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税理士業界の広告規制とは?必ず覚えておきたい広告ルール

更新日:2020年03月24日
税理士業界の広告規制とは?必ず覚えておきたい広告ルール

集客のために、紙面であれインターネットであれ広告を出すというのはとても効果的な手段です。しかし、人々の関心を引きたいがために、どんな広告でも出しても良いというわけではありません。まず、景品広告表示法という法律が行き過ぎた広告の内容についての規制を行っています。税理士が出稿する広告については、税理士法という特別な法律があり、ここでも一定の規制があるのです。規制に抵触すると、罰則を受ける可能性もありますので、営業活動を行う際にはしっかりとこの法律規制について理解する必要があります。

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従来の広告規制はより厳しい内容だった

税理士が出す広告の内容については、税理士法で明確に規制されているというのは現在も変わりませんが、平成13年に改正される前のものはより厳しいものでした。

たとえば、他の税理士が顧問契約をしている企業については、営業をかけてはいけないというものがありました。税理士の過当な競争を防ぐためのもので、より穏やかな営業活動をするよう求めるという趣旨でこうした規定がありました。

確かに、これはすでに顧問となっている企業を奪われないという安心感はあるものの、新しく事務所を開設する税理士にとって不利な内容となってしまっているのは事実です。

今の税理士のサービスに満足できないので事務所を変えたいという企業がいるのは、一定の現実ですので、こうした規制が改正されたのは大きなことです。

また、広告と直接の関係があるものではありませんが、個人事務所は一つしか開設できないという規制もありました。これにより、個人で複数の地域にまたがっての広告が実質難しい状況でしたので、営業活動が制限されることになっていました。

他にも、報酬の上限額が定められていて、広告に規定に抵触する報酬に関する表示をしてはいけないという内容もありました。企業としては、正確な顧問料などを知ることが難しかったため、より深い理解を広告だけでは与えられなかったという問題がありました。

さらに、税理士法による規定ではなく、業界内での自主規定として行われていたものですが、具体的な宣伝文句は極力出さないというルールがありました。

実質的に、事務所名や住所、そして電話番号だけが出せるというものでしたので、かなり広告の内容が制限されていました。事務所の特徴や売りをアピールすることも難しかったため、広告を出す意味というのがあまりなかったとも言えるでしょう。

平成13年の税理士法改正以後の広告規制のポイントは?

上記のように、以前は厳しい規制がかかっていて、税理士が広告を出すというのはなかなかハードルの高いものでした。しかし、平成13年の税理士法改正によってかなり緩やかなものとなりました。

といっても、税理士特有の規制がなくなったという意味ではなく、税理士としての品位を守り顧客の利益を守るための基本原則はキープされています。

以前の内容だと、実質的に内容の深い広告を出すことは難しかったのですが、法改正によって原則自由となっています。このように、法律そのものによる広告規制はほぼなくなりましたが、自主規制という形で税理士会の方で一定の基準を設けるようになりました。

税理士会には綱紀観察部という部署があって、税理士が品位を保ちつつ業界を健全なものとするためにルールを定めています。その基準によると、特に税理士の権威を下げるような内容の広告を出さないということが強調されています。

たとえば、「税法の抜け道を使って税金から解放される!」といったものです。税理士としての品位が欠ける文句という判断をされてしまい、警告を受ける理由となります。

このように、広告を出すこと自体には規制がないものの、その内容については税理士会がしっかりとチェックしているという形になります。そのため、あまり誇大で過激な表現を用いないように自粛する傾向が強くあります。営業のために広告を出す際には気を付けたいポイントとなります。

税理士がやってはいけない広告とは?

このように、平成13年に法改正がなされ、税理士の広告規制がかなり緩和されました。

税理士会による自主規制が代わりに入ったものの、厳し過ぎる内容とは言えませんでした。しかし、現在はインターネットを使った広告がかなり利用されるようになってきて、新たな規制が必要になりました。そこで、2019年になって新たに税理士会で、禁止事項や表示してはいけない内容についての項目を発表しています。

新しくいくつかの規制がかけられるようになっていて、明確にやってはいけない広告というのは示していますので、細心の注意が必要です。

その一つは、税理士の介入によって過度に税務、会計上の改善が見られるような思いを持たせる広告です。たとえば、「相続税をゼロにする方法教えます!」とか「不動産を有効活用して税金を一気に〇割カット!」などのうたい文句です。もちろん、税理士は税制上の仕組みをよく理解していますので、巧みな節税方法をコンサルタントすることができます。

しかし、すべての人に非常に大きな節税効果を与えるような印象を持たせる内容の広告は禁止されているのです。これは景品広告表示法にも違反する可能性もありますので、慎重に判断する必要があります。もちろん、見る人を惹きつけるコピーを作ることは大事ですが、適正かつ常識的な範囲で行うことが求められているということです。

また、過度に不安を抱かせるような内容の広告も禁止されています。
具体的には、「税理士を入れないと恐ろしい税務調査が入ることになります。」とか、「相続税で破綻しますよ。」といった形です。税理士の仕事には当然税金にかかるリスクを軽減することが含まれますが、それを不安をあおる形で宣伝してはいけないのです。

税理士としては正しく処理すれば大きな問題にならないと思えるような事案でも、顧客にとっては心配を抱かせるトラブルとして認識していることも多いので、過敏に反応されてしまうこともあります。

さらに、国税局に勤めていた経験のある税理士が、勤めていた税務署の地域名と役職を記載することを禁じています。たとえば、「本事務所の所長は東京都○○区の税務署長として活躍していました。」といった内容です。これを見た企業が、国税OBという肩書を利用して税制上の優遇措置を受けられるのではないかと期待することがあるからです。

他にも、他の税理士事務所と比べる形で、料金やサービスの内容を説明してはいけないというルールです。「○○の顧問契約料は○○万円ですが、うちはそれより3割も安い。」といった内容です。過度な税理士間での競争を防ぐ意図があります。

まとめ

税理士が出す広告については、税理士法と税理士会が定める自主的なルールによって規制されています。平成13年の税理士法改正によって、かなり自由度が高まりましたが、税理士としての品位を低めるような内容、過度な競争をあおるもの、顧客の利益を損なうような内容については禁止されています。

特に他の業界ではよくある、他事務所との比較や事務所スタッフの前職の肩書表示などは禁止されていますので、注意が必要です。一般的な感覚で広告を作成するとルール違反となってしまうこともありますので、事前にどんな禁止事項があるのかをしっかりと細部まで確認するようにしましょう。

特にサイト作成を外部業者に委託する場合などは、きちんとしたチェックが必要となります。

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山近 百花
執筆者

法政大学法学部政治学科卒業後、アパレル系の販売職に勤める。全国の店舗対抗の接客スキルを競う大会にて審査員特別賞を受賞した。現職のワンズマインドでは前職の接客経験を活かし前期の営業成績TOPになるまでに至る。営業業務を行う傍ら、現場で見聞きした意見や見地をもとにメディア運用業務も行う。

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