飲食店経営にかかる税金はいくら?個人事業主・法人の節税対策と消費税を解説
- 飲食店経営にかかる税金はいくら?
- 個人事業主・法人ごとに飲食店経営にかかる税金は違う?
- 飲食店経営の税金における節税対策は?
飲食店経営では個人事業主・法人ごとにあらゆる税金がかかります。税金の種類を知り、適切に節税することが大切です。特に消費税に関しては決まりごとが多いため、重要なポイントをおさえましょう。
本記事では飲食店経営における税金と節税対策について解説します。個人事業主と法人に分けてそれぞれにかかる税金をまとめました。読み終わる頃には、課税所得に応じて節税をしながら、飲食店経営を運営できるでしょう。
「飲食店経営にかかる税金を節税したい」経営者・個人事業主の方はぜひご覧ください。
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個人事業主の飲食店経営にかかる4つの税金
個人事業主の飲食店経営は、以下の4つの税金がかかります。
- 所得税|所得額に応じて5%〜45%が課税される国税
- 復興特別所得税|所得税に2.1%上乗せされる国税
- 住民税|住民票のある自治体に支払う地方税
- 個人事業税|事業所得の額に応じて支払う地方税
1. 所得税|所得額に応じて5%〜45%が課税される国税
所得税は1月1日〜12月31日の1年間で得た所得のすべてにかかる税金です。
飲食店の売上から家賃や社会保険、医療費を差し引いた課税所得に対して税率が決まります。所得額が大きくなるほど税率が高くなる累進課税制度で、税率は最大45%です。
課税所得に応じて、下記の表で所得税を算出しましょう。
課税される所得金額 | 課税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円〜1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円〜3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円〜6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円〜8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円〜17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円〜39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
2. 復興特別所得税|所得税に2.1%上乗せされる国税
東日本大震災からの復興に必要な財源として、創設された国税が復興特別所得税です。平成25年〜令和19年まで、すべての納税者が納めます。
復興特別所得税の税率は2.1%です。「所得金額×2.1%」で算出できます。
3. 住民税|住民票のある自治体に支払う地方税
住民税は都道府県と市町区村に納税する地方税です。飲食店を経営している市町区村に納める必要があります。
住民税は「都道府県民税」と「市区町村民税」で合算されます。2つの税金は、以下の2つでそれぞれ算出されて合算すると、住民税の総額がでるでしょう。
- 均等割
- 所得割
均等割
均等割は所得金額に限らずに定額で課税されます。年間で「都道府県民税」が約1,500円「市区町村税」が約3,500円ほどの金額がかかるでしょう。
ただし、自治体によって「都道府県民税」と「市区町村民税」の金額は異なるため、自治体のホームページをよく確認しましょう。
所得割
所得割は、前年度の所得金額に応じて変わります。所得税とは異なり、累進課税ではなく標準課税で税率は10%です。
「都道府県民税」が6%「市区町村民税」が4%で内訳されます。所得割は「(所得金額−所得控除額×10%)−税額控除額」で算出できます。
確定申告をすれば、自分で計算する必要はないですが、経営状況を定量的に見積もる際に役立つでしょう。
4. 個人事業税|事業所得の額に応じて支払う地方税
個人事業主の事業所得に対して課税される地方税です。前年度の必要経費や各種控除を差し引いた所得金額が、290万円を超えた場合に納める必要があります。
飲食店の場合は税率が5%になります。算出方法は(所得金額−290万円)×5%です。なお、青色申告特別控除控除前の金額に5%を乗じます。
法人の飲食店経営にかかる6つの税金
飲食店を法人化した場合に、経営でかかる税金は下記の6つです。
- 法人税|法人が得た所得に対して課税される国税
- 地方法人税|国に納税したあと国から地方に分配される税金
- 法人住民税|市町区村・都道府県それぞれに納める地方税
- 法人事業税|所得に対して課税される国税
- 代表者個人の税金|給与所得に対する税や住民税等
- 源泉徴収税・特別徴収住民税:給与から天引きして納付する税
法人化をすると納める税金も変わるため、確定申告の際にミスがないようにおさえましょう。
1. 法人税|法人が得た所得に対して課税される国税
法人が得た所得に対して課税される国税が法人税です。個人事業主の所得税と違って、税率が固定されています。
資本金が1億円以下の中小法人の税率は、所得のうち800万円以下の部分に15%、800万円を超える部分に23.2%の法人税がかかります。
2. 地方法人税|国に納税したあと国から地方に分配される税金
地方法人税は国に納税したあとに、国から地方に分配される税金です。2014年に創設され、飲食店を経営している市町区村に納税します。
令和元年10月1日前までは法人税額の4.4%の税率でしたが、以降は10.3%の税率に改正されています。
3. 法人住民税|市町区村・都道府県それぞれに納める地方税
法人化をすると、都道府県と市町区村に法人住民税を納めます。
算出方法は「法人税割+均等割」です。法人税割は都道府県民税が法人税額の1.0%、市区町村民税が6.0%かかります。均等割は資本金や従業員数で金額が変わります。
前年度が赤字の場合は、法人税割は発生しませんが均等割は課税されるため、注意しましょう。
4. 法人事業税|所得に対して課税される国税
法人事業税は、所得に対して課税される国税です。原則として事業をおこなうすべての法人に課せられます。
法人事業税は「所得金額×法人事業税率」で算出できます。資本金が1億円以下の中小企業の所得金額に応じた、法人事業税率を下記の表にまとめました。
所得金額 | 法人事業税率 |
---|---|
0円〜400万円 | 3.4% |
401万円〜800万円 | 5.1% |
801万円〜 | 6.7% |
5. 代表者個人の税金|給与所得に対する税や住民税等
法人の代表者も一般の給与所得者と同じく、給与を会社から受けとっているため課税対象です。法人税には含まれません。
日頃から所得金額を記録し、所得税や住民税などがどのくらいの税額かを見積もりましょう。
6. 源泉徴収税・特別徴収住民税:給与から天引きして納付する税
従業員および会社代表の給与や賞与、退職金にかかる税金は源泉徴収税・特別徴収住民税の対象です。給料を支払った翌月の10日までに納付する必要があります。
10人以下の事業者に関しては、半年ごとに納付が可能です。
飲食店経営をする個人・法人の両方にかかる3つの税金
飲食店経営をする際に、個人・法人で共通してかかる税金が3つあります。
- 消費税|売上で発生した消費税
- 印紙税|領収書等に貼付する印紙代
- 固定資産税|営業者が事業で所有する資産にかかる地方税
1. 消費税|売上で発生した消費税
前々年度の売上が1,000万円を超えるときに発生する税金です。令和3年度の売上額が1,200万円の場合は、売上額が1,000万円以上のため、2年後の令和5年後に納税することになるでしょう。
「1度課税対象になったら、消費税を払い続ける必要があるのか」と不安になる方はいるでしょう。たとえば令和4年度の売上額が800万円のときは、2年後の令和6年度は課税対象になりません。
年度ごとに売上が1,000万円を超えるかが基準です。
2. 印紙税|領収書に貼付する印紙代
5万円以上の代金を受け取る際に印紙税が発生し、領収書に収入印紙を貼付する必要があります。
受取金額の大きさで印紙税が変わるため、下記の表にまとめました。
受取金額 | 印紙税額 |
---|---|
5万円〜100万円 | 200円 |
101万円〜200万円 | 400円 |
201万円〜300万円 | 600円 |
301万円〜500万円 | 1,000円 |
501万円〜1,000万円 | 2,000円 |
印紙税の詳細は、国税庁のホームページのNo.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書までをご覧ください。
3. 固定資産税|営業者が事業で所有する資産にかかる地方税
飲食店や商店の場合、営業者が所有している事業用資産は固定資産税の申告対象です。国土交通省に定められた固定資産税評価額に、1.4%の税率を乗算したものが固定資産税になります。固定資産税評価額は地域によって異なり、地価によって価格が変わるでしょう。
個人事業主なら、事業に使用していない自宅や店舗の土地・物件、電気や冷蔵庫などの設備に対して課税。法人では、会社が所有する資産が課税対象になります。
店舗が賃貸物件の場合は、課税対象になりません。
飲食店経営における税金「消費税」の基本知識
飲食店を経営する前に、下記の「消費税」の基本知識をおさえましょう。
- 消費税の納付は前々年の売上が1,000万円を超える場合が対象となる
- 売上で得た消費税より支払った消費税の金額が大きいと還付される
- 納付額の計算方法は「原則課税方式」「簡易課税方式」の2つがある
- 「標準税率(10%)」と「軽減税率(8%)」を使い分ける
消費税の納付は前々年の売上が1,000万円を超える場合が対象となる
2年前の売上が1,000万円を超える場合は、消費税の申告対象です。開業して3年未満は納税の対象になりません。
以下の場合は、課税対象者になるでしょう。
- 資本金が1,000万円以上の法人
- 前年の事業開始月から6ヶ月間の課税売上高が1,000万円以上、かつ前年の事業開始月から6ヶ月間の給与・賞与の合計額が1,000万円を超える
売上で得た消費税より支払った消費税の金額が大きいと還付される
仕入れや設備の改修などで発注した際に発生する消費税が、売上で得られる消費税を超える場合、還付されます。
発注した際の領収書は必ず残しておきましょう。売上が赤字になったときも、還付される可能性があります。
納付額の計算方法は「原則課税方式」「簡易課税方式」の2つがある
納付額の計算方法は「原則課税方式」と「簡易課税方式」の2つあります。
原則課税方式
原則課税方式は売上で発生した消費税から、仕入れの際に発生した消費税を差し引いて計算します。
売上でかかった消費税を350万円とし、仕入れでかかった消費税を200万円とすると、納付額は150万円になるでしょう。
納付額がマイナスになった場合は、税金が還付されます。
簡易課税方式
売上で発生した消費税のみから計算する方式が簡易課税方式です。業種ごとに「みなし仕入れ率」が定められており、飲食店の場合は「みなし仕入れ率」が60%になります。
計算方法は「売上でかかる消費税額−(売上でかかる消費税×60%)」です。
ただし、簡易課税方式は以下の注意が必要です。
- 事業年度の開始前日までに届出をする
- 基準期間における課税売上高が5000万円以下の事業者しか選択できない
- 2年間は簡易課税方式で消費税を計算しなければならない
「標準税率(10%)」と「軽減税率(8%)」を使い分ける
納付額を計算する際は、2種類の消費税をそれぞれ計算する必要があります。飲食店内で飲食をする場合は「標準税率(10%)」の対象に対して、テイクアウトや宅配は「軽減税率(8%)」の対象です。
店内での飲食とテイクアウトや宅配を両方ともおこなっている場合は、「標準税率(10%)」と「軽減税率(8%)」が混在するでしょう。
そのため、領収書や請求書の「区分記載請求等保存方式」に移行しなければなりません。詳しくは、国税庁の ? 区分記載請求書等保存方式(帳簿及び請求書等の記載事項並びにこれらの保存)をご覧ください。
飲食店経営で個人事業主か法人かを選ぶ基準は「納税額」
飲食店経営で個人事業主か法人かを選ぶ基準は「納税額」の大きさで決めましょう。所得が大きいほど、税率の変わらない法人税のほうが有利です。
法人化をして所得が4,000万円ある場合は、税率は23.2%に収まります。個人事業主の場合だと累進課税制度により、45%の税率が発生してしまいます。
安定的に高い所得を得られるようになったときは、法人化をするべきでしょう。
飲食店経営における節税対策
飲食店経営の税金における、節税対策は下記のとおりです。
- 適切に発生した出費を経費に計上する
- 青色申告をする
- 小規模企業共済に加入する
- 中小企業退職金共済制度に加入する
- 法人化する
- 税理士のサポートを受ける
適切に発生した出費を経費に計上する
飲食店経営をする際に発生する出費を、経費に計上すると所得をおさえられるため、節税対策になるでしょう。
飲食店経営をおこなうために発生した接待飲食費や交際費などは、経費に計上できます。個人事業主の場合は経費に上限はありません。法人の場合も資本金が1億円以下であると、年間800万円まで損金できるため、節税になるでしょう。
なんでも経費や損金にしてしまうと、下記のデメリットが発生する可能性もあるため、注意してください。
- 税務署から指摘を受けて税務調査される
- 利益が減少して赤字になる
青色申告をする
飲食店経営をする際は、青色確定申告をしましょう。青色申告は白色申告と比較して、控除額の差が大きくなります。
青色申告のメリットは以下のとおりです。
- 個人事業主の場合最大65万円の特別控除制度がある
- 損失を繰り越せる
- 親族の給与を経費にできる(青色専従者控除)
- 税務署からの推測で税額の更正する権利がなくなる
- 資産取得額が30万円の場合すべて経費に計上できる(少額減価償却資産の特例)
個人事業主の場合最大65万円の特別控除制度がある
個人事業主として青色確定申告をした場合は、最大65万円を所得から差し引けます。白色申告の場合だと、10万円までしか控除を受けられません。
開業届を税務署に届けて青色申告承認申請書を提出すると、特別控除制度を受けられます。
損失を繰り越せる
個人事業主の場合は3年間、法人の場合は10年間損失を繰り越せます。赤字が発生した翌年に黒字が発生したときは、赤字分を黒字分で相殺できるため、メリットです。
設備の修繕や店舗のリフォームなどで赤字になった場合も、損失の繰り越しを検討してみるといいでしょう。
親族の給与を経費にできる(青色専従者控除)
親族と共に飲食店経営で生計を立てている場合は、親族に支払った給与を経費にできるため、節税対策になるでしょう。
配偶者の場合は最大86万円、その他の親族は50万円まで経費に計上できます。親族経営をする際は活用しましょう。
事業専従者の要件を満たしていないと、生計を共にする親族への給与は経費として認められません。
税務署長からの推測で税額の更正する権利がなくなる
法人化をすると、税務署長からの推測で税額を更正されないため、税額を高く取られるリスクが減ります。
個人事業主の方は青色申告をしていても、税額を推計される可能性があるため、損をすることもあるでしょう。
ある程度の事業所得を安定して得られるようになれば、法人化をするべきです。
資産取得額が30万円未満の場合すべて経費に計上できる(少額減価償却資産の特例)
法人の場合、店舗の厨房機器や事務機器など1つあたりの経費が30万円未満であれば、すべて経費に計上できます。
令和5年度の改正で少額減価償却資産の特例措置が、令和6年3月31日まで延長されました。
飲食店で必須なPCや冷蔵庫、POSレジなどは30万円未満に収まるため、経費に計上できるでしょう。
小規模企業共済に加入する
小規模企業の事業者・経営者・役員が廃業、退職時のために積み立てる保険に加入すると、掛金が控除対象になります。
ただし保険のため、元本割れのリスクや共済金を受け取る際の課税に注意しましょう。
中小企業退職金共済制度に加入する
事業主が中退共本部と退職金共済契約を締結し、毎月ごとに掛金を納付すると、全額が損金として認められます。
従業員の福利厚生にも利用できるため、一石二鳥です。
法人化する
一定以上の所得になったときは、法人化したほうが節税になるでしょう。個人事業主の場合、課税所得が1,000万円だと33%の税率がかかるのに対し、法人化すると23.2%の税率となるため、節税できます。
資本金が1億円未満の中小企業であれば、課税所得が800万円を超えても、税率が23.2%と固定です。
所得が900万円〜1,000万円をコンスタントに超える場合は、法人化を検討しましょう。
税理士のサポートを受ける
税理士にサポートを受けることも有効です。経営状況に応じて、節税対策のポイントをアドバイスしてくれます。
それでも節税対策に不安のある方は、飲食店経営の節税対策に詳しい税理士に、確定申告書の作成をすべて依頼するといいでしょう。
まとめ
本記事では、飲食店経営でかかる税金と節税対策のポイントを紹介しました。
飲食店経営をする際は、青色確定申告をすると税金の控除で多くのメリットがあります。ある程度の所得を得られるようになったら、法人化をすると所得税の税率を軽減できるため、節税対策に有効です。
節税対策に不安のある方は、税理士に依頼するといいでしょう。税理士選びには「比較ビズ」がおすすめです。2分程度で必要事項の入力が完了し、飲食店経営の節税対策に強い税理士を探せます。ぜひ利用してみてください。
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もしも今現在、
- どの税理士に依頼したらいいかわからない
- 見積もり金額を安く抑えたい
- 節税アドバイスなどを積極的に提案して欲しい
上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の税理士・公認会計士に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。