自己資本とは?他人資本・純資産との違いや3つの項目を解説

竹中啓倫税理士事務所
監修者
竹中啓倫税理士事務所 税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
最終更新日:2023年07月27日
自己資本とは?他人資本・純資産との違いや3つの項目を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 自己資本を基礎から知りたい
  • 自己資本から何がわかる?

自己資本とは、会社の資産総額から負債総額を引いた金額を指し、経営状況を判断するための重要な材料となります。

この記事では、自己資本が何かわからず困っている方に向けて、経営に必須の自己資本と3つの項目を解説します。記事を読み終わった頃には、自己資本の項目・自己資本による経営状況の判断方法がわかるでしょう。

「自己資本はどのように計算されるのか知りたい」「自己資本から自社の財務状況を把握して経営に活かしたい」とお悩みの方はぜひ参考にしてください。

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自己資本とは

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自己資本とは、会社の資産総額から負債総額を引いた金額です。会社が所有する純資産であり、株主によって提供された資金や過去の利益を含みます。

基本的には自己資本比率が高いほど、企業は財務的に安定していると見なされます。自己資本が過度に多い場合、企業の成長や拡大に必要な資金を調達する際に制約を受ける可能性があるため、バランスを保つことが必要です。

自己資本は企業の健全性や経済的な安定性を評価するための重要な指標です。他人資本・純資産との違いを以下で解説します。

  1. 他人資本との違い
  2. 純資産との違い

1. 他人資本との違い

他人資本とは、会社が借り入れをし、債務を持つことによって得られる資金です。 自己資本とは異なり、他人資本は返済義務を伴います。

借入金や長期債務が他人資本に含まれます。

自己資本の返済が必要でない理由とは?

自己資本は企業の所有者(株主)が出資した資金や過去の利益から成り立っており、負債ではないためです。株主は出資した資本を返済する必要はありません。自己資本は企業の資産として永久に残り、企業の安定性や成長の基盤となるでしょう。

2. 純資産との違い

純資産とは、企業の全ての資産から負債を差し引いた金額です。つまり、企業が自己所有している正味の資産の総額を示す指標であり、自己資本とも呼ばれます。

自己資本は企業の所有者による出資を示し、純資産は企業全体の資産に対する純利益を反映します。 純資産は、企業の経済的な安定度と財務的な健全性を測る上で重要な尺度となるでしょう。

自己資本の3つの項目

自己資本は株主から受け取った資本金や、会社が設立されてから儲かって余っている利益剰余金、資本剰余金の3種類が存在します。

  1. 資本金
  2. 資本剰余金
  3. 利益剰余金

3つの項目は、企業の財務報告書やバランスシートに記載され、企業の自己資本の構成要素として重要な役割を果たします。

1. 資本金

資本金とは、企業の設立時や増資時に株主から出資された金額を指します。 株主が会社に出資した額を元本として、企業の運営に使用されます。

資本金は株主による出資を表すため、企業の初期資金として重要な項目です。十分な資本金があれば、業務継続や予期せぬ出費にも対応しやすくなります。株主や投資家に対しても企業の経営方針や成長戦略を具体的に示すことで、投資への信頼を高める助けとなります。

2. 資本剰余金

資本剰余金は、株主の出資額と実際の株式の発行価格との差額を表します。 資本剰余金は、資本金を超えて株主からの出資があった場合に生じる金額を指します。

3. 利益剰余金

利益剰余金は、過去の純利益から株主への支払いを除いた、未配当の利益を示します。企業が過去に稼いだ利益から株主への配当や資本剰余金への積み立てを差し引いた残りの利益です。

利益剰余金は企業の成長や再投資に役立つ資金として活用されます。

自己資本比率とは

自己資本比率とは、企業にとって返済義務のないお金の比率を示す指標です。 具体的には、企業の自己資本を総資本(自己資本と他人資本の合計)で割り、百分率で表したものを表します。

自己資本は、株主による出資や過去の累積利益など、返済の必要がない資金を指します。 自己資本比率が高いほど、企業は自己資本によって運営しているため、財務的なリスクは低く安定性が高いです。

自己資本比率の計算方法

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自己資本比率は以下のように計算されます。

自己資本比率 = (自己資本 / 総資本) × 100

自己資本は、企業の資産総額から負債総額を引いた金額です。 総資本は、自己資本と他人資本(負債)の合計です。

自己資本比率が高いほど、企業は自己資本によって運営しており、財務的なリスクが低いと判断できます。

自己資本比率による経営状況の判断方法

自己資本比率をもとに経営状況をある程度判断できます。 一般的に、自己資本比率が30%以上であれば健全とされますが、業種や企業の特性によって適切な割合は異なります。

自己資本比率が20%未満となる場合、企業の負債依存度が高いことを示し危険です。経営者は自己資本比率を注意深くモニタリングし、財務の健全性を確保するための対策を講じる必要があります。

【業種別】自己資本比率の平均一覧

自己資本比率の業種別平均を紹介します。

一般的にサービス業は、設備投資により自己資本を集めにくいため、自己資本比率が低くなりやすいです。30%程度で経営状況は良好といえますが、やみくもに「30%以下だから経営が良くない」と判断するのは早計です。

「平成30年中小企業実態基本調査」から、業種によって黒字経営をしている企業はどのくらいの自己資本比率なのかを計算した表を掲載します。

建設業 39.5%
製造業 45.6%
情報通信業 58.6%
運輸業、郵便業 36.3%
卸売業 38.3%
小売業 36.7%
不動産業、物品貸借業 32.7%
宿泊業・サービス業 14.4%
サービス業(上記に該当しないもの) 44.9%

情報通信業(IT系企業)などは商材的に流動的な資産が多くを占めるため、自己資本比率の黒字平均は50%を超えます。自分の企業はどのレベルに該当するのか確認してみましょう。

まとめ

自己資本とは企業の資産から負債を引いた金額を指します。自己資本比率は業種によるものの30%程度があれば健康的な経営ができている企業と判断できるでしょう。

財務諸表を読み解くにあたって、自己資本への理解は何よりも必要になってきます。

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監修者のコメント
竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

自己資本は返済不要のものになりますので、返済が必要な他人資本と比べ、会社を存続していくうえで安全なものといえます。他人資本が多いと返済のための資金繰りを心配しなければならず、安定した経営が難しくなります。

ただし、自己資本ばかりで調達することが必ずしも良いとは言えません。他人資本、例えば借入金の場合ですと、支払利息を支払わなわなければなりません。経費が増えることになります。

一方、自己資本、例えば資本金の場合ですと、会社は利益を出して、その利益を基にした配当金で支払う必要が出てきます。一般的に言って、他人資本より自己資本のほうがコストは大きくなります。

また、資本金=出資をしてもらう ことは株主として会社に口出しをできる権利が発生します。そのことも考慮に入れる必要があります。会社の儲けを見る場合、利益を見ることが多いですが、自己資本でどれだけの利益を生んでいるか(ROE)なども会社を評価する指標になってきます。

安全というだけで、自己資本を積むのがいいのかは、考える必要がありそうです。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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