生成AI時代に、Googleに評価されるコンテンツを作る方法

最終更新日:2024年11月18日
生成AI時代に、Googleに評価されるコンテンツを作る方法
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取材:丸山 恋、写真:Sumire Hisamatsu

SEOが変わりつつある今、コンテンツは単純な量産ではなく、質の高さが求められる時代に突入している。生成AIの進化や様々なプラットフォームの台頭が、Googleに変化をもたらし、SEO戦略の複雑化が顕著だ。今後のSEOでは「誰が語るか」と「ドンズバな回答ができるか」が重要になってくると、ナイル株式会社のSEOコンサルタント寺田氏は語る。この新しいSEOの動向について話を伺った。

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ゲスト
寺田 祐也X(旧Twitter)@yatera1979
ナイル株式会社

出版社などで11年にわたり雑誌・広告の編集に関わる。 ナイル株式会社では2013年からコンテンツマーケティング施策を中心に、メディアの戦略設計、データ分析と連携したコンテンツ改善により集客(SEO)から態度変容(CVR)まで数値向上を実現。これまで100以上のサイトを担当し、運用改善による事業支援を行ってきた。

コスト0で記事作成できる時代に何が評価されるのか

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誰が語っているのかが大事

ーー生成AIの普及と共に、SEOは何が変化しましたか。

寺田:まず第一に、生成AIがあることによって、誰でも簡単に大量の記事を制作できるようになりましたよね。また、そういった記事制作のコストはかなり低い。そうした影響もあって、記事の内容だけではなく「誰が語っているのか」が重視されはじめています。

これまでは、ドメインが強ければコンテンツの検索順位は上がりやすい傾向でした。しかし、生成AIの登場もあって、「サイトの専門性」と「発信しているコンテンツの関連性」も評価されはじめました。つまり、サイトが扱うテーマや分野を活かした関連性の高いコンテンツを提供する必要が出てきたのです。

ーーコンテンツの関連性は、どういった要素で判断されているのでしょうか。

寺田:ナイルであれば、ウェブマーケティングの会社なので、本業であるウェブマーケティングに関係のあるコンテンツを発信することでGoogleからの評価を得られやすいです。

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参照元:ナイルのSEO相談室

逆に、ナイルの事業領域と全く関係のない記事を制作したら、「サイトの専門性」と「発信しているコンテンツの関連性」に齟齬が生じます。そうすることでサイトの専門性が曖昧になってしまい、SEO上マイナスになる可能性があるんです。

Googleが何を正しいと思って、何を欲しているのかに寄り添ってSEOを行う必要があると思います。来年、再来年はどうなるのか、Googleのビジョンを理解したうえで、今のAIによるコンテンツ乱立の状況を加味し、どのようにアルゴリズムを変えてくるか、推察していくことが重要です。

ドンズバの回答ができているか

ーー今後のSEOにおけるコンテンツ制作に必要なことはなんですか?

寺田:検索して知りたいことがある人の悩みに「的確な答えを返す」というのが必要になってくると思います。SEO対策において、検索上位コンテンツの内容を寄せ集めて上位表示させるような考え方は、今後通用しなくなっていくでしょうね。生成AIで記事を量産できる時代にそれをやったとしても、独自の情報がないことなどで評価されなくなっていくと思います。だからこそ、個人の専門知識や体験による「ドンズバの回答」となるコンテンツが重要になってくると予測しています。

例えば、私が大好きなコンテンツに「羽田と成田を間違えたけど間に合った話」というnoteの記事があります。 2018年に書かれた記事で、今も「羽田 成田 間違えた」のキーワードでドンズバの回答ができているか上位表示されています。ブログ記事として非常に読み応えがあるうえ、「旅行当日に出発する空港について羽田と成田を間違えてしまった人」に向けて書かれています。

記事を書いたのは、まさに国際線の出発2時間に成田空港と羽田空港を間違えて到着しまった本人です。その経験をもとに、「どうやったら間に合うか」というユーザーの必要な情報をまとめているので、「こうやって乗り越えたんだ。なんとかなるかもしれない!」と、検索した人にとっては「ドンズバの回答」になるわけです。そういった「経験を伴った情報」がGoogleから評価されるコンテンツの強さになるのかなと思いますね。

ーーそのような「経験を伴ったコンテンツ」はGoogleからも評価されるのでしょうか。

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寺田:最近のGoogleは、1つ1つの検索語句に対する、最適化の動きが加速していると感じます。 実例として、専門家の方が質問に答えるようなサイトでは、直近半年でGoogleからの評価が上がっているんですよ。

そのサイトには、SEO対策記事ではなくQ&Aが100個〜200個ほどあります。流入する検索クエリをみていると、やたら長いんですね。5個くらいかけあわせているクエリもありました。それぐらい、悩みを解決したい方は試行錯誤して検索し、解決できる情報が、そのQ&Aにしかなくて、たどり着いているんです。

「ここにしか欲しい回答が無いから、結果的にそのサイトにたどり着く」ということが、今後増えていくんじゃないかなと思っています。その結果として、最終的に悩みを解決したコンテンツとしてGoogleにも評価されていくのではないでしょうか。

ーー誰が語っているかがわかる状態で、求められている答えが用意してあれば、網羅性や文章量は必要ないということですね。

寺田:そうです。そのうえで、これからは「こういうことを知りたい人のために答えます」みたいな、独自情報を発信する形が良いんじゃないかなと。それって、個人的には経験や専門などのE-E-A-T(※2)と呼ばれる部分だと思うんです。

※2:E-E-A-TとはGoogleが提唱している経験・体験(Experience)、専門性 (Expertise)、権威性 (Authoritativeness)、信頼性 (Trust)ので構成された指標。詳しくは「E-E-A-Tとは?品質評価ガイドラインから読み解く重要性」を参照ください。

寺田:世にはじめて出る情報を、Googleがみつけてインデックスすることを、僕は勝手に「ファーストインデックス」と呼んでいます。そのファーストインデックスをどれだけ保有しているかで、サイトの評価って変わるんじゃないかなと思っています。

たとえば、ちょっと前までは「推し活」という言葉はなかったけれど、世に言い続けた人がいて、それがだんだん世の中に広まりましたよね。Googleが「アイドルとか好きなものを応援する活動を、推し活というらしい」と理解していったわけです。そこでもし、「推し活」という言葉を誰よりも先に使い、Googleにインデックスされ、「推し活」の概念を世の中に啓蒙した人がいたとしたら、その価値って非常に高いと思いませんか?あくまで個人的な仮説ですが(笑)。

Googleの技術的には、ファーストインデックスをどのサイトが獲得しているか?といったデータは収集できるはずです。これからのSEOコンテンツの作り方を考えると、独自情報を発信していくほうがE-E-A-Tも高くなり、読者に対してもドンズバな回答を提供できるかもしれません。

外注は「HOWの引き出し」が多い会社へ

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ーーSEO対策を外注する場合、どのような会社に依頼すればよいでしょうか。

寺田:Googleのアルゴリズムはどんどん複雑になっています。順位を上げる施策を考える際に、細部を一緒に確認しながら原因を考えられる会社を選ぶのがおすすめです。 なにより外注先の「HOWの引き出し」が多い方が良いですね。目的に対しての解決手段を多く持っている方が、さまざま視点で課題を検討できるのではないでしょうか。

一方で、「とにかくコンテンツを増やせば順位あがりますよ」という提案しかできない会社は個人的におや?って思いますね。コンテンツの量と質を担保したうえで、コンテンツのパフォーマンスを引き出すための細かいチューニングについても一緒に考えられるのがベストです。

またインデックスの登録状況やタイトルタグなどの細かい設定、獲得しているキーワード、構造化データの実装など……サイト全体をみたときに、さまざまな施策やSEOの技術要件が嚙み合っていなかったりする場合も多いので、細かいサイト要件についても相談できる方が良いですね。

ーーSEO対策を外注する場合、どういったタイミングで依頼するのが適切なのでしょうか。

寺田:依頼をするタイミングは、「乗り越えるべき課題がはっきりしているとき」がわかりやすいと思います。例えば、サイトの立ち上げやリニューアルなど、プロジェクトが始まるとき。あとは、やはり成果に伸び悩んでいる時ですね。

進め方として支援会社に任せきりにするのではなく、パートナーとしてSEOの知識を習得する気持ちで取り組み、数年後には自社だけでSEO対策できるような状態を目指すのが良いと思います。最終的には、自社で施策を進めて、コンサル会社には健康診断のように半年に1回サイトを診断してもらうようになれたら良いのはないでしょうか。

あとがき

SEO対策において、対策キーワードを選定し、そのキーワードの検索者の気持ちに寄り添い、網羅的に解決できる記事を制作する、という方法があります。ただ、色んな検索者の気持ちを考えるため、どうしても答えが多岐に渡ってしまい、ドンズバな回答が用意できないケースもあります。

今回のお話を聞いて、従来のSEOの考え方を一旦リセットし、対策KWと検索ボリュームだけを考えるのではなく「どんな悩みがあるだろう」を先に考え「弊社・私だからこそ、その悩みに対してドンズバな答えが用意できる」と思えた際に、記事を制作していくべきなのかもしれないと思いました。

比較ビズ編集部
執筆者

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