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営業戦略にフレームワークを取り入れよう!活用方法や注意点を徹底解説

更新日:2023年12月19日
営業戦略にフレームワークを取り入れよう!活用方法や注意点を徹底解説

営業時に戦略を立てることで、効率よく売り上げの向上を目指せます。ですが、営業戦略といってもどのように立てたらいいのかわからない人も多いでしょう。やみくもに目標や戦略を立てるだけでは効果的な営業は目指せませんが、フレームワークに当てはめて状況を分析することで、現状に合った営業戦略を立てられます。この記事では各フレームワークの特徴や、状況にあった活用方法を詳しく解説していきます。

この記事で解決できるお悩み
  • 売上げを上げる方法が知りたい
  • 営業戦略の立て方がわからない
  • 営業にフレームワークを活用したい
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営業戦略立案はフレームワークの活用で効率的になる

営業戦略とは

営業活動全体の方針を定めることや、営業目標を達成するための戦略を立てること

営業戦略とは、会社全体の業績を上げるために方針や目標を定めること、また目標に対してどのように動くべきかを考えることを指します。戦略を立てずに営業をしても、全体目標の達成は難しいでしょう。

営業方針を定めることで、営業部全体に一体感が出ます。効率の良い営業を行うために、営業戦略は必要不可欠なのです。

フレームワークとは

環境や情報の分析や、考え方の基本となる枠組み

営業戦略の立案は現状分析からはじまり、その際分析の枠組みとなるのがフレームワークです。あらかじめ決まっている枠組みに情報を当てはめると、最短で答えを導き出せるため、戦略立案の時間削減ができます。

フレームワークを取り入れるコツ
  • 各フレームワークの特徴を理解する
  • フレームワークをうまく組み合わせる
  • 分析に時間をかけすぎないようにする

フレームワークは種類が多いため、使う前に各フレームワークの特徴や効果を明確にしましょう。状況に合わせてフレームワークを選ぶことで、情報整理や状況把握の効率化ができるのです。

複数のフレームワークを組み合わせると、より説得力のある営業戦略が作れます。まず全体分析を行い、結果をもとに別のフレームワークを用いる方法です。順序立てて分析を深めることで、今まで気が付かなかった顧客ニーズや自社の魅力を掘り起こせます

フレームワークを使うとあれもこれもと要素を分析したくなりますが、状況が把握できた時点で戦略を立てることが重要です。分析に時間をかけると判断材料が増え、情報の取捨選択が難しくなります。

情報分析はサクッとおこない、戦略に落とし込んだあと結果が出なければ見切りをつけて別の分析をするサイクルを回しましょう。期間を決めてトライアンドエラーを繰り返すことで、企業に合った営業戦略を見つけられます。

営業戦略は売上アップのための道筋

営業方針や目標数値を明確にしよう

売り上げを上げたい、契約率を上げたいと考えたときは、さまざまな解決方法があります。

営業力アップの方法例
  • 営業トークを見直す
  • 商品やサービスのアピール箇所を整理する
  • 営業方法を電話からWEB会議に切り替える
  • 営業人員を増やす
  • 電話営業であればコール数、訪問営業であれば訪問数を増やすなど

どの方法をとるべきか、何をすれば売り上げが上がるのか、やみくもに思いついた方法を試すだけでは効率的とは言えません。営業方針や目標数値の達成方法を明確にし、営業全体で共有をすることが売上げアップの近道になります。そのために必要なのが営業戦略です。

営業戦術やマーケティング戦略とは異なる営業戦略

営業戦略というと、営業戦術やマーケティング戦略、販売戦略などの言葉と混同されがちです。それぞれの言葉の違いは下記をご確認ください。

営業戦略営業目標を達成するために、もっとも効率の良い方法を考えること
営業戦術営業戦略で決めた方針や戦略を、実際どのように進めるかを示した具体的な手法
マーケティング戦略外的環境を踏まえて、ターゲットやサービス内容、提供方法を定めること
販売戦略
  • 営業戦略と同じく、売上目標を達成するため販売方法や方針を決めること
  • 見込み客に自ら売りに行く能動的な営業に対し、販売はニーズを感じて来ている顧客に対して売るため受動的
  • 営業戦略を現場での具体的な動き方に落とし込んだのが営業戦術です。営業戦略を立てたら次に営業戦術を決めるため、2つをつなげて考えると良いでしょう。

    一方でマーケティング戦略は、営業戦略を立てる前に市場の状況を分析し、誰に何を売るのかを決めることを指します。まずはマーケティング戦略でサービス内容やターゲットを確定し、その商品を売るための方針を営業戦略にて決定する流れです。

    販売戦略は営業戦略と似ていますが、顧客へのアプローチ方法が異なります。営業の場合は見込みのある層に自ら売りに行きますが、販売はニーズを感じて自らやってきた顧客に商品・サービスを売るのが通常です。集客方法に能動的か受動的かの差があるため、それぞれにあった戦略を立てましょう。

    営業戦略を立てるまでの3ステップ

    営業戦略の立案は、下記の3つのステップで進めると良いでしょう。

    • 現状分析
    • 課題の把握
    • 営業戦略の立案

    自社・外部環境・ターゲットを分析して現状を知る

    営業戦略の立案をするなら、まずは現状分析をしましょう。

    売上げアップには、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。分析するべき要素を下記にまとめたので、是非ご覧ください。

    自社分析
    • 自社商品やサービスの強み弱み
    • 営業リソース(営業人員や費用など)
    外部環境分析
    • 市場調査
    • 競合調査
    ターゲット分析
    • 顧客ニーズ

    分析の際には、自社・外部環境・ターゲット(顧客)の3点からアプローチすると効率的です。

    自社を分析する際は、まず売りたい商品・サービスの強みや弱みを把握します。営業人員をどれほど確保できるのか、営業にいくら費用をかけられるのかなどの営業リソースを明確にすることも、現状把握に効果的です。

    売上には外部環境も大きく影響をします。外部環境を知らなければ今後の予測も立てられません。市場の現状調査や競合企業がどのような戦略を立てているのかなど、周囲を把握することで自社の立ち位置を振り返りましょう。

    また顧客のニーズも常に一定とは限りません。今ターゲットとしている顧客層がどのようなニーズを持っているのか、何を求めているのかを知ることは、戦略をたてる上で重要なカギとなります。

    現状分析はまず3つの要素をそれぞれで整理し、必要だと思う部分を深堀していきましょう。情報を整理するタイプのフレームワークを使うと、効率的に現状分析が行えます。

    分析結果から課題を考える

    分析ができたら、次に行うのは課題の把握です。分析結果をもとに問題点を明らかにして、何を変えていくべきかを考えます。

    課題を把握する際には、下記のポイントに注目をすると良いでしょう。

    • 市場の変化に合わせた営業ができているか
    • 限られたリソースをうまく活用できているか
    • 効率化できる部分は無いか
    • 顧客ニーズに自社サービスは適応できているか

    課題は現実的に解決できるかを基準に優先順位をつけておくと、営業戦略にする際に検討しやすくなります。

    営業戦略立案のコツはわかりやすさ

    課題が把握できたら、いよいよ戦略の立案です。戦略を立てるコツは下記の2点を参考にしてください。

    • 営業戦略はシンプルで伝わりやすいものにする
    • 自社にしかない強みを活かす

    営業戦略は営業部全体で共有する方針です。人によってとらえ方が違うことにならないよう、全員に伝わりやすいシンプルなものが良いでしょう。

    戦略を立てる上で競合との差別化は必要不可欠なため、自社にしかない強みを打ち出すのも効果的です。分析した要素から、他社と比べて強みになる点を重視することで、顧客へのアピール力が強い戦略が打ち出せるでしょう。

    情報整理に効果的なフレームワーク

    フレームワークとは

    環境や情報の分析や、考え方の基本となる枠組み

    営業戦略立案には状況分析が必要ですが、何もわからないところからやみくもに分析をしても効率的とは言えません。

    フレームワークは、情報を整理・分析をする時に考えを導く枠組みを指します。フレームワークを使うことで、効率的に現状分析や課題の把握ができるのです。

    フレームワークを使うメリット
    • 時間をかけずに戦略を立てられる
    • 認識を共有しやすくなる
    • 要素が明確に示されるため戦略に説得力がでる

    フレームワークを使うメリットは効率がいいところですが、分析の流れが後からでも確認できるため、認識を共有しやすくなる利点もあります。各情報をどのように比べてこの戦略になったのか、履歴がフレームワークに残るため、共有時に説得力を感じてもらいやすいでしょう。

    フレームワークを使うデメリット
    • 新しい発想が出にくくなる
    • 状況に応じたフレームワークを選ぶのが難しい

    一方デメリットは上記の2点です。

    決まった枠組みに当てはめるため、思考が固定されてしまい新しい発想や斬新なアイディアが出にくくなります。

    フレームワークにはさまざまな種類があるため、どれを使うべきかの選択が難しいというのもデメリットでしょう。不要なフレームワークを使うとかえって状況分析が遠回りになり、戦略を立てるのに時間が掛かります。

    どのフレームワークを使うべきか、事前に特徴をおさえることでこのような失敗を未然に防ぎましょう。

    フレームワークは状況にあったものを選ぶ

    フレームワークにはさまざまな種類があります。目的や分析内容に応じて、ふさわしいものを選びましょう。

    今回は特に営業戦略に使えるフレームワークを11個ピックアップし、特徴に応じて4つに分類し紹介をしていきます。

    基本
  • 3C分析
  • SWOT分析
  • TOWS分析(クロスSWOT分析)
  • 自社・商品サービスの情報整理
  • 4P分析
  • VRIO分析
  • バリューチェーン分析
  • ファイブホース分析
  • 外部環境の情報整理
  • STP分析
  • PEST分析
  • 顧客の情報整理
  • 4C分析
  • BANT分析
  • 営業戦略に使える11個のフレームワーク

    ベーシックな流れでまずは現状を把握する

    紹介するフレームワーク
    • 3C分析
    • SWOT分析
    • TOWS分析(クロスSWOT分析)

    まずは何をしたら良いのかわからない人に向け、フレームワークを活用する際に人気の高い基本の流れを紹介します。

    3C分析

    3C分析とは、 3つの要素から自社の現状やビジネス環境を把握するフレームワークを指します。

    3C分析の各要素
    Company(自社)自社の業績や強み・弱みを把握
    Customer(市場/顧客)自社の顧客層を分析し、市場ニーズを把握する
    Competitor(競合)競合他社の商材や業績を分析し、自社が劣っている部分を見つける

    自社・市場・競合の3つの要素を分析し、現状や自社を取り巻く環境を把握するフレームワークが3C分析です。

    情報分析を行う最初に取り入れると効果的で、まず事実を集めることで情報を効率的に整理することができます。

    各項目で集める情報の一例は下記を参考にしてください。

    Company(自社)
    • 企業の理念やビジョン
    • 現状の戦略
    • 資本力や投資力
    • 営業リソース
    • 売り上げや利益率
    • 商品(サービス)ラインナップ
    • 各事業や商品(サービス)の特徴、強みや弱みなど

    会社全体の理念やビジョンから売りたい商材のメリット・デメリットまで、幅広く情報を出す必要があります。一見営業戦略に関係ないと思われるデータでも、戦略立案に必要な情報かもしれません。分析の段階で検討範囲を狭めないように、なるべく広い視野を持ちましょう。

    Customer(市場/顧客)
    • ターゲットとなる市場の規模
    • 市場の現状や将来性
    • 顧客ニーズ

    市場・顧客の項目では、顧客ニーズや市場の将来性をひも解いていくことが重要です。そのために、現在の市場規模や現状、顧客の動向や購買傾向などの情報を集めると効果的です。

    Competitor(競合)
    • 競合になる企業や業界
    • 競合企業の現状や業績推移
    • 競合企業の業界内でのポジション
    • 競合のリソースや戦略
    • 競合商品(サービス)の特徴、強みや弱み

    競合分析は、まずどの業界・企業が競合になるのかを明確にします。競合にあたるかを見極めるには、商品の特性や顧客層が似ていないかを見ると良いでしょう。

    競合が定まったら、競合企業の現状や業界内でのポジション、商品やサービスの特徴などを細かく集めると比較がしやすくなります。

    SWOT分析

    SWOT分析とは、外部環境(競合やトレンド・法律)と内部環境(資産力・ブランド力・価格品質)をプラス面マイナス面に分けて分類するフレームワークをさします。

    SWOTそれぞれの要素
    Strength(強み)内部環境の強み
    Weakness(弱み)内部環境の弱み
    Opportunity(機会)外部環境の良い点
    Threat(脅威)外部環境の悪い点

    情報をまずは内部環境と外部環境にわけ、それぞれにプラス要素とマイナス要素を挙げます。事前に 3C分析を行っていると、幅広い情報を整理できるため効率的です。

    SWOT分析は図式化するだけで簡単に情報整理ができるため便利ですが、戦略を立てることはできません。SWOT分析だけで満足せずに、次に紹介するTOWS分析(クロスSWOT分析)と合わせて使うことで戦略立案に役立てましょう。

    TOWS分析(クロスSWOT分析)

    TOWS分析(別名クロスSWOT分析)は、SWOT分析で整理した情報を戦略にするために有効なフレームワークです。内部環境における強み・弱みをそれぞれ外部環境の機会・脅威とかけ合わせることで、多方面に向けた施策を考えることができます。

    O(機会) T(脅威)
    S(強み) S×O戦略 S×T戦略
    W(弱み) W×O戦略 W×T戦略
    • S×O戦略(maxi-maxi)

      自社の強みを活かして機会を拡大・持続する戦略を考える。

    • S×T戦略(maxi-mini)

      自社の強みを活かして、脅威に対処する戦略を考える。

    • W×O戦略(mini-maxi)

      自社の弱みを補完して、機会をつかむ戦略を考える。

    • W×T戦略(mini-mini)

      自社の弱みと脅威を最小化する戦略を考える。

    自社のメリットと環境的な強みを掛け合わすことで、機会を最大化する戦略(S×O戦略)が立てられます。

    一方で外的環境はいつまでも良い調子が続くわけではありません。S×T戦略にて、自社の強みを生かすことで外部からの脅威に対処する方法を考えると、現状の改善はもちろん、環境が悪化した際にも備えられるでしょう。

    自社のデメリットをいかにカバーしていくかも、戦略を考えるうえで欠かせません。

    デメリットを補完して、外部環境がくれる機会を逃さないためのW×O戦略や、自社の弱みと環境からの脅威をそれぞれ出来るだけ最小化するためのW×T戦略の2つを掘り下げることも大切です。

    それぞれの項目であがった戦略を重要度順に並べ、実際に実行できる案かどうかを検証しながらプランを立てると効率よく営業戦略が立案できるでしょう。

    自社サービスのことを知って営業力をあげる

    紹介するフレームワーク
    • 4P分析
    • VRIO分析
    • バリューチェーン(価値連鎖)分析

    自社商品・サービスについての分析は、こちらの3つのフレームワークがおすすめです。

    4P分析

    4P分析とは、マーケティング戦略にて施策を考えるときに有効なフレームワークです。 現状の商品・サービスを見直したい時や、新規にどのような商品・サービスを提供するべきかを悩んだ時に有効でしょう。

    4P分析の要素
    Productどのような商品(サービス)を提供するのか
    Priceその商品(サービス)をいくらで提供するのか、どのようなチャージ方法か
    Place(Channel)その商品(サービス)をどのように提供するのか
    Promotionその商品(サービス)をどのように販促するのか

    4P分析はまず、Productから考え始めます。どのような商品(サービス)を提供するのかを考える上で重要なのは、下記の2点です。

    • ターゲット顧客のニーズを満たすこと
    • 自社のリソースを活用すること

    自社の強みを生かして、顧客のニーズや課題を解決できるように、商品やサービスのコンセプトを決めていくと良いでしょう。

    商品・サービスが決まったら、次に価格を考えます。重要なのは下記の2点です。

    価格を決める2つの視点
    • 利益
    • 競合

    価格は原価に比べどれほどの利益が欲しいかと、競合がいくらに値段を設定しているかのバランスを見て決めます。競合と商品を比較した際のメリットデメリット、市場全体の需要、どのようなブランディングをしていきたいのかを合わせて考えましょう。

    利益を減らし低価格で数を沢山売ることにより売り上げを立てるのか、利益率が高く競合より高価な設定で市場展開をするのか、価格の決定はその後の売り上げや商品イメージを大きく左右します。

    価格の次には、商品・サービスを売る場所を決めます。

    価格と販売場所の考え方
    • 低価格で流通量を増やすなら、量販店など手に取りやすい場所
    • 高価格でブランド価値をつけるなら、百貨店などブランドイメージに合った場所

    価格と展開方法は密接に結びついています。価格がどのような意図で決められたものなのかを把握することで、最適な販売場所が見えてくるでしょう。

    最後はプロモーションを考えます。販促活動をするうえで重要なポイントは次の3点です。

    • 商品(サービス)の強みを訴求
    • 競合との違いを訴求
    • 顧客への訴求

    商品(サービス)の強みを打ち出すのはもちろんですが、競合との違いをアプローチするのも効果的です。一方で良さばかり伝えても顧客の心に響かなければ意味はありません。

    プロモーションを考える時には、自社の強みや競合との違いをどのように伝えれば顧客に魅力的に伝わるかを意識しましょう。

    4P 分析は4つのPがつながって一つのフレームワークになっています。考えるときは1つずつではなく4つを統合して考えなければ意味がありません。

    商品・サービスが作られてから販促活動に至るまでの流れを通して整理することで、今一度戦略があっているかを見直し、適切な営業・販売戦略を考えましょう。

    VRIO分析

    VRIO分析とは、自社の経営資源(商品・サービス)について分析ができるフレームワークです。3C分析を行う際など、自社の項目を掘り下げるときに有効でしょう。

    VRIO分析の4項目
    経済価値(Value)自社の経済資源にどれくらいの価値があるのか
    希少性(Rarity)他社が保持していない経済資源があるか
    模倣困難性(Imitability)模倣が難しい経済資源を持っているか
    組織(Organization)経済資源を有効に活用できているか

    VRIO分析では、4つの視点から自社の経営資源(人・モノ・資金・情報・組織)について分析し、市場での競争優位性を把握できます。

    会社全体の分析もできますが、営業戦略に活かす場合は売りたい商品・サービスが4つの要素をどれほど持っているかで考えると効果的です。全部持っていれば優位性が高く、少ないほど競合が多くなるため営業が難しくなります。

    経済価値が高く他社が参入していないサービスで、今後も自社サービスをまねるのが難しく、サービス展開をする社内基盤が整っている、と4つの要素がそろっている場合、今後も競争優位が続くことが予想されるため、戦略が立てやすいです。

    一方経済価値が低く他社でも同じサービスを行っていると、競争で勝つことが困難になるため、他社と差をつけられるような改善策が必要でしょう。

    バリューチェーン(価値連鎖)分析

    バリューチェーン分析とは、自社商品・サービスのリソースを洗い出し、どこで付加価値が生み出されているのかを分析するフレームワークです。

    商品・サービスが生まれてから顧客に届くまでを価値の連鎖として捉え、自社の商品・サービスがどれほどの価値を持っているのかを知るために使います。

    どこの工程に問題があるのか、どこで付加価値が付いているのかが明確になることで、コスト削減のヒントになるでしょう。また、価値が見えやすくなることで営業戦略の立案も有利になります。

    バリューチェーン分析は自社だけでなく他社でも行うことで、差別化を図る糸口になったり、市場の動向や消費者ニーズの予測が立てやすくなるでしょう。競合比較のために使用するのがおすすめです。

    外部環境を分析して立ち位置を知る

    紹介するフレームワーク
    • STP分析
    • PEST分析
    • ファイブフォース分析

    自社を取り巻く環境や、業界・市場内での立ち位置を分析したいと考えているなら、上記の3つのフレームワークがおすすめです。

    STP分析

    STP分析とは商品・サービスにおいて、市場全体での立ち位置を明確にするためのフレームワークをさします。

    STP分析の3つの要素
    • セグメンテーション(市場細分化)
    • ターゲティング(狙う市場の決定)
    • ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)

    セグメンテーションにてまず市場を細分化します。ターゲットとしている市場を、似たニーズを持つ顧客層ごとに分けて考え、市場全体の構造を掴みましょう。市場を細かく分けるのは、ターゲット層を明確にするためです。

    次にターゲティングにて、自社商品(サービス)が狙うべき市場を決定します。セグメンテーションで細かく分けたニーズの中から、自社にとって最もふさわしいターゲットを見つけましょう。どんな人に商品を売るのか、顧客イメージが明確になるほど営業戦略は立てやすくなります。

    最後にポジショニングにて、競合他社との位置関係を把握します。どの企業が競合にあたるのかを洗い出し、競合と比較した際の市場内での立ち位置を確認しましょう。

    競合比較の際には、X軸とY軸に比較したい項目を設定し、自社と競合を当てはめていくと視覚的に立ち位置を捉えられます。項目は、金額や品質、知名度(店舗数)などが代表的ですが、自社商品に合わせて最適な項目を選びましょう。

    STP分析は、自社商品(サービス)の強みを明確にしたり、他社と差別化を図れるポイントが整理されたりと多くのメリットを得られます。外部環境を分析したいと考えたときには、まずSTP分析を行ってみると効果的でしょう。

    PEST分析

    PEST分析とは、自社を取り囲む外部環境を把握し、将来的にどのような影響を与えるかを予測するためのフレームワークです。

    詳しくは、下記の4つの要素から分析をします。

    PEST分析の4項目
    政治(Politics)政治・法律・税制などの観点から、自社に影響を及ぼす要因を分析
    経済(Economy)経済動向の変化が自社に及ぼす影響を分析
    社会(Society)消費者のライフスタイルに関する事項を分析
    技術(Technology )時代の変化に伴い開発される新たな技術が企業に与える要因を分析

    PEST分析を行うには、まず自社業界の状況を知る必要があります。そのため初めに情報収集から行いましょう。

    情報収集先一例
    • 統計局のデータ
    • シンクタンクの調査レポート
    • 業界団体からの発信情報
    • 新聞報道など

    信頼性の高い情報を集めることが基本です。

    情報収集ができたら、PESTの4つの項目に情報を分類します。自社に影響のある要素がどうかを検討しながら振り分けることが重要です。また情報に主観が入っていない、事実だけを用いなければ、分析が失敗してしまうため注意が必要です。

    政治・経済・社会・技術の4つに分類ができたら、外部情報を機会と脅威に分けていきます。機会とは自社にとってのチャンスを指し、脅威とは自社にとってリスクとなりえる要因を指します。

    機会と脅威に分けた情報は、それらの影響が長期的なものなのか、短期的なものなのかを見極めていきましょう。その後、分類した情報を戦略に落とし込みます。

    PEST分析は、外部環境の将来的な影響を分析することで長期的なリスクを避けつつ、機会を明確にして事業の発展を目指せるフレームワークです。SWOT分析を行う準備として使用するなど、情報収集が目的にならないように気を付けて営業戦略に活かしましょう。

    ファイブフォース分析

    ファイブフォース分析とは、外部環境のうち事業環境を分析するフレームワークです。自社を取り囲む外部環境の中でも「脅威」を5つに分類しそれぞれを分析します。

    ファイブフォースの5つの脅威要素
    • 既存企業同士の競争(競合他社の存在)
    • 業界への新規参入者
    • 代替品の存在
    • 買い手(顧客)の交渉力
    • 売り手(サプライヤー)の交渉力

    自社に影響を与える脅威を上記の5つに分類をすることで、自社が置かれている環境を正しく把握できます。営業の成功には外部環境が密接に関わっているため、環境を分析することで脅威にいち早く気づけたり、チャンスを逃さずに掴むことにつながるでしょう。

    顧客ニーズの分析は営業力アップのカギ

    紹介するフレームワーク
    • 4C分析
    • BANT分析

    顧客のニーズを分析するなら、上記2つのフレームワークがおすすめです。

    4C分析

    4C分析とは、顧客目線で考えらえた4つの要素を分析することで、顧客へのアプローチ方法を検討するためのフレームワークです。

    4C分析の4つの要素
    顧客価値(Customer Value)顧客が商品・サービスに対してどれくらいの価値を感じているのか
    顧客のコスト(Cost)顧客から見たときの商品・サービスの値段が感じている価値に対して相応か
    顧客にとっての利便性(Convenience)商品・サービスの成約手続きが簡単か、支払いフローに不便がないか
    顧客とのコミュニケーション(Communication)顧客とコミュニケーションを取る場があり、良好な関係を築けているか

    顧客目線で分析する4C分析では、対象となる顧客の設定が効果を左右します。曖昧な顧客イメージのまま分析を進めてしまっても、本来の効果は得られません。

    自社の商品・サービスの顧客イメージを明確にするため、性別・年齢・生活環境などさまざまな要素から分析する必要があります。4C分析は単体で行うよりも、3C分析やSWOT分析を合わせて使うとより効果的です。

    BANT条件

    BANT条件とは、法人営業の際に商談相手の見込み度合いを判断するためのフレームワークです。

    BANT条件の4つの要素
    Budget(予算)顧客の考える予算が自社商品・サービスにあっているか
    Authority(決裁権)顧客の決裁権が誰にあるのか
    Needs(必要性)自社商品・サービスに顧客のニーズがあるか
    Timeframe(導入時期)(Communication)顧客がいつから導入したいと考えているのか

    BANT条件は営業活動時、営業担当が顧客にヒアリングするべき項目として使われます。上記4つの条件を満たしているほど成約につながりやすく、営業トークの指標になるためです。

    ですがBANT条件は営業戦略に役立てることもできます。予算・決裁権・必要性・導入時期の4つを満たしていると成約がしやすいということは、満たしていると考えられる顧客層にアプローチができれば契約率があがると言えます。

    自社サービスの予算に合っているのはどのような企業か、どのような企業が自社サービスを必要としているのか、必要とされるタイミングはいつなのかを、それまでの営業傾向と合わせて分析をすることで見込みのある顧客層を把握できます。

    4C分析を行う前に、顧客イメージを掴むための分析としても効果的でしょう。

    自社に必要なフレームワークを選ぶ

    フレームワーク活用のコツ
    • 自社に必要なフレームワークを把握する
    • 複数を組み合わせる

    フレームワークは使うだけでは効果が得られません。状況にあったフレームワークを選び、分析結果を営業戦略に落とし込む必要があります。

    悩みに応じてふさわしいフレームワークを紹介

    フレームワークにはさまざまな種類があるため、何を使うべきか、何から分析をしたらいいのか迷うでしょう。必要でないフレームワークを使い情報を分析しても、欲しい効果が得られないため時間の無駄になってしまいます。

    悩み別にどのフレームワークを使うべきかを下記にてまとめました。

    悩みフレームワーク
    何から手を付けたらいいのかわからない
  • 3C分析
  • SWOT分析
  • 効率的に営業戦略を立てたい
  • SWOT分析
  • TOWS分析
  • 商品価値を把握したい
  • 4P分析
  • VRIO分析
  • バリューチェーン分析
  • 市場の動きを予測したい
  • PEST分析
  • ファイブフォース分析
  • 市場の中での立ち位置を把握したいSTP分析
    顧客ターゲットを絞りたいSTP分析
    顧客への効果的なアプローチを考えたい4C分析

    まずは3C分析やSWOT分析を行い、現状を全体的に分析すると良いでしょう。その際にうまく掘り下げられない項目があった場合は、個別に分析するためのフレームワークを活用すると効率的です。

    既に現状分析ができている場合は、課題の多い場所に焦点を当てそれに沿ったフレームワークを使いましょう。各フレームワークの特徴を理解し、状況にあったものを使うことで意味のある分析ができます。

    組み合わせることで効果アップするフレームワーク

    フレームワークは、1つを利用するだけでは効果が薄いです。営業戦略を立てる各段階でそれぞれにふさわしいフレームワークを組み合わせることが、立案への近道となります。

    営業戦略をたてる各段階での、効果的な使い方は下記をご覧ください。

    段階使い方
    現状分析段階
  • 基本的なフレームワークが有効
  • まずは大きな枠組みで状況を整理して、どこに焦点を当てるべきかを把握していく
  • 課題を把握する段階
  • 現状分析の中で見えたデータをもとに、課題を見つけていく
  • 課題に合わせてピンポイントで分析できるフレームワークを組み合わせ、現状を深堀すると現状が整理できる
  • 営業戦略の立案段階フレームワークを使うなら、 TOWS分析が有効

    必ずしも各段階でフレームワークが必要なわけではありませんが、分析の仕方に迷ったときや課題がうまく把握できないときは、積極的に取り入れてみましょう。

    フレームワークを使う際の注意点

    フレームワークは営業戦略の立案を効率化できるため便利ですが、メリットばかりではありません。使う際には下記の注意点に気をつけましょう。

    フレームワークを使う際の注意点
    • 分析に時間をかけすぎない
    • うまくいかない場合は試行錯誤を繰り返す

    分析に時間をかけすぎない

    フレームワークを使うと、あれもこれもと情報を分析したくなります。分析に時間をかけすぎると、結果的に膨大な情報が集まり戦略が立てづらくなるため注意をしましょう。

    分析はあくまで営業戦略を立てるための準備です。分析だけで満足をしないように、フレームワークは計画的に取り入れると良いでしょう。

    うまくいかない場合は試行錯誤を繰り返す

    フレームワークを使用し情報分析を丁寧に行うほど、完成した営業戦略に期待をするでしょう。売り上げの増加や契約率アップは、さまざまな要素が絡み合って結果になるため、営業戦略が合っていないのに同じ戦略を続けては命取りになります。

    営業戦略は一度立案をしたものに固執をせず、試行錯誤を繰り返すことで自社にあった戦略が見つかります。

    うまくいかない場合はまた別の要素から戦略を組み立てるよう、戦略を切り替える判断も成功のためには重要です

    まとめ

    売上げを上げたい、契約率をアップしたいと考えたときには営業戦略を見直します。営業戦略の立案には、情報の収集や整理をし現状の課題を把握するというプロセスが必要ですが、基準が何もないままでは情報整理や課題の把握は困難です。フレームワークを使い、営業戦略の立案を効率化していきましょう。

    フレームワークにはさまざまな種類がありますが、それぞれ特徴や効果が異なります。まずは各フレームワークを理解し、自社の状況にあったものを選びましょう。分析が的外れでは、その後の営業戦略も効果を発揮できません。

    フレームワークを使うと効率的に戦略が立てられたり、考えを共有しやすくなったりとメリットが多いですが、一方で思考が限定されてしまったり、情報の取捨選択が難しくなるといったデメリットもあります。

    フレームワークは状況に応じて必要な場面を見極めて、上手に使いましょう。

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    山近 百花
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