システム開発における品質管理の手順とは?実施目的や品質管理でのポイントも解説
- システム開発における品質管理の手順とは?
- システム開発で品質管理をおこなう目的とは?
- システム開発で品質管理をおこなううえでのポイントとは?
システム開発で品質管理をおこなう目的はシステム全体の品質を高め、運用後の安定稼働を実現するためです。どのような工程で品質管理を進めていくのでしょうか。
この記事では、システム開発における品質管理の手順や実施目的を紹介します。最後まで読めば、重要なポイントに関しても理解できます。
システムの自社開発を検討している方、品質管理の内製化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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システム開発での品質管理とは?
システム開発での品質管理とは、開発工程全体でシステムの機能性や安全性を高めていく取り組みを指します。開発中に品質管理を実施しない場合、システムの改善点や不安要素がないかを把握できません。
仮にバグやソースコードのミスが残った状態でシステムをリリースすると、システムダウンを招く可能性が高まります。頻繁にシステムが利用できなくなった場合、顧客や従業員からの信頼を失うでしょう。
システムの完成度向上やリリース後の安定稼働を実現するため、品質管理が必要です。
システム開発で品質管理をおこなう4つの目的
システム開発で品質管理をおこなうのは以下4つの目的を達成するためです。
- システムの品質を高めるため
- 運用後のトラブルを避けるため
- 納期遅延を避けるため
- メンテナンスの負担を軽減するため
目的の内容を1つひとつみていきましょう。
システムの品質を高めるため
システム開発で品質管理を実施する目的は、システムの完成度を高めるためです。「要件定義で決めた品質を満たしているか」「仕様どおりに各機能が動いているか」などを確認します。
品質管理が不十分では、要件定義で実装を希望した機能が正しく作動しているかがわかりません。リリース後に通信障害やシステムダウンを招く可能性も高まり、安定稼働とは程遠い状態となります。
社内向け社外向け問わず、安心してシステムを利用可能な状態で納品することが重要です。品質管理によって、安全性とユーザビリティの両立を実現します。
運用後のトラブルを避けるため
システム開発における品質管理は、リリース後の大規模通信障害発生を防ぐ目的もあります。動作検証やテストが不十分では、不具合を招く危険因子がシステム内に潜んでいないか、正確に判断できません。
バグや故障のリスクが多く残った状態でシステムをリリースすると、システムダウンを起こす可能性が高まります。社外向けにシステムを提供していた場合、定期的にシステムダウンが起きると顧客からの信頼を失うでしょう。
社内向けシステムの場合は業務が停滞し、業務効率や従業員のモチベーションが低下します。品質管理の徹底によって、システムの安定稼働を維持するのが目的です。
納期遅延を避けるため
各工程での品質管理によって、大幅な手戻りにともなう納期遅延のリスクを回避します。開発途中で仕様変更や修正作業が発生した場合、すべての開発手法が柔軟に対応できるわけではありません。
不具合対応や機能追加の対応が遅れるほど今後の進捗に与える影響が大きくなるため、注意が必要です。仕様変更を前提とした開発手法を採用していても、試作機の作成や動作検証の回数が増えるたび、開発が遅れます。
ていねいな品質管理によって改善点をまとめて抽出し、素早い対応につなげることが重要です。
メンテナンスの負担を軽減するため
品質管理を定期的におこない、システムの不安要素を可能な限り排除することが重要です。不具合のリスクが多い状態でシステムをリリースした場合、いつ通信障害やシステムダウンが発生しても不思議ではありません。
不具合が起きるたびに障害復旧やメンテンナンスをしなければならず、システム管理者への業務負担が増大します。社外向けにシステムを提供していた場合はユーザビリティの低下によって、顧客離れは避けられないでしょう。
品質管理によってシステムの安定性を高め、メンテナンス頻度の軽減を図ります。
システム開発における品質管理の手順
システム開発における品質管理は以下の工程で実施します。
- 要件定義
- 設計
- セキュリティ評価
- テスト
- 文書管理
各工程での確認事項や重要事項をみていきましょう。
要件定義
要件定義とは発注側の要望を開発側の視点でまとめていく工程です。システム開発に至った背景や現状の課題を洗い出し、どのような機能を実装したシステムを開発すべきか、具体化します。
品質管理に関しては以下の点が実現可能な内容にまとめられているか、確認をしてください。
- 現状の課題解決が見込める仕様になっているか
- 求める機能が実装されているか
- セキュリティ対策は万全か
- 開発費は予算内の金額か
- 納期は希望時期が反映されているか
- スムーズに受け入れテストを実施できるか
要件定義はシステム開発のなかでもっとも重要な工程です。発注側と受注側の認識がズレていた場合、手戻りや修正作業の工数が増大し、納期遅延を招く可能性が高まります。
予算や希望納期も含め、事前にシステムの仕様に関する自社の希望をまとめておきましょう。
設計
システム開発での設計は基本設計と詳細設計にわかれますが、発注側は基本設計に関与します。基本設計とはシステムの構成や画面設計、実装予定の機能など、システム全体の仕様を固めていく工程です。
品質管理の担当者は「要件定義で定めた機能が搭載されているか」「機能性や操作性に優れた設計か」を確認してください。
仕様が固まった段階で、システム開発会社は基本設計書を作成します。基本設計書に盛り込まれる文書を以下にまとめました。
- 機能一覧
- 業務フロー図
- システム構成図
- 画面設計書
- データベース設計図
- バッチ処理設計書
- 運用設計書
基本設計は発注側が積極的に関与できる最後の工程です。万全な体制で開発に移行できるよう、開発部署や外注先の担当者に相談して不安要素を排除しておきましょう。
基本設計で決めた内容をもとに、システムの内部構造やデータの流れなど、システムの詳細に関してまとめていく工程です。詳細設計書を確認すると、機能の実装方法やシステム処理の流れなどをすぐに把握できます。開発担当者向けに作成された指示書としての役割を果たしており、発注側には渡されません。
セキュリティ評価
サイバー攻撃や不正アクセスへの対応など、セキュリティ対策に関する工程です。システムの脆弱性テストやアクセス制御などを実施し、機密情報の保護体制が万全かを確認します。
システムによっては機密情報を多数保存するため、情報漏えいには細心の注意を払わなければなりません。仮に顧客情報が流出した場合、イメージダウンや社会的信用の低下は避けられないでしょう。
品質管理担当者は社内外からの脅威に対して素早い対応が取れるかを確認し、情報漏えいによる多額の利益損失を防ぎます。
テスト
システム開発では実環境で実施する受け入れテストまで、4段階にわけてテストを実施します。自社でシステムを開発する場合、単体テストや結合テスト、総合テストまで実施しなければなりません。
仮にテストが不十分だった場合はリリース前にバグや欠陥を見つけられず、運用後にトラブルを招く可能性が高まります。品質管理担当者は機能が正しく動いているか、耐久性は問題ないかなどを確認しましょう。
システム開発会社に発注していた場合は、受け入れテストのみ立ち会うのが一般的です。機能性や安全性に加え、外注先とのテスト結果に差が生じていないかを確認します。
文書管理
システムを納品する際、テストやシステム運用に関する文書もあわせて納品します。該当する文書を以下にまとめました。
- 単体テスト仕様書
- 結合テスト仕様書
- 総合テスト仕様書
- 受け入れテスト仕様書
- システムの操作マニュアル
- システムの運用マニュアル
必要に応じて従業員への勉強会を開催し、システムの操作方法や機能に関して早期理解を促します。
システム開発での品質管理に関して把握すべき6つのポイント
システム開発に取り組む前に、品質管理に関連する以下6つの点を理解しておきましょう。
- 開発手法によって品質管理の方法も異なる
- 専門知識を持つ人材が必要となる
- 要件定義が重要になる
- 各工程ごとに品質管理を実施する
- 新しい品質管理指標を活用する
- 関連部署とコミュニケーションを重ねる
ポイントの内容を1つひとつ確認します。
ポイント1. 開発手法によって品質管理の方法も異なる
選択した開発手法によって品質管理のタイミングややり方は異なります。たとえば、ウォーターフォール開発は要件定義〜テストまで、1つひとつの工程を順番に進めていく開発手法です。
品質管理は各工程が終了するタイミングで実施します。前工程の手戻りを想定していないため、品質管理がテスト段階に集中する傾向も強いです。
アジャイル開発は機能単位で要件定義〜リリースまでを繰り返します。開発途中での仕様変更を前提としており、要件定義では細部まで内容を詰めません。代わりに機能単位で試作機を活用したテストを入念におこない、システムの完成度を高めます。
ポイント2. 専門知識を持つ人材が必要となる
自社で品質管理の実施を検討している場合、QAエンジニアの確保が条件です。QAエンジニアはシステム全体の品質定義やテスト計画の作成、リリースの判断など、システム開発の品質管理全般業務を担当します。
自社にQAエンジニアが不在の場合、システム開発会社を活用しましょう。QAエンジニアはテスト技法やプログラミング、システムの開発手法など、さまざまな分野の知識に精通していなければなりません。短期間で自社の従業員を育成するのは難しいでしょう。
同様に市場ニーズの拡大に人材供給が追いついておらず、優秀なIT人材を短期間で採用するのも困難な状況です。
ポイント3. 要件定義が重要になる
自社対応や外注利用を問わず、システム開発では要件定義がもっとも重要な工程です。開発側と要望を正確に共有できない場合、高品質なシステムが完成する可能性は低いでしょう。
最悪の場合は意図と異なるシステムが完成し、追加費用の発生や納期遅延を招きます。品質管理を含め、発注側が開発側へ積極的に提案できる工程は要件定義と基本設計のみです。本格的な設計に入ってから仕様変更が発生すると、開発の進捗に多大な影響を及ぼします。
自社の要望が反映されたシステムを開発するためにも、開発前に実装する機能や予算、納期などをまとめておきましょう。
ポイント4. 各工程ごとに品質管理を実施する
システム開発では各工程ごとに品質管理を実施するのが理想です。品質管理の頻繁な実施によって、早期に不具合の兆候を発見し、大規模なトラブルを未然に防げます。
特に開発手法にウォーターフォール開発を選んだ場合は注意が必要です。前工程への手戻りを想定しておらず、バグや不具合の発見が遅れるほど、修正作業の工数が増大します。
開発工程の終盤で不具合対応や仕様変更が必要になった場合、納期遅延や追加費用の発生は避けられないでしょう。
品質管理に加え、バグや不具合の確認がテスト段階に集中しやすい点も要注意です。トラブルの発生を想定し、余裕を持ったスケジュールを立てておきましょう。
ポイント5. 新しい品質管理指標を活用する
近年は観点カバレッジとDDPモニタリングを組みあわせてテストが実施されるケースも増えています。
観点カバレッジはどのような内容のテストをいくつ実施したか、可視化する手法です。対象機能や入力条件、実施方法など、テスト観点を重視しながらテストの実施件数を集計します。テスト件数が0の箇所を重点的に調査し、追加テストの必要性を判断するかたちです。
DDPモニタリングではシステムの動作検証をおこない、バグや不具合の兆候がないか確認します。機能数が多いシステムを開発する場合、単体テストで異常を発見できないケースも珍しくありません。結合テストや総合テストでDDPを実施し、正常に動くかを確認します。
ポイント6. 関連部署とコミュニケーションを重ねる
品質管理も含めてシステム開発を自社でおこなう場合、開発の初期段階から関連部署同士で連携する必要があります。完成のイメージを共有できていないと、条件に見合ったシステムを開発できません。
認識にズレが生じた状態で開発が進むと仕様変更の必要性が高まり、追加費用の発生や納期遅延を招く可能性が高まります。
ユーザビリティに優れたシステムを完成するためにも、積極的にコミュニケーションを重ねましょう。コミュニケーションの活性化によって部署同士の相互理解が深まると、進捗状況も把握しやすくなります。
修正作業や不具合対応が発生した場合も素早く対応でき、ダメージを最小限に抑えられるでしょう。
システム開発で品質管理の負担を減らす3つの方法
品質管理も含め、システム開発を効率化する方法は以下の3つです。
- システム開発会社へ依頼する
- 品質管理会社へ依頼する
- ノーコードツールを活用する
プログラミングや品質管理に精通した人材がいない場合は、システム開発会社を活用しましょう。要件定義〜テストまで、システムが完成するまでに必要な工程を任せられます。
ワークフローシステムや顧客管理システムなど、社内向けの小規模システム開発を検討している場合、ノーコードツールの活用もおすすめです。開発費用の削減と開発期間の短縮化を実現できます。
システム開発会社へ依頼する
システム開発会社を活用するメリットは、完成度の高いシステムの納品を望める点です。
システム開発会社には豊富なノウハウを持つエンジニアが多数在籍しており、自社の要望を反映したシステムの開発が望めます。
要件定義〜品質管理まで、一連の作業を任せられるため、システム開発に自社のリソースを割く必要性は低いでしょう。企業ごとに得意分野が異なるため、外注先を選定する際に実績を確認しておくことが重要です。
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品質管理会社へ依頼する
システムの設計や開発は自社で進め、品質管理だけ外注先に依頼したい場合の選択肢です。品質管理会社の活用によって、バグや不具合の兆候を早期に発見でき、リリース後のトラブル発生リスクを最小限に抑えられます。
工数のかかるセキュリティ評価やテストなどを依頼することで、開発担当者は他の業務に労力を割けるでしょう。反面、システム開発における品質管理サービスのみを提供する企業は少ないです。自社が拠点を置く地域で条件に合う外注先が見つかる保証はありません。
一定の費用はかかるものの、システム開発会社に開発業務全般を任せた方が、無駄な時間を浪費せずにすみます。
ノーコードツールを活用する
ノーコードツールとは、ソースコードを書かなくてもシステムやアプリを開発できるサービスです。ドラッグ&ドロップやキーボード入力のみで必要な機能を搭載できるため、プログラミングの知識は必要ありません。
新たにエンジニアを採用する必要もなく、システム開発にかかる費用や期間を短縮できます。反面、複雑な機能や細かい仕様には対応していないケースが多く、大規模システムの開発には向いていません。
比較的小規模なシステム開発を検討している企業、IT人材の不足に悩む企業におすすめの選択肢です。
まとめ
今回の記事では以下の4点に関して述べてきました。
- システム開発における品質管理の手順
- システム開発で品質管理をおこなう目的
- システム開発で品質管理をおこなううえでのポイント
- システム開発で品質管理の負担を減らす方法
自社で品質管理も含めてシステム開発を進める場合、QAエンジニアの確保が不可欠です。QAエンジニアがいない場合、システム全体の品質が担保されているか、リリースして問題ないかなどを判断できません。
QAエンジニアが自社に不在の場合は、システム開発会社または品質管理会社を活用しましょう。IT人材の慢性的な不足によって、市場で優秀な人材を短期間で採用するのは難しい状況です。
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株式会社エン・PCサービス代表。信州大学工学部情報工学科卒。卒業後富士通FIP(現富士通)に就職。某コンビニエンスをクライアントに基幹系、情報分析系、会計・SFAなどのシステム提案、構築、運用サポートを行う。他、ネットワーク構築やサーバー構築も行うなど、フルスタックエンジニアとして活躍。その後、広く多くの人にサービス提供を行いたいという想いから独立し、主にウェブ技術を用いて自社サービス構築と運営を行う。同時に日本のビジネスを底上げするという想いから、中小スタートアップ企業を対象にITシステム開発事業を、企画立案からマーケティング、運営サポートまでワンストップ対応している。
その他、テスト仕様書を設計段階で作る事で齟齬を無くす、レビューを各工程毎に行う事で出戻りを防ぐ、などの工夫もされると良いでしょう。発注側が積極的に開発に関わる事も重要です。丸投げは厳禁です。
ベンダー選定において、品質管理を提案をしてくれるところは安心できます。品質管理は開発コストと密接に関係しますので、コストとリスクのバランスを見てご判断いただくと良いでしょう。
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