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電子契約システムとは?導入メリット・仕組み・法的根拠・おすすめツールも紹介!

更新日:2021年04月22日
電子契約システムとは?導入メリット・仕組み・法的根拠・おすすめツールも紹介!

電子契約システムとは、従来、紙の文書で取り交わされていた契約を、電子的に締結可能にするツールのこと。相手方の存在する契約では両者の合意が必要なため、なかなか普及が進まなかった電子契約ですが、ここ数年で需要が急速に拡大。電子契約システムの導入を進める企業が急増しています。その理由とはなにか?電子契約でも有効性は担保されているのか?知りたい方も多いでしょう。そこで本記事では、電子的に契約が締結される仕組み、有効性を担保する法的根拠、導入によって得られるメリットなど、知っているようで知らない電子契約システムの概要を解説!導入におすすめの電子契約システムも紹介していきます。

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電子契約システムとは?

電子契約システムとは、紙の文書で取り交わされていた従来の契約書に替え、PDFなどの電子ドキュメントを活用することで、物理的な契約書のやり取りを廃したシステムのこと。一般的な電子契約システムはクラウドサービス(SaaS)の形態で提供されることが多く、相手先の確認・署名も含め、クラウド環境のみで契約締結できる手軽さを持つのが特徴です。

本来、契約は口約束でも有効性が認められるものではありますが、特にトラブルを避けたいBtoB取引では、合意内容を契約書として書面化しておくのが一般的。こうした物理的な契約書には、作成・署名・保管を含めた大きな労力が必要とされていました。これらの課題を解決できるのが電子契約システムです。紙を使用しない電子契約システムならば、完全ペーパーレスでの契約締結を実現できます。

電子契約が普及している背景

ただし、冒頭でも触れたように、相手先の合意がなければ電子契約を締結できないのも事実。電子契約システムの普及は着実に進んでいたものの、徐々にといったペースであったのが現実です。しかし、大企業を中心に電子契約システムの導入が進んだ2019年を境に、前年比174%の成長率を記録するなど市場規模が拡大。2020年には市場規模が100億円を超え、2021年はさらなる成長も予測されています。

これは、大企業が率先して電子契約システムを導入したことにより、デジタル化に前向きでなかった中小企業が追随しはじめたこと、2020年以降の対面・集合の自粛が影響していると思われます。商談・営業など、これまで対面が基本だったビジネスシーンがオンラインに移行したのであれば、契約締結もオンラインに移行する方が合理的、といった考えが広まっても不思議ではありません。今後も電子契約システムの普及は加速していくでしょう。

電子契約と書面契約の違い

それでは、電子契約システムによって取り交わされる電子契約は、従来の書面契約となにが違うのか?契約書の作成から契約締結、保管までのプロセスを含め、具体的な違いを比較してみました。

契約締結プロセス 電子契約 書面契約
契約書作成 PDFなどの電子ドキュメントを作成 紙の書面を作成
契約書印刷 必要なし 自社・取引先用に2部印刷
契約書製本 必要なし 自社・取引先用に2部製本
契約書押印 電子署名 社判を押印(2部とも)
契約書封入・郵送 必要なし 先方に郵送もしくは手渡し
取引先の契約書確認 PDFの内容を確認 契約文書を確認
取引先の契約書押印 電子署名 社判を押印(2部とも)後に1部のみ返送
返送契約書の確認 システムで確認 契約文書を確認
契約書保管 クラウド・ローカルストレージ ファイリングして書庫に保管

書面契約では多くのプロセスが必要である一方、電子契約システムを活用すれば「印刷」「製本」「封入・郵送」などのプロセスを完全に排除できます。作業の発生するプロセスを比較しても、電子契約なら手間を大幅に削減できることがおわかりでしょう。

電子契約システムの導入メリットとは?

書面契約に比べて多くのプロセスを排除でき、作業の簡略化も実現できる電子契約システムは、書面契約で必須の「押印」が「電子署名」に取って代わられているのも特徴。こうした特徴を含め、電子契約システムを導入することによって、企業は大きなメリットを得られます。

印紙代を含むコスト削減効果

紙文書の契約書や領収書と異なり、印紙税法の対象とならない電子契約は、印紙を貼る必要がありません。印紙税である印紙代は、契約の取引金額が大きくなればなるだけ高額になるため、印紙のいらない電子契約システムであれば大きなコスト削減効果が得られるでしょう。

また、電子契約システムなら印刷・製本・封入・郵送が必要ない分、経費・人件費も節約できます。義務付けられている契約書の保管も、紙文書の場合は物理的な「収納場所」が必要ですが、電子ドキュメントなら保管場所を取りません。電子契約システムは、印紙代を含む経費、人件費、場所代という、3つの面でコスト削減効果が得られるのです。

契約締結のスピードアップ

契約締結までのプロセスを簡略化でき、郵送などの「待ち時間」もかからない電子契約システムは、従来とは比べ物にならないくらいスピーディーな契約締結が可能。市場変化に則したタイムリーな判断・行動が求められる現代では、スピーディーに契約締結できる電子契約システムのメリットは非常に大きいといえるでしょう。

従来の書面契約ではこうはいきません。印刷から製本までに時間がかかるうえ、郵送であれば取引先に届くまで3日程度かかる場合もあります。先方が押印して返送する時間も考えれば、契約完了までに1週間以上かかる場合も。電子契約システムなら、契約書の作成完了と同時に、先方に内容を確認・合意してもらうことさえ可能です。

業務効率化

スピーディーに契約締結でき、人件費を含むコスト削減効果の得られる電子契約システムは、確実に業務効率化を実現できます。契約締結までのプロセス簡略化によって、投入していた人的リソースをコア業務に割り振れれば、生産性を高めることも可能でしょう。

また、契約書の管理業務を効率化できることも、電子契約システムの見逃してはならない大きなメリットです。キチンと整理・管理しているつもりでも、書庫から目的の文書を探し出すのは容易ではありません。電子契約システムなら、検索機能で目的の契約書を簡単に特定できます。

コンプライアンスの強化

意外に感じるかもしれませんが、電子契約システムはコンプライアンスを強化できるのも大きなメリット。契約書を電子データとして管理する電子契約システムは、改ざんなどを防ぐ効果があるだけでなく、不正アクセスがあった場合もその証拠が残せるからです。どちらかといえば、管理の行き届いていない文書保管の方が危険。契約書の複製・改ざんが行われても気が付かない場合もあります。

契約方法によっては電子契約が認められない場合も

もちろん、電子契約システムといえども万能ではありません。投資信託契約の約款、定期借地契約、労働条件通知書の交付など、法的に「書面での締結が義務付けられている契約」では、電子契約システムを活用できないのです。

基本契約や秘密保持契約など、一般企業のほとんどの契約で電子契約は認められていますが、宅地建物やマンション管理事務など、不動産関連で電子契約システム導入を検討する場合は要注意。どのような契約に活用したいのか?電子契約システムが活用できるのか?あらかじめ確認しておくことが肝心です。

電子契約システムの仕組み

一部の契約に使えないことを除けば、電子契約システムには非常に多くのメリットがあることがわかります。それでは、電子契約システムは、契約の信頼性を担保するどのような仕組みになっているのでしょうか?まさにカギになるのが「電子署名」および「タイムスタンプ」です。それぞれを簡単に解説していきましょう。

電子署名

電子署名とは、電子署名法によって「従来の署名・押印」と同等の法的効力持つと定められた「秘密鍵」および「公開鍵(電子証明書)」のこと。電子署名によって、対象となる文書が正式なもの、かつ改ざんもされていないということを証明できます。電子署名の使い方は簡単ですが、仕組みはやや複雑。公開鍵は広く一般に公開されているのに対し、秘密鍵は送信者のみが利用できます。

  • 送信者が契約書を圧縮したうえで「秘密鍵」を使って暗号化
  • 暗号化されたファイルに「公開鍵(電子証明書)」を使って電子署名
  • 暗号化されたファイルに公開鍵を添付して送信
  • 受信者が暗号化されたファイルを、有効な公開鍵を使って解読・確認

秘密鍵・公開鍵などの電子署名を発行できるのは、認証事業者もしくは電子契約システムベンダーのみ。送信者・受信者が同じ電子契約システムを使っていれば、受信者は有効な公開鍵を使って暗号化されたファイルを解読可能。電子署名によって「だれが」「なにを」した電子文書なのかを担保できるのです。

タイムスタンプ

ただし、電子署名だけでは「いつ」電子文書が作成されたのかがわかりません。これを補う仕組みが、その時刻以前に電子文書が存在していたこと、その時刻以降に改ざんされていないことを証明する「タイムスタンプ」です。電子契約の信頼性を確保するためには、電子署名にタイムスタンプを付与する必要があるのです。

タイムスタンプを発行できるのは、認証を受けたタイムスタンプ局もしくは電子契約システムベンダーのみ。たとえば、契約書の送信時、受信時、解読時などにタイムスタンプが付与されるため、それぞれの時点での電子文書の状態を担保可能。不正アクセスなどがあれば警告される仕組みも整っています。

電子契約システムが有効な法的根拠

契約書の信頼性を担保するため、電子署名・タイムスタンプという仕組みを電子契約システムが備えていることがお分かりでしょう。しかし、いくら信頼性が高くても、有効なものでなければ契約書として成立しません。では、電子契約システムが有効であるという法的根拠はなにか?簡単に紹介していきます。

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法とは、1998年7月に施行された法律。正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」です。領収書や帳簿などの会計記録は、7〜10年の保管が義務付けられていますが、保管場所の確保が必要。この問題を解決するために、契約書を含む書面・各種帳簿を「電子データ」の形で保管することを容認する法律として施行されたのが電子帳簿保存法です。

ただし、電子的にデータ保存するためには、書類・帳簿の種類に応じて、電子帳簿保存法の要件を満たす必要が。契約書の場合は「電子署名」「タイムスタンプ」の付与が絶対条件です。

電子署名法

電子署名法とは、2001年4月に施行された法律。正式名称は「電子署名および認証業務に関する法律」です。電子契約の有効性を担保するためには、従来の署名・押印に代わる電子署名が、署名・押印と同等の有効性を有していなければなりません。電子署名法では、適正に管理された電子署名がなされた電子ドキュメントは、真正性を証明できるものだと規定しています。

IT書面一括法・e-文書法

IT書面一括法は2001年4月に施行された法律。書面での手続が義務化されていた証券取引など、電子商取引の拡大を阻害する規制を緩和するために施行された法律です。これによって電子メールやFAXを活用した契約書面の締結が容認されました。

2005年4月に施行され、商法や税法で保管が義務付けられていた文書を電子化して保存できることを容認したe-文書法とあわせ、電子契約の有効性が担保されるようになったのです。

おすすめの電子契約システム3選!

契約の信頼性・有効性が担保されているのであれば、メリットの大きい電子契約システムは今すぐにでも導入したいもの。それでは、どのようなサービスを選べいいのか?特に人気の高いおすすめの電子契約システムを紹介しておきます。

DocuSign(ドキュサイン)

https://www.docusign.jp/

DocuSign(ドキュサイン)は、2003年の創業以来、有償版だけで世界180か国の50万社以上から利用される電子署名サービス「eSignature」をはじめとした、Agreement Cloud製品を開発・提供する企業。シンプルな操作性と多彩な機能を兼ね備えているのが、グローバルスタンダードとして認知される理由です。

契約書テンプレートが付属し、ワークフロー、リアルタイム監査証跡、クラウドストレージとの連携が可能な「Personal」が月額10ドルから使えるのもポイント。モバイルでの利用や他言語にも対応しています。API連携が可能なソリューションも用意されるほか、署名のみが必要な方に向けた無料版も用意されています。

CLOUDSIGN(クラウドサイン)

https://www.cloudsign.jp/

CLOUSGIGN(クラウドサイン)は、弁護士ドットコムが開発・提供するクラウド型電子契約システムです。書面契約書との違和感を感じさせない、日本の商取引に最適化された使いやすさ、弁護士監修による豊富なテンプレートが付属しているのが人気の秘密。電子契約システムとして日本国内No.1の導入実績を誇ります。

月額10,000円、1件送信ごと200円の「Standard」でも、テンプレートの作成を含む書類管理・保管、WebAPIによる連携などの機能が充実。過去に締結した紙の契約書をスキャン・管理できる「Standard plus」、高度なセキュリティ保護が可能な「Business」のほか、月5件まで送信できる無料プランも用意されています。

ホームズクラウド

https://www.holmescloud.com/

ホームズクラウドは、株式会社Holmesが開発・提供するクラウド型電子契約システム。「世の中から紛争裁判をなくす」ことを目的に、弁護士経験を持つ代表者の体験・ノウハウを活かして開発された電子契約システムです。プロジェクト単位での管理・APIによる外部連携などの充実の基本機能を搭載。従業員数に応じた料金プランが用意されているのも特徴です。

ホームズクラウドなら、テンプレートをもとにした契約書作成・電子契約締結はもちろん、更新・関連書類を含めた管理、承認ワークフロー、業務担当・プロジェクト管理など、チーム・部署・会社全体の契約管理を合理化・一元化できます。

電子契約システム選びのポイント

電子契約の市場規模が急速に拡大している現在、それにともなう形で多種多様な電子契約システムが登場しています。本記事でもおすすめのサービスを紹介しましたが、どの電子契約システムを選択すればいいのか?頭を悩ませてしまう方も少なくないでしょう。そんな方のヒントになるよう、以下から電子契約システム選定のポイントを簡単に紹介していきます。

取引先の理解を得られるか?

冒頭でも触れたように、両者の合意が必要な契約では、相手方の理解が得られなければ電子契約できません。特に、電子契約システムは双方が同じシステムを活用することが大前提。相手方となる取引先の負担にならないか?電子契約システムを選定する際のポイントです。

たとえば、受信者がアカウントを取得する必要があっても、費用負担が発生しないなら了承を得やすくなりますが、有料プランへの加入が必須なら話が違ってきます。合意が得られやすい状況になりつつあるのは事実ですが、まだまだ電子契約がスタンダードではないことに留意が必要です。

目的に応じた機能が搭載されているか?

電子契約システムの基本機能としては、契約書作成から電子署名・タイムスタンプを活用した契約締結が挙げられますが、システム・サービスに応じて使える機能は異なります。電子契約を推進するにあたって、自社ニーズ、目的を明確にし、それに応じた機能が搭載された電子契約システムなのか?しっかり見極めていくのが重要です。

たとえば、契約書作成・管理に加えて承認業務を統合したいなら、ワークフロー機能が必要。過去の文書契約書もあわせて管理したいならスキャンサービスが、自社システムとの連携が必要なら、APIを活用した外部連携機能が必要でしょう。契約書の自社テンプレートを活用できるか?ゼロから契約書を簡単に作成できるテンプレートが付属しているか?なども選定のポイントです。

セキュリティ対策は充分か?

電子署名・タイムスタンプによって信頼性の確保されている電子契約システムですが、システム自体がサイバー攻撃にあわないとも限りません。メンテナンス・運営の体制を含め、充分なセキュリティ対策が施されているか?電子契約システム選定時のポイントです。どのようなセキュリティ対策を講じているのか?しっかりと公表しているサービスを選定するのがおすすめです。

まとめ

電子的に契約が締結される仕組み、有効性を担保する法的根拠、導入によって得られるメリットなど、電子契約システムの概要を網羅的に解説するとともに、おすすめサービスの紹介、電子契約システム選びのポイントも紹介してきました。

スピード感のあるビジネス展開が求められる現代では、契約締結までの期間短縮・コスト削減を効果的に実現する電子契約システムがベストマッチ。普及率が高まるほど、電子契約システムを導入する企業も急増していくと考えられます。いざというときに慌てないよう、率先して電子契約システムを導入してみてはいかがでしょうか?

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山近 百花
執筆者

法政大学法学部政治学科卒業後、アパレル系の販売職に勤める。全国の店舗対抗の接客スキルを競う大会にて審査員特別賞を受賞した。現職のワンズマインドでは前職の接客経験を活かし前期の営業成績TOPになるまでに至る。営業業務を行う傍ら、現場で見聞きした意見や見地をもとにメディア運用業務も行う。

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