税理士法第38条や第54に記載されている「正当な理由」とは、顧客本人の許可もしくは法令に基づく義務を指します。顧客本人が自分の会社の秘密を第三者に開示しても問題ないとしている場合には、税理士に守秘義務はありません。
税務調査で書類の提出を求められる、会社の経営状況を尋ねられるなどのケースでは、税理士は真摯に対応する必要があります。警察からの問い合わせ、代表権のない取締役からの開示請求などは、個別に判断しなければならないでしょう。
「税理士による情報漏洩が心配」「税理士が情報漏洩をした場合のペナルティは?」とお考えの方、必見です。税理士の守秘義務は税理士法に定められており、違反すると罰則が設けられています。
この記事では、税理士が守秘義務に違反した場合の罰則や税理士と守秘義務に関するQ&Aを解説します。税務相談を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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税理士の守秘義務は、税理士法(第38条・第54条)によって定められています。税理士は経営者である顧客の相談に乗る、経営状況をチェックするなどの業務を行うため、経営者個人や事業の秘密を知ることが少なくありません。
税理士の業務は顧客である経営者との信頼関係によって成り立つものであるため、守秘義務を守ることは税理士に欠かせない要素の1つです。
税理士本人の守秘義務は、税理士法第38条に定められています。
第38条 税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなった後においても、また同様とする。
「窃用」とは、職務上知り得た情報を自分や顧客以外の第三者のために利用することを指します。何らかの理由で税理士ではなくなったあとも、守秘義務は続きます。
税理士事務所や税理士法人に勤務する使用人や従業員の守秘義務は、税理士法第54条に定められています。
第54条 税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者でなくなった後においても、また同様とする。
引用:法令リード 税理士法第54条(税理士の使用人等の秘密を守る義務)
税理士と同様に、税理士事務所や税理士法人の従業員ではなくなっても守秘義務は続きます。
公認会計士には公認会計士法(第27条・倫理規則第2条第6項)で守秘義務が定められています。守秘義務の内容は、税理士法で定められているものとほとんど相違はありません。
税理士と比べ、公認会計士は大企業を顧客にすることが多く、税務業務よりも監査を行うことが多い業種です。企業の経営状況に関する情報をより多く、簡単に入手できることから、公認会計士法とは別に公認会計士協会で情報漏洩に特化した以下の指針が定められています。
税理士法と公認会計士法で定められている守秘義務の文言や罰則はほとんど同じ内容です。情報漏洩に関する特別な指針の有無のみ異なります。
税理士が守秘義務に違反した場合、以下の2つの罰則が適用されます。
税理士が守秘義務に違反した場合、懲戒処分が科せられることがあります。違反した内容により以下の処分が下されます。
業務の禁止処分を受けると、税理士登録が3年間抹消されます。業務の停止処分を受けると一定期間税理士業務を行えません。処分の内容は官報にも掲載されます。
税理士が守秘義務に違反すると、懲戒処分とは別に刑事罰が科せられる可能性があります。税理士法第59条には、第38条または第54条の規定に違反したとき2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処すると明記されているためです。
刑事罰は懲戒処分と異なり、税理士事務所や税理士法人で働いていた従業員にも適用される点に注意が必要です。税理士ではない事務員でも、守秘義務違反と判断されれば第59条の罰則が適用されます。
税理士には税理士法に基づいた守秘義務があり、違反すると重い罰則が科せられます。税理士に業務を依頼しようと考えている方は、情報漏洩を心配せずに安心して契約を進めましょう。
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