電子帳簿保存法の保存期間は?保存方法や処分方法もわかりやすく解説

仁王さん通り税務会計
監修者
仁王さん通り税務会計 税理士 平野和博
最終更新日:2024年01月11日
電子帳簿保存法の保存期間は?保存方法や処分方法もわかりやすく解説
この記事で解決できるお悩み
  • 電子帳簿保存法の保存期間は何年間?
  • 電子帳簿保存法の保存期間はいつから数えればいいの?
  • 電子帳簿保存法の保存期間を終えた後の処分方法は?

「電子帳簿保存法の保存期間は?」「電子帳簿保存法に対応した保存環境を整えたい」とお悩みの方必見。

電子帳簿保存法の保存期間は、帳簿書類・電子データは7年、繰越控除に必要な帳簿書類は最長10年です。

保存期間が終了した帳簿書類は、処分をしても問題ありません。電子データを破棄する場合は専用ソフトを使い、データを削除する必要があります。

この記事では、経理書類を扱う個人事業主や経営者に向けに、電子帳簿保存法の保存期間を解説しています。この記事を読み終わった頃には、電子帳簿保存法の適切な保存方法がわかるでしょう。

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電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法は、1998年に制定された法律でしたがほとんど普及せず、2022年の改正をきっかけに、2024年1月からは義務化されます。

国税関係の書類・帳簿を認められている保存法で保存しなければなりません。認められている保存法は、電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引による保存の3つです。

書類ごとの保存法をはじめ、保存におけるルールは電子帳簿保存法で明確に定められており、義務化後はルールに従い保存しなくてはなりません。

電子帳簿保存法における保存期間

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電子帳簿保存法では、帳簿書類の保存期間が定められています。紙・電子いずれの方法でも、ケースごとの保存期間は同じです。

  • 帳簿書類・電子データの保存期間は7年
  • 欠損金の繰越控除を受ける場合の保存期間は最長10年
  • 電子化した後の紙の書類はすぐに処分可能

以下では保存期間をケースごとに解説します。保存期間を間違えてしまうと、電子帳簿保存法の違反になります。

1. 帳簿書類・電子データの保存期間は7年

帳簿書類・電子データの保存期間は7年です。法人は確定申告書の提出期限の翌日から7年となります。7年以降は保存義務がないため、自由に取り扱っても問題ありませんが、保存期間中は帳簿書類を必ず保存しましょう。

法人が電子取引を行った場合も、7年の保存期間があります。個人事業主は書類により5年や7年のものがあり、白色申告と青色申告で期間が異なるため注意しましょう。

2. 欠損金の繰越控除を受ける場合の保存期間は最長10年

青色申告の事業年度に欠損金がある場合、10年以内は繰越控除を行うことができます。そのため、繰越控除に必要な帳簿書類の保存期間は最長10年に伸びます。所得から欠損金を差し引くことができるため、青色申告の際に忘れないようにしましょう。

3. 電子化した後の紙の書類はすぐに処分可能

スキャン保存に使った紙の書類は、すぐに処分をしても問題ありません。電子データとして、紙の書類に記載してある内容が残っていれば、破棄をしても支障はないと考えてよいでしょう。

本来は1年の保存が必要でしたが、現在はスキャンで電子データ化ができれば、すぐに破棄をしても電子帳簿保存法に触れません。

電子帳簿保存法における3つの区分

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電子帳簿保存法には、3つの区分があります。区分により対象書類や保存方法が異なります。

  • 電子帳簿等保存
  • スキャナ保存
  • 電子取引データ保存

以下では、電子帳簿保存法における3つの区分を詳しく解説します。各書類・データが該当する区分を把握しましょう。

1. 電子帳簿等保存

電子帳簿等保存は、電子データ保存と呼ばれることがあります。自分で作成した帳簿書類を、電子データの状態を保ったまま保存をする方法です。パソコンを使い、仕訳帳や総勘定元帳などを作成した場合、電子データでの保存が必要になります。対象書類は以下のとおりです。

  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 現金出納帳
  • 固定資産台帳
  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 試算表
  • 棚卸表

受領したデータや書類は、電子帳簿等保存には該当しません。電子帳簿等保存は容認規定であり、事業者や企業が任意で行える方法となります。

2. スキャナ保存

スキャナ保存は、紙で発行・受領した書類に対して行う方法です。電子帳簿等保存とは違い、自社で作成した書類と、相手から受け取った書類の両方が対象になります。スキャナ保存の場合、書類を画像データ化し、一定の保存要件に従い保管が可能です。

  • 請求書、請求書控え
  • 見積書、見積書控え
  • 納品書、納品書控え
  • 注文書、注文書控え
  • 領収書、領収書控え

スキャナ保存は容認規定であり、事業者や企業が任意で行える方法となります。

3. 電子取引データ保存

電子取引データ保存は、オンライン上での取引情報を、電子データのまま保存することです。電子取引データ保存の場合、電子帳簿等保存・スキャナ保存とは違い、義務規定として定められています。

  • 請求書
  • 見積書
  • 納品書
  • 注文書
  • 領収書

電子帳簿保存法における対象書類の保存方法

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電子帳簿等保存法では、対象書類やケースにより保存方法が異ります。あらかじめルールを把握しましょう。

  • 請求書
  • 領収書
  • 見積書・注文書

1. 請求書

請求書を電子データで受け取った場合、以下の保存方法で保存します。

データを受領した状況 保存方法
メールにPDFで請求書が添付されていた 添付されたPDFを保存
ホームページでPDFの請求書をダウンロードした ダウンロードしたPDFを保存
ホームページに請求書画面がある スクリーンショットで画像データを保存
EDIシステムを利用している ・システム上でデータを保存する
または
・ダウンロードをしてPDFを保存
FAXで受信した請求書をデータ管理したい スキャンしてPDF化したデータを保存

2. 領収書

領収書を電子データで受け取った場合、以下の保存方法で保存します。

データを受領した状況 保存方法
メールにPDFが添付されていた 添付されているPDFを保存
ホームページでPDFの領収書をダウンロードした ダウンロードしたPDFを保存
ホームページに領収書画面がある スクリーンショットで画像データを保存
クレジットカードや交通ICカードなどの支払いデータを、ホームページでデータ確認している ・ファイルをダウンロード
または
・スクリーンショットで画像データを保存

3. 見積書・注文書

見積書・注文書を電子データで受け取った場合、以下の保存方法で保存します。

データを受領した状況 保存方法
メールにPDFで見積書または注文書が添付されていた 添付されているPDFを保存
ホームページでPDFの見積書または注文書をダウンロードした ダウンロードしたPDFを保存
ホームページで見積書または注文書画面がある スクリーンショットで画像データを保存
EDIシステムを利用している ・システム上でデータを保存する
または
・ダウンロードをしてPDFを保存
FAXで受信した見積書または注文書をデータ管理したい スキャンしてPDF化したデータを保存

保存期間が終了した帳簿書類の処分方法

保存期間が終了した帳簿書類は、処分をしても問題ありません。紙で保存している場合、シュレッダーを利用すると、情報を悪用されるリスクを回避できます。情報が読み取れなくなるため、電話番号や住所などが記載してあるときに有効です。

電子データを破棄する場合、専用ソフトを使いデータを削除する必要があります。ソフトを利用することで、2度と復元できない状態にすることも可能です。保存期間が過ぎ、保管をする必要のない場合、ソフトを使い破棄しましょう。

まとめ

電子帳簿保存法に対応するためには、各書類の保存方法はもちろん、処分の方法も把握しておかなくてはなりません。義務化になるまでには猶予期間が設けられているため、2024年1月までに正しい知識を身に付けておきましょう。

本記事では電子帳簿保存法に関する基本的な情報を紹介しています。義務化になるまでに対処できるようになりたい場合、本記事を参考にしながら、各種書類や電子データなどの保存方法を見直しましょう。

監修者のコメント
仁王さん通り税務会計
税理士 平野和博

1970年熊本市出身。趣味は旅行と食べ歩き。熊本市立高校(必由館高校)卒業。国税局並びに税務署に30年勤務し、50歳で税理士として独立。国税在職中に500件以上の税務調査を経験しているため、あらゆる業界に精通しており、これまでに幅広い業種の問題解決をサポートしている。熊本商工会議所エキスパートバンク講師。

帳簿の保存期間については法律で定められており、次のように規定されております。

法人は、帳簿を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。

また、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。

ですから電子帳簿保存法に関しても同じ取り扱いとなります。また、電子帳簿保存法に対応するためには、各書類の保存方法はもちろん、処分の方法も把握しておかなくてはなりません。詳細な取り扱いにつきましては顧問税理士等にお尋ねされることをお勧めいたします。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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