システム開発の仕様書とは?主な仕様書の種類や書く際のコツ5選を解説

株式会社ウィズワンダー
監修者
株式会社ウィズワンダー 代表取締役 中島 裕規
最終更新日:2024年03月18日
システム開発の仕様書とは?主な仕様書の種類や書く際のコツ5選を解説
この記事で解決できるお悩み
  • システム開発の仕様書とは?
  • システム開発における仕様書の種類は?
  • システム開発における仕様書を書く際のコツとは?

「システム開発を任されたけどどのように仕様書を書けばいいかわからない」とお悩みのシステム開発担当者、必見です。

システム開発の仕様書は、システムを開発する前に必要な書類であり、システムについての要件をまとめます。 書き方のコツを把握しておくことで、見やすい仕様書を作成できるでしょう。

この記事では、システム開発における仕様書の書き方がわからず困っているシステム開発担当者向けに、仕様書を書く際のコツを解説します。 記事を読み終わった頃には、システム開発の仕様書を作成し、システム開発に取り組めるようになるでしょう。

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システム開発の仕様書とは?

ビジネスイメージ

システム開発の仕様書は、プロジェクトの計画・設計・実装・テスト・運用などの各段階においてシステムの要件や機能・仕様を明確に定義した文書です。

明確な仕様書は、開発の方針や目標を示し、要件や機能を定義します。曖昧な仕様書は誤解を生み、開発中の混乱や追加工数の増加を招きます。スケジュール遅延やコスト増加につながるでしょう。

仕様書が不足していると、開発中に要件変更や機能追加が発生し、開発プロセスが混乱します。明確な仕様書は品質を向上させ、開発者や関係者が共通の理解を持ち、効率的にシステムを構築するための基盤を提供します。

仕様書の正確さは、開発工程全体の円滑な進行と品質確保に不可欠です。

仕様書と設計書の違い

仕様書は、プロジェクトの初期段階で作成され、システムやソフトウェアの要件や機能、制約条件などを明確に定義する文書です。何を作るか、どの機能が必要であるかプロジェクトの全体像を示します。

設計書は、仕様書に基づいてシステムやソフトウェアの具体的な設計や構造を記述した文書です。仕様書が何をするかを示すのに対し、設計書は「どのようにするか」を示します。

具体的なデータベース構造・モジュールの機能・インターフェース設計などの詳細な情報が含まれます。

システム開発における仕様書の主な5つの種類

システム開発における主要な仕様書には以下の種類があります。

  1. 機能仕様書
  2. 要求仕様書
  3. 詳細仕様書
  4. 外部仕様書
  5. 技術仕様書

システム開発プロジェクトにおいて設計・開発・テスト・および運用段階で役立ちます。それぞれが異なる側面をカバーし、開発プロセス全体の理解と円滑な進行を支援するでしょう。

1. 機能仕様書

システムやソフトウェアが提供すべき機能や機能要件に関する情報を記載した文書です。システムの機能や操作方法、ユーザーインターフェースに関する情報を記載します。

開発者・プロジェクトマネージャー・デザイナーなどが参照し、システムの機能性を理解する役割を持ちます。ユーザー操作に焦点をあて、具体的でわかりやすい言葉で記述することが重要です。

2. 要求仕様書

ユーザーや利害関係者から得られた要求事項やニーズに基づいて、システムやソフトウェアに対する利用者や顧客の要求や期待をまとめた文書です。顧客・利用者・開発者が参照し、システムが満たすべき要求を明確化します。

要求の可視化と明確な定義が必要であり、利害関係者との十分なコミュニケーションが重要です。

3. 詳細仕様書

機能仕様書や要求仕様書をもとに、システム内部の構造や動作を詳細に記述した文書です。システムの設計・アーキテクチャ・データ構造・処理手順など、技術的な詳細を記載します。

開発者・システムアーキテクト・テストエンジニアが参照し、システムの実装方法やテストケースを理解する役割を持ちます。システムの技術的な側面を具体的かつ正確に表現し、開発者や技術者に理解しやすくする必要があるでしょう。

4. 外部仕様書

システムと他の外部システムやユーザーインターフェースの相互作用や通信プロトコルに関する情報を記した文書です。外部システムやユーザーのやり取り・API・データフォーマットなど外部とのインタフェースに関する情報を記載します。

開発者・外部システムの管理者・インテグレーション担当者が参照し、システムと外部システムの連携方法を理解する役割を持ちます。

外部との接続やデータの受け渡し方法を詳細かつ明確に記述することが必要です。

5. 技術仕様書

システムの開発に使用される技術やツール・プログラミング言語・データベース・ハードウェアなどの詳細を含む文書です。技術的な要素やハードウェア、ソフトウェアの仕様、使用技術、セキュリティ要件など技術に関連する詳細な情報を記載します。

開発者・システムエンジニア・セキュリティエキスパートが参照し、技術的な要件や実装方法を把握する役割があります。技術仕様を明確かつ技術者にも理解しやすい形で記述することが重要です。

システム開発における仕様書のサンプル

仕様書のサンプルは、厚生労働省の事業のシステム仕様書です。

名称未設定のデザイン

システム構造のページでは、構築担当やシステム・ツール名が表で記載されており、どこの企業がどのシステムを担っているのかがわかりやすく記載されています。

大規模な事業では多くのシステムを同時進行で開発するため、責任の所在が明らかになっていることが重要です。

名称未設定のデザイン (1)

この図はシステムの構成における各サーバの役割です。構成図を各役割の説明とともに入れることで、直感的にシステムの立ち位置がわかるでしょう。

仕様書の詳細な形式や内容は、それぞれのケースや業界の要件に応じて異なります。見た人がわかりやすく、理解しやすい仕様書を心がけましょう。

システム開発における仕様書の書き方のコツ5選

ポイント_!

システム開発における仕様書を作成する際のコツは、以下のとおりです。

  • わかりやすい画面遷移図を挿入する
  • 記述を明確にする
  • 関連情報へのアクセスを容易にする
  • シーケンス図を組み込む
  • イメージしやすいわかりやすい画像を組み込む

わかりやすい画面遷移図を挿入する

画面遷移図はシステム内のページや機能間の移動を示します。ユーザーがどのようにシステムを利用するかを視覚的に理解しやすくするために、フローチャートやワイヤーフレームを用いて作成しましょう。

記述を明確にする

言葉遣いを適切にし、誤解を生じないようにします。専門用語や略語を使用する場合は、定義や説明を付け加えましょう。

関連情報へのアクセスを容易にする

他の文書やリソースとの関連性を示すために、参照リンクや文献情報を記載します。読者が必要な情報を追跡しやすくなるでしょう。

シーケンス図を組み込む

シーケンス図はシステム内のプロセスや機能の相互作用を時系列で示します。アクションやデータの流れを視覚的に表現し、システムの振る舞いを理解しやすくしましょう。

イメージしやすいわかりやすい画像を組み込む

フローチャート・図表・グラフもしくはスクリーンショットなどのイメージを挿入し、説明を補完しましょう。視覚的な情報は理解を促進し、テキストだけでは伝えにくい情報を明確にします。

まとめ

システムを開発する際には、システム開発の仕様書が必要になります。書き方のコツを押さえておくことで、見やすい仕様書を作成できるため、事前に把握しておくといいでしょう。

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監修者のコメント
株式会社ウィズワンダー
代表取締役 中島 裕規

株式会社ウィズワンダー代表取締役。クラウドを使用したWebシステム開発を得意とする。技術力はもちろん、顧客の課題ヒアリングと提案力にも定評がある。SIer、スタートアップでのリードエンジニアやCTOを経て、楽天グループ(株)、日本マイクロソフト(株)にてシステム開発や顧客対応に携わる。その後、中小企業を積極的にサポートしたいという思いから株式会社ウィズワンダーを創業。情報処理技術者資格のほか、Azure Expert資格2種を含む、Azure関連資格を8つ保持。

システム開発を行うにあたり、各仕様書は非常に重要な役割です。仕様書に従って開発が行われるため、仕様書に誤りがあると誤った内容で開発が進み、手戻りが発生することにつながります。

また、システム開発のプロジェクトにおいて仕様書は多くの人が何度も参照する資料になります。そのため、「確認しやすい」「検索しやすい」「関係者がすぐに閲覧可能」な状態にしておくことが望ましいです。

このような条件を満たすことで、システム開発プロジェクトの円滑な進行が可能となり、システム開発が成功しやすくなります。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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