飲食代は経費計上できる!経費にできる・できないケースや注意点5つを解説

竹中啓倫税理士事務所
監修者
竹中啓倫税理士事務所 税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
最終更新日:2024年02月28日
飲食代は経費計上できる!経費にできる・できないケースや注意点5つを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 飲食代は経費にできる?
  • 経費にできないパターンは?
  • 経費計上する際の注意点は?

取引先との打ち合わせや来客用の飲食物の費用は経費計上できます。休憩中の弁当やコーヒー代、特定の従業員との飲食代を経費計上することは難しいです。

この記事では、飲食代を経費にできる・できないケース、飲食代の勘定科目を解説します。記事を読み終わった頃には、飲食代を適切に経費計上できるでしょう。

「仕事で発生した飲食代は経費にできる?」とお悩みのビジネスマン、個人事業主の方は、ぜひ参考にしてください。

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事業に必要な飲食代は確定申告で経費計上できる

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飲食代は、確定申告の際に経費計上できます。法人や個人事業主どちらでも、事業に関係する出費であれば経費計上が認められているためです。

経費に計上するためには、該当する飲食代が業務に関連している必要があります。業務の一環である顧客との食事や業務遂行のための飲食費は経費にできますが、プライベートの食事は該当しません。

飲食代を経費にする際の書き方は?4つの勘定科目

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飲食代を経費にする際は、主に次の4つの勘定科目が該当します。

  1. 雑費
  2. 接待交際費
  3. 会議費
  4. 福利厚生費

勘定科目1. 雑費

飲食代を経費にする場合の勘定科目の例に「雑費」が挙げられます。具体的に雑費に計上できる経費の例は、仕事をする目的で入ったカフェ代です。

雑費には、原則的に小規模な飲食代のみが計上できます。数万円以上の経費の場合「雑費」とくくるにはあまりに判然としないためです。カフェ代程度であればかまいませんが、規模が大きければ用途を明確にしてほかの勘定科目に分類しましょう。

勘定科目2. 接待交際費

飲食代の経費計上の勘定科目は「接待交際費」に該当するケースがあります。接待交際費とは、取引先とのコミュニケーションを目的に使われる経費の勘定科目です。顧客や取引先との関係を築くために必要な費用とみなされます。

必要最低限の範囲内で計上する必要があり、高額な出費は経費に認めらません。当然ながら個人的な趣味や嗜好に関する費用は経費対象に含まれず、ビジネスを目的とする必要があります。

納得感のある申告をするためには、費用の内訳を詳細に記録することが大切です。記録は会計監査や税務調査などで必要になるため、適切な管理が求められます。

勘定科目3. 会議費

経費計上できる飲食代の勘定科目には「会議費」が該当します。会議費とは、ビジネスや業務目的で開かれる会議に関する勘定科目です。

会議費には下記のものが含まれています。

  • 会議で出る弁当
  • 会議で出る飲み物
  • カフェ代

会議費の範囲は、最低限に抑える必要があります。会議での弁当や飲み物が豪勢すぎる場合、業務目的として不適切と判断されます。無駄な費用をかけないようにしましょう。申告時のトラブルを避けるため、レシートを保管し費用の詳細を記録することが大切です。

勘定科目4. 福利厚生費

経費計上できる飲食代の勘定科目には「福利厚生費」が該当します。従業員の生活の安定や向上を目的とした支出であれば、飲食代も福利厚生費として経費計上可能です。

具体的には下記の出費が当てはまります。

  • 昼食代
  • 定期的な食事会の費用
  • 社員旅行の飲食代

福利厚生は従業員のモチベーション向上や離職率低下などにつながるため、企業として重要な費用の1つです。法律によって一定の支払いが義務づけられている場合もあります。

適切な制度を設け、財務状況を把握しながら適正なサポートの提供が必要です。特定の人のみを頻繁に食事に連れていくケースでは福利厚生費への計上は認められず、賃金に相当するため注意しましょう。

【具体例】飲食代を経費に計上できる8つのケース

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飲食代を経費計上できる8つのケースを紹介します。

  1. カフェで仕事(雑費)
  2. 喫茶店で取引先と打ち合わせ(接待交際費/会議費)
  3. 取引先と接待の食事(接待交際費)
  4. 来客に備えて飲み物を常備(接待交際費)
  5. 接待飲食代の割り勘支払い(接待交際費)
  6. 出張先で取引先と食事(接待交際費)
  7. オンライン会議兼食事(会議費)
  8. 従業員と会議兼食事(福利厚生費)

1. カフェで仕事(雑費)

カフェで仕事をした場合、支払いは経費になります。カフェでコーヒーを飲みながらでも、仕事に関係する出費とみなされるため「雑費」への経費計上が可能です。仕事ではなく食事が主な目的である場合や、飲食代があまりに高い場合には認められないことがあります。

自宅やオフィス近くのカフェを頻繁に利用するケースは、注意が必要です。プライベートの利用と疑われる可能性があるため、業務に関する出費であると証明できるよう準備しましょう。

2. 喫茶店で取引先と打ち合わせ(接待交際費/会議費)

喫茶店で取引先と打ち合わせをする場合、仕事に関係する支出であるため飲食代を経費にできます。規模によって計上する項目が違うため、以下の大きな2つの基準で判断が可能です。

  • 会議費:5,000円以下
  • 接待交際費:5,000円以上

アルコール飲料が含まれていると、仕事に関係する支出とみなされません。証拠を残すためにも、議事録や録音などを用意すると申告時に安心です。

参照:国税庁

3. 取引先と接待の食事(接待交際費)

レストランや料亭などで宴会を開く場合は、接待交際費に計上できます。個人事業主の場合は原則的に上限がありませんが、金額が大きすぎると税務署から注意を受ける可能性があるため注意が必要です。

領収書にはどの取引先への接待かわかるよう、取引先や担当者名を書きましょう。取引先を明記することで、税務署に証拠として提出できます。

4. 来客に備えて飲み物を常備(接待交際費)

来客用の飲み物を購入する代金は、購入した時点で接待交際費として経費にできます。よく来客がある会社であれば、飲み物を常備しておくケースも想定されるためです。

飲食代(飲み物や軽食)は、来客対応の状況に応じて勘定科目が異なります。打ち合わせが多い場合は会議扱いになるため、会議費に経費計上しましょう。

5. 接待飲食代の割り勘支払い(接待交際費)

飲食代を取引先と割り勘した場合でも、接待交際費と認められます。領収書がないと事実確認が難しくなるため、支払った分の金額を個別で発行してもらいましょう。

接待飲食代を割り勘して半分しか払っていないのに、領収書に書かれた全額を経費計上することはできません。経費に該当する費用は、自社が負担した部分のみです。トラブルを避けるためにも、正確な費用で経費計上する必要があります。

6. 出張先で取引先と食事(接待交際費)

取引先と食事をした場合には、接待交際費に当てはまります。出張先での通常の昼食や朝食などの飲食代は、経費にならないため注意が必要です。

出張先でも、接待交際費の経費計上の原則は変わりません。業務における取引先とのコミュニケーションを目的とした食事のみが経費に認められます。

7. オンライン会議兼食事(会議費)

オンライン会議でも、食事が経費と認められるケースがあります。会議が長引いたため弁当を食べながら継続した場合は、会議費に該当する可能性があるためです。

自宅にいて取引先とオンライン会議をし、食事をした場合には、仕事とプライベートの境目があいまいになるため注意が必要です。通常の食事は経費にはあたらないため、会議に必要な費用であるかを慎重に判断しましょう。

8. 従業員と会議兼食事(福利厚生費)

従業員と会議兼食事をした場合、経費計上できる可能性があります。たとえば従業員と会議をしている途中、参加者全員分の出前や弁当を購入するケースでは、福利厚生費に該当するためです。

会議と関係なくとも、事業所に常備してあるお菓子や飲み物の費用は福利厚生費とみなされます。特定の個人に対する支出ではなく、従業員全員に関係する場合に限るため注意しましょう。

【具体例】飲食代を経費に計上できない4つのケース

飲食代を経費に計上できないケースは、次の4つです。

  1. 業務時間中に1人で食べた弁当代
  2. 家族や友人との食事代
  3. 特定の従業員との食事代
  4. 仕事の休憩中のカフェ代

1. 業務時間中に1人で食べた弁当代

業務時間中に弁当を買って1人で食べるケースは、飲食代を計上できません。食事は誰にでも必要な行為であるため、業務に関係ないとみなされるためです。

食事中に取引先の資料を読む、仕事のメールを確認する場合も同様、経費に該当しません。経費計上ができるかどうかは「業務に関連している」「業務上必要である」を境界線に判断しましょう。

2. 家族や友人との食事代

業務に関係のない友人や家族全員で食事をするケースでは、経費に認められません。経費計上するためには、事業に関する会話をしている、かつ会議目的で食事の場を設けている必要があります。

家族を青色事業専従者として雇用していても、食事中に業務に関係する会議が行われた記録がない場合は経費に該当しません。

3. 特定の従業員との食事代

複数の従業員を持つ個人事業主の方が特定の従業員と個別に食事をした場合、飲食代にみなされないことがあります。食事中に仕事の打ち合わせをしても個人的な食事の場とみなされるため、会議費としての計上は原則不可能です。

会議費に該当する食事代は、原則的にグループで打ち合わせをするシーンを想定しています。同一メンバーでとる食事を頻繁に経費計上する場合も、業務に該当するか審査対象になる可能性があります。

4. 仕事の休憩中のカフェ代

休憩の際の飲食代は経費になりません。仕事の途中でも、業務に直接関係ない支出とみなされます。カフェ代を雑費で経費計上する場合との違いは、業務上必要な出費であるか否かです。

休憩目的でカフェを購入する場合、出費は業務に関係がありません。経費計上できるかの基準は判断が難しいこともありますが「業務に関連した飲食代である」と証明できる準備が必要です。

飲食代を経費計上するための5つの注意点

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飲食代を計上するための注意点は、次の5つです。

  1. 領収書やレシートをすべて保管する
  2. 「飲食代」に偏ると課税の可能性がある
  3. 自宅やオフィス近くの頻繁な飲食はリスクがある
  4. 虚偽申告はペナルティの対象になる
  5. 福利厚生費のルールを遵守する

注意点1. 領収書やレシートをすべて保管する

領収書やレシートをすべて保管しないと、経費計上できない可能性があります。領収書やレシートは税務調査の際に、証拠の書類としての役目があります。すべて保管し、会計処理や確定申告の際に必要な書類を確実にそろえましょう。

注意点2. 「飲食代」に偏ると課税の可能性がある

スムーズに経費を申告するためには、飲食代の大きな偏りには注意しましょう。ほかの経費に比べて飲食代の比重が明らかに大きい場合、課税対象になる可能性があります。

経費の内訳もチェックされるため、不審な点があると会社の信用性にも関わります。全体的な経費総額に対して飲食代の割合が大きいと、実際に業務目的で使用された経費か疑われる可能性があるためです。

注意点3. 自宅やオフィス近くの頻繁な飲食はリスクがある

自宅や会社近くでの頻繁な飲食を経費にする際は、注意が必要です。プライベートと業務との区別がつきにくく、税務署から問題視される可能性があります。

たとえば、社員が毎日自宅や会社近くのカフェでコーヒーを飲んでいる場合、経費にできるかどうかの判断は難しいでしょう。原則的には、外出先での打ち合わせや商談の際にカフェを利用する場合に限り、経費計上が認められます。議事録を残しておくと申告時にスムーズです。

注意点4. 虚偽申告はペナルティの対象になる

経費計上する場合、虚偽申告は絶対に避けましょう。プライベートの食事を取引先との会議と偽る、休憩中の飲食代を経費に計上するなどの行為は、虚偽申告に該当します。

虚偽申告は罰則の対象です。隠ぺいや虚偽などの意図がなく、間違えて少なく所得税を納税してしまった場合でも、罰則はあります。税務署から指摘を受ければ、過少申告加算税や延滞税が科せられるでしょう。さらに悪質な場合は、刑事罰と判断されるケースもあります。

注意点5. 福利厚生費のルールを遵守する

福利厚生費に飲食代を経費計上する場合、福利厚生費の仕組みを理解しましょう。従業員との飲食代は経費にできますが、該当するのは「従業員におおむね一律に提供される」場合のみです。全員参加する忘年会や懇親会は当てはまりますが、役員だけが参加する宴会は経費に該当しません。

提供される価額と従業員が負担する金額の差にも注意が必要です。1カ月あたりの差が3,500円を超えると、従業員に所得税が課税される可能性があります。

飲食代を経費計上するための領収書・レシートの書き方

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飲食代を経費計上する際は、領収書に不備がないか毎回確認することが大切です。領収書に不備があると、経費にできません。ミスの例として、金額の間違いや支払い方法の未記載が挙げられます。

領収書に記載すべき項目は、以下の5つです。

  • 店舗名
  • 店舗の連絡先
  • 店舗の住所
  • 飲食代
  • 飲食の内容

不備があると、税務署から問題を指摘される可能性があります。経費が認められないケースや修正を指示されるケースも想定されます。円滑な経費計上のためにも、領収書の確認を怠らないようにしましょう。

まとめ:飲食代を経費計上する際は内容を見極めることが大切

飲食代が発生した状況により、接待交際費や会議費など勘定科目が異なるため注意が必要です。正しい申告ができなければ、確定申告時にスムーズに申告できない可能性があります。

手続きが苦手な方は、専門家に管理や申告を依頼すると安心です。専門家を選ぶ際は、複数の選択肢のなかから最適な条件を選ぶことで、価格を抑えて納得できるサポートが受けられるでしょう。

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監修者のコメント
竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

飲食代の経費計上は、日常的に誰もが取るものですから、非常に厳しいと考えます。誰もが頻繁にとっていますので、領収書があり食べているという事実があっても、一概に認められるとは言えません。

まずは、「事業関連性」が重要になります。どうしても「プライベート」との区別が見られます。得意先と一緒であっても、その参加者と飲食に至って経緯なども残しておく必要があります。

可能であれば、議事録を残しておくのも、証拠として重要になります。事業主(役員)一人での支払いは、もっと難しくなると思います。逆に、身内と一緒の支払いも、プライベートとみられる可能性が高いと思われます。

従業員と一緒にとる場合、福利厚生費となる可能性が高いですが、特定な従業員のみであれば、その社員に対する給与とみられる可能性があるので注意しましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

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