棚卸資産に関する消費税の取り扱い方法は?基礎知識や申告方法について解説

竹中啓倫税理士事務所
監修者
竹中啓倫税理士事務所 税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
最終更新日:2023年09月25日
棚卸資産に関する消費税の取り扱い方法は?基礎知識や申告方法について解説
この記事で解決できるお悩み
  • 棚卸資産の消費税の取り扱い方法は?
  • 棚卸資産の消費税に関する計算方法は?
  • 棚卸資産の消費税についての注意点は?

「棚卸資産の消費税をどう取り扱っていいかわからない」という経理担当者、必見です。棚卸資産の消費税は、税抜経理と税込経理で処理方法が異なります。

本記事では、税込経理と税抜経理に必要な期末整理での消費税の取り扱いについて説明しています。最後まで読めば、棚卸資産に関わる消費税の取り扱いのみならず、取り扱ううえでの注意点もわかります。ぜひ参考にしてください。

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棚卸資産の消費税の処理方法

電卓

棚卸資産における消費税の取り扱いは、以下の経理処理方式によって異なります。

  • 税込経理方式の場合は「税込み」
  • 税抜経理方式の場合は原則「税抜き」

税込経理方式を採用している場合は、棚卸資産も「税込み」で計上します。一方、税抜経理方式を採用している場合は、原則として「税抜き」です。

税込経理方式の場合は「税込み」

税込経理方式とは、消費税の経理処理方法の1つで、売上げや仕入れなどの取引において、消費税を含んだ金額(税込み)で計算する方法です。税込経理方式を採用している場合、棚卸資産も「税込み」で計上します。固定資産や販管費など、ほかの費用も同様です。

棚卸表が税抜きで表記されている場合が多く、そのまま計算すると間違った金額になるため、必ず税抜きを税込み計算して仕訳を行いましょう。具体的には、棚卸表の金額に消費税率を加算してから仕訳を行います。

税抜経理方式の場合は原則「税抜き」

税抜経理方式とは、消費税の経理処理方法の1つで、売上げや仕入れなどの取引において、消費税を除いた金額(税抜き)で計算する方法です。税抜経理方式を採用している場合、棚卸資産も「税抜き」で計上します。固定資産や販管費など、ほかの費用も同様です。

実際には取引をする際に取引先が「税込み」経理方式を採用している場合、取引において「税込み」で計算が可能です。この場合、自社の経理処理は「税抜き」で行われます。

税抜経理方式を採用している場合でも「税込み」経理方式を選択できます。正確な経理処理を行うためにも、自社が選択している経理方式を確認し、適切な処理方法を選択しましょう。

税抜経理方式でも「税込み」を適用する場合

固定資産や販管費は税抜経理方式で行い、棚卸資産は税込経理方式を使用することも可能です。しかし同じ棚卸資産において「税抜き」と「税込み」を混ぜることはできません。

棚卸資産に関して「税込み」にすると決めて「税込み」経理方式を使っている場合は、すべての棚卸資産の項目は「税込み」にしましょう。

棚卸資産の消費税の取り扱いに関する2つの注意点

電卓!

棚卸資産の消費税の取り扱いに関して注意すべき点が2つあります。

  • 免税事業者から課税事業者に変わったとき
  • 不動産業は固定資産に転用したとき

1. 免税事業者から課税事業者に変わったとき

免税事業者から課税事業者に変わった場合は、取り扱い方法が複雑です。

課税事業者になる前日に所有する棚卸資産のうち、納税義務の免除期間において仕入れた棚卸資産がある場合の取り扱いには注意しましょう。棚卸資産にかかる消費税額を課税仕入れ等の税額とみなし、仕入れ控除の対象としなければなりません。

課税事業者から免税事業者に変わったときは?

課税事業者から免税事業者に変わった場合、課税期間中に仕入れた棚卸資産にかかる消費税額は、課税期間の仕入れ控除対象仕入税額には含まれません。

2. 不動産業は固定資産に転用したとき

不動産業の場合、固定資産に転用したときにも注意が必要です。不動産業者が所有する不動産を固定資産に転用した場合、不動産の取得費用にかかる消費税額を課税仕入れ等の税額とみなし、仕入れ控除の対象とします。

正確な経理処理を行うためにも、自社が選択している経理方式を確認し、適切な処理方法を選択しましょう。

棚卸資産の消費税は「期末振替仕訳」がポイント

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期末振替仕訳とは、期末において棚卸資産の増減を計算して差額を売上原価として計上することを指し、消費税の計算も必要です。

たとえば、期末において棚卸資産が増加した場合、増加分にかかる消費税額を計算し、売上原価として計上します。逆に、期末において棚卸資産が減少した場合、減少分にかかる消費税額を計算し、売上原価として計上します。期末振替仕訳を行う際には、消費税の計算が必要です。

まとめ

棚卸資産の消費税の処理方法は、経理方式によって異なります。免税事業者から課税事業者に変わった場合や不動産業が固定資産に転用した場合など、注意すべき点があります。期末振替仕訳を行う際にも、消費税の計算が必要です。棚卸資産の消費税について正しく理解し、適切な処理を行いましょう。

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監修者のコメント
竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

消費税の処理で、税込みと税抜きが混在している場合は注意が必要でしょう。まず、免税事業者の場合、税込み経理が一般的です。棚卸資産が税抜きになっている場合は、税込み経理に直す必要があるでしょう。課税事業者の場合、両方の経理方式を採ることができますので、複雑です。

まず、売上高等が税込み経理を行っている場合は、すべて税込み経理で処理する必要があります。売上高等が税抜き経理を行っている場合、一部税込み経理で処理することが可能です。

処理する内容を、
?固定資産・繰延資産
?棚卸資産
?経費等
の3つに分け、そのグループ毎で経理処理を選択することができますが、いずれか(あるいはすべて)で税込み経理で処理することが可能となります。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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