【アパレル】SWOT分析の事例が知りたい！目的やよくある質問を解説

アパレルにおけるSWOT分析の事例を紹介【事業別】

SWOT分析は企業の強み、弱み、機会、脅威のそれぞれの項目を分析し、自社の強みを活かした戦略を立てる経営戦略です。細かく分析をすることで、弱みを強みに変換したり、ビジネスの脅威だと思っていた状況を機会に変えられます。

アパレル小売業界でも、自社の強みや弱みを見据えて、それぞれの項目を活かした経営戦略を立てることが可能です。

アパレル小売業のSWOT分析

アパレル小売業界での強みや弱みは、当然企業によっても変わってきます。大手企業の実例から、その企業が持っている強みや弱みの実際の戦略事例について紹介します。

必ずしもすべての企業に当てはまる内容ではありませんが、他社の分析を見ることで自社と近い強み、弱みも発見できます。それを元に、自社が置かれている状況を分析し、脅威を切り抜けたり、機会をうまく活用しましょう。

Strengths（強み）

大手のアパレルブランドともなると、自社の商品開発や在庫管理において、品質の高い運営能力を持っています。プロモーションをうまく活用し、ターゲットに自社商品の情報を届ける術をもっているのも特徴です。

大手となれば商品数やカラーバリエーションも豊富に取りそろえており、顧客はより自分の好みにあわせて商品を選べます。材料の仕入価格の交渉に強く、商品1つひとつの価格を抑えることで低価格を実現しています。店舗数も多く、顧客は購入しやすい環境にあります。

Weaknesses（弱み）

大手企業とはいえ、万人受けする商品を作る場合、無難なデザインが多くなります。シーズンで売れ残りが発生した場合、低価格の商品をさらに値下げしなければならず、利益が下がるのも弱みです。

アパレル業界は大手であってもトレンドやその年の天候の影響を大きく受けるため、場合によって在庫を過剰に抱えてしまいます。従業員の労働環境のイメージも悪化するため、世間の印象が悪くなってしまう状況も弱みでしょう。

Opportunities（機会）

大手企業で実用的なデザインの多いアパレルショップです。ゲームやアニメのコラボ企画によって集客が見込みやすくなります。頻繁に商品企画や販売促進もしており、自社の商品を多くの人に知ってもらう機会が多いのも特徴です。

現在は海外にも市場を展開しており、コラボ商品を含めて人気を集めているため、今後も成長機会があるのは、この企業の大きな機会といえます。

Threats（脅威）

海外市場は成長しているものの、労働環境のイメージの悪さから国内の消費は低迷気味です。安くていい物が売りであったものの、中国の製造工場の人件費高騰により、現在の価格を維持するのが難しくなっています。

今までの価格や品質が維持できず、国内の売り上げが落ちてしまう状況は、この企業にとって脅威でしょう。

アパレル小売業のクロスSWOT分析を用いた戦略事例

無難なデザインとはいえ、言い換えれば実用的なアパレルを販売しているということです。人気の高い有名キャラクター、アニメ、ゲームのコラボ商品、なかには有名デザイナ―がデザインしたコラボ商品も出店し、多くの人を惹きつけました。

自社の強みと機会を活かし、定期的にコラボ企画を実施することにより、脅威であった自社の低迷した国内の売り上げアップを実現させました。

アパレルメーカーのSWOT分析

続いては大手アパレルメーカーです。大手の強みはなんといってもそのブランド力や、自社で持っているアプリを駆使した割引などの経営戦略にあります。大手アパレル小売店の子会社でもあり、安くて無難な商品のイメージが強いのが弱みです。

自社の持っている強み、弱みを把握して、機会や脅威に落としこんで、経営戦略を立てていました。

Strengths（強み）

大手アパレル会社のブランド力は、宣伝をする上で大きな強みとなりました。トレンドを重視したファッションを発信することで、自社の大手アパレル小売業界との差別化を図ります。低コストで製品を作成できるのも大きな強みです。

Weaknesses（弱み）

トレンドを重視しても、デザインの悪さが他社アパレルブランドと比較すると目立ってしまうのが弱みでした。安いものを提供しているイメージのせいで、値段の高いいい物が置いていないイメージからの脱却が難しくなっているのも弱みです。

SNSをうまく活用できず、そこからの集客が見込めないのも、近年では大きな弱みです。

Opportunities（機会）

近年、ファッション業界全体で売り上げが上昇している状況のため、アパレル業界にとってはいい機会といえます。あまり購買力が無かった20代から40代の男性の意識も変わり、ファッションを重視する人が増えているのも影響しているでしょう。

ファッション系のSNSも流行し、ファッション業界は追い風が吹いている状況です。

Threats（脅威）

この機会は同時に競合他社にとってもいい機会となり、競合他社の売り上げが極端に増加したのは、自社にとっては脅威です。

SNSを通じて多くのファッションセンスのあるアパレルが注目され、弱みであった服のデザインの悪さが際立っています。ファストファッションを扱わないネット通販の流行も、売り上げ低迷に影響を与えました。

アパレルメーカーのクロスSWOT分析を用いた戦略事例

20代から40代男性の購買力が上がっているため、ターゲット層を20代から40代に絞ったセットの販売などを実施しています。自社で弱みになっていたネット市場にも力を入れつつ、自社の強みである価格の安さを前面に出す戦略に出ました。

自社の服のデザインを理解し、ターゲット層は20代から40代の男性の中でも、服に無頓着な方に絞った売り出しにしています。ファッション業界全体の売り上げアップの波にのりつつ、競合他社との差別化を図ることに成功しました。

アパレルにおけるSWOT分析の目的

アパレル業界においても、SWOT分析は効果的な手段です。自社の置かれている状況を知ることにより、ほかのアパレルメーカーにはない強みや、自社ならではの弱みを客観視できます。

強み、弱みという内面的な環境、機会や脅威という外部環境を知ることにより、自社の強みを活かした戦略が立てられるでしょう。

自社の強みと弱みが明確になる

自社のブランド力の強さも、客観的に見なければ、どの程度影響力があるのか把握できません。SWOT分析をすることにより、自社の持っている強み、弱みを明確にできます。

自社のファッションデザインの悪さが弱みになっている場合、世間からの評判を客観的に見ないといけません。自社の強み、弱みを客観的に見ることによって、他社にはない自社の強みや、競合他社より劣っている部分を明確にできます。

SWOT分析によって経営の機会に自社の強みを活かしたり、弱みをカバーしたりする戦略をたてられます。企業の危機的状況から、強みを活かしてダメージを軽減させたり、弱みを把握して可能な限り不利益を回避したりが可能です。

外部環境を把握できる

SWOT分析を用いて外部環境を分析することで、今のファッション業界の状況が把握できます。インターネットでの購入が意欲的になっていることや、トレンドのファッション性の高い服が注目される動きも見られます。

ファッション業界全体の売り上げアップは、自社の製品を売り出すいい機会といえる反面、競合他社にとってもチャンスです。国内での需要低下や、自社のブランドイメージの低下も、SWOT分析を実施して把握できます。

こうした自社の置かれている脅威的な状況も、客観的に見て把握する必要があります。自社の強みを使ってどのような戦略にするのか、どのようにイメージアップを図るのか、経営戦略を立てましょう。

アパレルにおけるSWOT分析の事例でよくある質問

SWOT分析とは、経営戦略の方法の1つです。基本的にはSWOT分析のみではなく、クロスSWOT分析やほかのフレームワークと組み合わせて分析し、自社にあった戦略を立てていきます。

アパレル業界に限らず、多くの分野で使用できるフレームワークのため、覚えておくとほかの事業にも応用可能です。SWOT分析を実施することによって、自社の強みや弱みが明確になり、既存事業の改善点が見つかります。

訪れたビジネスの機会を強みで生かす以外にも、売り上げの低迷という状況の原因を把握するためにも、大いに活躍するのがSWOT分析です。

SWOT分析とは？

SWOT分析とは、Strength＝強み、Weakness＝弱み、Opportunities＝機会、Threats＝脅威の頭文字から成ります。計画的な経営戦略をたてるためのフレームワークとして、古くから多くの企業で活用されてきた方法です。

自社の持っている長所、主力商品、サービスの強さである、内部環境のプラス要素になるものが強みです。

外的要因には機会と脅威という、自社の置かれている状況が該当します。脅威と弱みは同じように扱われがちですが、自社の力ではどうにもならないのが脅威、努力で改善できるのが弱みです。

SWOT分析を導入するメリットは？

SWOT分析を導入することによって、これまで自社が目を向けなかった部分も客観的に分析するようになり、新たな強みや弱みを発見できます。

自社の持っている強みと弱みを同時に把握することで、強みに対して過度に慢心したり、弱みに対して必要以上に悲観的になったりしません。

自社の持っている強みの活かし方や、弱みのカバーの仕方を考えられ、今後の経営戦略も立てやすくなります。強みだけではなく、弱みも把握することにより、脅威的な状況になった際に、大きなダメージを回避できます。

アパレルにおけるSWOT分析の事例｜まとめ

SWOT分析はアパレル業界においても、自社の経営戦略で役に立つフレームワークです。実際に大手企業のアパレルブランドやメーカーは、SWOT分析を用いて自社の持っている強みを活かし、経営回復を成功させています。

SWOT分析をすることで、自社の業界が置かれている状況を把握し、自社の強みを活かした戦略や、弱みを把握した上で利用する戦略を立てられます。多くの企業で使われているフレームワークです。

アパレル業界に限らず、多くの業種でSWOT分析は活躍しており、戦略も立てやすいでしょう。自社の経営回復を目指す場合、こうした経営戦略のフレームワークを導入し、計画的に戦略を練っていくのがおすすめです。

監修者のコメント

プロフェッショナルマネージャーグループ

代表　岩瀬 好史

大学卒業後、信用金庫で融資と営業を経験。リーマンショックの影響で融資先企業の業績が悪化する中、目の前で苦しむ企業を十分に支援できない自らの力不足を痛感。困っている企業の力になりたいと思い投資会社に転職し、中小企業の事業再生業務に従事。多くの再生案件に携わる中で現場の経営に関わりたいという思いが強くなり、副業で経営コンサルティング事業を開始。その後、視野を広げるために信用調査会社に転職し調査業務を行った後に独立。現在は経営者のパートナーとして、戦略立案・計画策定・資金調達・組織作り・人材育成・実行支援などを中心に、経営課題の解決を支援している。

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以下のようなポイントを押さえると、SWOT分析をより効果的に活用できるようになります。

・強みと弱みは表裏一体在庫を多く抱えることは機会損失を防ぐ観点からはプラス要因ですが、売れ残りのリスクが大きくなるという側面もあります。

・相対評価を意識する定価の設定や値下げのタイミングなどが自社のポジショニングに関わってきますが、同業他社の状況に合わせて随時調整していく必要があります。

・答えを出そうとしないあくまでも「仮説」を立案するためのツールなので、どれだけ時間をかけても「正解」が分かるわけではありません。

SWOT分析は「第三者の立場から内容を評価しやすい」という特徴があるため、融資や補助金などで必要になることも多いです。今後も活用できる場面が広がっていくことが予想されますので、ぜひ一度挑戦してみてください。

執筆者

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