相続分譲渡証明書とは?作成方法と相続放棄の違いを解説
- 相続分譲渡証明書ってなに?
- 相続分譲渡証明書の使い方や作成方法は?
- 相続放棄との違いはどこ?
「相続分譲渡証明書が必要だけど、そもそも何かがわからない…」という方必見!この記事では相続分譲渡証明書が必要になった方に向けて、相続分譲渡証明書とは何かというところから解説。
最後まで読めば、作成するメリット・デメリットが分かります。相続分譲渡証明書を作成するときに費用なポイントも解説するので、作成方法に不安を感じる方はぜひ参考にしてください。
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相続分譲渡証明書とは
相続分譲渡証明書は、相続した財産を正当に譲渡したことを証明するための書類です。譲渡先に対して譲渡が行われたことを証明するために使用し、贈与との区別をつけるために使用する場合もあります。
贈与は、生前に行われるのに対し、相続分譲渡証明書は死亡後に行われ、相続人が遺産を受け継ぐことが前提です。相続分譲渡証明書は、贈与とは異なります。贈与は、将来発生する相続に備え、生前被相続人が相続人に対して遺産を渡します。
相続分の譲渡とは
相続分譲渡とは、自分の相続財産の一部または全部をほかの個人または法人に譲渡する法律行為です。相続分の譲渡は、遺言を残す代わりに、譲渡の受益者が遺言で指定された財産や金銭の譲渡を直ちに受けるられるようにするためのものです。
この譲渡により、受益者は指定された資産または金銭の法的所有者となり、相続分譲渡証明書は法律上の拘束力を持つ文書となります。
証明書の使い方
相続分譲渡証明書の利用には、必要書類がすべて揃っていることを確認する必要があります。
書類が正しく記入されているか、関係者が正しく署名しているか、記載情報が正確であるかを確認することが重要です。譲渡を受ける人は、適格者(相続人)でなければなりません。故人の配偶者や子ども、または相続を受けることが法的に認められているその他の人(例えば養子縁組をしている人)が含まれます。
書類が正しく記入され、すべての関係者が合意すれば公証人により公証され、法的拘束力を持つ文書となります。
相続分を譲渡するための必要書類
相続の譲渡を成立させるためには、相続分譲渡証明書、相続分譲渡通知書が必要です。
相続分譲渡証明書
相続分譲渡証明書は、当事者双方が記入し署名が必要な書類です。この書類には、譲受人と譲渡人双方の氏名、続柄、住所、譲渡する具体的な財産、譲渡日など記載します。
相続分譲渡通知書
相続分譲渡通知書は、譲渡に法的拘束力を持たせるために裁判所に提出する可能性がある書類です。相続が複雑になる場合は、将来起こりうる裁判を想定しておかなければなりません。この書類には、関係者の氏名や関係、譲渡した資産や金銭など、譲渡証明書と同じ情報を記載します。
相続分譲渡証明書の書式
相続分譲渡証明書は、被相続人の遺言執行者、または被相続人の法定相続人が、所定の書式で作成します。有効性を確認するために、各法定相続人が署名の証人となり、法定相続人全員の署名が必要です。
証明書には、譲渡の関係者全員の氏名と住所、譲渡の条件と条項の説明、譲渡される財産の価値の見積もりなどを記載する必要があります。書類が完成したら、裁判所に提出し、公証を受ける必要があります。
相続分譲渡証明書を作成するメリットとデメリット
相続分の譲渡証明書を作成することは、一定のリスクやデメリットを伴いますがメリットもあります。
メリット1. 相続手続きから解放される
相続分譲渡証明書によって相続財産を譲渡すれば、遺言執行者や法定相続人は、譲渡した相続人の意見は必要ありません。遺言執行者や法定相続人の間で意見の相違や争いがあった場合、意見や異論を述べる必要がなく手間が省けます。
譲渡証明書によって、各当事者は相手と関わりを持つことなく、先に進むことができます。
メリット2. 有償譲渡であれば手元に現金が入る
有償で相続した財産を譲渡した場合、手元に現金を確保することができます。借金の返済や将来のための貯蓄に充てることが可能です。
デメリット1. 遺産分割協議で混乱を招く可能性がある
相続分譲渡証明書は、遺産分割の際に混乱を招く可能性があります。
法定相続人の中には、特定の遺産に対する権利を放棄していることに気づかない人もいます。誰が何を取得するのかを巡って、紛争や意見の相違が生じる可能性も否定できません。
デメリット2. 債務がある場合も譲渡分に含まれる
相続財産を譲渡する際には、被相続人の財産だけでなくマイナスの資産も含まれます。被相続人がまだ抱えている借金の責任を引き受けることと同じで、相続を受ける側にとって大きな経済的負担となります。
遺産分割協議で混乱を招く可能性
借金が譲渡対象に含まれていると、遺産分割協議の際に混乱や紛争が生じる可能性があります。法定相続人全員が財産に対する権利を放棄したことになり「誰が借金を負担するのか」が明確にならないためです。
債務が含まれる場合
譲渡の際に借金が含まれている場合は、それを把握し、返済のための手続きを行うことが重要です。遺言執行者が混乱することなく遺産分割しやすくなります。
相続放棄との違いとは
相続分譲渡証明書は、相続放棄との違いがあります。
相続放棄とは、ある相続人が自発的に相続の権利を放棄することです。法的な受理義務がない場合に行われるのが一般的です。
相続分譲渡証明書とは、相続しなければ譲渡できないため法的には相続を主張できます。代わりに他の人に相続を移すことを選択するものです。
相続放棄とは
相続放棄とは、自分の意思または被相続人の希望で相続財産を受け取らないようにすることです。法的拘束力のある文書によって行われる場合と、被相続人の遺言に含まれる特定の条項によって行われる場合の2通りがあります。
相続放棄の申述が有効であるためには、被相続人の生前に行われる必要があることに留意する必要があります。
相続分譲渡と相続放棄の違い
相続分の譲渡と相続放棄は、被相続人の遺産を配分するための異なる方法です。相続分の譲渡は個人が相続を受け入れることを選択することであり、相続放棄は個人が相続を受け入れることを拒否することです。
相続分の譲渡を行う際には、法的拘束力があるため、必要事項はすべて記載します。受益者の名前、相続財産の額、譲渡する財産などです。また、故人の遺言書を添付することも重要です。
相続に関する問題が複雑である場合や、相続分割に関する協議や訴訟が発生する可能性がある場合には、弁護士によるアドバイスやサポートが必要です。その場合には、弁護士に相談し、必要に応じて署名をしてもらうことができます。
まとめ
相続分譲渡証明書は、大切な人が亡くなったとき、財産を移転するために使える便利な書類です。故人の意思に沿った遺産分割を確実に行うことができ、受取人にある程度の経済的利益をもたらすことができる有益な方法です。
遺産分割協議の際の混乱や、債務に対する責任など、証明書の潜在的な欠点に注意し作成しましょう。
1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。
また、相続税・贈与税などの税金関係や、不動産の相続登記に必要となってくる手続き、争いが発生した場合の訴訟や仲裁手続きなど、各事案ごとに考慮しておかなければいけない問題も多くなります。税金関係は税理士に、登記関係は司法書士に、争いがある場合は弁護士にという事だけ覚えておきましょう。
結局、一番簡単な方法は被相続人が生前に「遺言書」を作成しておくことです。相続人間に必要財産を分配し、第三者に譲渡する分を指定して贈与(遺贈)財産を指定しておくことで、死亡後の争いや相続人が行わなければならなくなる雑多な手続きを少なくしたり整理したりすることができます。
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