個人事業主は車の費用を経費にできる?具体的な勘定科目や注意点を解説!
- 個人事業主が車の費用を経費にできるケースは?
- 個人事業主が経費に計上できる車の費用には何がある?
- 車の費用を経費にする際の注意点は?
「事業に使用した車の費用は経費にできる?」「経費計上する際の勘定科目は?」とお悩みの個人事業主の方、必見です。車に関する費用は、事業に使用した分だけを経費として計上できます。
この記事では、個人事業主の方向けに、車に関する費用を経費にできるケースや注意点を解説します。最後まで読むことで、勘定科目や減価償却の計算方法を理解でき、経費管理に役立つでしょう。
車を私用と仕事用で兼用している方は、ぜひ参考にしてください。
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個人事業主が車の費用を経費にできるケース2つ
個人事業主が車の費用を経費にできるのは、主に以下の2つのケースです。
- 車を仕事のみで使用しているケース
- 車を仕事とプライベートの両方で使用しているケース
車を仕事のみで使用している場合と、仕事とプライベートの両方で車を使っている場合で経費計上の方法が異なるため注意しましょう。
車を仕事のみで使用しているケース
車を仕事のみで使用しているケースでは、車にかかる費用を全額経費に計上できます。仕事のみで使用していることの証明が必要となります。
通勤や業務で車を使用し、プライベートでは車を使わない個人事業主の方は、原則として支出を全額経費にできると考えていいでしょう。
車を事業とプライベートの両方で使用しているケース
車を事業とプライベートで兼用している場合、車の費用を全額経費にすることはできません。事業に使用した割合で経費を計上する家事按分(かじあんぶん)を使います。
1カ月に500kmを走行した車があったとします。500kmのうち事業で使用した分は200km、プライベートで使用した分が300kmだったとすると、支出全体の40%を経費にできるでしょう。
車の購入費は減価償却費で経費計上する
事業で使用する車の購入費は「減価償却費」として経費計上します。車の購入費は高額になるケースがほとんどであるため、減価償却費は所得を圧縮し節税に効果的です。
車の法定耐用年数
車の購入費を減価償却するために必要となるのが「耐用年数」です。国税庁の確定申告書等作成コーナーにある「よくある質問」に車の法定耐用年数が記載されています。新車を購入した場合、法定耐用年数は普通自動車が6年、軽自動車が4年です。 中古車を購入した場合、以下の計算式によって耐用年数を算出します。
中古車の耐用年数=(新車の法定耐用年数−経過年数)+(経過年数×20%)
たとえば、2年使用した普通自動車を購入した場合、耐用年数は次のように計算されます。 「中古車の耐用年数=(6年−2年)+(2年×20%)=4年+0.4年=4.4年」法定耐用年数を超えている中古車の場合、以下の計算式が適用されます。
中古車の耐用年数=新車の法定耐用年数×20%
減価償却の計算方法
減価償却の方法には、定額法と定率法の2種類があります。定額法は、毎年一定額を減価償却費として計上します。2023年に300万円で普通自動車を購入し、事業にのみ使用しているケースで算出方法を見てみましょう。
国税庁の「減価償却資産の償却率等表」によると、耐用年数6年の車を平成19年4月1日以降に取得した場合の償却率は0.167です。毎年経費に計上できる減価償却費は下記の計算式で算出します。
- 300万円×0.167=501,000円
定率法は、毎年一定の割合で減価償却費を計上する計算方法です。定率法の償却率は0.333と定められています。2年目は、最初の年の減価償却費を差し引いた残金に償却率を乗じて算出します。
- 最初の年:3,000,000円×0.333=999,000円
- 2年目:(3,000,000円−999,000円)×0.333=666,333円
経費計上できる車の費用と勘定科目6つ
個人事業主が経費に計上できる費用と勘定科目は主に以下の6つです。
- 購入費:車両運搬具
- 車維持費:車両費
- ローン利息:支払利息
- 各種税金:租税公課
- 各種保険料:保険料
- リース費用:リース料
勘定科目には法的なルールは存在しないため、上記以外の勘定科目も使用できます。
一般的に用いられている勘定科目を使用することで混乱を防げること、毎年同じ勘定科目を使用しなければならないことを覚えておきましょう。
1. 購入費:車両運搬具
個人事業主が車を購入した場合の購入費は「車両運搬具」で計上可能です。購入金額が10万円以上かつ使用可能期間が1年以上の物品は固定資産と見なされます。車や建物なども固定資産であるため、購入費用を1度に経費にはできず、減価償却しなければなりません。
前述のように新車と中古車では、通常中古車の耐用年数の方が短くなります。短期間で経費を減価償却したい場合は、中古車を購入する方がいいでしょう。
2. 車維持費:車両費
車を維持管理するための費用は「車両費」に計上できます。車両費に含まれるものは主に以下の4つです。
- ガソリン代
- 修繕費
- 車検代
- ETC料金
経費に計上するためには、支出を証明する証拠として領収書やレシートが有効です。すべて保管し、税務署から提示を求められたときにすぐ提出できるようにしましょう。
3. ローン利息:支払利息
車を購入する際に組んだローンの利息は「支払利息」として経費計上できます。ローンの返済のうち、元金は経費にできませんが、利息は経費として認められるでしょう。
事業のみに使う車を購入した場合は利息全額を経費計上できますが、プライベートでも使用している場合は家事按分が必要です。
4. 各種税金:租税公課
車にかかる各種税金は「租税公課」の勘定科目で経費計上できます。租税公課とは、地方自治体に納める「租税」と公共団体に納める「公課」を指します。車に関係する租税公課は以下の4つです。
- 自動車税
- 軽自動車税
- 環境性能割
- 自動車重量税
車に関連する納税が遅れた場合に科せられる延滞税や加算金、交通違反の反則金は経費になりません。確定申告の際に経費に含めないよう注意しましょう。
5. 各種保険料:保険料
損害保険会社に支払う保険料も、車に関係する費用であるため経費に計上可能です。一般的には「保険料」の勘定科目が用いられます。
自動車保険には自賠責保険と任意保険がありますが、どちらの保険料も経費として認められるでしょう。自賠責保険は2年分もしくは3年分保険料を一括で経費にして問題ありません。任意保険料は契約期間で費用を割って計上しましょう。
6. リース費用:リース料
車をリースしている場合「リース料」の勘定科目で経費を計上しましょう。車のリースは、固定資産の計上や減価償却処理の必要がない点が大きなメリットです。
車を購入した場合、租税公課や購入費などさまざまな費用を別々に計算し、経費を申告しなければなりません。リースではほとんどすべての費用を「リース料」にまとめられるため、経理の負担を大幅に減らせるでしょう。
車の購入費用を経費計上する際の注意点5つ
車の購入費用を経費計上する際の注意点は、以下の5つです。
- 定額法と定率法の違いを理解する
- 中古車は減価償却が早く終わる
- 車の名義によって経費にできるかどうかが変わる
- 車を業務で使用していることを証明する
- 家事按分を適切に行う
注意点をひとつずつ解説していきます。
1. 定額法と定率法の違いを理解する
個人事業主が車の購入費用を経費計上する際、定額法と定率法の違いを理解することが重要です。定額法は毎年一定金額、定率法は毎年一定割合を減価償却します。
一般的に法人は定率法、個人事業主は定額法をよく用いることを覚えておきましょう。定額法は毎年減価償却費が変わらないため、経理処理しやすい点がメリットです。定率法は最初の減価償却費がもっとも大きく、徐々に減価償却費が減っていく特徴があります。
2. 中古車は減価償却が早く終わる
車の購入時に、中古車の方が早く減価償却できることを覚えておきましょう。普通自動車を新車で購入した場合、減価償却が完了するまでに6年かかります。
6年以上使用した中古車を購入すると、耐用年数は6年×20%=1.2年です。経費を短期間で減価償却して節税したい場合は、中古車の購入を検討するといいでしょう。
3. 車の名義によって経費にできるかどうかが変わる
車を購入する際、誰の所有かによって経費にできるかどうかが変わります。個人事業主が車の購入費用を経費計上したい場合、原則として車の名義は本人、もしくは生計を一にする親族でなければなりません。
親族でも、車の名義が両親や兄弟である場合には経費が否認されることもあるため注意が必要です。家族で経営する中小企業の場合は、名義に注意しながら車を購入しましょう。
4. 車を業務で使用していることを証明する
個人事業主が車の購入費用を経費にするためには、事業で使用していることを証明できなければなりません。客観的に見て事実と認められる記録を残すことが重要なポイントです。
車の管理や使用に関する記録を取ることもいい方法の1つです。どこに行くために使用したのか、何の目的だったのか、何km走行したのかなどを運転日誌につけるといいでしょう。業務内容やその性格、目的なども明確に説明できなければなりません。
5. 家事按分を適切に行う
車の購入費用や他の支出を経費にする場合、家事按分を適切に行うことは非常に重要です。事業に使用した分だけを経費にしていることを証明できるようにしましょう。
家事按分の方法は走行距離、使用日数、使用時間などが考えられます。平日は仕事、土日はプライベートで車を使用している場合、車に関する費用の7分の5を必要経費として計上できるでしょう。税務署から質問された際に明確に説明できる準備が必要です。
まとめ
個人事業主は、車を事業とプライベートで兼用している場合、事業に使用した分を経費にできます。車の購入費用はもちろん、ガソリン代や車検費用、租税公課も経費に含められるでしょう。漏れなく経費を計上することで、効果的な節税を実現しましょう。
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1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。
車全体の使用に対してどのくらい仕事用で使用するか、つまり車両にかかった費用の経費割合をいくらにするのか、またその割合を算出した根拠に合理性があるのかを検討する必要があります。一方で、乗用車とは別に貨物用自動車を所有している場合など、事業で使用するために購入した車両であれば全額経費にして問題ありません。
経理処理や家事按分の判断に迷った場合には、専門家に相談することをお勧めします。
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