商習慣を覚えるべきなのはなぜ？具体例もチェック！

商習慣とは?

まずはそもそも商習慣とは何なのか、それを理解して守ることにはどんなメリットがあるのかをチェックしておきましょう。理解が足りないと適切な行動が取れなかったり、不要だと感じてしまったりすることもあるからです。

法律とは異なる

商習慣というのは、言葉からも分かるようにあくまでもビジネス上の習慣であり、関係者の間でのみ通用することが多いビジネスの進め方を指します。これは法律によって明確に定められているルールとは異なります。

そのため、文書化されているわけではないので、実際にその場に身を置いて体験しないと理解できず、そもそもそれがあるかどうかも分からないことがあります。また、守らなかったからといって、何らかの罰則が科せられるわけではありません。

業界ごとに存在する

商習慣はどの業種にも共通するものもあれば、特定の業界だけに存在するものもあります。そのため、社会人として覚えておくべきマナーと共に、自分が働く業種に見られる習慣を覚えることが重要になってきます。

業界特有の商習慣は、より細かく複雑なものが少なくありません。ビジネスを円滑に進めるために生まれていることがほとんどですが、理解し適用するのが難しく面倒に思えることがあるのも事実です。

ビジネスを有利にするために覚えておきたい

前述の通り、商習慣というのは法律上のルールではありませんし、守らないからといって罰則が存在するわけではありません。しかし、商習慣を守らないと関係者からの評価を失ってしまうことが多いです。

商習慣が身に付いていないと、ビジネスを理解していないとか、マナーがなっていないと思われてしまうことになります。そもそも商習慣は、業界内に起こりがちなトラブルを避けるためや、スムーズに取引を進めるために生まれています。

そのため、面倒だと思うことがあっても、きちんと理解して身に付けることでビジネスを有利に進める助けとなります。営業をする際にも、相手に良い印象を与えることができます。

商習慣の具体例

商習慣は明文化されているわけではないので、どんなものがあるのか体験してみないと分からないケースも多いです。そこで、よく見られる商習慣の具体例をチェックして、日々の業務の中で実行できているかどうかを確かめましょう。

即決しない

日本に特に見られるもので、習慣というよりも日本人の考え方とも言えるものですが、判断を一度保留にするのが一般的となっています。魅力的なサービスの営業を受けても、その場で即決するのではなく、一度持ち帰って社内で検討してから返事をするというスタイルを採るのです。

これは慎重に物事を判断することや、複数の権限者によって決済をして間違いを減らすという動機から来ています。場合によっては判断が遅くなって、時期を逸するという事態になることもあります。

営業スタッフからすると、その場で決めてほしいという思いを持つことがあるのも事実です。しかし、多くの企業でこうしたスタイルを採っていますので、それを理解してじっくりと検討を重ねるための材料を残せるような営業をすることが求められます。

支払いの流れ

代金の支払いについても、多くの業界に共通する商習慣があります。それは月末締めの翌月払いという支払い方です。支払いをする側の観点で見るとメリットが大きい商習慣で、支払いの手間を一度にまとめられることや、支払いを実質的に遅らせることができるなどの利点があります。

一方で売る側にしてみると、代金受け取りが遅くなりますので、どうしてもキャッシュフローの調整が難しくなることがあります。とはいえ、ほとんどの業界でこうした支払方が習慣となっていますので、あらかじめこの方法で資金の流れを考えるべきです。

また、代金前払いやクレジットカード払いなど、代金をできるだけ早く受け取れる手法や貸し倒れのリスクを減らせるモデルを考えることもできます。代金受け取りの方法は、経営に直接影響してくることもありますのでしっかりと検討すべきです。

採用活動

日本においては、新卒者の一括採用という習慣があります。しかも、求人や面接などの採用活動をスタートする時期も半ばルール化されていて、どの企業もいっせいに行う傾向が強いです。

この習慣だと、多くの学生が一気に求職をしますので人材を見つけやすいというメリットがあります。一方で、知名度の低い企業はなかなか大企業に勝てず、不利な採用活動を強いられることもあります。

名刺の使用

名刺というツール自体は世界各国にありますが、初対面の挨拶で必ず決まったやり方で名刺交換をするというのは、日本特有の商習慣です。相手の名前をすぐに確認できることや、名刺を管理すれば人間関係のチェックがしやすいというメリットもあります。

接待の習慣

多くの業界では、営業というと接待を重視する姿勢が強いです。しかも、通常の勤務時間が終了した後の夕方から夜にかけて、アルコールと飲食を伴う接待が多く見られます。

もちろん、世界の多くの国で何らかの形の接待は存在しますが、日本ではより強調される営業のやり方となっています。モラルやコストの点で、あまり良くない商習慣だという指摘も多く、接待を厳しく制約している企業や一部業界も出てきています。

印鑑の使用

契約書を始めとして、多くの決裁と文書に押印が必要というのも、アジアと日本に見られる商習慣です。日本は特にこの傾向が強く、法律によって定められている文書だけでなく、簡単な社内文書でも印鑑が必要なケースが見られます。

在宅ワークが進んでいる中、押印の習慣は業務効率を大きく下げることから、押印不要にしたり電子押印のシステムを導入したりする企業も増えています。完全になくなることはないとはいえ、これから少なくなっていく習慣と言えるでしょう。

まとめ

商習慣は、法律上の規定とは別に、ビジネス一般や特定の業界で見られるビジネスの進め方を指します。時代の流れによって非効率と思われるものも多くなっていますが、スムーズにビジネスを進めるためには必要なものでもあります。

商習慣は営業を行っていく上でも重要で、相手に良い印象を与えるものとなります。しっかりと理解して、日々の業務の中で適用できるようにしたいものです。

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