【個人事業主必見】車検費用は経費にできる!覚えたい6つの科目と手順
- 車検の費用は経費にできる?
- 車検で経費にできる勘定科目はどんなもの?
- 申告を間違えずにやるためにはどうしたらいいの?
車検の費用を経費にできるかは、これから青色申告をする方にとって大きな悩みです。車検費用を経費にするためには複数の条件があると同時に、知っておかなければならない勘定科目も存在します。
車検の費用の内訳や経費にする手順、注意点まで詳しく解説します。車検費用で少しでも節税をしたい方やマスターしたい方はぜひ最後までお読みください。
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車検の費用は経費にできる
車検の費用は経費にできます。経費として申告するには以下2つの条件があります。
- 個人事業主でなければならない
- 給与所得者は経費にできない
個人事業主でなければならない
車検の費用を経費にするには個人事業主である必要があります。「事業所得を得ていること」「自動車を事業で使用していること」が条件です。事業で車を使用する例として「営業先に移動するために車を使用している」「各地で講演会を開催するために車が必要」などが挙げられます。
車検の費用だけではなく、ガソリン代も経費にできます。申告をする際はガソリン代の領収書も取っておくようにしましょう。
給与所得者は経費にできない
会社員やアルバイターなど、給与所得者は経費にできない点には注意が必要です。会社員の方の中には、通勤のために毎日車を使っている方もいます。
給与所得者の方の場合は所得税法により、必要経費として「給与所得控除」が適用されているため、車検費用を経費に計上できません。給料以外の収入がなければ確定申告は不要です。
車検の費用を経費にするための6つの勘定科目
車検の費用を経費にするためには、確定申告で勘定科目に仕訳しなければなりません。適切に仕訳して申告しなければ、税務署から指摘を受けたり、書類の修正を求められたりします。
車検の費用を経費にするための5つの勘定科目を見ていきましょう。
- 車両費
- 租税公課
- 損害保険料
- 支払手数料
- 修繕費
車両費
車検にかかった費用は「車両費」として計上します。青色申告者の場合、損益計算書の空欄に車両費と記入して仕訳しましょう。
車検そのものにかかった費用に加え、整備や点検のための費用も車両費として経費に入ります。調子の悪い箇所があったため修理した、劣化している部品があったため交換したといったケースでは、支出を車両費に計上できるのです。
今期の費用になる(修繕費)のか、費用とならず資産計上(車両運搬具)されるかが重要です。車両費と修繕費を混同しても確定申告において問題になることは通常ありません。会社の会計処理において明確に区別されていれば大丈夫です。
自動車からオートバイ、鉄道車両、自動車に搭載するステレオやクーラーなどが含まれます。未使用の自動車も将来的に営業に使うのであれば車両運搬具に計上できます。
租税公課
車検の際に支払った税金は、租税公課として経費計上します。車検を行うと、「自動車重量税」や「収入印紙代」などの税金を支払わなければなりません。
- 自動車重量税:新車登録からの年数で変わる
- 収入印紙代:購入した金額をそのまま経費として計上する
自動車重量税については、新車登録からの年数によって変わります。以下の表をご覧ください。
2年(車検実施時)
新車購入時の場合の自動車税
3年(新車購入時)
損害保険料
車検を受けた際の経費として、損害保険料が挙げられます。車検を受ける際に必要なのが自賠責保険ですが、自賠責保険料も経費に計上できるのです。任意加入の自動車保険も含まれます。
自賠責保険は2年に1回保険料を支払いますが、確定申告の際には一括での経費計上が認められています。減価償却のように分割して計上する必要はありません。
支払手数料
車検にかかる費用の中には、ディーラーや代理店などに支払う手数料があります。車検では、車の点検・整備の他にも必要な書類作成といった業務の代行に手数料を支払うのです。
車検の際に支払った手数料も、確定申告の際には経費として計上可能です。青色申告をしている方は、損益計算書に「支払手数料」の項目がないため、新たに空欄に付け加える必要があります。損益計算書に書き込むことを忘れてしまうと、経費にならないため注意しましょう。
修繕費
車検の際に何らかの改良を行った場合、修繕費に含まれる可能性があります。車両費と修繕費の違いは非常にあいまいで、あまり区別していない個人事業主の方や法人も少なくありません。
仕訳の基準や方法について不安があれば、税理士に尋ねることをおすすめします。
国が定めている自動車の安全基準を満たしているか、車検証と所有者が一致しているかを確認するためにかかる費用のことです。支払手数料ではなく修繕費に含まれます。
車検費用を経費計上する3つの手順
車検費用を経費にするには手順があります。手順を理解しておけば申告書を作成するのもスムーズになるため、覚えておいて損はありません。
- 車検に関わる明細を集める
- 支出を勘定科目ごとに仕訳する
- 家事按分を考慮して経費を計上する
1. 車検に関わる明細を集める
車検の費用を経費計上するために明細を集めましょう。具体的にどのような支出があったのかを確認することが必要です。
明細を見ながら、どの支出をどの勘定科目にするかを決めていかなければなりません。確定申告の直前になってから明細を集めようとすると時間がなくて慌ててしまうため、日ごろから請求書や明細書、領収書を保管しておくとよいです。
2. 支出を勘定科目ごとに仕訳する
明細が集まったら勘定科目ごとに仕訳します。車検費用をどのように仕訳すべきか明確に定められた法律はないため、ある程度自由に決められます。ただし、用途や性質が大きく異なる支出を、同じ勘定科目に仕訳することはできないため注意が必要です。
確定申告をスムーズに進めたいのであれば、青色申告決算書に記載されている勘定科目をできるだけ使用することが必要です。勘定科目は自分で設定できますが、あまりに特殊な勘定科目を作ってしまうと、税務署から問い合わせが来る可能性があります。
青色申告決算書では、6つまでであれば勘定科目を自由に設定できます。既存の項目に当てはまらない支出がある事業主に向けた制度です。
3. 家事按分を考慮して経費を計上する
最後に、経費を家事按分に従い計上します。車を事業に関することのみに使っているのであれば、車検の経費をすべて計上できます。しかし、一般的に個人事業主は車を仕事とプライベートの両方で使っているため、家事按分が必要です。
走行距離や走行時間などを考慮して、仕事に60%、プライベートで40%の割合で車を使用しているのであれば、車検に関する経費も60%だけ計上可能です。
車検費用を経費にする際の2つの注意点
車検費用を経費にする際、ポイントを覚えておくことで効果的に所得税の節税が可能になります。
12ヶ月点検も経費計上できる
車の12ヶ月点検を行う際にかかった費用も確定申告で経費に計上できます。12ヶ月点検は安全に走行するために定期的に受けなければならないもので、法律で定められている点検です。
新車購入後には12ヶ月点検を1年目と2年目に受け、3年目には1回目の車検に合わせて法定24ヶ月点検を受けます。12ヶ月点検で発生するコストは、車両費として経費に計上しましょう。オイル交換代や洗車代、エレメント交換代などの費用が該当します。
従業員の車検費用も経費にできる
従業員を雇っている個人事業主の場合、従業員が所有する自動車の車検費用も経費にできます。従業員が事業のために車を使用していることが条件です。
プライベートでも使っている場合は、事業主本人と同様に按分をすることが必要です。勘定科目は「福利厚生費」といった項目で挙げるとよいでしょう。
車検の費用における消費税の取り扱い
車検費用を確定申告で経費にする際は、消費税の取り扱いに注意が必要です。個人事業主の場合、一定期間内の課税売上高が1,000万円を超えると消費税の納税義務が生じます。
課税業者になっているならば、確定申告で消費税計算を行わなければなりません。確定申告で車検の費用を経費にする場合、税込処理にすべきか、税抜処理にすべきか確認が必要です。
車検の費用には非課税と不課税がある
車検の際に発生する費用には、消費税が課税されるもの、非課税もしくは不課税のものがあります。それぞれの種類に応じて適切に処理することが求められます。
消費税が課税されるものは以下のとおりです。
- 車検時の工賃
- 部品代金
- 車検の検査手数料
非課税と不課税になるものは以下のとおりです。
- 自賠責保険料:事業者が対価を得て行う取引の中で課税されないもの
- 自動車重量税や収入印紙代:事業者が対価を得て行う取引でないもの
それぞれの支出が課税対象かについては、消費税の課税業者かどうかにかかわらず決まっているため、経費に計上する際には注意しましょう。
非課税と不課税の違いは「社会政策的な配慮」にあります。非課税の対象になるものは住民票の発行手数料、利子など、消費に対して事業主本人の負担が大きいものです。不課税はそもそも消費税が課税されていないものを指します。
消費税の納税義務がある場合がある
消費税の納税義務がある課税事業者の場合、消費税の計算を行います。消費税の区分ごとの集計が必要となるため、仕訳ごとに消費税の区分をしておかなければいけません。
車両費、修繕費、支払手数料は課税対象、租税公課と保険料は非課税です。消費税は課税対象の合計の10%なので、非課税対象の支出も含めてしまわないよう注意しましょう。
車検の費用計上をラクにする会計ソフト2選
事業で忙しく時間が取れない方や余裕がない方など、個人事業主の方の中には「わざわざ車検費用について考えている暇がない」という方も多いはずです。忙しい方におすすめの会計ソフトを2つ紹介します。ぜひご活用ください。
freee
freeeはクラウド式の会計ソフトで、無料でも充実した機能で使えることが特徴です。2017年にはクラウド式会計ソフトでトップのシェアを誇っているため、安心して使えます。
弥生会計
弥生会計は直感的な操作で初心者の方でも使いやすいことが強みです。税理士でも使っていることが多く、期中の会計処理をしている際に「税理士に引き継ぎたい」という場合に重宝します。
まとめ
車検にかかった費用は、事業に使用している車である限り経費にできます。家事按分が必要なケースはありますが、確定申告の際には必ず経費にして所得税の節税につなげましょう。
普段から領収書をしっかり管理しておくと、車検にかかった費用の経費計上が楽になることも覚えておくとよいです。
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札幌市を中心に活動する税理士。アパレル業界から未経験で税理士業界に飛び込む。その後、個人事務所、資産税系コンサルティングファームで経験を積み独立。税理士の仕事で重要なことはお客様とのコミュニケーションであるという考えから対話を重視している。中小企業の経営支援、スタートアップ支援、相続業務を得意としている。
点検・整備費用、部品交換料は車両費(課税仕入)、車検代行手数料は支払手数料(課税仕入)、自賠責保険料は保険料(非課税仕入)、自動車重量税、印紙代は租税公課(課税対象外)で会計処理を行いましょう。
ただし勘定科目については明確な決まりがなく、他の科目を使用しても問題ありません。例えば車両費でなく修繕費を使用するケースも目にすることがあります。家事按分についてはどのような割合にするかがポイントです。
業務遂行上必要である部分をを明らかに区分することが必要となります。しかしこの区分は実務上明確な基準が設けられていませんので、個々で判断することが求められます。
車検費用を含めた車両に係る経費については走行距離や日数などを考慮し按分することが適切です。実際の走行距離や日数の記録を残すことにより第三者に対して明確な説明ができる割合を使用しましょう。

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