アジャイル開発を得意とするシステム会社の選び方

アジャイル開発の導入を考えている企業が、開発会社を選ぶ際には以下のポイントに着目すると良いでしょう。

アジャイル開発の経験と実績を確認しましょう。アジャイル開発は特有のフレームワークや方法論を持つため、経験と実績は重要な選択基準となります。

アジャイル開発の特徴である「柔軟な対応力と迅速なフィードバック」ができることも重要です。変化に強く、短期間での改善・リリースを実現できる体制が整っている会社が望ましいです。

良好なコミュニケーションとサポート体制が整っているかも確認しましょう。アジャイル開発はステークホルダーとの密なコミュニケーションが必要なため、重視すると良いでしょう。

アジャイル開発の費用相場

アジャイル開発は顧客ニーズに迅速に対応するための手法です。費用はプロジェクト規模や要件によりますが、以下の具体的なケースで解説します。

小規模なWebアプリケーション開発にはおおよそ数10万円から数100万円程度が一般的です。フレームワークの選択や必要な機能数が主な費用要因となります。

大規模なシステム開発では数100万円以上が見込まれます。技術要件の複雑さや開発期間が費用を左右します。

アジャイル開発の主な手法

アジャイル開発は主に3つの開発手法にわけられます。

各手法の違いを理解しておくと、システム開発会社が選びやすくなるでしょう。

スクラム

5〜9人のチームを組み、設計〜テストまでを繰り返す開発手法です。プロダクトオーナーやスクラムマスター、開発メンバーの3つに役割を振りわけます。チームメンバーはスプリント（イテレーション）と呼ばれる固定期間ごとに、指定されたタスクを完了させる流れです。

スクラムはメンバー間でのコミュニケーションを重視しています。開発の進捗状況や課題に関して、常にメンバー同士が情報を共有しており、開発効率を落とさず仕様変更への柔軟な対応が可能です。

反面、決められたタスクを期限までに終わらせなければなりません。遅れるとスケジュール全体に影響がおよぶため、開発経験が豊富な方でないと、チームが機能しないでしょう。

ユーザー機能駆動開発

ユーザー機能駆動開発とは、ユーザーにとって価値ある機能から優先的に開発を進めていく手法です。ユーザーの業務プロセスやビジネスモデルを把握したうえで開発の全体像を描き、必要な機能を可視化していきます。

機能を洗い出したあとは、優先順位が高い機能ごとに設計〜単体テストまでを繰り返す流れです。機能ごとの開発サイクルは最長2週間で、早い場合は1〜2日で次の機能開発へ移ります。

機能単位で開発を進めていくため、システム・アプリの完成度を高めやすく、大規模開発案件にも対応しやすい点が特徴です。反面、ユーザーニーズの把握に時間がかかると、納期遅延の可能性が高まります。

エクストリーム・プログラミング

エクストリーム・プログラミングは、開発途中での仕様変更を前提とした開発手法です。以下5つの価値基準を重視しています。

要件定義では細部まで仕様を詰めません。設計〜テストを繰り返し、テストの結果やユーザーからのフィードバックを取り入れながら、仕様を徐々に固めていくかたちです。

優先順位が高い機能から開発工程を進めていくため、開発工数を削減しつつシステムの完成度を高められます。反面、ユーザーとのコミュニケーションが上手くいかないと、開発費の高騰と開発期間の長期化を招きます。

システム開発会社にアジャイル開発を依頼した際の費用

アジャイル開発の費用は、開発規模やシステム開発会社のスキル、使用ツールなどによって、大きく変動します。

中規模のWebシステムをアジャイル開発で開発した場合、開発費は少なくとも1,000万円ほど必要です。実装する機能が多い場合、仕様が複雑な場合は、5,000万円前後まで費用が高騰する可能性があります。

開発費用を抑えるには、必要な機能や要件を明確化し、不要な作業を減らすことが重要です。人件費やコミュニケーションコストの削減によって、無駄な費用の発生を避けられます。

システム開発会社の選定前に整理すべき3つのポイント

引用：pixabay

システム開発者の選定に移る前に、以下3点の内容を整理しておきましょう。

アジャイル開発以外の開発手法に関して、事前に特徴を理解しておくことが重要です。案件内容や開発規模によっては、アジャイル開発以外の開発手法が向いている可能性があります。

アジャイル開発の特徴を理解しておく

アジャイル開発は、設計〜リリースまでの工程を機能単位で繰り返す開発手法です。一連の流れはイテレーションと呼ばれ、1回のイテレーションは最長2週間までに設定されます。

開発工程は優先順位の高い機能から開発を進めていき、リリースを繰り返してシステム全体の完成度を高めていきます。

開発途中での機能追加や仕様変更に対応できるよう、要件定義では細部まで仕様を固めません。仮に仕様変更や修正が発生しても、手戻りの影響を最小限に抑えられます。

反面、進捗状況の把握が難しくなるため、大規模な開発案件には向いていません。システム・アプリ開発に慣れていない方、開発スピードを重視している方に適した手法です。

他の開発手法との違いを理解する

アジャイル開発以外に、システム開発では主に3つの手法があげられます。

各開発手法の特徴を以下の表にまとめました。

ウォーターフォール開発は、要件定義〜リリースまでを順番にこなしていく開発手法です。スケジュール管理がしやすく、大規模な開発案件に適しています。

プロトタイプ開発は試作機の動作検証を通じて、システム全体の完成度を高めていく手法です。スパイラル開発は、要件定義〜テストまでを機能単位で進めますが、アジャイル開発と異なり、テストが終わっても機能単位ではリリースをしません。

開発内容によってはアジャイル開発よりも、上記いずれかの開発手法が適している可能性があります。事前に検討しておきましょう。

ソフトウェア開発の4つの手法｜メリット・デメリットを徹底解説

プロジェクト内容とアジャイル開発の相性を確認する

仕様が完全に固まっていない案件、開発の優先度が定まっていない案件に、アジャイル開発が適しています。アジャイル開発はいずれの開発手法も、開発途中での仕様変更を想定している点が特徴です。

テストの結果やユーザーのフィードバックを取り入れながら、全体の仕様を固めていきます。機能単位で開発工程を進めていくため、機能追加や仕様変更が生じても、納期への影響を受けにくいです。

反面、全体の方向性がブレやすいため、大規模な開発案件には適していません。ある程度仕様が固まっている場合は、ウォーターフォール開発の方が適しています。

アジャイル開発に強いシステム開発会社の選び方

以下4点を意識し、アジャイル開発が得意なシステム開発会社を選びましょう。

内容を1つひとつみていきます。

得意分野と実績を確認する

アジャイル開発への対応可否と開発対象の実績を確認しておくことが重要です。プロトタイプ開発やウォーターフォール開発など、別の開発手法を得意としている企業も少なくありません。

基幹システムや在庫管理システムの開発など、システム開発会社によって得意分野は異なります。アプリ開発を含め、すべての分野のシステム・アプリ開発を得意とする企業はほとんどありません。

自社の要望を最大限反映するには、開発対象とアジャイル開発、双方を得意としている企業を選ぶ必要があります。

RFPを提出する

RFP（Request for Proposal）とは、アジャイル開発に関する自社の要望をまとめた提案依頼書です。開発手法を問わず、システム・アプリ開発の際に発注側から受注側へRFPを提出します。RFPに記載する主な内容を以下にまとめました。

RFPを提出するメリットは、外注先と共通認識を持ちやすい点です。開発の進め方に関する要望を書面で伝えられるため、口頭での伝達ミスによる手戻りや修正作業の発生を避けられます。

RFPの完成度が高いほど、見積金額の正確性や提案の質が高まるため、作成には十分な時間を割きましょう。

複数のシステム開発会社から見積を取得する

1社からしか見積を取得しなかった場合、見積金額の相場や提案の質の高さを正確に見極められません。必要以上に多額の開発費を支払うだけではなく、課題解決に至らない可能性が生じます。

多額の開発費を無駄にしないよう、5社前後システム開発会社を事前に選んでから、絞り込みをしましょう。アジャイル開発に関する実績の有無を1社ずつ確認するのは大変な作業です。

外注先を効率的に見つけるためにも、ビジネスマッチングの活用を検討しましょう。「比較ビズ」を利用すると、約1,000社のなかからアジャイル開発に強いシステム開発会社を見つけられます。

担当者との相性を確認する

コミュニケーションを取りやすい担当者を選ぶことが重要です。情報共有がしやすい担当者だと、疑問点やトラブルが発生しても早期解決が望めます。意図を汲み取る意識の低い担当者の場合、自社の要望を伝えるために何度もやりとりを重ねなければなりません。

最悪の場合は意図と反したシステム・アプリが完成し、納期遅延や追加費用の発生を招きます。自社にあった担当者を見極める方法の1つは、専門用語をわかりやすい言葉で解説してくれるかどうかです。

専門用語を多用する方、費用やスケジュールに関する説明が曖昧な方への依頼は避けましょう。発注後にトラブルを招く可能性が高まります。

アジャイル開発に強いシステム開発会社を探している方は、ぜひ「比較ビズ」の利用を検討してください。

【柔軟な対応】アジャイル開発が得意なシステム開発会社11選

参照元：株式会社エイブリッジ

• 日本国内での開発費用やエンジニア不足などの課題解決
• IT人材育成に力を入れアジアのIT人材・育成も目標
• 国内外の各拠点で農業事業も展開し各事業が架け橋

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参照元：Sky株式会社

• パッケージソフトの開発に強み
• 提案から保守までをワンストップで対応
• クライアント運用管理ソフトウェアの開発も得意

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参照元：株式会社アジャイル開発

• 各種ホームページ制作・構築・スマホアプリ開発に強み
• ソフトウェア開発・基幹系業務システム開発なども実施
• 適宜システムエンジニアを常駐させ運用支援に対応

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参照元：ミロ・ジャパン合同会社

• すべての作業を1つのボードに集約
• アジャイルワークフローを強化
• 生産性の高いスクラムイベントを開催

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参照元：株式会社ヴェス

• アジャイル開発の第三者検証の重要性を熟知
• 蓄積した検証スキルで問題点を明確にし改善提案
• IVECの最高位レベル5取得者が第三者検証

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参照元：住友電工情報システム株式会社　

• ウォーターフォール式・アジャイル開発融合のメソッド
• アジャイル方式の可逆性や柔軟性を加え日本式に最適化
• 総合テストや受入テストを実施し安定したシステム開発

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参照元：トラスティア株式会社

• 利益拡大・業務効率化・コスト削減への提案
• アジャイル方式でプロジェクト企画からワンストップ受託
• 特殊用途向けなどシステムインテグレーションが得意

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参照元：スパイスファクトリー株式会社

• 常識を覆す新しいスタイルで定額制のアジャイル開発
• 短期間のリリース・改善で高品質アジャイル開発
• 最新テクノロジー・技術・メソッドでDXを後押し

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参照元：株式会社アジャイルシステム開発

• ユーザー視点から幅広いニーズに応える開発体制が目標
• ノウハウや技術力で幅広いニーズに応えるシステム開発
• 高品質のシステムを短納期・低コストでの提供が可能

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参照元：株式会社デジタルフォルン

• 機械設計をルーツし60年の歴史の中で事業拡大
• DX推進の代表的なソリューションを活用した業務改善
• スペシャリストが顧客嗜好変化へ柔軟に対応できる開発

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参照元：株式会社アジャイルウェア

• 企画・計画・実装・テストなどの反復型アジャイル開発
• アジャイル開発により急変する市場ニーズに迅速に対応
• 開発から運用保守までの支援体制で最新ビジネスに適応

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【実績が豊富】アジャイル開発が得意なシステム開発会社8選

参照元：BeeComb Grid

• 研究やプロダクト開発の豊富な実績
• 活用アドバイザーなどのサービスを提供
• 導入支援や経営への活用方法もサポート

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参照元：株式会社ジェーエムエーシステムズ

• 創業以来多くの情報システムを提供
• 多くのビジネスを支援
• 最先端で最適なソリューションを提案

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参照元：NTTテクノクロス株式会社

• コールセンター業務の品質と顧客満足度アップ
• 業務の効率化を強力にサポート
• 自社開発の特権ID管理ツールは高いマーケットシェア

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参照元：株式会社クレスコ

• システム界大手老舗企業でアジャイル開発の確かな実績
• 最新技術と実績・経験を生かすITソリューション
• 独自のスキルを保有し安定した成果を期待できる会社

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参照元：富士ソフト株式会社

• スクラム開発手法の有資格者が有効な解決方法を提案
• プロダクトオーナー、スクラムマイスターが力を発揮
• 依頼者の意向をダイレクトに反映し高度なシステム開発

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参照元：株式会社アジルコア

• ソフト開発からクライアントにあったソリューション
• 多彩な手法・環境を使い分けることで最大の効果を発揮
• ERPソリューションからWeb・制御系アプリまで対応

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参照元：ウルシステムズ株式会社

• システム開発から経験を積み主にアジャイル開発に実績
• アジャイル開発手法を駆使しプロジェクトのゴール到達
• システムリリース後も運用をサポートし問題点の改善

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参照元：アイレット株式会社

• 高品質ITソリューションワンストップ提供No.1
• 社会に安心や価値を提供し新たな未来の実現に貢献
• 技術と探求心で「できない」を「できるに」の哲学

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【スピーディーな対応】アジャイル開発が得意なシステム開発会社2選

参照元：株式会社ソルネット

• アジャイル開発改善版の超高速開発手法JBアジャイル
• 高品質なシステムを脅威の開発スピードで実現
• 基幹システム構築などの大規模開発を含む多数の実績

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参照元：サン・エム・システム株式会社

• アジャイル開発に注力し認定スクラムマスター資格保有者在籍
• 変化の激しい市場ニーズに対応できるスピード感ある開発
• 既存システムをスピード感ある変化対応型に改善

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【丁寧なコミュニケーション】アジャイル開発が得意なシステム開発会社2選

参照元：ダイレク・コンサルティング株式会社

• 必要な物を誰よりも速く提供しクライアントの競争優位
• 経営とITの融合を図り密なコミュニケーション重視
• アジャイル開発のメリットで人間中心のシステム構築

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参照元：株式会社Odd-e Japan

• アジャイル・スクラムの実践経験ほか豊富な実績
• 開発の早い段階から最適プランでビジネス成功をリード
• クライアントともに喜びをわかち合えるアドバイス

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まとめ

今回の記事では以下の4点に関して述べてきました。

アジャイル開発が得意なシステム開発会社を見つけるには、得意分野や開発実績など、多くの点を確認しなければなりません。担当業務や企業経営が忙しく、各企業の調査に十分な時間を割けない方もいるでしょう。

社内リソースに不安を抱える場合は「比較ビズ」を利用するのがおすすめです。「比較ビズ」を利用すると、必要事項を入力する2分程度で条件にあった企業を見つけられます。サイトの利用や見積依頼を無料でできる点も魅力です。

監修者のコメント

TechCIDA

代表　甲斐稔章

新卒でソフトバンク株式会社に入社。国内の法人向けバックボーンネットワークの保守・運用をメインに部署の品質管理、全国の部材整備業務を実施。その後ベンチャー企業にてPMO・インフラ担当としてAWSを用いたシステム・アプリ開発に従事。オンプレミス・クラウド環境両方を得意としたインフラエンジニアとして活動。現在は地元に戻りフリーランスエンジニア兼子ども向けプログラミング教室の運営を行う。

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アジャイル開発はウォーターフォール開発と比較すると仕様変更に柔軟でスピーディーな開発が可能な手法となります。

また、アジャイル開発にもスクラム・XP（エクストリームプログラミング）・FDD（ユーザー機能駆動開発）・LSD（リーンソフトウェア開発）・カンバンなど複数の方式が存在します。 それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、開発規模や仕様の確定状況・自社担当者のスキルやスケジュールなどを鑑みて選ぶと良いでしょう。

複数手法を組み合わせて開発することも可能です。どの手法を選べばよいか分からない方は開発会社へ相談してみることをおすすめします。

執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。