者が受け取れる事業主が就業者に対して休業手当を支払う場合、一部を助成する制度になります。
2020年4月1日から2022年9月30日までの期間を緊急対応期間として、特例措置により助成率と上限額の引き上げを行いました。
まとめ
持続化給付金は、これまでにない事業を立て直すことに最適な支援策です。該当要件に当てはまっている方は、申請をおすすめします。当てはまらないと思っている方も、特例措置があるため確認をしておきましょう。
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大学卒業後、信用金庫で融資と営業を経験。リーマンショックの影響で融資先企業の業績が悪化する中、目の前で苦しむ企業を十分に支援できない自らの力不足を痛感。困っている企業の力になりたいと思い投資会社に転職し、中小企業の事業再生業務に従事。多くの再生案件に携わる中で現場の経営に関わりたいという思いが強くなり、副業で経営コンサルティング事業を開始。その後、視野を広げるために信用調査会社に転職し調査業務を行った後に独立。現在は経営者のパートナーとして、戦略立案・計画策定・資金調達・組織作り・人材育成・実行支援などを中心に、経営課題の解決を支援している。
・基本的に後払いほとんどの補助金は後払いのため、一旦は別の方法で資金調達を行って先に支払う必要があります。補助金の交付は決定しているものの、資金調達ができなくて資金繰りが苦しくなることもあります。
・申請に時間がかかる簡単な書類を作成するだけで受給できる補助金もありますが、事業計画書などを作成する必要があるものもあります。また、事後報告や領収書などの管理をおろそかにすると後で返還を求められることもあります。
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