本や書籍代は経費にできる?勘定科目やミスしやすい3つのパターンを解説
- 書籍は経費として計上できる?
- マンガや小説も経費にできる?
- 仕事に関係しない書籍は経費計上できる?
「書籍を経費計上するには?」「セミナーや研修に使用した書籍の費用も経費できる?」とお悩みの方、必見です。仕事に関連した書籍は経費として計上できます。
この記事では、個人事業主や経理担当者に向け、書籍代を経費にできるケースや勘定科目を解説します。
記事を読み終わる頃には、書籍の代金を正確に計上でき、税務上のリスクを最小限に抑えられる知識が身につくでしょう。
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書籍代を経費計上する際の5つの勘定科目
書籍代を経費計上する際の勘定科目は以下のとおりです。
- 事業に関連した本や書籍の購入費用は「新聞図書費」
- 研修のために資料として書籍を購入した場合は「研修費」
- 業務に関係しない本や雑誌を休憩室に置いた場合は「福利厚生費」
- 本や書籍を購入する機会が少ない企業の場合は「雑費」
- 自費出版で書籍を出す場合は「仕入れ費」や「広告宣伝費」
それぞれの内容をくわしく解説します。
1. 事業に関連した本や書籍の購入費用は「新聞図書費」
事業に関連する本や書籍の購入費用は通常「新聞図書費」に計上できます。「新聞図書費」は、書籍から知識を得ることで、会社が成長するために必要な経費として処理されます。
「新聞図書費」として経費計上する項目は次のとおりです。
- 納税のための経理の本
- 業務拡大のための専門書
- 顧客向けに購入した雑誌や新聞(接客業)
- 所得税や法人税に関する書籍(確定申告学習)
- 従業員が資格取得のための書籍購入代
すべての本や書籍が経費計上できるわけではありません。適切な取り扱いを行うためには、購入目的を明確にすることが重要です。
2. 研修のために資料として書籍を購入した場合は「研修費」
研修やセミナーで使用するために書籍を購入した場合、科目は「研修費」で経費計上できます。「研修費」は業務上必要なスキルや技能を従業員が修得するために要した費用です。
企業が従業員のスキル向上を目的として研修を行う際、従業員分の書籍を購入した場合は「研修費」に計上します。研修が終了しても、書籍は受講者の手元に残る可能性が高いため「研修費」が適切です。
書籍や教材が事業に直接関連しない場合は「消耗品費」で仕分けし、セミナーや通信教育の費用は「支払手数料」で処理します。
3. 業務に関係しない本や雑誌を休憩室に置いた場合は「福利厚生費」
業務に関係しない本や雑誌を休憩室に置いた場合は「福利厚生費」として経費計上できます。「福利厚生費」は企業が給与以外に社員のために利用する費用です。
たとえば、業務に直接関わらない書籍や雑誌を購入して配置した場合、従業員の福祉向上に寄与する支出のため「福利厚生費」が適用されます。個人事業主は雇用されていないため「福利厚生費」は経費計上できない点に注意が必要です。
4. 本や書籍を購入する機会が少ない企業の場合は「雑費」
本や書籍の購入頻度が少ない企業が、書籍を購入する場合は「雑費」として計上できます。「雑費」とは、他の経費に該当しない事業上の少額経費です。書籍代の経費計上には複数の選択肢がありますが、書籍の購入頻度の少ない企業では「雑費」が適しています。
一般的な基準は、数千円から数万円までが「雑費」の相場とされています。企業によって設けられている基準が異なるため、基準に沿った経費計上が必要です。
5. 自費出版で書籍を出す場合は「仕入れ費」や「広告宣伝費」
自費出版で書籍を出版する場合は「仕入れ費」や「広告宣伝費」で経費計上します。書籍を製作するための原材料や制作費など、直接的な費用は「仕入れ費」として、キャンペーンや広告の制作費用は「広告宣伝費」として経費計上できます。
自費出版で書籍を販売する際に発生する費用と科目は以下のとおりです。
- 原材料や制作に関わる費用:仕入れ費
- キャンペーンや広告の制作費用:広告宣伝費
- 出版後の在庫棚卸資産:棚卸資産
- 出版による収益:売上収益
- 販売に伴う手数料:販売手数料
書籍を製作する場合は、さまざまな費用が発生するため、適切な科目で経費を計上しましょう。
書籍代として経費計上できるケース
書籍代を経費として計上できるケースは以下のとおりです。
- 漫画や小説も経費として計上できる
- メールマガジンや有料サイトの購読料も書籍代として計上できる
- 電子書籍も書籍代として経費計上できる
1. 漫画や小説も経費として計上できる
漫画や小説もビジネスの参考になる情報が記載されている場合は、経費として計上できます。漫画は小説よりもエンターテインメント性が高く、経費として認められにくいでしょう。実用書と同様に特定分野を解説した漫画やノンフィクションなどの漫画は経費として計上が可能です。
2. メールマガジンや有料サイトの購読料も書籍代として計上できる
メールマガジンや有料サイトの購読料は経費として計上できます。事業に関連する情報媒体であれば「新聞図書費」の勘定科目で経費計上が可能です。年をまたぐ定期購読を契約する場合は、年内の購読料だけを計上して振り替える方法で処理しましょう。
3. 電子書籍も書籍代として経費計上できる
事業に関連する電子書籍も経費計上可能です。電子版でも書籍のため「通信費」ではなく「新聞図書費」として計上します。
「新聞図書費」として経費計上できるサービスは以下のとおりです。
- 電子書籍(kindleやkoboなど)
- 有料メルマガ購読料
- 有料サイト会員費
- 情報サイト有料会員費
- レンタル資料DVD/CD代
- ビジネス情報サービス(mp3ファイルやpdfファイルなど)
書籍代を経費計上する際の3つのポイント
書籍代を経費として計上する際、次のポイントに注意しましょう。
- 勘定科目は変更しない
- 企業ごとに定められた勘定科目を確認する
1. 勘定科目は変更しない
経費計上する際は、長期的に経費の動きを把握するため、使用する勘定科目は変更しないようにしましょう。勘定科目を使い分ける際、購入目的ごとにまとめることで、情報を把握しやすくなります。
2. 企業ごとに定められた勘定科目を確認する
企業ごとに使用する勘定科目の設定が異なるため、書籍代を計上する前に自社の規定を確認しましょう。勘定科目は厳密には法的に規定されておらず、各事業主が独自に設定することが可能です。
従来「新聞図書費」を使ってこなかった企業の場合、同一の勘定科目を使い続けるために「消耗品費」として書籍を経費計上できます。
書籍代を新聞図書費で仕分ける際の注意点
書籍代を新聞図書費で仕分ける際、次の点に注意しましょう。
- 定期購読の場合はサービス利用開始で費用が発生する
- 週2回以上発行される新聞は軽減税率が適用される
それぞれの内容をくわしく解説します。
定期購読の場合はサービス利用開始で費用が発生する
書籍代が定期購読の場合、サービス利用開始時に全額を「新聞図書費」として計上します。購入期間が1年を超える場合、実際のサービス利用期間に基づいた経費計上が必要です。
たとえば、12月決算の企業が5月に月額1,200円の専門誌を定期購読した場合、5月〜12月までの7カ月分を「新聞図書費」として計上します。残りの5カ月分は「前払費用」として取り扱い、翌年度の会計処理で残りの前払費用を新聞図書費に振り替えます。
週2回以上発行される新聞は軽減税率が適用される
週2回以上発行される新聞は軽減税率が適用されます。軽減税率の対象となる新聞は「週2回以上発行される新聞で定期購読契約に基づくもの」と定められています。軽減税率の利用は新聞の発行頻度だけではなく、内容の適格性も確認が必要です。
政治や経済など社会的な情報が掲載されている新聞が対象ですが、スポーツ新聞や業界紙などでも条件をクリアすることで、軽減税率の対象となります。
参照元:国税庁
まとめ
事業に関連する書籍代は、経費として計上できます。計上する際の勘定科目は「新聞図書費」が一般的です。用途や目的によっては別の勘定科目で計上する場合もあります。
書籍を経費として計上する際は、長期的に経費の動きを把握しやすい勘定科目を考えて設定しましょう。書籍代の経費計上で迷った場合は、専門家へ相談することをおすすめします。
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岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。
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