簡易簿記はエクセルでできる?帳簿作成のメリットとデメリットを解説

小西裕也税理士事務所
監修者
小西裕也税理士事務所 税理士 小西裕也
最終更新日:2023年10月02日
簡易簿記はエクセルでできる?帳簿作成のメリットとデメリットを解説
この記事で解決できるお悩み
  • エクセルで簡易簿記の帳簿は作れるの?
  • エクセルで簡易簿記の帳簿を作るときにはテンプレートが必要?
  • 簡易簿記の帳簿をエクセルで作るメリットとデメリットは何?

簡易簿記をエクセルで作って確定申告したいと考えている個人事業主やフリーランスは大勢います。エクセルは多くの場合パソコンにすでにインストールされており、簡単に使える表計算ソフトの一つだからです。

この記事では、簡易簿記がエクセルで作成できるのかどうか解説します。個人事業主やフリーランスがエクセルで簡易簿記の帳簿を作成するメリットとデメリット、作成のポイントについても説明するので、確定申告の前にぜひ参考にしてください。

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簡易簿記はエクセルでできる!

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確定申告の際の簡易簿記の帳簿は、エクセルで作成できます。簡易簿記とは家計簿やお小遣い帳のように、毎日発生した取引を記録して月ごとに集計する方法です。

毎日の取引では収益と経費が発生するため、日々の記録の集計をもとに確定申告で提出する損益計算書を作成します。青色申告をしている方は、簡易簿記による帳簿作成によって10万円の特別控除を受けられるのが大きな魅力です。

エクセルの簡易簿記で作成できる帳簿5つ

エクセルの簡易簿記では確定申告で使う5つの帳簿を作成できます。青色申告の特別控除を受けたいと思っているのであれば、帳簿を印刷して7年間の保存義務があることを覚えておきましょう。確定申告で必要となる帳簿についても覚えておくと役立ちます。

  • 現金出納帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 経費帳
  • 固定資産台帳

現金出納帳

確定申告の前にエクセルで作っておくべき簡易帳簿の一つが現金出納帳です。現金がどのように出し入れされたか記録しておく帳簿で、確定申告する方は必ず作成しておかなければなりません。

売上や仕入れのやり取りを現金で行っている方は、売上高と仕入高も現金出納帳で管理します。現金出納帳で重要なのは、プライベートの支出が紛れ込んでしまわないようにすることです。事業用とプライベートの支出をきっちり分けるために、毎日現金出納帳を記録する癖をつけるようにしましょう。

売掛帳

エクセルで作成できる簡易簿記の帳簿として売掛帳も挙げられます。売掛帳とは、得意先ごとに売掛金を記録しておく帳簿のことを指します。企業間の取引では商品の納品時ではなく、後払いで精算する「掛取引」が一般的です。

掛取引ではすぐに現金が入ってこないので、得意先ごとに売掛帳を作成して取引を記録しておかなければなりません。売掛帳では日付と売上金と回収した金額、差引残高を記録します。得意先ごとの残高を確認するために売掛帳は必ず作成しておきましょう。

買掛帳

売掛帳と同様に重要なのが買掛帳です。買掛帳は仕入れ先ごとに作成し、商品を掛で仕入れたり買掛金を支払ったりした場合に記録します。買掛帳は仕入れ先が複数ある場合に、各仕入れ先の残高を確認するのに役立つのです。

経費帳

確定申告の際には経費帳もエクセルで作成可能です。経費帳とは、仕入れにかかった費用以外の経費を記録しておく帳簿を指します。旅費交通費や交際接待費などの勘定項目に分けて記録することで、損益計算書に記載する経費を算出できるでしょう。

エクセルで作る経費帳では、毎月支払いごとにプライベートの支出を除外して記録しなければなりません。プライベートの支出を除外していないのであれば、年末に一括してプライベート分の支出を除外することも可能です。

固定資産台帳

固定資産台帳は、減価償却資産や繰延資産ごとに作成される帳簿で、取得費用や減価償却費を記載するものです。減価償却資産とは、建物や取得価額が10万円以上の機械などを指します。一方繰延資産とは、会社の創立費や開業費など長期にわたって効果が得られる支出のことです。

店舗兼住宅のような固定資産を所有している場合には、事業用とプライベート用の取得費・減価償却費を合理的な割合で計算しなければなりません。

エクセルで簡易帳簿をつけたい時はテンプレを活用しよう

エクセルで簡易簿記の帳簿を作成する場合、テンプレートを活用するのが賢い方法です。エクセルを使ってすべて自分で作成することもできますが、さまざまな項目があるためとても大変でしょう。確定申告で必要とされる帳簿は5つあるので、一つひとつエクセルで作るのは効率的ではありません。

エクセルで簡易簿記のテンプレートを使いたい方は、[文書]テンプレートの無料ダウンロードを利用してみてください。ダウンロードすればそのままエクセルで使えますが、テンプレート同士は同期されていないので、それぞれの帳簿に間違いがないかしっかり確認しましょう。

個人事業主がエクセルで帳簿を作成するメリット3つ

個人事業主がエクセルで帳簿を作成するメリット3つ

まだそれほど取引実績がない個人事業主やフリーランスであれば、メリットについて検討した結果エクセルで簡易簿記の帳簿を作った方がよいでしょう。

1. 手書きと比べて簡単に作成できる

エクセルで簡易簿記の帳簿を作成すれば、手書きよりもはるかに楽です。簡易簿記の場合、複式簿記よりも記載する項目が少ないとはいえ、5つの帳簿を手書きで作成するのは簡単ではありません。書き損じがあった時に修正するのも大変です。

エクセルで作成する方法なら、必要なものは領収書・請求書・パソコンだけで短時間で作業を終えられます。文字が読みにくかったり、書き損じの心配をしたりする必要はありません。とくにテンプレートを使えば、すでに記載すべき項目が書かれているので、それに沿って数字を入力していくだけです。

2. 低予算で帳簿を作成できる

エクセルで帳簿を作成すれば、多くの場合ほとんど費用がかかりません。大多数のパソコンにはすでにエクセルがインストールされているため、追加の費用を支払わずに帳簿が作成できるでしょう。

会計ソフトは安いものでも数万円、高いものでは数十万円の費用がかかります。エクセルは使い勝手では劣るものの、低予算で帳簿を作成したい個人事業主やフリーランスにとっては心強い味方です。

3. 自分でカスタマイズできる

エクセルで簡易簿記の帳簿を作れば、自分で理解しやすいようにカスタマイズできます。帳簿は記載すべき項目は決められているものの、どのような表記にしなければならないという決まりはありません。

エクセルであれば行や列の追加が自由に行えるので、記入しやすく見返した際に理解しやすい表記にできるでしょう。

個人事業主がエクセルで帳簿を作成するデメリット3つ

個人事業主がエクセルで帳簿を作成するデメリット3つ

個人事業主やフリーランスがエクセルで簡易簿記の帳簿を作成する際には、どんなデメリットがあるか理解しておくことも重要です。

1. 税改正に対応するのが大変

自作の帳簿でもテンプレートでも、常に最新の税法に合っていなければなりません。しかも税法は毎年のように改正されるので、そのたびにテンプレートを変更するのはかなり大変でしょう。

とくに税率の変更が行われると、年度ごとに税率が変わるので関数も変更しなければなりません。1ヶ所間違えていると、その後の計算をすべて間違えてしまうこともあるので注意が必要です。

2. 複雑な計算に対応していない

エクセルは表計算ソフトとして優秀ですが、簡易簿記の帳簿作成のためのソフトではないので複雑な計算に対応できないことがあります。帳簿の作成では数値を入力するだけでなく、売掛金や買掛金の計算、残高の計算、事業用の経費の計算など、多くの計算が必要です。

エクセルのマクロを組めるなら、複雑な計算に対応したテンプレートを作成できるかもしれませんが、かなり時間がかかるでしょう。売上や経費、得意先が増えてくると、エクセルだけで帳簿を作成するのは難しくなっていきます。

3. 経理のスキルが求められる

簡易簿記の帳簿をエクセルで作成するためには、ある程度経理の知識が求められます。テンプレートを使ったとしても、どの支出がどの勘定項目に該当するのか、どの数値をどのセルに入力すればよいのか理解していなければ帳簿は作成できないのです。

エクセルで帳簿を作成する際には、複数の帳簿に間違いや矛盾がないか確認しながら進めなければなりません。経理の知識やスキルがないと、どの部分を確認すべきなのかわからないこともあり得ます。

帳簿をつけていないとどうなる?

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エクセルで簡易簿記の帳簿を作成することは可能ですが、時間がかかるので面倒くさいと感じる個人事業主やフリーランスも多くいます。しかし、帳簿は必ず作成するようにしましょう。現在では、青色申告か白色申告かを問わず、すべての事業者に対して記帳義務が課されているからです。

帳簿を作成していない場合のデメリットを以下の3つからみていきましょう。

  • 所得税・延滞税・加算税が課せられる
  • 青色申告が取り消される
  • 消費税の仕入税額控除が取り消される

1. 所得税・延滞税・加算税が課せられる

エクセルや他の方法で帳簿を作成していなかった場合、状況に応じて所得税の本税、延滞税、加算税が課税されます。帳簿がない、もしくは不十分であれば、税務署の調査官は取引先や仕入先に調査に入り、計上されている売上や経費が適切かチェックするでしょう。

調査の結果、本来支払うべき所得税を納めていないことが分かれば、その分の所得税と延滞税を支払わなければなりません。取引先や仕入先の信頼を失うだけでなく、悪質と判断されればさらに重い加算税が課されます。

2. 青色申告が取り消される

エクセルや会計ソフトで帳簿を作成していないと、青色申告の承認が取り消されるおそれがあります。青色申告の条件として適切な帳簿の作成が挙げられているので、帳簿がなければ承認の前提条件が崩れてしまうのです。

青色申告の承認が取り消されれば、特典であった青色申告特別控除や損失の繰越控除、青色専従者給与なども利用できなくなります。所得税の大幅な増額になりかねないので注意すべきです。

3. 消費税の仕入税額控除が取り消される

企業や個人事業主は、帳簿を作成していないと消費税の仕入税額控除が適用されなくなるペナルティを受けます。消費税は、売上時に受け取った金額から仕入時に支払った金額を引いて国に納税する制度です。

帳簿がなければ、仕入れ時に支払った消費税額が計算できません。結果として、仕入先に消費税を支払っていたとしても、仕入税額控除が適用されなくなるのです。

エクセル以外の会計ソフトの利用も検討できる

エクセルで帳簿を作成するのは難しそうと思う個人事業主やフリーランスは、会計ソフトの利用も検討できるでしょう。会計ソフトを使えば経理の知識がなくても数字を入力するだけで帳簿の作成が可能です。

会計ソフトを使って帳簿を作成すれば、毎年のように行われる税制改正にもすぐに対応できます。簡易簿記の帳簿の場合には青色申告特別控除が10万円ですが、会計ソフトを使用してe-Taxで確定申告すれば最大65万円の控除を受けることも可能です。

まとめ

エクセルで簡易簿記の帳簿を作る際には、テンプレートを使うのがおすすめです。自作で帳簿を作ることも可能ですが、経理の知識がある人に助けてもらうのがいいでしょう。売上や得意先、仕入先がたくさんある方は、会計ソフトを使って簡易簿記の帳簿を作った方が効率的かもしれません。

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監修者のコメント
小西裕也税理士事務所
税理士 小西裕也

1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。

帳簿をつけることのメリットとしては、「青色申告」を行うことができ、「青色申告特別控除」の恩恵を受けることができる点にあります。

簡易簿記の帳簿であっても、複式簿記の帳簿であっても、取引の記録を行う方が使いやすい方法であれば会計ソフトではなく、エクセルや手書きであっても問題ありません。

ただし、確定申告すべき人がしなかった(忘れていた)場合だけでなく、青色申告として確定申告を提出しているにも関わらず帳簿を作成していなければ、「青色申告の取り消し」「延滞税」「過少申告加算税」などのペナルティがあります。

帳簿の作成方法や確定申告書の作成方法など、わからないことがあれば、お近くの税務署の窓口に早めに問い合わせてみて、なるべく早くから帳簿の作成を行うようにしましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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