贈答品は経費にできる?勘定科目や注意点を解説!
- 贈答品を経費にする際の勘定科目は?
- 贈答品はいくらまで経費にできる?
- 贈答品を経費にする際の注意点は?
「贈答品はどの勘定科目で経費計上するの?」とお悩みの経理担当者や個人事業主の方、必見です。贈答品は「接待交際費」「広告宣伝費」「福利厚生費」のいずれかの勘定科目で経費計上します。
この記事では、贈答品を経費にする際の勘定科目や、経費計上で注意すべき点を徹底解説します。記事を読み終わる頃には、贈答品の仕訳方法を習得できるでしょう。贈答品の扱いでお悩みの方はぜひ参考にしてください。
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贈答品は経費計上が可能
贈答品は、日ごろの感謝や祝福の気持ちを込めて贈るもので、条件を満たせば経費として計上できます。贈答品は取引先や顧客に対する贈り物を指しますが、従業員に対する贈り物も贈答品に該当する場合があります。
贈答品を経費に計上するためには、事業に必要であることが絶対条件です。取引先に手土産を渡す場合や、懇意にしている顧客にお礼の品を渡す場合が該当します。
贈答品とは
経費計上できる贈答品は、以下の物品が挙げられます。
- 手土産
- 謝礼品
- お中元、お歳暮
- お祝い品、返礼品
取引先に持参する手土産のほかに、お中元や取引先からの贈答品に対する返礼品も経費計上できます。冠婚葬祭で使用する祝儀・香典も事業に関連する物であれば、経費にできる可能性が高いでしょう。
贈答品を経費計上する際の勘定科目3つ
贈答品を経費にする際に使う勘定科目は、以下の3つです。
- 接待交際費
- 広告宣伝費
- 福利厚生費
贈答品の用途ごとに勘定科目を使い分けましょう。適切な勘定科目を使うことで、支出を管理しやすくなるメリットもあります。
接待交際費
贈答品を経費にする場合、もっともよく用いられる勘定科目は「接待交際費」です。国税庁のホームページには、以下のように記載されています。
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。
引用:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
贈答品は、得意先や仕入先に対する贈答のための支出です。法人だけではなく、個人事業主も贈答品を接待交際費で経費計上できます。
広告宣伝費
贈答品のなかでも、不特定多数の人に宣伝目的で贈るものは、勘定科目を「広告宣伝費」で経費に計上します。企業名の入ったうちわや試供品、タオル、カレンダーなどを顧客や来場者に渡したケースが該当します。
贈答品の贈り先によって勘定科目を使い分けなければなりません。一般消費者を対象とした贈答品は「広告宣伝費」で、企業を対象とした贈答品は「接待交際費」で計上します。
福利厚生費
贈答品の贈り先が従業員である場合の勘定科目は「福利厚生費」です。贈答品を福利厚生費にするためには、従業員全員へ一定の基準に従い支給される公平性が重要です。特定の従業員しか受け取らない贈答品は、経費として認められないため注意しましょう。
たとえば、結婚祝いや出産祝いなどは経費計上できますが、従業員の子どもの受験合格祝いは経費として認められない可能性が高いです。福利厚生費として計上できる基準を明確にして、会社全体に共有しましょう。
個人事業主が贈答品を経費計上する際の上限金額はない
個人事業主やフリーランスの場合、贈答品を経費に計上する際の上限金額はありません。贈答品の費用があまりにも高額である場合、税務署から指摘される可能性があります。
法人の場合、800万円を超える接待交際費は法人税の経費として認められません。
贈答品を経費計上する際の注意点7つ
贈答品を経費計上する際、以下の7つの点に注意しましょう。
- 贈答品が事業に必要であることを証明できるか
- 贈答品の金額は適正であるか
- 換金性の高い物品は経費計上できない
- 個人の利益になる贈答品は経費にできない
- 贈答品の内容と贈り先を記録する
- 配偶者・恋人へのプレゼントは経費にならない
- 贈答品の領収書は但し書きを細かく書いてもらう
贈答品は手元に残る財産ではないため、税務調査の際に費用を証明できるよう準備することが重要です。贈答品が事業に関連した支出であると証明できることも、確定申告で重要なポイントとなります。
1. 贈答品が事業に必要であることを証明できるか
贈答品を経費にする際の前提条件は、贈答品が事業に必要であると証明できることです。事業とは関係のない支出を経費に含めると脱税の疑いをかけられます。贈答品を事業に関係ない用途で用いると、税務署から指摘を受けるおそれがあるため注意しましょう。
2. 贈答品の金額は適正であるか
贈答品を贈る場合、適正な金額の品物であることが重要です。高額な貴金属やアクセサリーは換金目的や自分用の品物と見なされる可能性が高いです。
取引先や顧客に渡す贈答品は、1万円程度が適正な金額です。冠婚葬祭の香典は1万円前後、祝儀は3万円前後が無難です。接待交際費として認めてもらえるよう、贈答品の金額は常識的な範囲内におさめましょう。
3. 換金性の高い物品は経費計上できない
金券や商品券は換金性が高いため、贈答品として贈ることは控えましょう。売却することでほぼ等価の金銭を受け取れるため、経費として認められません。換金性の高い贈答品を経費計上すると、税務署から指摘される可能性が高まります。
菓子折りやタオルなど、換金しにくい品物を贈答品として選ぶのが無難です。
4. 個人の利益になる贈答品は経費にできない
贈答品が個人の利益になり得る場合、経費に計上できないケースがあります。たとえば、政府の役人に贈答品を贈った場合、事業に関係している支出でも経費として認められません。公務員への贈答品は、倫理規定に違反するおそれがあるため避けましょう。
5. 贈答品の内容と贈り先を記録する
贈答品を購入した場合、品物の内容や贈り先を記録することが重要です。税務調査では、いつ、誰に、どのような品物を贈ったかを厳しくチェックされます。
接待交際費で仕訳した場合は、贈り先をリストにまとめるのがおすすめです。リストに不備があると経費が認められない可能性があるため、必ず正確な記録を取りましょう。
6. 配偶者・恋人へのプレゼントは経費にならない
配偶者や恋人へのプレゼントは事業に関係ないと見なされるため、費用を経費計上することはできません。事業に不可欠な支出であると証明できる場合を除き、配偶者や恋人へのプレゼントを経費にするのはやめましょう。
7. 贈答品の領収書は但し書きを細かく書いてもらう
贈答品を経費に計上するため、但し書きを細かく書いてもらうことも大切なポイントです。領収書の但し書きは「お品物代」と記載される場合がありますが、商品名を具体的に書いてもらいましょう。購入品の内容が不明瞭な場合、税務署から指摘を受けやすくなります。
贈答品を購入する際は領収書をもらい、贈り先の記録を残しましょう。税務調査に備えて、細かく記録を残すことが重要です。
まとめ
贈答品を経費計上する際の勘定科目は「接待交際費」「広告宣伝費」「福利厚生費」の3つです。事業に関係していること、贈り先が明らかであることを証明することが重要です。贈り先や日時、品物の内容などを詳細を記録しましょう。
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1967年生 静岡県出身 法政大学経営学部経営学科卒業。証券会社の法人営業、投資信託委託会社を経て、主体的な生き方を求め税理士業界へ。税務会計に携わって27年、地場中小企業中心に上場企業、IT・ネット関連、メディア・広告、大規模宗教法人・社会福祉法人など多くの税務顧問を務め、京都府包括外部監査補助者(2004年)、地域公益法人の監事(2019年〜)に就く。圧倒的な経験と多彩なクライアントから得たノウハウを創業間もない起業家にリーズナブル価格で提供したいとの思いから創業支援センターを立ち上げている。
事業を遂行する上での必要性を認識できること、そして相手先が得意先、仕入先、その他事業関連者のための支出であることが必要となるでしょう。たとえ取引先という関係にあっても、プライベートな時間を共有できるような相手に対して、プライベートな機会のための贈答品はその経費性を問われることとなるでしょう。
また、金額的な妥当性と適切な帳簿記録も留意すべき点です。不相当に高額な品は必然的に問題となるでしょうし、日付、渡した相手先、その目的の説明が帳簿記録によって補完されていることが必要となるので注意しましょう。
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