修繕費とは?仕訳方法と勘定科目や資本的支出・消耗品費との見分け方を解説
- 修繕費とはどういうもの?
- 修繕費と資本的支出・消耗品費の違いは?
- 修繕費を仕分ける際の勘定科目は?
修繕費は、有形固定資産の修理・改修などに使用した費用のことです。資本的支出と混同されやすいですが、資本的支出は修繕費の一部です。
この記事では、企業の経営者・経理担当者向けに、修繕費の概要や仕訳方法を解説します。記事を読み終わった頃には、具体的なシーンでどう仕分けるべきか判断できるでしょう。
「修繕費を理解して適切に会計処理をしたい」「資本的支出や消耗品費との違いを知りたい」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
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修繕費とは資産の維持管理・原状回復にかかる費用
修繕費は、有形固定資産の修理・改修などに使用した費用のことです。有形固定資産とは、名前のとおり形として手元にある固定資産のことで、具体的には建物や土地などです。
- 水道設備が壊れたため、修理を行った
- 建物の経年劣化解消のため、原状回復工事を行った
- 外壁が劣化したため、塗り替えを行った
上記は一例ですが、すべて修繕費として計上できます。いずれも有形固定資産の維持管理や修理などに関連しています。
修繕費と混同しやすい「資本的支出」とは
資本的支出とは、資産の使用期間を延長させたり、資産価値を上げたりすることに使う費用のことです。資本的支出は修繕費と混同しやすいですが、正確には修繕費の一部であると考えましょう。
修繕費は失ってマイナスになった部分を補うための費用であり、資本的支出は資産価値をプラスにするための費用です。資本的支出は減価償却により、数年にわたって費用として計上されます。
資本的支出の具体例
固定資産の使用期間延長や、資産価値を上げるために使用した費用は、資本的支出に分類されます。具体例は以下のとおりです。
- 建物をバリアフリー設計にした
- コンセプトにあわせて建物の模様替えをした
- 防音性を上げるために、専用の塗料を使って塗り替えた
- 万が一の事態を見越して、非常階段を建物に取り入れた
資本的支出以外にも、修繕費や消耗品費などが存在するため、仕分けに悩んでしまうこともあるでしょう。悩んだときは以下の見分け方を参考にしてください。
資本的支出の見分け方
資本的支出は、以下の6項目を確認することで、簡単に見分けることが可能です。
- 修理にかかった費用が20万円以上である
- 支出周期が3年以上である
- 資産価値や耐久性などを高めるための費用である
- 特別な維持管理のための費用である
- 修理費用が60万円以上か、修理対象である資産の前期未取得価額の10%以上
- 実質的に資本的支出に分類される可能性が高い
該当するポイントが多い場合、資本的支出に分類されると考えてよいでしょう。
修繕費と混同しやすい「消耗品費」とは
消耗品費と修繕費には明確な違いがあります。消耗品費は、名前のとおり消耗品の購入に使用した費用のことです。消耗品はコピー用紙や文房具、帳簿などをイメージするとわかりやすいでしょう。
消耗品として分類されるのは、耐用年数が1年未満、取得金額が10万円未満の備品です。修繕費は以前に購入したものを修理しているのに対して、消耗品費は新たに購入しています。明確な違いがあることを覚えておけば、混同することはありません。
消耗品費の具体例
新たに備品を購入した場合、消耗品費として分類されます。具体例は以下のとおりです。
- 10万円未満のLED蛍光灯を取り付けた
- 機械設備の部品交換と修理を行った(修理した部品は10万円未満、短期間で消耗するもの)
- 室内に設置する椅子や机などを購入した(取得価格が10万円未満のもの)
- 社員が使用する文房具を購入した
- マウスやUSBメモリなどを購入した
消耗品費の見分け方
消耗品費の見分け方は、以下を参考しましょう。
- 「10万円未満で購入した」または短期間のうちに消耗するものを購入した
- 新しく消耗品を購入した
- 部品や備品の交換を行うとき、自分で必要なものを購入して作業をした
消耗品の場合、短期間=1年未満です。修理と新規購入どちらに当てはまるのか、金額と消耗する期間はどれくらいなのかなどが、見分けるポイントになります。修理は修繕費に分類しますが、自分で行う場合は消耗品費に分類します。
修繕費の仕訳方法・勘定科目
修繕費は個人事業主の場合、経費として分類されますが、法人では販売費および一般管理費に分類されるため、注意が必要です。
現金で修理代を支払った場合、以下の仕訳になります。
借方 | 貸方 |
---|---|
修繕費 50,000 | 現金 50,000 |
普通預金から修繕費を支払った場合、以下の仕訳になります。
借方 | 貸方 |
---|---|
修繕費 50,000 | 普通預金 50,000 |
修繕費の仕訳で注意すべきケース
修繕費の仕訳のなかには注意が必要なケースが3つあります。以下で具体例を挙げて解説します。
- 修理が会計年度をまたぐ
- 定期的な修理を予定年度に実施できない
- 修繕費以外の勘定科目で仕分ける
いずれも仕訳を行っていると、たびたび直面するケースがあるため、注意する必要があります。
ケース1. 修理が会計年度をまたぐ
修理が会計年度をまたいだ場合、修繕費の金額は、1つの計画に基づく同一資産への各事業年度の支出合計で決めましょう。
修理が1つの場合や代金を分割で支払い会計年度をまたぐ場合、支出額は分割で支払う合計額になります。修理は、支払方法や工事が行われるスケジュールに応じて、状況が異なるでしょう。ケースバイケースで計上することが大切です。
ケース2. 定期的な修理を予定年度に実施できない
メンテナンスとして行う定期的な修理を予定年度に工事ができないことが考えられます。実施できなかった場合、修繕引当金の勘定科目を使用しましょう。
修繕引当金は、毎回行われている有形固定資産の修繕が、実施できなかったときに計上される引当金のことです。期末に計上する場合、仕訳は以下のとおりです。
借方 | 貸方 |
---|---|
修繕引当金繰入 200,000 | 修繕引当金 200,000 |
ケース3. 修繕費以外の勘定科目で仕分ける
企業により修繕費ではなく、別の勘定科目を使用する場合があります。具体的には維持管理費・消耗備品費・整備費などです。
維持管理費は、固定資産の資産価値を維持するために必要なメンテナンス費用、維持管理費は建物の維持に必要な清掃や点検などの費用として分類されます。
本来は修繕費とは異なる科目ですが、税務上同じ扱いになります。企業によりほかの勘定科目を使用するルールを設けている場合があるため、確認しましょう。
まとめ
修繕費は、有形固定資産の修理・改修などに使用した費用のことです。修繕費の仕訳方法や消耗品費との違いが分からなくなったときは、ぜひこの記事を参考にしてください。
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企業経理、大手税理士法人、社労士法人での経験を活かして、コンサル兼経理代行業の法人を設立。バックオフィスの効率化やDX化を推進しており、業務効率化を得意としている。中小企業や個人事業主を中心にバックオフィス業務・経営相談・資金調達・補助金等を支援している。
資本的支出や消耗品費との違いをしっかりと理解することで、今後の会計処理がよりスムーズに行えるようになるでしょう。企業の経営者や経理担当者の皆様が修繕費と資本的支出を正確に区別し、適切な会計処理を行うための基礎知識を得られることを期待しています。
この記事を参考に、より効率的で正確な経費管理を実現し、企業の財務管理に役立てていただければと思います。
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