資金調達計画の立て方5ステップとは?作成ポイントや計画書の書き方を解説!

仁王さん通り税務会計
監修者
仁王さん通り税務会計 税理士 平野和博
最終更新日:2024年05月27日
資金調達計画の立て方5ステップとは?作成ポイントや計画書の書き方を解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 資金調達計画の立て方は?
  • 効果的な資金調達計画のポイントは?
  • 主な資金調達の方法には何がある?

会社を設立する、運転資金や設備資金を調達する際「資金調達計画はどうやって立てるの?」と疑問を持つことがあるでしょう。資金調達は会社にとって非常に重要な業務であり、事業を継続するために不可欠な要素です。

この記事では資金調達計画の立て方に加え、効果的な作成ポイントを解説します。最後まで読めば、事業の資金調達計画の作成ステップ、作成のポイントがわかります。

企業の経営者の方はぜひ参考にしてください。

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資金調達計画は事業資金を得るための計画

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資金調達計画とは、企業が事業資金を得るために立てる計画を指します。企業にとって、資金調達は企業活動を続けていくうえで必要不可欠な業務の1つです。新たに会社を設立するときだけではなく、新規事業を立ち上げる際にも資金調達計画が必要です。

資金調達にはさまざまな方法があるため、どの調達方法をどの程度利用するかを慎重に検討しなければなりません。1つの資金調達方法に頼りすぎた場合、重大なトラブルが発生するおそれもあるため注意が必要です。

資金調達計画と事業計画の違い

資金調達計画と事業計画は混同されがちですが、事業企画書の内容は多岐にわたります。資金調達計画書は資金調達に特化しており、調達方法や資金使途、返済方法が記載されているのが一般的です。

事業計画書は資金調達を含むあらゆる計画が含まれているのが大きな特徴の1つです。

事業の目的やコンセプト、商品・サービスの詳細、将来の展望などを具体的な数値を用いて記載します。企業の事業全般に関する情報が詳しく説明されている点が資金調達計画書との大きな違いです。

事業計画書の書き方や含めるべき項目について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

資金調達計画の立て方5ステップ

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資金調達計画の立て方は以下の5ステップに沿って行います。

  1. 資金調達の目的を明確にする
  2. 必要な資金を分類する
  3. 各資金の必要額を算出する
  4. 資金調達方法を検討する
  5. 資金調達計画書を作成する

それぞれのステップで重要なポイントがあるため、ある程度時間をかけてプランを立てることが重要です。

1. 資金調達の目的を明確にする

資金調達計画を立てるため、資金調達の目的を明確にすることが重要です。運転資金の調達を目的にする、新しい機材のための設備資金を調達したいなど、資金使途を明確にしておかなければなりません。

とくに金融機関から融資を受けたい場合、担当者に対して資金使途を説明する必要があります。担当者への説明と資金使途に相違がある場合、融資の一括返済を求められるケースもあるでしょう。

確実な資金調達を実現するため、融資を依頼する前に資金使途を明確に説明できるようにしておくべきです。

2. 必要な資金を分類する

資金調達計画では、必要な資金を分類しなければなりません。主な資金の分類は以下のとおりです。

運転資金 日々の事業運営のための資金。給与支払いや在庫管理、業者への支払いが該当。
設備資金 設備や建物などに充てる資金。機械の購入やパソコンの入れ替えなどが該当。
その他資金 特別なプロジェクトに充てる資金。販促品の調達、宣伝費などが該当。

運転資金と設備資金の両方で資金調達する場合、それぞれの割合も明確にしておく必要があります。割合が不明確なまま資金調達計画を進めると、資金が足りない、余計な融資を受けて返済額が大きくなるなどのリスクがあることを覚えておきましょう。

3. 各資金の必要額を算出する

資金を分類後、それぞれに必要な資金の金額を算出します。現在の運転資金や機材の購入費用に十分な資金を調達するために、綿密な計算を行いましょう。

運転資金や設備資金が正確にはいくらなのかを判断する際には、専門家への相談や調査依頼が必要なケースもあります。すでに購入が決まっている資産や設備がある場合、見積書を取り寄せ資金調達計画書に添付しておくのも賢い方法です。

4. 資金調達方法を検討する

資金調達計画において、どのような方法を用いるかも検討します。資金調達方法の主な選択肢は以下のとおりです。

  • 融資
  • 株式発行
  • ベンチャーキャピタル
  • エンジェル投資

資金調達方法によってさまざまなメリット・デメリットがあります。たとえば株式発行は融資のように返済の必要はないものの、毎年配当金を支払わなければなりません。

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資も返済義務がないケースが多いですが、将来性のある事業であることを証明することが必要です。どのような企業・事業でも活用できる方法ではないことを覚えておきましょう。

5. 資金調達計画書を作成する

資金調達計画により具体的な金額と資金調達方法を決めたあと、資金調達計画書を作成します。資金調達計画書には決まった様式はありませんが、各自治体のホームページでダウンロード可能であるため、活用するといいでしょう。

資金調達計画書をダウンロード後、必要金額や資金調達方法、目的、使途を記載します。より具体的な必要金額と資金使途を記載することで、説得力のある内容となり、融資や投資を受けやすくなるでしょう。

資金調達計画書を作成するポイント6つ

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資金調達計画書を作成する際、意識すべき6つのポイントは以下のとおりです。

  1. 資金調達の目的と資金使途を明記する
  2. 自社の強みや特徴を洗い出す
  3. 具体的な返済計画を立てる
  4. 競合他社を分析する
  5. 客観的に見て実現可能な計画にする
  6. 補助金・助成金申請に使用可能な完成度にする

資金調達計画書は、金融機関や投資家も確認する重要な書類であるため、完成度が高く説得力のあるものにする必要があります。

1. 資金調達の目的と資金使途を明記する

資金調達計画の作成にあたり、資金調達の目的と資金使途を明確にすることは不可欠です。金融機関は「とにかく○○万円融資してほしい」という企業に融資しません。

資金調達計画の目的設定と具体的な金額を把握することで、成功につながります。金融機関に対して資金調達の目的が明確にできない場合、返済できないのではないか、本当に必要な資金なのかが疑問視されるおそれもあるでしょう。

2. 自社の強みや特徴を洗い出す

資金調達計画を立てる場合、自社の強みや特徴を洗い出すプロセスが必要です。既存事業の強みや特徴を把握することで、どの資金調達先にアプローチすればいいのか、どのような投資家が出資してくれる可能性が高いかを把握できます。

自社の強みがわかっていなければ、資金を注入すべき部分を見誤るおそれもあるでしょう。金融機関や投資家に対して、返済の見込みが十分あることを示すためにも、自社の強みをアピールすることは有効です。

3. 具体的な返済計画を立てる

資金調達計画のポイントとして、具体的な返済計画を立てることが挙げられます。金融機関からの融資によって資金調達する場合、毎月の返済計画は不可欠です。

具体的な返済計画は、金融機関への説明だけではなく、自社のキャッシュフローの検討やいくら融資を受けられるかの見極めに重要なプロセスでしょう。返済計画に無理があると企業活動の継続が難しくなるおそれもあるため、慎重な計画策定が必要です。

4. 競合他社を分析する

資金調達計画の立案には競合企業の分析を行うことも含まれます。競合企業の強み・弱みを知ることで、自社の資金調達計画をどのように構成するか、より的確な判断ができます。

競合企業の主力商品に対抗して商品を作ろうとしている場合、金融機関は新商品の成功に疑問を抱く可能性があるでしょう。他社にない特徴や強みを持つサービスを提供する事業に対しては、積極的に融資してくれる可能性があります。

5. 客観的に見て実現可能な計画にする

資金調達計画は、客観的に見て実現可能なものにしなければなりません。企業の経営は、順調なときもそうでないときもあります。既存事業がうまくいかなくなった、新規事業が思ったように成功していない状況でも返済できるのか考慮すべきです。

多額の融資を受けられれば事業が成功する可能性は高くなりますが、返済期間が延びる、返済総額が大きくなるなどのデメリットもあります。本当に必要な資金はいくらか、毎月どの程度返済できるのかを可能な限り客観的に判断しましょう。

6. 補助金・助成金申請に使用可能な完成度にする

資金調達計画の作成は、投資家からの資金調達だけではなく、補助金の申請にも有効です。補助金や助成金は基本的に返済不要であるため有効な資金調達方法ですが、審査にとおらなければ支給されません。

審査には資金調達計画を含め高いレベルの事業計画が求められます。

詳細な資金調達計画を作成することで、プロフェッショナルな視点でプロジェクトを紹介でき、補助金委員会にビジネスの可能性をアピール可能です。顧客に対しても、補助金・助成金の審査に合格していることを示すことで信頼されやすくなるメリットがあります。

主な資金調達方法3つ

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資金調達計画において検討できる主な資金調達方法として、以下の3つが挙げられます。

  • 自己資金
  • 親族や知人からの借入れ
  • 金融機関からの融資

複数の資金調達方法を併用して、リスクを低減するのも賢い方法です。

自己資金

資金調達方法として自己資金が挙げられるでしょう。自己資金には貯蓄や投資によって得た利益、既存事業で生み出される利益が含まれます。自己資金が潤沢にあれば、借入れの必要はなくなり最低限のリスクで企業活動を続けていける点がメリットです。

現実には、自己資金のみで事業を展開している企業はほとんどありません。日本政策金融公庫が行った「2022年度新規開業実態調査」では、開業時の平均資金調達額は1,274万円、そのうち自己資金は平均271万円(21.3%)でした。

開業時には、少なくとも資金調達額の20%から30%は自己資金を用意しておくことが重要です。

親族や知人からの借入れ

資金調達方法として、親族や知人からの借入れも利用できます。前述の調査においても、2022年度における親族や知人からの借入れは全体の8%程度を占めており、自己資金や融資に次ぐ資金調達の方法です。

親族や知人からの借入れに資金調達の大部分を頼るのは禁物です。低金利もしくは無利息で貸してもらえるメリットはありますが、返済できなかった場合に関係性が悪くなることも考慮すべきでしょう。

金融機関からの融資

資金調達でもっとも一般的なのは金融機関からの融資です。金融機関から借入を行う場合、有担保と無担保の2種類があることを覚えておきましょう。

担保とは、融資先からの返済が滞ってしまった場合、銀行側が現金の代わりに土地や建物で回収できるよう、代替案を設定しておくことです。

有担保の場合、金融機関は返済ができなくなったときのために土地や建物などの担保を要求します。担保がある分、金利は安くなるのが一般的です。

無担保ローンの場合、担保は必要ありませんが、金利が高くなる、保証人が要求されるなどのデメリットがあることを覚えておきましょう。

まとめ

資金調達計画は、資金の目的や使途を明確に説明できるかどうかが非常に重要です。

とくに金融機関から融資を受ける場合、資金調達計画書に説得力がなければ必要な運転資金や設備資金の借入れはできないでしょう。自己資金と融資の割合や返済計画で現実的な資金調達計画を立てることが成功の秘訣です。

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監修者のコメント
仁王さん通り税務会計
税理士 平野和博

1970年熊本市出身。趣味は旅行と食べ歩き。熊本市立高校(必由館高校)卒業。国税局並びに税務署に30年勤務し、50歳で税理士として独立。国税在職中に500件以上の税務調査を経験しているため、あらゆる業界に精通しており、これまでに幅広い業種の問題解決をサポートしている。熊本商工会議所エキスパートバンク講師。

資金調達には綿密な計画が必要です。資金を貸す側から考えても、明確なビジョンがない方に対して資金を貸し付けることは、まずありません。目的、必要性、資金使途、費用対効果、返済計画及び更なる資金調達計画等、自社の将来の成長に関するビジョンを複数年計画で考えていかなければ資金調達機関は絶対に動くことはないと考えてもいいでしょう。

資金調達については、『どこから調達する』の前に、『なぜ資金が必要で、そのお金をどう使い、どのぐらいの売上上昇(経費削減)が見込まれ、月に〇〇万円返済することができる』といった具体的なビジョンを作成することから始めましょう。

それが完成することによって、資金調達の交渉先は『公庫』、『信用保証協会』または『銀行』等ターゲットを絞ることができ、スムーズでスピーディーに資金調達を行うことが可能となります。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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