ビジネスの世界でしばしば使われる役務とはどういう意味か理解しよう

役務の基礎知識

「役務」とは、一般的な定義としては労働などのお勤めのことです。ちなみに、読み方は「やくむ」ではなく、「えきむ」です。間違えて読まないように注意しましょう。

似たような言葉として、「労務」があります。「労務」と「役務」を同じように使っている人もいるでしょうが、意味合いが異なります。

役務とは他人のために行う労務やサービスという意味合いがあるのに対し、労務は報酬を受け取ることを前提にした労働勤務のことです。また、役務は公的な仕事であるのに対し、労務は民間企業における労働力の使用や管理に関する業務という違いも見られます。

役務の語源・類語について

役務の語源は「役になって務める」という意味から来ています。役務には類語もいろいろとあります。

主なものとしては、勤仕や奉仕、務め、勤めなどです。これらの言葉なら、役務の言い換え語として活用できるでしょう。

役務を英語に訳すと？

今後ボーダーレスがますます進み、グローバル化にしていくと見られています。海外の取引先とビジネスすることもあるかもしれないので、英語力は必要になってくるでしょう。

「役務」を英語に訳すのであれば、「services」が最も該当するでしょう。いわゆる「サービス」を意味する言葉が「役務」なわけです。

ビジネスの世界における役務の意味

ビジネスの世界では、商品と役務は相反する意味合いとして用います。

商品とは取引の対象や流通過程に乗っているものを指します。そして、手に取ることのできる動産が対象です。

一方、役務は英語の意味で紹介したように、サービスが対象です。他人のために行う便益などを指し、形のないもののことです。

ビジネスの世界では、銀行や運送業などの行っている業務が役務に相当します。その他には、病院や学校などの非営利事業における業務も役務に相当します。

IT分野における役務とは？

ビジネスの世界では、上で紹介したような形で役務という言葉を使用します。しかし、業界によっては使い方が若干変わってくることもあります。

例えば、ITサービスなどは若干意味合いが違ってくると思ったほうがいいです。ITサービスというと、すべてが役務に該当すると思いがちです。しかし、すべてがそうではありません。

ITの世界では、人や組織の提供する業務を「役務」という従来の意味と、プラスアルファがあります。コンピューターなどの機器がいろいろなサービスを提供することもあり、これも役務と解釈できます。

さらに、機器が何らかのサービスを提供する相手は、何も人間に限りません。例えばほかの機器であったり、ソフトウェアであったり、人ではないものにサービスを提供することもあります。これも役務に該当するわけです。

建設業界における役務とは？

建設業界でも、「役務」という言葉の使い方が他の業界とは若干異なるところがあります。建設業界では、業務を「工事」と「役務」に分けて考える傾向が見られます。

工事とは何らかの物質を加工する作業を指します。原材料の他にも、自然界を対象にして加工を施す作業のことです。

役務とは、対象物を加工する以外の業務を指します。具体的には、建物内の清掃や点検、設定などを指します。建設業界では、役務のことを「サービス」と呼ぶこともあります。

工事の場合、完了した後でその痕跡を目で確認することができます。一方、役務の場合、後になってからでは痕跡をなかなか確認しにくい側面があります。

建設業界は、何も建物を建築することだけが業務のすべてではありません。建物を作るためには土地の調査が必要ですし、製図も行わないといけません。

その他にも広告を出すなど、情報処理に関する作業なども出てきます。建設業に関係するソフトウェア開発に携わっている企業や人材もいるでしょう。これらもものを加工する業務には相当しないので、役務の一種と解釈できます。

ビジネス世界における役務の使い方

役務の意味が分かったところで、では実際にどのような場面で使うことになるのでしょうか？一般的なビジネスの中で、役務は以下の3つのような使われ方をすることが多いです。

• 役務契約
• 役務範囲
• 役務提供

役務契約

役務契約は、主に不動産業界で使われる言葉です。役務の提供に関する契約のことです。

具体的には、雇用や請負、委任、寄託、仲立、問屋、輸送に関する契約などが該当します。売買や賃貸借と並び、業界の中では主要な契約の形態です。

不動産取引の中には、仲介や媒介契約もしばしば交わされます。これらの契約も役務契約の一種と解釈できます。

役務範囲

こちらは文字通り、役務を提供する範囲を意味します。この概念は「下請法に関する役務委託」の中でしばしば使われる概念と言われています。

事業者が自分で利用する役務が、役務委託提供の範囲に該当します。ただし、他の事業者に委託した場合には、この部分は除外されます。

適用範囲については、取引ごとに判断されることが多いです。役務提供委託の範囲が適用されると、発注書の作成交付が必要です。これは下請法で定められているからです。

役務提供

役務の提供とは、税務上でしばしば使われる言葉です。役務の提供は、法人もしくは個人が事業として行っているサービスと定義されます。

役務の提供は、金銭や物品をはじめとした物を対象とする取引と比較して、多種多様なものが含まれます。このため、税務上ここに取り扱いを設定している場合も多いです。

例えば、役務の提供された日という使い方があります。これは売り上げや費用の計上美の基準となるものです。

また、継続的な役務の提供というのもあります。この場合、家賃や保険などが含まれてくるのですが、その取り扱いを巡って、税務署と問題になることも少なくありません。

まとめ

役務にはいろいろな業務が含まれます。また、業界によってもその定義する範囲や使われ方なども変わってくる場合があります。

ビジネスの世界では役務という言葉はしばしば使われるので、特に労務との違いなどは理解しておくといいでしょう。役務を使用する機会があれば、正しく用いるように心がけましょう。

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