出張費はどこまで経費になる?精算方法や3つの注意点についても詳しく解説

竹中啓倫税理士事務所
監修者
竹中啓倫税理士事務所 税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
最終更新日:2023年07月31日
出張費はどこまで経費になる?精算方法や3つの注意点についても詳しく解説
この記事で解決できるお悩み
  • 出張による宿泊費・交通費などは経費として計上できるのか?
  • 出張における支出で経費とならないものはなにか?
  • 出張費を経費として計上する際のポイントや注意点は何か?

出張でかかった交通費や宿泊費、その他業務に関係する費用は、経費として計上できます。経費として認められる範囲や相場を把握しておきましょう。

この記事では、出張に行く方や経理担当者の方に向けて、経費として計上できる出張費用や勘定科目について解説します。

最後まで読むと、出張費用を経費にできるポイントや正しい経費計上方法を習得できるでしょう。出張費を経費に計上するときの注意点も解説するため、ぜひ参考にしてください。

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出張で経費に含まれる範囲

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出張で経費として認められる主な項目は以下の5つです。

  • 【旅費交通費】出張先までの交通費
  • 【旅費交通費】出張先の宿泊費
  • 【旅費交通費】日当
  • 【研修費】出張先で参加したセミナーや研修会費用
  • 【接待交際費】出張先でクライアントを接待した費用

出張で発生する支払いは、多くの項目が経費として計上することを認められています。業務と明らかに関連していない費用や、相場よりも高額な金額は、税務署の調査で否認される可能性があるため注意しましょう。

【旅費交通費】出張先までの交通費

出張先までの交通費はすべて「旅費交通費」として経費計上が可能です。

電車代・タクシー代・飛行機代などは、領収書が保管されていれば基本的に否認されることはありません。自分で自動車やバイクを運転して出張先へ向かった場合も、ガソリン代・高速道路料金・駐車場代などを旅費交通費として計上できます。

JRや私鉄各線を利用する場合は「交通系ICカード」に注意

カードへチャージをするだけでは交通費として計上できないため、利用した区間の領収書を必ず発行しましょう。

新幹線のグリーン車料金も経費にできる?

「普通車が満席だった」「クライアントへの接待を兼ねている」など、グリーン車を利用せざるを得ない明確な理由があった場合は、経費として認められる可能性が高いです。

特に理由がなく、グリーン車である必要性を明確に説明できない場合は、経費として認められないケースが多いため注意しましょう。

【旅費交通費】出張先の宿泊費

出張が数日間の滞在でビジネスホテルなどに宿泊した場合、宿泊費は「旅費交通費」として計上可能です。

ホテルでのルームサービスや朝食などを利用した場合は、経費として認められません。経費として扱えるのは宿泊費のみである点に注意しましょう。取引先との接待に伴う宿泊費用は「接待交際費」として仕訳する場合もあります。

高級ホテルでの宿泊費も経費に認められる?

出張で高級ホテルを利用した場合、宿泊費が相場を大幅に上回ると税務署から確認を受ける可能性が高まります。宿泊先を決める際は、現地の平均的なプランを選択しましょう。

【旅費交通費】日当

出張中に発生する食費や諸雑費は「日当」として1日あたり一律の金額が支払われます。日当の支給や価格は法律で定められていないため、会社が就業規則に基づいて設定する必要があります。

「出張旅費規程」が整備されていないと日当を経費にできません。出張先の場所や期間、出張者の役職により日当の金額を決められることが多いです。日当は非課税であるため、あまりに高額な日当を支払うと税務署から否認される可能性があるため注意しましょう。

【研修費】出張先で参加したセミナーや研修会費用

出張の目的が「事業と関連したセミナー」や「取引先が主催する研修会」の場合、参加費用はすべて「研修費」として経費に計上できます。

領収書とあわせてセミナーのプログラムや資料などを保管しておくと、税務署からの問い合わせの際に答えやすくなります。

【接待交際費】出張先でクライアントを接待した費用

出張先でクライアントと食事や宿泊をした場合、食事代と宿泊費を「接待交際費」として計上可能です。

領収書の裏面に日付や接待した相手の名前・会社名などを記載しておくとわかりやすいしょう。クライアントへのお土産代も経費として計上できます。

経費扱いとなる出張費の相場とは

産労総合研究所の「2021年度 国内・海外出張旅費に関する調査結果」によると、宿泊費は9,000〜10,000円が相場です。出張先の宿泊費は相場を確認されるため、金額に注意する必要があります。

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引用:2021年度 国内・海外出張旅費に関する調査結果

出張で経費に含まれないもの

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出張先で必要となった支払いでも、業務と直接関係のないものは経費として計上できません。以下の5つは経費にできないため注意しましょう。

  • 食費全般
  • 出張先での観光
  • 従業員ではない家族の同行
  • 明らかに高額な支出
  • 家族や友人へのお土産代

食費全般

出張先で支払った食事代は、原則として経費に含めることができません。出張の有無に関わらず食費は必ずかかるため、経費として認められないのが一般的です。

ホテルには食事付きプランもありますが、食事代の領収書をわける必要があったり、食事つきプランの選択を認められていなかったりする場合があります。会社により規定が異なるため注意しましょう。

出張先での観光

出張先での業務が終わった後の空き時間に観光をした場合、観光にかかった費用は経費として認められません。

出張時の業務で使用していたレンタカーを観光でも使用した場合、観光した分のガソリン代・高速道路の料金は按分計算する必要があります。

「運営しているWEBメディアに掲載する写真の撮影」のように業務の延長となる観光の場合は、経費として扱うことが可能です。

按分とは

按分とは「金銭や物品などを基準のもとに割り振ること」を表します。レンタカーを例に挙げると「業務」と「観光」それぞれでかかったガソリン代・高速道路代の比率を計算する按分計算が必要です。

出張中の出費を適切な範囲で経費として扱うために、業務に関する出費を按分計算して明確にしましょう。

従業員ではない家族の同行

従業員ではない家族が同行した場合は経費として認められません。配偶者やその他の家族が従業員として勤務している場合、出張に同行した際の費用は経費として計上可能です。

ホテルで同じ部屋に宿泊した場合、按分計算をしなければなりません。就業年齢に達していない子どもが同行した場合、費用は一切経費とみなされないことも覚えておきましょう。

明らかに高額な支出

相場よりも明らかに高額な宿泊費や、必要性が明確ではないグリーン車やビジネスクラスなどの支出は、経費として認められません。

宿泊する場合は事前に宿泊費の相場を調べ、相場におさまるホテルやプランを選びましょう。接待を伴う宿泊や、どうしてもグリーン車でないと新幹線の席が取れないなどのケースに限り、経費として認められる場合もあります。

家族や友人へのお土産代

家族や友人にお土産を購入したり、従業員のうち特定の人だけにプレゼントを買ったりした場合には、経費として認められません。お土産をすべての従業員に購入した場合は、福利厚生費として計上可能です。

出張経費はいつ精算する?

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出張費の精算には「事前精算」と「事後精算」があります。ホテルの宿泊費やレンタカーの費用など、事前に必要経費がわかるものは「事前精算」で精算可能です。駐車場代のように現地に行かないとわからないものは「事後精算」で精算します。

出張経費の一般的な精算方法

出張に行った社員の経費精算方法と、経費担当者の経費精算方法を解説します。手順がそれぞれ違うため注意しましょう。

社員の場合

出張に行った社員が出張経費を精算する場合、次の手順で行います。

  1. 出張が終わった次の出勤時に、経費精算書へ内訳と金額を記入する
  2. 上司と経理部に承認をもらう
  3. 現金支給や口座振込など会社の支給方法にあわせて経費を支給してもらう

経費精算書を提出するときには必ず領収書も一緒に添付しましょう。

経理担当者の場合

経理担当者が出張経費を精算する場合、次の手順で行います。

  1. 出張した社員に記入してもらった経費精算書を確認する
  2. 費用が不自然に高い場合や見慣れない費用がある場合は指摘する
  3. 経費精算書に不備が見つかれば差し戻し、フォーマットに沿い記入してもらう

一緒に提出された領収書と必ず照らし合わせながら確認することで、不正防止につながるでしょう。

個人事業主が出張費用を精算するときのポイント

個人事業主が出張費用を精算する場合も基本的な方法は変わりません。精算するときのポイントは以下の2つです。

  • 個人事業主は自分自身に対して日当を支払えない
  • クレジットカードやICカードを積極的に利用する

個人事業主は自分自身に対して日当を支払えない

個人事業主は自分自身には日当を支払えないため注意しましょう。従業員に対しては日当を支払い可能であるため、節税にもなりおすすめです。

クレジットカードやICカードを積極的に利用する

カード決済を利用することで、利用履歴が明確に数値として可視化されるため支出管理が簡単になります。会社での出張費にカードを使用する場合は、クレジットカードのポイントやICカードの割引など取り決めがある可能性があるため、事前に確認しましょう。

出張経費に関する3つの注意点

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出張費用を精算する際の注意点は次の3点が挙げられます。

  • 用途にあわせた勘定科目の選択が必要
  • 出張先での残業代は基本的に出ない
  • 領収書は保管&提出を徹底する

用途にあわせた勘定科目の選択が必要

出張費の主な勘定科目は旅費交通費に分類されますが、用途により「接待交際費」や「研修費」に分類されるものもあります。必ず経費として使用した目的にあわせて、正しい勘定科目を選びましょう。

出張先での残業代は基本的に出ない

出張先での残業代は日当として支払うことが多いです。社内での残業と違い、出張先では残業時間を明確に管理することが難しいため、別途で残業代として支払われることはあまりありません。

領収書は保管&提出を徹底する

出張にかかった費用を経費にするためには領収書が必要です。「何を・どのような目的で・いくら」購入したかの証明になるためです。出張に行った際は必ず領収書をもらい、経理担当者へ提出しましょう。

公共交通機関で領収書が出ない場合、移動区間や料金をこまめにメモすることで対応してもらえる可能性があります。業務と関係のある支出・ない支出が混同しないように、出費の内訳を記録しておくことも大切です。

効率的に出張経費の申請や精算を行うには

経費精算や出張管理を行う際、経費精算システムを利用することで不正防止や業務効率化を図ることが可能です。人数の多い企業や経費精算の頻度が多い企業は、システムを取り入れることで負担軽減につながるでしょう。

おすすめの経費精算システムを3つ紹介します。

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ジョブカン経費精算 業界最安価格のシステム。実績豊富で無料プランもあり。経理精算時のチェック工数を大幅に削減可能
楽楽精算 サポ―トが充実し、お客様満足度も高評価。自動仕訳や会計ソフトとの連携で効率的な経費管理が可能

まとめ

出張費用が経費となる判断基準は「業務を遂行するうえで必要な支払いであるか」です。出張先で「業務と関係ない観光をした場合」は、打ち合わせをはじめとする業務に関連する費用や交通費とそうでない費用を分けて計算する必要があります。

出費の内訳を細かく記録し「何を・どのような目的で・いくら」購入したかわかるよう、領収書をまとめましょう。

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監修者のコメント
竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

出張に関する費用は、「業務を遂行する上で不可欠な支払いであったか」が判断基準になりますため、まずは「どんな目的での出張であったのか」「何をゴールとして目指していたのか」を明確にする必要があるかと思います。

その部分が明確でなく、後から「経費にしてくれ」と言われても、我々もどうすることもできません。最初にストーリーを明確にしていただき、それに沿った節税策は、調査時も自信をもって対峙できると思います。経営者としての強い意志が必要でしょう。

その目的に合致しないメンバーや行動は、その部分を分別管理できるようにしておき、経費から除外するようにしておけば、怖いことはありません。そのためにも、細かくメモを残し、自信をもってご対応いただくことが肝要でしょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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