システムを減価償却する計算方法を解説!対象資産や注意点2つを解説

XPAND株式会社
監修者
XPAND株式会社 代表取締役CXO 南木徹
最終更新日:2024年09月17日
システムを減価償却する計算方法を解説!対象資産や注意点2つを解説
この記事で解決できるお悩み
  • システムを減価償却する場合の対象資産は?
  • システムを減価償却するための計算方法は?
  • システムを減価償却する際の注意点は?

「システムの減価償却をしたいが、計算方法や注意点がわからない…」という方必見!

この記事では経理担当者に向けて、システムを減価償却する場合の対象資産を分かりやすく解説します。最後まで読めば、計算方法や注意点もわかります。

システムの減価償却には、税法や会計基準に関する専門知識が必要です。システムを減価償却する際の税理士の選び方も紹介しているため、システム導入を検討する企業の経営者もぜひ参考にしてください。

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システムは減価償却できる?

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「システム」とは、ハードウェアやOS、ソフトウェアなど機能するうえでの全体の仕組みのことです。システムは減価償却の対象となり、取得価格や耐用年数、残存価値などを考慮して行います。

取得価格10万円未満のものは資産に計上せず全額損金にすることができるため「消耗品費」または「備品費」で処理できます。取得価格10万円以上の場合、パソコンやデバイス機器は有形固定資産、OSやソフトウェアは無形固定資産として処理することが可能です。

購入したパソコンにソフトウェアが入っている場合

最初からソフトウェアやOSが組み込まれている場合、購入価格全額をパソコン本体の取得価額として減価償却します。
一方で、パソコン本体とソフトウェアの代金が見積書や請求書などで区分されている場合は、それぞれの資産として計上します。

システムを減価償却する場合の対象資産

システム減価償却の対象となる資産は、情報技術(IT)および情報システムに関連する資産です。一般的に対象とされる資産の例は、以下のとおりです。

コンピューターシステム ・デスクトップコンピューター:4年
・ノートパソコン:4年
・サーバー:8年
・メインフレーム:10年
・ワークステーション:6年
ソフトウェア ・オペレーティングシステム:5年
・アプリケーションソフトウェア:4年
・データベース管理システム:6年
ネットワーク機器 ・ルーター:8年
・スイッチ:8年
・ファイアウォール:6年
・アクセスポイント:4年
通信機器 ・電話交換機:10年
・ビデオ会議機器:6年
・モデム:4年
・通信サーバー:6年
データセンター設備 ・サーバールーム:15年
・クーリングシステム:8年
・発電機:15年
・UPS(無停電電源装置):6年

上記の資産は、企業が業務を遂行するために不可欠であり、通常は時間とともに価値が減少するため、減価償却が適用されます。減価償却により、資産のコストを長期間にわたって均等に負担し、会計処理および税務計算を行えます。

ソフトウェアの耐用年数

システムに対する減価償却の期間は、税制の枠組み内で定められています。市販の標準的なシステムの場合、耐用年数は1〜3年間と設定されています。自社で開発したシステムや、特別に注文して作成したシステムの耐用年数は5年間です。

市販の標準的なシステム 1〜3年間
自社で開発したシステム 5年間

上記の耐用年数は税務処理における基本的な年数ですが、実際のビジネス運営やシステム利用の状況に応じて変更される場合があります。最新の税制情報や個別の事例に関しては、税理士に相談することをおすすめします。

システムを減価償却するための計算方法3選

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ここからは、システムを減価償却するための計算方法を3つ解説します。

  1. ソフトウェア(無形固定資産)の場合:定額法
  2. 周辺機器(有形固定資産)の場合:定額法または定率法
  3. 一括償却資産処理

1. ソフトウェア(無形固定資産)の場合:定額法

定額法は、減価償却資産の金額に対して一定の割合を適用し、減価償却費を算出する方法です。 この割合は、耐用年数ごとに規定されています。

たとえば、耐用年数が2年の場合、償却率は0.500となり、1年目と2年目に均等に減価償却費を計上できます。以下の公式を活用することで、正確な減価償却費を出すことが可能です。

参照:国税庁:減価償却資産の償却率表

1年分の減価償却費=取得価額×定額法の償却率(1/耐用年数)

2. 周辺機器(有形固定資産)の場合:定額法または定率法

定率法は、資産の価値を毎年同じ割合で引き下げていく手法です。最初の年にかかる減価償却費が最も高く設定され、徐々にその額は小さくなっていきます。定率法の方程式は、以下のとおりです。

減価償却費=未償却残高×定率法の償却率

求めた減価償却費が償却保証額(取得原価×保証率)以下になる場合は下記の計算式を使用し、減価償却が完了します。

減価償却費=改定取得価額(償却保証額以下になった際の期首未償却残高)×改定償却率

以下は、取得原価が100,000円の資産を4年間(償却率0.625、改定償却率1.000、保証率0.05274)で償却する場合の定額法の償却スケジュールの例です。

定額法の償却スケジュールの例

年度 期首未償却残高 償却率 償却費 償却残高(期末残存価格)
1 100,000 0.625 62,500 37,500
2 37,500 0.625 23,437(小数点以下切り捨て) 14,063
3 14,063 0.625 8,789(小数点以下切り捨て) 5,274
4 5,274≦5,274(償却保証額) 1.000(改定償却率) 5,274-1=5,273 1

利用中の資産であることを帳簿に示すため、全額を償却せずに1円残しておきます。定率法は、初期段階での減価償却費が大きいため、税金の初年度の負担を軽減できます。毎年の帳簿価値に基づいて計算を行う必要があるため、定額法と比較して計算過程がやや複雑になることに注意が必要です。

3. 一括償却資産処理

20万円未満の減価償却資産は、一括償却資産とし取得価額に基づいて3年にわたり均等に償却することが可能です。この償却の適用は、1個または1組あたりの取得価額で判断する仕組みです。

たとえば、応接セットはテーブルと椅子のそれぞれの価格ではなく、テーブルと椅子のセットとして1組とみなされます。同様に、通常は何枚か組みあわせられるカーテンは1部屋の枚数ごとに1組と見なされます。

一括償却資産処理を行う際は、一括償却資産の勘定科目でまとめるほか、機械装置や器具備品などの固定資産の勘定科目でも計上することが可能です。

システムの減価償却をする際の注意点2つ

ここからは、システムの減価償却をする際の注意点を2つ紹介します。

  1. 資産の評価を行う
  2. 償却費用の記録を取る

1. 資産の評価を行う

資産の評価は、償却費用の計算と財務諸表の正確性に直接影響を与える要素です。システムの減価償却において、資産の評価は非常に重要です。

資産の取得価格を正確に評価する必要があり、購入価格だけではなく、取得にかかった費用や改良費用なども含まれます。正確な原価を把握することは、償却計算の基盤となります。

資産の正確な評価は、減価償却計算の正確性と財務報告の信頼性を確保するために欠かせません。

2. 償却費用の記録を取る

システムの減価償却において、償却費用の正確な記録は極めて重要です。償却費用は企業の財務諸表に直接影響を与え、財務報告の正確性と法的要求の遵守に関わっています。

償却費用を計算方法に基づき、毎期の償却費用を正確に会計帳簿に記入しましょう。記録の一貫性を持たせ、同じ方法とスケジュールを長期間にわたって維持します。

資産の変更(売却、改良、廃棄など)に対する償却処理も忘れずに記録し、変更が財務諸表に適切に反映されるようにします。償却費用の正確な記録は、会計の透明性と財務報告の信頼性を確保し、法的要求を遵守するために不可欠です。

システムの減価償却をする際は税理士に依頼できる

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システム減価償却の計算や関連する税務処理は、税理士に依頼することが可能です。税理士は税法と会計基準に精通しており、減価償却の計算や記録に関して正確なガイダンスを提供します。

減価償却計算が監査の対象となる場合、税理士は監査対応に役立つ情報を提供し、問題が生じた場合もサポートします。税法や会計基準は変更される場合があるため、最新の情報を提供し、変更に対応するアドバイスを提供してくれるでしょう。

税理士のアドバイスは企業や個人が減価償却に関連する計算と記録を効果的に処理し、税務上の利益を最大限に活用するのに役立ちます。

システムの減価償却をする際の税理士の選び方3選

ここからは、システムの減価償却をする際の税理士の選び方を3つ紹介します。

  1. 専門知識と経験を確認する
  2. 料金構造を理解する
  3. 監査に対応できるかを確認する

1. 専門知識と経験を確認する

税理士を選ぶ際に、専門知識と経験を確認することは重要です。システム減価償却の複雑な計算と、法的要件に関する専門知識を備えている税理士を選びましょう。専門知識があることで、正確な減価償却計算を行い、法的要件を遵守できます。

税理士の専門知識と経験を確認することで、減価償却計算における成功と税務上のメリットを確保できます。

2. 料金構造を理解する

税理士を選ぶ際は、料金構造を理解しましょう。料金構造は、サービスの価格設定と透明性に関連しています。

まずは、税理士の料金体系を詳細に確認しましょう。初回コンサルの料金や定期的な償却計算の料金、監査対応にかかる料金、その他の関連費用が含まれます。透明な料金体系を提供する税理士を選ぶことで、予定外の出費や紛争を回避することが可能です。

料金構造を理解することは、予算の管理と財務計画に役立ち、不必要なトラブルを回避するのに役立ちます。

3. 監査に対応できるかを確認する

税理士を選ぶ際、監査に対応できるかを確認することは重要です。システム減価償却は監査対象となる場合があるため、税理士が監査対応の経験と知識を持つか確認しましょう。

適切な監査対応は法的要件を遵守し、問題が生じた場合も対処するために重要です。税理士が監査に対応できることを確認することで、将来的な監査に備え、スムーズかつ効果的な対応が可能となります。

まとめ

システムを減価償却する際は、税法や会計基準に関する専門知識が必要です。正確な減価償却をすることに不安がある方は、税理士に依頼することを検討してみてください。

比較ビズには、システムの減価償却に詳しい税理士が多数在籍しており一括見積が可能です。比較ビズの活用は完全無料であるため、まずは相談から始めてみてください。

監修者のコメント
XPAND株式会社
代表取締役CXO 南木徹

デザイン・技術コンサルタント。空間・ロボット・機械からモバイルアプリまで、産業系を中心に幅広いデザインを手掛け、欧州デザイン賞なども受賞。ウェブはLAMP系やスマホアプリを中心にエンジニアリングに携わる。VCやECFからの支援を受けて、スタートアップ企業を運営。1級知的財産管理技能士(特許・コンテンツ・ブランド)、高度情報処理技術者(情報セキュリティアドミニストレータ)。

記事では触れられていませんが、購入したシステムだけでなく、自社開発したシステムも無形固定資産として計上し減価償却できる場合があります。開発に伴って取得する特許権などの知的財産権も同様です。

経営状況に合わせた適切な償却方法の選択と、税制の最新動向への対応が重要です。税理士にも得意分野がありますが、特にシステムなどの無形固定資産については、この分野の経験が多い専門家への相談をおすすめします。

制度をうまく活用することで、財務上のメリットを最大限に引き出してください。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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