青色申告承認申請書とは、青色申告を選択したい場合に税務署に提出する届出です。確定申告には青色申告と白色申告があり、青色申告の方はさまざまな控除や税制上の優遇を受けられます。
青色申告で確定申告をしたい場合、事前に青色申告承認申請書を提出することが不可欠です。確定申告の際に青色申告したいと思っても受け付けてもらえないため注意しましょう。
「備え付け帳簿とは何?」「どの帳簿を使えばいいの?」とお悩みの青色申告の検討者、必見です。青色申告を希望する場合、備え付け帳簿を選択する必要があります。
この記事では、備え付け帳簿の種類や作成時のポイントを解説します。記事を読み終わる頃には、備え付け帳簿の全体像を理解できるでしょう。
備え付け帳簿の基本的な疑問にも回答するため、初心者の方もぜひ参考にしてください。
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青色申告承認申請書の「備え付け帳簿」とは、日々の取引を記録する帳簿のことです。複数の選択肢がありますが、すべてそろえる必要はなく、今後使う可能性があるものを選べば問題ありません。
開業届を提出する際、確定申告に備えて青色申告承認申請書を提出する事業者がほとんどです。青色申告承認申請書の最後に備え付け帳簿を選択する項目があります。税務署への届出のなかには、最初に決めた書類の種類を変更できないものもありますが、備え付け帳簿に関しては厳密に決められているわけではありません。
備え付け帳簿の選択肢は主要簿、補助簿、その他の3つに分けられ、細かく13種類あります。
すべての備え付け帳簿が必要なわけではありません。青色申告を行う方の場合、主要簿と補助簿を用意しておけば申告が行えるでしょう。
青色申告特別控除65万円を受けるためには、主要簿を複式簿記で作成することが求められます。基本的に以下の2つの主要簿は、作成が必須となります。
総勘定元帳は、勘定科目ごとにお金の動きを記録した帳簿です。企業が行ったすべての取引を勘定科目ごとに記録します。勘定科目ごとの収支や残高を把握する際に役立つでしょう。
総勘定元帳は青色申告特別控除65万円を満額受けるために必須の備え付け帳簿です。
備え付け帳簿として、仕訳帳も重要な帳簿です。総勘定元帳が勘定科目ごとの記録であるのに対し、仕訳帳は日付順に取引の記録がまとめられています。仕訳帳は総勘定元帳の根拠となる帳簿であるため、非常に重要です。
仕訳帳を見ることで、特定の日に発生したすべての取引を確認可能です。決算書の作成にも深くかかわる備え付け帳簿であり、細かいルールに沿った正確な作成が求められます。
青色申告特別控除10万円を受けるために必要な備え付け帳簿は以下の5つです。
簡易簿記で作成できる帳簿で、青色申告には基本的に備え付けなければなりません。補助簿とも呼ばれ、主要簿を補助する役割で作成されます。
現金出納帳は、現金の出入りを記録した帳簿です。事業における家計簿の役割を果たしますが、日付・金額・内容・理由・支払先もしくは入金元まで明記しなければならない点が大きく異なります。
支出が発生した場合には支払先・金額・使途、入金の場合も金額や顧客名を記録します。事業に関連する出入金であることを証明するために現金出納帳が作られ、プライベートの支出とは完全に切り離されていなければなりません。
売掛帳は、その名のとおり売掛金を管理するための帳簿です。売掛金が発生した場合、取引先ごとに売掛金の金額や回収状況を記録します。
売掛帳により、取引先別の取引量や将来の収入、回収率を一目で把握できるでしょう。
買掛帳は、掛け取引で将来支払わなければならない支出を記録したものです。売掛帳と同じ仕様で作成可能で、取引先ごとの支払い内容、支払期日を把握できます。
買掛帳は支払い漏れのチェックに使用できるため、事業の運営にとって重要な記録といえるでしょう。
経費帳は、事業を行ううえで仕入れ以外にかかった経費を税務署に報告するための帳簿です。 事業の運営では消耗品購入のほか、地代家賃や水道光熱費、従業員への給与賃金など、多くの経費が発生します。
毎日発生する経費を記録するため、表計算ソフトで管理している事業者がほとんどです。経費の内訳や目的、金額を正確に記録することで、税務調査で指摘を受けた際、スムーズに回答できるでしょう。
固定資産台帳は、会社が購入した固定資産の状況や減価償却の推移を記録した帳簿です。事業運営に必要な、取得価額10万円以上の設備・備品が該当します。事業で使用する椅子やテーブルなどの家具、PCやプリンタなどの機器類も取得価額が10万円以上であれば固定資産に含めなければなりません。
土地や建物、工場設備など大きな不動産の場合、減価償却に長い年月がかかるため、固定資産台帳で入念に管理する必要があるでしょう。
主要簿や補助簿ではないものの、必要に応じてその他の備え付け帳簿を添付できます。その他の備え付け帳簿は主に以下の6つです。
会社の事業内容や確定申告の内容によって必要となる備え付け帳簿が変わるため、詳しくは税理士に尋ねましょう。
預金出納帳は、金融機関の口座ごとに出入金を記録した帳簿です。現金出納帳に似ていますが、預金出納帳は銀行預金の動きを監視するために作成します。
預金出納帳の作成方法は現金出納帳と同じであるため、難しくはないでしょう。ただし、銀行からの出金が本当に経費であると証明できないため、出金ごとに支出の内容を明記することが重要です。
手形記入帳は振り出した、もしくは振り出された手形の内容を記録するものです。受取手形記入帳と支払手形記入帳があり、手形ごとに振出人や受取・支払期日を記録しておかなければなりません。
総勘定元帳にも手形についての記載があるものの、手形記入帳には手形の種類や支払い場所などより細かい情報が記録されます。
入金伝票は、現金が入金されたときに作成する伝票です。いつ、誰が、どのような取引がおこなわれたかを記録します。取引の内容が客観的に把握できるよう、できる限り詳細な情報を含めるといいでしょう。
出金伝票は、入金伝票と同様に現金での取引を行った際に作成する伝票です。経費を精算する場合、領収書やレシートがなくても出金伝票を使うことで経費に計上できます。
出金伝票は日付や支払先、摘要を細かく記載しておくことが非常に重要なポイントです。税務署から指摘された際に証拠を提出できるよう、資料を添付しておくといいでしょう。
振替伝票は、銀行口座を介した取引を行った場合に作成する伝票です。入金伝票や出金伝票が現金の収支を記録するものに対し、振替伝票は現金以外の取引を記録します。
振替伝票を作成しなくても、税務署から指摘を受けることはほとんどないため、作成していない企業も少なくありません。銀行口座間の取引を記録しておくべき特別な事情がある場合にのみ、作成するといいでしょう。
現金式簡易帳簿は、現金出納帳に経費欄を加えて1本にまとめた帳簿のことです。現金式簡易帳簿は青色申告の特別控除額が10万円に限定され、記帳方法も実際に現金が動いたタイミングで記帳します。
青色申告の備え付け帳簿ではもっともシンプルで簡単ですが、青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書を提出する必要があり、前々年の所得が300万円以下の事業者に限られることを覚えておきましょう。
青色申告の備え付け帳簿には多くの種類がありますが、主要簿と補助簿を作成しておけば大きなトラブルは避けられます。必要に応じて他の帳簿も作成できるでしょう。青色申告にはさまざまなメリットがあるため、事業主の方は積極的に青色申告を検討すべきです。
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岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。
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