【製造業】SWOT分析の事例が知りたい！目的やよくある質問を解説

製造業におけるSWOT分析の事例を紹介

SWOT分析とは、自社の強みや弱みを可視化し、ビジネスの機会や脅威に対して効率的な戦略を練るためのフレームワークのことです。多くの分野にあてはめて活用することができるため、製造業においても大きな力を発揮します。

SWOT分析の具体的な内容や、戦略事例を観察し、自社にも当てはめられるようにしておくと、適切な戦略を立てることが可能です。

製造販売会社のSWOT分析

製造販売会社は製品の全責任を持っているため、製品の情報を持つことが大きな強みになります。自社のもつ弱点を広い視野で観察していくことで、ビジネスチャンスに対応できる戦略を練ることが可能です。

ビジネスチャンスを活かせると、自社の取り巻く環境から来る危機的状況にも対応できるようになります。

Strengths（強み）

製造販売会社の強みは、自社にしかないパーツを使用した商品を作成し、他社が類似品を作りにくい商品の製造や販売が挙げられるでしょう。

自社で製造することにより、小ロットの製造も可能となるため、必要最低限のコストで製造できるのも大きな強みといえます。大手の製造販売会社であれば、ブランド力や会社が持つ信用、自社の人気商品が会社の強みとなります。

Weaknesses（弱み）

他社部品を使用して商品を製造している場合、部品が入手できなければ当然生産もできなくなります。

特殊な材料を使う場合、専用の機械が必要です。専用機械は扱いが難しく、製造ラインを拡大しようとした際に人材育成に時間がかかるという弱みも新たに生まれます。

Opportunities（機会）

機会は、会社を取り巻くプラスの外的要因を指しています。製造会社であれば顧客が高品質の製品を求めるようになり、価格よりも品質が重視される状況です。

自社で取り扱っている製品と同じジャンルのものが流行していれば、製造ラインを増やし生産量を増やすことで売上増加が見込めます。製品の需要の高まりや、顧客のニーズに応えられる製品開発が可能かどうかもチェックしましょう。

Threats（脅威）

製造販売の脅威は、他社が高品質の類似製品を低コストで販売しはじめることや、材料費や光熱費が上がることです。

2023年現在、電気やガスなどのエネルギー料金は高騰している状況です。光熱費が上がることにより製造コストも上がるため、同じクオリティのものを同じ値段で提供するのが難しくなるでしょう。

製造販売会社のクロスSWOT分析を用いた戦略事例

自社の強み、弱みを自覚した上でビジネスに活かせる機会の戦略を立てます。顧客の品質重視の需要にあわせて、より自社の製品をブラッシュアップさせる選択が可能です。

トヨタ自動車では、軽自動車の開発が弱みでしたが、脅威となる他メーカーと協力することで軽自動車の開発製造に取り組みました。

製造会社のSWOT分析

SWOT分析を行うと、自社の強みや弱みを客観的に見ることができ、より具体的に分析することが可能です。

強み弱みの具体的なものが見えると、売り出す機会や社会情勢が影響してくる脅威に対応できるようになります。

Strengths（強み）

製造会社の大きな強みは、自社の製品や製造ラインです。たとえば自社が使用している特殊な素材の加工に必要な専用機械を、所持している小ロットでも生産が可能です。

特許を取得している他社が真似できない部品を製造することは、大きな強みになります。他社に類似品を作らせない製品を生み出すことは、製造ジャンルに問わず強みになります。

Weaknesses（弱み）

自社にしかない技術や特殊な機械を扱うと、人材の教育にも時間がかかります。人材確保がしにくいという弱みに直結するため、自社唯一無二の技術や機械がある場合は注意が必要です。

材料を特定の1カ所からしか購入していない場合、何かしらの理由でラインが止まれば当然材料の確保が難しくなります。特殊すぎる素材の製造はそもそも受注数が少なく、収入が安定しなくなるという弱みがあります。

Opportunities（機会）

世間の動きで自社の製品の需要が増えて、自社の製造に力を入れている部分で需要が高まっていれば大きなチャンスとなります。高品質を求めるユーザーが多くなり、高度な技術が求められるようになれば自社の強みを活かせる機会となるでしょう。

Threats（脅威）

製造会社であげられる脅威は、製造コストが上がることです。製造に必要な材料費の値上げもありますが、機械を動かすための電気料金、ガス代や水道料金も製造コストの一部です。

2023年現在、エネルギー価格は高騰しており、製造コストの値上げは避けては通れません。世間が品質よりも価格の安さを重要視するようになれば、どれだけいい製品を製造できても、ローコストで製造できる会社には負けてしまいます。

製造会社のクロスSWOT分析を用いた戦略事例

製造会社でSWOT分析を用いる場合、強みと機会、弱みと機会、強みと脅威、弱みと脅威のように、それぞれ組みあわせて戦略を考えます。

戦略事例として、アイリスオーヤマは大手家電メーカーに勤めていて早期退職した人材を自社に集めました。有識者が集まることで、高度な技術開発がすぐに可能となり、新たな市場を生み出すことに成功しています。

製造業におけるSWOT分析の目的は生産性の向上

製造業でSWOT分析をすることにより、客観的に自社の生産性を見つめられます。自社の弱点をどのように修正することでより効率的に仕事がこなせるか、活かせていない強みをどの場面で使えばよいのかが明確になるでしょう。

生産性が向上されると、以下の状況も解決しやすくなります。

人手不足の解消につながる

特殊な機械を必要とする製造業の場合、人材育成や人材確保が難しくなります。

すでに経験のある人間を雇えば、簡単に解消されます。大手家電メーカーや、大手製造ラインで働いていた早期退職者の方が増えていれば、機会を逃さずに求人を出すことで解消することが可能です。

作業形態を見直す

SWOT分析で自社の弱みを見つめ直してみましょう。今効率が悪い部分はどこなのか、作業形態の見直しをどこにするべきなのかがわかります。

リモートで対応できる部分はリモートで対応し、製造ラインの無人化させることで、効率化を図れます。さらに人材不足の解消にも期待できます。

IT化できる部分をIT化することで、業務効率をアップするだけではなくセキュリティ管理にも対応することができます。

SWOT分析に関するよくある質問

SWOT分析に関するよくある質問に回答してます。SWOT分析は多くの分野で利用され、営業戦略を立てる際に利用されています。

SWOT分析とは？

SWOT分析とは、経営戦略を考える際に活用できる分析方法の1つです。Strengths（強み）、Weakness（弱み）、Opportunities（機会）、Threats（脅威）、それぞれの頭文字をとって名づけられました。

自社の強みや弱みを客観的に見つめ、周囲の環境、外的要因から来るチャンスや脅威をどのように利用するのか戦略を立てるフレームワークです。

SWOT分析を導入するメリットは？

SWOT分析の強みは、必要な情報を可視化できることです。具体的には以下のメリットが挙げられます。

自社の強みと弱みを客観的に知ることができる

SWOT分析では自社の強み、弱みを分析して書き出します。自社製品や製造ラインの強みを改めて自覚し、自社で抱えている弱みを再認識することも可能です。

小さな強みでも、訪れるビジネスチャンスによっては大きな強みにもなるため、細かいことに気が付くいい機会になります。普段見ない部分に注目するのは、経営戦略を立てる上で大きなメリットを生み出します。

自社の強みを活かした戦略を立てやすくなる

製造業の場合、自社の製造ラインを活かしたり自社の技術を他社に売り込んだりと、さまざまな戦略が挙げられます。自社の強みに注目することにより、活かせる機会を逃すことなく、生産性のアップも可能です。

自社の強みを最大限に活用するには、内部要因だけではなく、外的要因にも目を向けて戦略を練ることが重要です。

弱点のカバーや危機的状況の回避にもつながる

製造にコストがかかる、人材確保が難しいなどの危機的状況では、自社の製造ラインをIT化させるかどうかの判断も可能です。IT化で効率化できるのか、IT化よりも効率化できる方法はないか、と戦略を立てられます。

弱点をカバーし、会社が置かれている危機的状況に対応できるのも、SWOT分析のメリットと言えます。

製造業におけるSWOT分析の事例｜まとめ

SWOT分析は製造業において、自社の製品や製造ラインに限らず、抱えている技術者の強みや人員確保の難しさなどをあらためて見ることができます。

自社の置かれている状況を客観的にみてみましょう。強みをどのように活かすのか、弱みをいかにカバーするのかという戦略思考にも使えます。

すべてをSWOT分析にあてはめることはできませんが、リスクを回避しつつビジネスチャンスを逃さないようにする方法として非常に優秀です。シンプルに考えながら業務を進めることが可能なため、自社の経営に悩んだ場合はぜひ導入してみてはいかがでしょう。

監修者のコメント

プロフェッショナルマネージャーグループ

代表　岩瀬 好史

大学卒業後、信用金庫で融資と営業を経験。リーマンショックの影響で融資先企業の業績が悪化する中、目の前で苦しむ企業を十分に支援できない自らの力不足を痛感。困っている企業の力になりたいと思い投資会社に転職し、中小企業の事業再生業務に従事。多くの再生案件に携わる中で現場の経営に関わりたいという思いが強くなり、副業で経営コンサルティング事業を開始。その後、視野を広げるために信用調査会社に転職し調査業務を行った後に独立。現在は経営者のパートナーとして、戦略立案・計画策定・資金調達・組織作り・人材育成・実行支援などを中心に、経営課題の解決を支援している。

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以下のようなポイントを押さえると、SWOT分析をより効果的に活用できるようになります。

・強みと弱みは表裏一体熟練した技術者がいること自体はプラス要因だと考えられますが、技術の承継や育成が進んでいなければ、長期的にはマイナス要因とも考えられます。

・相対評価を意識する最新の生産設備を導入したとしても、オーバースペックであったり同業他社と同程度の性能であれば、差別化の効果が現れにくいかも知れません。

・答えを出そうとしないあくまでも「仮説」を立案するためのツールなので、どれだけ時間をかけても「正解」が分かるわけではありません。

SWOT分析は「第三者の立場から内容を評価しやすい」という特徴があるため、融資や補助金などで必要になることも多いです。今後も活用できる場面が広がっていくことが予想されますので、ぜひ一度挑戦してみてください。

執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。