BASE類似サービス開発で必要な13の機能|費用やポイントも解説
- BASEのようなサービスを作るのに必要な機能は?
- BASEの開発にかかる費用は?
- BASEが人気を集めている理由は?
「BASEのようなECプラットフォームを作りたい」という方必見。
BASEに類似したサービスを開発し成功させるためには、機能を見極めて費用感を把握したうえで進めることが重要です。本記事ではBASEのようなECサイトに必要な機能や開発費用の目安、BASEとの差別化方法などを解説します。
最後まで読めば、サービスを成功させるポイントや利用者に支持される設計方法がわかるでしょう。
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ECプラットフォームサービス「BASE」とは?
参照:BASE(ベイス)
「BASE (ベイス)」はBASE株式会社が運営するECプラットフォームサービスです。Web制作の専門知識がなくても無料で簡単にネットショップを開設できる手軽さが人気を集め、2023年4月時点で190万以上のショップが出店しています。
手軽さだけではなくショップの売上を最大化するための機能も特徴です。ノウハウがない状態で初めてECに参入する小規模事業者も愛用しています。
BASEのビジネスモデル
BASEはショップ運営者に対して課金する手数料型のビジネスモデルです。BASEには主に2つの手数料があります。
- ショップ売上に応じた手数料
- 上位プランの月額利用料
ひとつずつ下記で解説します。
ショップ売上に応じた手数料
BASEの収益源の1つ目は、ネットショップの売上に応じた手数料です。BASEではプランに応じて手数料が設定されています。
サービス利用料 | 決済手数料 | |
---|---|---|
スタンダードプラン | 0.03 | 3.6%〜 |
グロースプラン | なし | 2.9%〜 |
グロースプランはショップが成長したら推奨されるプランで、スタンダードプランより売上に応じた利用料・手数料が安く設定されています。
「よいショップを作り商品が売れれば売れるほど嬉しい」という方向性を、BASE運営とネットショップ運営者が共有できるビジネスモデルです。
上位プランの月額利用料
BASEの収益源の2つ目は、上位プラン(グロースプラン)の月額利用料です。スタンダードプランは月額無料ですが手数料は高いです。毎月の売上が大きいショップ向けに、月額利用料がある代わりに手数料率を下げたプランがグロースプランです。
月額利用料 | 売上に応じた手数料 | |
---|---|---|
スタンダードプラン | 0円 | 6.6%〜 |
グロースプラン | 5,980円 | 2.9%〜 |
毎月売上17万円以上のショップ運営者にはグロースプランがお得になるため、固定費が発生するとはいえデメリットばかりではありません。
BASE デザインマーケット(Webデザインテンプレート)やBASE Apps(機能拡張アプリ)などの有料カスタマイズもあります。BASE運営側とユーザー側がwin-winになることを追求し、マネタイズの幅を広げることに成功した仕組みです。
BASE類似サービス開発に必要な13の機能
BASEのようなECプラットフォームサービスの開発に必要な機能は次の13種類です。
サービス開発では、まず利用ユーザーにあわせて機能のグルーピング後、必須かどうかを判断して実装内容を決める流れとなります。
下記では、Webブラウザのみでの利用を想定した場合、必要な機能の概要を解説します。スマホアプリでも利用できるようにする場合は、ショップ側の機能を二重に開発するイメージです。
1. ショップ管理
ショップ運営者が、ショップの開設やカスタマイズを行うために必要な機能です。おおまかに次の要素で構成されます。
- ショップ情報登録/メンテナンス
- ログイン
- ショップ作成
- ダッシュボード
- デザイン
BASEのようなECプラットフォームを利用するユーザーの多くは、Web制作に詳しくない事業者です。わかりやすく直感的に操作できるショップ管理機能を開発することが、ユーザー増加・収益安定の第一歩といえます。
2. 商品管理
BASE開発に必要な2つ目の機能はショップ運営者の商品管理です。商品の情報や価格、画像などを入力して商品一覧に反映させられるようにします。在庫数の表示や販売の停止や終了、再開などの切り替えも必要でしょう。
商品をカテゴリ分け可能にしておくと、ショップ運営者・購入者ともに商品が探しやすくなります。
3. 注文管理
購入者からの注文情報を受け付けて、出荷を行うための機能です。着荷の確認・登録によって、取引の完了から購入代金の支払いまで自動で実行可能にできると、ショップ運営者の利便性が高まります。
運送業者とのシステム連携機能を追加できれば、着荷の完了を自動的に反映する実装も可能です。
4. ショップ運営
商品販売に関連する基本的な機能以外に、ショップ運営に必要な機能も開発が必要です。たとえば下記の機能が挙げられます。
- 入金/返金管理
- 販促管理
- 記事投稿
- 外部機能連携
入金確認やキャンセルによる返金対応を行うための機能は必須です。一方で記事投稿や外部連携などの機能がなくても、最低限の形でショップを運営できます。
機能が増えるほど開発費用が高くなるため、必要な要件の見極めが重要です。
5. ユーザー登録
ECサイトに訪問する購入者向け機能の1つ目は、アカウント情報を登録・管理するためのユーザー管理です。ユーザー管理では下記の情報を登録・修正できるようにします。
- ユーザー名
- ログインID/パスワード
- 配送先住所
- クレジットカード情報
ユーザー自身が登録した情報だけではなく購入履歴や買い物状況なども確認できるようにすると、信頼度や利便性が高まります。
6. 商品購入
ECサイトの利用者が欲しい商品やショップを探し、購入するために必須の機能です。エンドユーザーからもっともよく見える部分であり、売上にも大きく影響するため操作性を重視しつつ機能を開発します。
具体的には下記の機能が必要です。
- ショップ検索
- 商品検索
- 注文入力
- 注文状況確認
- 関連商品表示
関連商品の表示(レコメンド)は、クロスセルによってサービスを利用する、ショップ全体での売上を伸ばすために欠かせない機能です。ビックデータの分析や活用など通常のWeb制作とは異なる仕組みが必要であり、実装には大きな費用がかかる場合があります。
7. ユーザー管理
プラットフォーム運営者に必要な機能の1つ目はユーザー(購入者)の管理です。利用に問題のあるユーザーや不審なユーザーなどのコントロールに利用します。
健全なプラットフォーム運営のために欠かせない機能であるため、かならず実装しましょう。
8. ショップ管理
ショップを管理する機能も必要です。問題のあるショップ運営者や商品に取引停止・アカウント停止などの対応を行うための機能を開発します。
チャットでショップをサポートできる機能もあるとよいでしょう。
9. 取引管理
取引を円滑に進めるための機能も必要です。具体的には次の機能が挙げられます。
- 注文情報管理
- 決済サービス
- 発送/着荷情報連携
上記のどれもが円滑なECサイト運営、ユーザーの利便性向上に欠かせません。BASEでは、購入者とショップの間の決済に関わることで手数料を取り、収益源としているため、決済サービスは特に重要です。
運送事業者とのシステム連携による発送・着荷などのステータス自動反映を実装することで、トレーサビリティを実現できます。ただし物流業者が対応可能なシステムを持っていることが必要です。
「トレーサビリティ」とは、モノの流通経路を生産〜消費まで、すべての過程を追跡可能な状態にすることです。
追跡・把握することで、流通過程に発生した問題を早期発見・解決することができ、リスク管理を強化できます。
10. 支払い管理
決済サービスに伴う、購入者からサービスへの入金・サービスからショップへの出金などの支払いを管理する機能です。決済ステータスの一覧に加え、ショップへの振り込み手続きを自動化する機能も必要となります。
取引状態や資金の流れを把握するために重要な機能です。
11. 分析
売上やアクセスの状況を把握・分析して事業の成長に活かすための機能です。サービスを開始するにあたり最初から必要な機能ではありませんが、ビジネスを継続的に拡大するうえでデータ分析は外せません。
具体的には下記の情報を集計・分析できると役に立ちます。
売上 | ・ショップ別 ・商品カテゴリ別 ・ユーザー属性別 |
---|---|
アクセス | ・ユーザー数 ・流入経路 ・購入金額 |
アクセス解析やCV計測はGoogle アナリティクスやPtengineなどの既存ツールでも可能です。開発する必要があるかどうかは、エンジニアと相談して決めましょう。
12. 情報告知
ショップ運営者や商品購入者が、トラブルなくサービスを利用できるようにするための情報を共有する機能です。ショップ運営者と商品購入者のそれぞれに分けて、下記の機能を整備します。
- サービス運営者からショップ運営者への情報告知機能
- サービス運営者から商品購入者への情報告知機能
- ショップ運営者から商品購入者への情報告知機能
- ショップ運営者および商品購入者への利用ガイドライン
- ショップ運営者および商品購入者へのQ&A
利用のためのマニュアルを充実させることで、利用者の満足度を上げながら、問い合わせを削減することで対応コストを抑えられます。
13. バックグラウンド
機能ではありませんが、BASEのようなSaaS型のサービスではソフトウェア稼働環境の用意が必要です。具体例としてサーバーやデータベースなどが挙げられます。
クラウドサービスを利用して環境構築することで、初期の小規模な状態ではコストを抑えられ、大規模な環境が必要なときも柔軟な対処が可能です。
構築内容は開発したいサービス規模や実装する機能により大きく変わりますが、初期費用およびランニングコストが発生します。
BASE類似サービス開発の概算費用
BASEの機能を把握できたところで、ECプラットフォームの開発費用をパターンごとに紹介します。実際には運用しながら改善が発生するため、ランニングコスト+改修費用をかけてのブラッシュアップが必要な点に注意しましょう。
最低限のECプラットフォームを目指す場合:330万円
ECプラットフォームに必須の機能のみを実装し、最低限のサービスを開発した場合の費用目安は330万円です。
想定工数 | 約4.125人月 |
---|---|
想定価格 | 330万円(人月単価80万円で算出) |
業務量を表す単位で、エンジニア1人が1カ月稼働した場合の業務量のことです。
シンプルなオンラインショッピングサイトを構築・運営できる、サービスを提供するための機能構成となります。
BASEと同じクオリティを目指す場合:1,300万円
BASEと同じクオリティを目指して機能を実装し、ECプラットフォームを開発する場合の費用目安は1,300万円です。使いやすさを考慮しつつ、BASEの基本機能として利用可能な部分を実装するケースを想定しています。
想定工数 | 約16.35人月 |
---|---|
想定価格 | 1,300万円(人月単価80万円で算出) |
BASE Appsなどで拡張機能も含めて実現する場合には、別途で追加費用が必要となります。
BASEが人気を集めた秘訣は「参入障壁の低さ」
BASEが人気を集めた秘訣は、下記2つのポイントによる参入障壁の低さです。
- ノーコードで高クオリティなECサイトを構築できる
- 固定費なしで利用できる
BASEを利用することで、専門的なWeb制作の知識がなくても本格的なECサイトを構築できます。スタンダードプランであれば固定費が発生しないため、初期投資を抑えたい中小規模の事業者を中心に導入が進みました。
BASEのビジネスモデルや表面的な機能だけを真似しても、ECプラットフォームは成功できません。EC事業への参入障壁を押し下げることで、190万店舗ものネットショップ開設に至ったBASEの強みを分析し、自社サービスに転用しましょう。
BASE類似サービスを開発する際に気をつけたい3つのポイント
BASEのようなサービスを開発する際に気をつけたいポイントは次の3つです。
- 快適な動作速度
- 競合と差別化できるコンセプト
- モール全体での活性維持
どれもサービスの成功に欠かせないポイントです。下記で解説するため、参考にしてください。
1. 快適な動作速度
クラウドサービスが普及している現在では、サービス提供にあたり快適な動作速度が求められます。競合サービスが多数存在するなか、Webサイトの表示やリアクションが遅くストレスを感じたら、ユーザーは離れてしまうでしょう。
多くのショップ運営者や購入者がパソコンやスマホからアクセスすることを考えると、同時接続数を考慮した環境構築が必要です。環境のハイスペック化はコスト増大につながるため、予算と相談しながら柔軟に環境を用意する準備をしましょう。
同時接続数も加味して、ユーザーが快適に感じる動作速度を保てるように開発することが重要です。
2. 競合と差別化できるコンセプト
BASEだけではなくShopifyやSTORESなどの競合ひしめくECプラットフォームでサービスを成功させるためには、差別化が必須です。たとえば下記の方法が考えられます。
- ターゲット層を絞る
- 扱うジャンル/商品を絞る
- 利用しやすいサービスを開発する
- デザインや価格に差をつける
機能やデザイン、価格などの表面的な要素で差別化を図っても、競合が簡単に真似できます。「食品ECに特化する」「おすすめ機能によるクロスセルに注力する」など、コンセプトでの差別化を検討しましょう。
3. モール全体での活性維持
BASEのようなECプラットフォームでは、出店しているショップをまとめて「仮想のECモール」として、モール全体の活性化を狙うことが重要です。モールが活性化してショップの売上が伸びるほど、サービス運営側が得られる手数料収入も大きくなります。
ショップ同士が競合して集客施策を実行したり、レコメンド機能によってユーザーが他店舗に誘導されたりすることが、モール活性化には必要です。サービス運営側はショップがより多く商品を売れるよう施策を行い、優良なショップを確保することでモールの活性を維持しましょう。
「レコメンド(recommend)」とは「おすすめ」「推奨する」という意味です。
つまりレコメンド機能とは、閲覧した商品に関連するほかの商品を提示する「おすすめ機能」を意味します。
BASE類似サービスの開発費用を抑える4つのポイント
BASEのようなECプラットフォーム開発を発注する際に、費用を抑えるためのポイントは次の4つです。
- 要件定義で取引フローを明確化する
- デザインを妥協する
- 注力する機能を限定する
- 複数のシステム開発会社を比較する
システム開発には画一的な相場が存在しません。ポイントを把握しているかどうかによって数百万円単位で費用が変わる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
1. 要件定義で取引フローを明確化する
ECプラットフォームの開発費用を抑えるには、発注前にショップとユーザーの間で行われる、取り引きの流れを明確にすることが重要です。
構築の初期段階で求められる機能やシステムが明確になっていないと、システム開発の範囲や規模を定められません。システム開発の範囲が明確ではない場合、ベンダーはリスク費を取る必要があるためコストが増大します。
不測の事態による工数増大に備えて、あらかじめ確保しておく予算のことです。
要件定義で取引フローを明確にすることで、開発規模を的確に予想できリスク費を抑えられるため、構築費用が安く済みます。
2. デザインを妥協する
ECプラットフォームの開発費用を抑えたい場合、デザインを妥協しましょう。
エンドユーザーが利用する画面のデザイン性・操作性は大切な要素の1つです。しかしデザインに正解はなく、こだわり続けるといくら時間と費用があっても足りません。
まずは限られた予算でサービスを実現するための、最低限の機能を作り上げることに重点をおき、デザイン面のこだわりはほどほどで抑えておくことをおすすめします。サービスを公開し、ユーザーが増えて収益が安定してからデザインだけ修正することも可能です。
3. 注力する機能を限定する
注力する機能を限定することも、BASEのようなサービス開発においては重要です。完成度を高めるには機能を充実させなければならない一方、最初からすべてにハイレベルを求めると無尽蔵のコストと時間が必要となります。
ほかのECプラットフォームサービスと差別化するための機能を選定し、ミニマムの機能を充実させるところから始めましょう。
4. 複数のシステム開発会社を比較する
「相見積もり」と呼ばれる手法によって複数のシステム開発会社を比較することで、構築費用を抑えられます。
複数の業者に対して同じ業務の見積もりを依頼し、費用や提案内容を比較することです。
システム開発には一律的な相場がないため、開発会社によって費用が異なります。EC関連サービスの開発実績が豊富な会社であれば、ノウハウを転用することで費用を抑えつつ高クオリティなシステムを構築できる場合があるでしょう。
BASEのようなECプラットフォーム開発を発注する場合には、少なくとも3社以上に問い合わせて見積もりを比較することが重要です。
まとめ
本記事では、BASEに必要な機能や開発費用、成功の秘訣などを解説しました。後発でECプラットフォームに参入する場合は、BASEとの差別化を意識しつつ必要な機能を見極めましょう。
システム開発においては、信頼できるパートナー会社を選定することが重要です。高クオリティなシステムを開発してくれるだけではなく、費用の削減や差別化のための提案も期待できます。
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