個人事業主が利用可能な助成金・補助金10選!利用に関する相談先も紹介
- 個人事業主が利用可能な助成金や補助金とは?
- 個人事業主が助成金や補助金を利用する際の注意点とは?
- 助成金や補助金に関して相談できる専門家は?
個人事業主も利用可能な助成金・補助金は複数存在するため、用途に見合った制度を選択する必要があります。ただし、受給には書類作成や要件の確認など、対応すべき作業が多く、専門家に相談するのがおすすめです。
この記事を読むと、個人事業主が利用可能な助成金や補助金、利用に関して相談できる専門家などを理解できます。資金繰りが厳しく、助成金や補助金の利用を検討している個人事業主の方は、最後までご覧ください。
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個人事業主が利用できる助成金6選
個人事業主が申請対象に含まれている助成金は以下の6つです。
- 人材開発支援助成金
- トライアル雇用助成金
- 業務改善助成金
- 特定求職者雇用開発助成金
- キャリアアップ助成金
- 早期再就職支援等助成金
各制度の概要に関して紹介します。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、専門知識やスキル習得を目的に職業訓練を実施した事業主を支援する制度です。
4つのコースが用意されており、コースによっては訓練内容に応じて助成額が変動します。コースごとに要件や助成額などを以下の表にまとめました。
人材育成支援コース | 共通要件 | 助成額(1人1時間あたり) | 助成率 | OJT実施の助成額 |
---|---|---|---|---|
人材育成訓練 | ・10時間以上のOFF-JT ・新卒者向けにOJT+OFF-JTを組み合わせた訓練 ・正社員への転換に関するOJT+OFF-JTを組み合わせた訓練 |
・中小企業:760円(中小企業以外:380円) ・賃上げも実施した場合:960円(中小企業以外:480円) |
・正社員に訓練を実施:45%(中小企業以外:30%) ・有期雇用契約者に訓練を実施:60% ・正社員へ転換した場合:70% |
- |
認定実習併用職業訓練 | 人材育成訓練と同じ内容 | 人材育成訓練と同じ内容 | ・45%(30%) ・賃上げも実施した場合:60%(45%) |
・20万円(11万円) ・賃上げも実施した場合:25万円(14万円) |
有期実習型訓練 | 人材育成訓練と同じ内容 | 人材育成訓練と同じ内容 | ・有期雇用契約者に訓練を実施:60% ・正社員へ転換した場合:70% ・賃上げを実施した場合:70~100% |
・10万円(9万円) ・賃上げも実施した場合:13万円(12万円) |
教育訓練休暇等付与コース | 個別要件 | 助成額(1人1時間あたり) | 助成率 | OJT実施の助成額 |
---|---|---|---|---|
内容 | 有給教育訓練休暇制度(3年間で5日以上)を導入し、従業員が制度を利用して訓練を受けた場合に助成 | - | ・30万円 ・賃上げを実施した場合:36万円 |
- |
参照:厚生労働省
参照:厚生労働省
人への投資促進コース | 個別要件 | 助成額(1人1時間あたり) | 助成率 | OJT実施の助成額 |
---|---|---|---|---|
高度デジタル人材訓練 | 高度デジタル人材育成に向けた訓練 | 960円(国内の大学院の場合は480円) | 75%(大企業:60%) | - |
成長分野等人材訓練 | 国内外の大学院で訓練を実施 | 960円 | 75% | - |
情報技術分野認定実習併用 職業訓練 | IT分野未経験者の即戦力化に向け、OJT+OFF-JTを組み合わせた訓練 | ・760円(大企業:380円) ・賃上げも実施した場合:960円(大企業:480円) |
・60%(大企業:45%) ・賃上げも実施した場合:75%(大企業:60% |
・20万円(11万円) ・賃上げも実施した場合:25万円(14万円) |
定額制訓練 | サブスクリプション型の研修サービスを利用 | - | ・60%(大企業:45%) ・賃上げも実施した場合:75%(大企業:60% |
- |
自発的職業能力開発訓練 | 従業員が自発的に実施した訓練 | - | ・45% ・賃上げも実施した場合:60% |
- |
長期教育訓練休暇制度 | 長期教育訓練休暇制度や教育訓練短時間勤務などの制度を導入し、従業員が制度を利用して訓練を受けた場合に助成 | 有給休暇を取得した場合:960円(大企業:760円) | ・20万円 ・賃上げも実施した場合:24万円 |
- |
教育訓練短時間勤務等制度 | 労働時間の短縮と時間外労働の免除 | - | ・20万円 ・賃上げも実施した場合:24万円 |
- |
参照:厚生労働省
参照:厚生労働省
個別要件 | 助成額(1人1時間あたり | 助成率 | OJT実施の助成額 | |
---|---|---|---|---|
事業展開等リスキリング支援コース | 新事業展開やGX/DXの推進など、新分野で必要となる知識や技能を習得させるための訓練 | 960円(大企業:480円) | 75%(大企業:60% | - |
参照:厚生労働省
対象の従業員や訓練内容、自社の企業方針など、さまざまな点を考慮してコースを選択しましょう。どのコースを利用する場合でも、以下の要件を必ず満たさなければなりません。
- 雇用保険適用事業所の事業主が申請
- 訓練の対象者は雇用保険適用事業所の雇用保険被保険者
- 研修や人事の担当課長を職業能力開発推進者として選出
- 事業内職業能力開発計画を策定し、従業員へ周知
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金とは実務経験の不足を理由に、就職が困難な求職者を3カ月間試験的に雇用した事業主を支援する制度です。3カ月の間に求職者の能力や適性、勤務態度を見極め、問題がなければ無期雇用へ転換します。
求職者が以下いずれかの要件に該当しない場合、助成金を受給できません。
- 紹介日前日から過去2年以内に、2回以上転職をしている
- 離職期間が紹介日の前日時点で1年を超えている
- 妊娠や出産、育児によって離職し、紹介日の前日時点で正社員からの離職期間が1年を超えている
- 1968年4月2日以降に生まれ、就職支援所から個別支援を受けている
- 生活保護受給者
- 母子家庭または父子家庭
- 日雇い労働者
- ホームレス
参照:厚生労働省
要件に加え、トライアル雇用求人の作成や実施計画書の策定なども必要です。要件を満たすと、1人あたり4万円の助成金が最大3カ月支給されます。
業務改善助成金
業務改善助成金とは、生産性向上を目的とした設備導入にかかる費用の一部を助成する制度です。助成金を受給するには、以下の要件を満たさなければなりません。
- 事業場内の最低賃金を30円引き上げ
- 事業場内の最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内
- 設備投資と賃上げの計画を策定
- 不当解雇や賃金引き下げなど不交付事由がない状態
参照:厚生労働省
助成金の支給額は賃上げの金額や従業員数によって変動します。助成金額の推移に関して以下の表にまとめました。
賃上げ額 | 事業場で働く労働者数が30人以上 | 事業場で働く労働者数が29人以下 |
---|---|---|
30円 | ・賃上げの従業員数が1人:30万円 ・賃上げの従業員数が2~3人:50万円 ・賃上げの従業員数が4~6人:70万円 ・賃上げの従業員数が7人以上:100万円 ・賃上げの従業員数が10人以上:120万円 |
・賃上げの従業員数が1人:60万円 ・賃上げの従業員数が2~3人:90万円 ・賃上げの従業員数が4~6人:100万円 ・賃上げの従業員数が7人以上:120万円 ・賃上げの従業員数が10人以上:130万円 |
45円 | ・賃上げの従業員数が1人:45万円 ・賃上げの従業員数が2~3人:70万円 ・賃上げの従業員数が4~6人:100万円 ・賃上げの従業員数が7人以上:150万円 ・賃上げの従業員数が10人以上:180万円 |
・賃上げの従業員数が1人:80万円 ・賃上げの従業員数が2~3人:110万円 ・賃上げの従業員数が4~6人:140万円 ・賃上げの従業員数が7人以上:160万円 ・賃上げの従業員数が10人以上:180万円 |
60円 | ・賃上げの従業員数が1人:60万円 ・賃上げの従業員数が2~3人:90万円 ・賃上げの従業員数が4~6人:150万円 ・賃上げの従業員数が7人以上:230万円 ・賃上げの従業員数が10人以上:300万円 |
・賃上げの従業員数が1人:110万円 ・賃上げの従業員数が2~3人:160万円 ・賃上げの従業員数が4~6人:190万円 ・賃上げの従業員数が7人以上:230万円 ・賃上げの従業員数が10人以上:300万円 |
90円 | ・賃上げの従業員数が1人:90万円 ・賃上げの従業員数が2~3人:150万円 ・賃上げの従業員数が4~6人:270万円 ・賃上げの従業員数が7人以上:450万円 ・賃上げの従業員数が10人以上:600万円 |
・賃上げの従業員数が1人:170万円 ・賃上げの従業員数が2~3人:240万円 ・賃上げの従業員数が4~6人:290万円 ・賃上げの従業員数が7人以上:450万円 ・賃上げの従業員数が10人以上:600万円 |
参照:厚生労働省
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
特定求職者雇用開発助成金とは、ハローワークや民間の職業紹介所などから紹介された求職者を採用し、継続雇用した際に利用できる制度です。
助成金支給の対象者は高齢者や障害者、シングルマザーなどが該当し、求職者によって助成金の支給額が変動します。以下の表に助成額をまとめました。
高齢者 | シングルマザーまたはファザー | 身体・知的障害者 | 重度障害者 | |
---|---|---|---|---|
助成金額の上限 | ・短時間労働者:40万円(中小企業以外:30万円) ・短時間労働者以外:60万円(中小企業以外:50万円) |
・短時間労働者:40万円(中小企業以外:30万円) ・短時間労働者以外:60万円(中小企業以外:50万円) |
・短時間労働者:80万円(中小企業以外:30万円) ・短時間労働者以外:120万円(中小企業以外:50万円) |
・短時間労働者;80万円(中小企業以外:30万円) ・短時間労働者以外:240万円(中小企業以外:100万円) |
助成対象期間 | 1年 | 1年 | 2年(中小企業以外は1年) | ・短時間労働者の場合:2年(中小企業以外は1年) ・短時間労働者以外の場合:3年(中小企業以外は1.5年) |
期ごとの支給額 | ・短時間労働者の場合:20万×2期(中小企業以外:15万×2期) ・短時間労働者以外の場合:30万×2期(中小企業以外:25万×2期) |
・短時間労働者の場合:20万×2期(中小企業以外:15万×2期) ・短時間労働者以外の場合:30万×2期(中小企業以外:25万×2期) |
・短時間労働者の場合:20万×4期(中小企業以外:15万×2期) ・短時間労働者以外の場合:30万×4期(中小企業以外:25万×2期) |
・短時間労働者の場合:20万×4期(中小企業以外:15万×2期) ・短時間労働者以外の場合:40万×6期(中小企業以外:33万×3期) |
参照:厚生労働省
短時間労働者は、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の者です。所定労働時間が30時間以上の場合、短時間労働者以外として扱われます。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、有期雇用契約者の待遇改善やキャリアアップに取り組む事業主を支援する制度です。助成金を申請するには、以下の要件をすべて満たさなければなりません。
- 雇用保険適用事業所の事業主
- 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を配置
- キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長から受給資格を認定
- 実施コースの対象労働者の労働条件や勤務状況、賃金の支払い状況を示す書類を用意
- キャリアアップ計画期間内に取り組みを実施
参照:厚生労働省
キャリアアップ助成金には、合計6つのコースが用意されています。コース別の概要を以下の表にまとめました。
概要 | 助成額 | |
---|---|---|
正社員化コース | 有期雇用契約者を正社員雇用へ転換した場合 | ・有期雇用契約者:80万円(大企業:60万円) ・無期雇用契約者:40万円(大企業:30万円) |
障害者正社員化コース | ・障害を抱える有期雇用契約者を正社員雇用へ転換した場合に助成 ・障害の重さや正社員雇用の有無によって支給額が変動 |
・重度障害者の場合:60万~120万円(大企業:45万~90万円) ・重度障害者以外の場合:45万~90万円(大企業:33万~67.5万円) |
賃金規定等改定コース | 有期雇用契約者の基本給に関する賃金規定を3%以上増額し、規定を適用した場合 | ・3%以上5%未満:5万円(大企業:3.3万) ・5%以上:6.5万円(大企業:4.3万) |
賃金規定等共通化コース | ・有期雇用契約者と正社員の共通賃金規定を新たに作成、適用した場合 | ・1事業所あたり60万円(大企業:45万円) |
賞与・退職金 制度導入コース | 有期雇用契約者向けに賞与と退職金制度を新たに導入し、支給した場合 | 1事業所あたり40万円(大企業:30万円) |
社会保険適用時 処遇改善コース | 1.新たに社会保険の被保険者と なった従業員に、手当支給か賃上げ、労働時間延長を実施 2.労働時間を延長し、新たに社会 保険の被保険者とした場合 ※1か2のいずれかを実施 |
・手当支給:50万円(大企業:37.5万円) ・併用:50万円(大企業:37.5万円) ・労働時間延長:30万円(大企業:22.5万円) |
参照:厚生労働省
障害者正社員化コースでは、有期雇用契約者を正社員に転換した場合、従業員1人につき最大120万円の助成金が得られます。
有期雇用契約者を無期雇用に転換した場合、または無期雇用から正社員に転換した場合の支給額は、最大90万円です。
早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)
早期再就職支援等助成金とは、中途採用者の採用枠拡大に取り組む事業者を支援する制度です。中途採用率向上や45歳以上の求職者採用を一定水準以上満たした場合、助成金が支給されます。
助成額と個別要件に関して以下の表にまとめました。
A.中途採用率の拡大 | B.45歳以上の中途採用率拡大 | |
---|---|---|
個別要件 | 中途採用率を20ポイント以上向上 | ・中途採用率を20ポイント以上向上 ・中途採用における45歳以上の求職者採用率を10ポイント以上向上 ・45歳以上のすべての従業員に対して、前職と比較して賃金を5%以上賃上げ |
助成額 | 50万円 | 100万円 |
参照:厚生労働省
常時雇用する従業員数が300人以上の企業に関しては、中途採用率の公表も要件の1つとなります。求職者を採用する際は以下の要件を満たしているか、確認が必要です。
- 中途採用で雇用されている
- 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇用されている
- 正社員をはじめ無期雇用で採用されている
- 雇用日前日から1年以内に出向や派遣などで申請事業主の事業場で働いていない
- 雇用日前日から1年以内に、申請事業主と密接な関係の事業者に雇用されていない
- 雇用時点で求職者の年齢が45歳以上になっている(Bコース選択時のみ)
個人事業主が利用できる補助金4選
個人事業主が対象事業者に含まれている補助金は以下の4つです。
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり補助金
- IT導入補助金2025
- 事業再構築補助金
個々の概要や要件、支給額などをみていきましょう。
小規模事業者持続化補助金
商工会や商工会議所とともに経営計画を作成し、計画に沿って販路拡大や賃上げなどに取り組む事業者を支援する制度です。
小規模事業者持続化補助金には5つの申請枠が用意されていますが、そのうち2枠は他の事業者と共同での取り組みが求められます。個人事業主が単独で申請する場合、以下3枠の利用が可能です。
通常枠 | 災害支援枠 | 創業型 | |
---|---|---|---|
個別要件 | 経営計画を作成し、販路開拓に取り組む | 令和6年の能登半島地震で被災 | 「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けている小規模事業者 |
補助の上限額 | 50万円 | ・直接被害:200万円 ・間接被害:100万円 |
200万円 |
補助率 | 3分の2 | 3分の2 | 3分の2 |
主な対象経費 | ・機械装置の導入費 ・広報費 ・Webサイト構築費 ・委託費 ・展示会出展費 |
通常枠と同じ内容に加え、車両購入費も追加 | 通常枠と同じ内容 |
参照:中小企業庁
課税事業者に転換した場合は50万円、事業内の最低賃金を50円引き上げた場合は150万円の補助金が上乗せされます。
ものづくり補助金
ものづくり補助金とは、新商品・新サービスの開発に必要な設備導入にかかる費用の一部を補助する制度です。賃上げや時間外労働の規制など、各制度への対応が求められる事業主を支援します。
ものづくり補助金の申請枠は以下の2つです。
製品・サービス高付加価値化枠 | グローバル枠 | |
---|---|---|
個別要件 | 革新的な新製品・新サービスの開発によって、付加価値を向上 | 海外市場への開拓や海外事業への投資、インバウンド対応に取り組む企業 |
補助の上限額 | 750万円~2,500万円 | 3,000万円 |
補助率 | ・中小企業:2分の1 ・小規模または再生事業者:3分の2 |
・中小企業:2分の1 ・小規模事業者:3分の2 |
主な補助対象経費 | ・機械装置の導入費 ・システム構築費 ・クラウドサービス利用費 ・原材料費 ・外注費 |
・海外旅費 ・通訳/翻訳費 ・広告宣伝費 ・販売促進費 |
参照:ものづくり補助金
給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加をはじめ、大幅な賃上げに取り組んだ場合、補助金が100万円~1,000万円上乗せされます。
個人事業主が設備投資の負担軽減にものづくり補助金を利用する場合、以下の要件を満たさなければなりません。
- 付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加
- 1人あたりの給与総額に関して、年平均成長率が拠点を置く都道府県内の直近5年の最低賃金以上の伸び
- 事業所内の最低賃金が拠点を置く都道府県内の最低賃金+30円以上の水準
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表
- 上記要件を満たす3~5年の事業計画を実施
IT導入補助金2025
IT導入補助金2025とは、業務効率化やDX推進に取り組む事業主支援する制度です。事前に事務局の審査を通過し、サイト上に登録されたITツールを購入した場合に補助金を受給できます。
IT導入補助金2025には5つの申請枠が利用されていますが、個人事業主が利用できる申請枠は以下の4つです。個々の特徴を以下の表にまとめました。
通常枠 | インボイス枠(インボイス対応類型) | インボイス枠(電子取引類型) | セキュリティ対策推進枠 | |
---|---|---|---|---|
要件 | 1つ以上の業務プロセスを満たしたソフトウェアを導入 | 「会計」「受発注」「決済」いずれかの機能を搭載したソフトウェアかハードウェアを導入 | 「受発注」機能を搭載したソフトウェアを導入 | 「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に搭載されたツールを導入 |
補助額 | ・1プロセス以上:5万円以上~150万円未満 ・4プロセス以上:150万円以上~450万円未満 |
・「会計」「受発注」「決済」のうち1種類を搭載したソフトウェア:50万円以下 ・「会計」「受発注」「決済」のうち2種類以上を搭載したソフトウェア:50万円超〜350万円以下 ・PC/タブレット:10万円以下 ・レジ/券売機:20万円以下 |
350万円以下 | 5万円~150万円 |
備考 | 汎用プロセスのみの単独申請は不可 | - | - | サービスリスト対象外のツールの導入に対しての補助金活用は不可 |
参照:IT導入補助金2025
通常枠を利用する場合、事前にプロセスの内容を理解しておくことが重要です。以下にプロセスの内容を以下の表にまとめました。
プロセスの内容 | |
---|---|
P1 | ・顧客対応 ・販売支援 |
P2 | ・決済 ・債権債務 ・資金回収管理 |
P3 | ・供給 ・在庫 ・物流 |
P4 | ・会計 ・財務 ・経営 |
P5 | ・総務 ・人事 ・給与 ・教育訓練 ・法務 ・情シス ・統合業務 |
P6 | ・製造業 ・運輸業 ・卸売業 ※業種特有の作業に対応する機能を搭載したソフト |
P7 | ・汎用 ・自動化 ・分析ツール |
参照:IT導入補助金2025
汎用や自動化ツールなどは単独では使用できず、別プロセスのソフトとの購入が必要になるため、注意しましょう。
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、新事業立ち上げや業種転換、事業再編などに取り組む事業主を支援する制度です。補助金を申請する際は、以下の要件を満たさなければなりません。
- 「事業再構築」の定義に該当する事業を実施
- 金融機関や認定経営革新等支援機関が事業計画を確認済み
- 補助事業終了後、3~5年で付加価値額の年平均成長率3~4%を実現
参照:経済産業省
事業再構築補助金には3つのタイプが用意されています。個々の概要に関して以下の表にまとめました。
成長分野進出枠(通常類型) | 成長分野進出枠(GX進出類型) | コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | |
---|---|---|---|
個別要件 | ・事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加 ・事業内容が過去または今後10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種/業態に該当 ※市場拡大要件を満たしている場合 ・事業内容が過去または今後10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種/業態に該当し、別業種または業態の新事業を開始 ・主要取引先の撤退によって、市町村内総生産の10%以上が失われると予測される地域に属し、主要取引先との取引額が売上全体の10%以上 ※市場縮小要件を満たしている場合 |
・次世代熱エネルギーや原子力など、グリーン成長戦略「実行計画」14分野に該当する事業を実施 ・事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加 |
・既往債務をコロナ借換保証へ乗り換え(任意) ・2023年10月~2024年9月の期間に3カ月以上、最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員の10%以上を占めている状態 |
補助の上限額 | ・従業員数が20人以下:1,500万円(2,000万円) ・従業員数が21~50人以下:3,000万円(4,000万円) ・従業員数が51~100人以下:4,000万円(5,000万円) ・従業員数が101人以上:6,000万円(7,000万円) |
・従業員数が20人以下:3,000万円(4,000万円) ・従業員数が21~50人以下:5,000万円(6,000万円) ・従業員数が51~100人以下:7,000万円(8,000万円) ・従業員数が101人以上:8,000万円(1億円) ・中堅企業: 1億円(1.5億円) |
・従業員数が5人以下:500万円 ・従業員数が6~20人:1,000万円 ・従業員数が21人以上:1,500万円 |
主な対象経費 | ・建物費 ・機械装置の導入費 ・システム構築費 ・広告宣伝費 ・販売促進費 |
通常類型と同じ | 通常類型に加え、廃業費も対象 |
参照:経済産業省
以下の短期的な大幅な賃上げ要件を満たした場合、補助金の上限額が500万~5,000万上乗せされます。
- 事業終了時点で、事業場内最低賃金+45円
- 給与支給総額+6%を達成
個人事業主が助成金や補助金を利用する際の注意点
助成金や補助金の利用を検討している個人事業主の方は、申請手続きの前に以下3点を注意しましょう。
- 助成金と補助金の違いを知る
- 対応すべき作業が多い
- 設備導入や人材採用の費用は一旦自身で負担する
助成金と補助金の違いを知る
補助金と助成金には多くの違いがあります。申請後にギャップを感じないよう、事前に双方の違いを把握しておかなければなりません。助成金と補助金の概要に関して以下の表にまとめました。
助成金 | 補助金 | |
---|---|---|
管轄 | 厚生労働省 | 経済産業省 |
主な用途 | ・人材育成 ・雇用維持または創出 ・職場環境の改善 |
・新商品またはサービスの開発 ・新事業立ち上げ ・生産性向上 ・DX推進 ・地域振興 |
支給額 | 数万~数百万円 | 数十万~数億円 |
受給の難易度 | 低い | 高い |
応募期間 | 通年 | 短期間 |
助成金は人材育成や雇用維持、職場環境の改善が主な用途です。助成額は数万~数十万円の制度が多く、補助金と比べると支給額は多くありません。
通年で応募を受け付けている制度が多く、要件を満たすと高確率で受給が望めます。
対応すべき作業が多い
どの制度を利用する場合でも要件確認や書類作成、事業計画の策定など、対応すべき作業は多いです。従業員に申請手続きを任せた場合、通常業務と並行して手続きを進めなければなりません。業務負担の増大により、業務の効率性や正確性に悪影響を及ぼす可能性が生じます。
経営者自身が手続きを進めた場合は慣れない作業に戸惑い、想定以上に時間がかかるケースが多いです。
申請手続きの効率化とリソースの有効活用を実現するには、専門家に依頼するのがおすすめです。申請の流れや書類作成の方法を熟知しており、正確かつ素早い仕事ぶりが期待できます。
設備導入や人材採用の費用は一旦自身で負担する
多くの制度は交付が決定しても、すぐに助成金や補助金が受け取れるわけではありません。交付の決定はあくまで補助金や助成金の支給のみを決定しており、具体的な支給額は事業の実施内容や報告から判断します。
申請書や事業計画に記載した事業内容に取り組んだあと、資金が振り込まれるため、助成金や補助金を受け取れるのは数カ月~1年後です。賃金引上げや設備導入、採用などにかかる費用は、一旦事業主が立て替えなければなりません。
交付決定後、すぐに補助金や助成金が振り込まれない点を覚えておきましょう。
個人事業主が助成金や補助金に関して相談できる専門家
助成金や補助金の利用に関して相談できる専門家は以下の4つです。
- 税理士
- 社労士
- 中小企業診断士
- 行政書士
自社の課題や相談内容に応じて、依頼先を選択しましょう。
税理士
税理士は社労士や行政書士などと比べて資格保持者が多く、個人事業主にとっても相談しやすい存在です。既に確定申告や決算業務などで特定の税理士から支援を受けている場合、新たに税理士を探す必要もありません。スムーズに申請手続きを依頼できます。
税理士への相談は、資金繰りに悩む個人事業主にとっておすすめの選択肢です。資金調達が得意な税理士の場合、ファクタリングやクラウドファンディングの活用など、助成金や補助金以外の方法も提案してもらえます。
あわせて少額減価償却資産の特例活用や小規模企業共済への加入など、節税対策を教えてもらうと、早期に資金繰りを改善できるでしょう。
社労士
社労士への相談は助成金の利用を検討している方におすすめの選択肢です。社会保険労務士法にもとづき、助成金の申請手続きは社労士の独占業務と定められています。
税理士や行政書士などは、手続きを代行できません。助成金申請の支援実績が豊富な社労士に相談すると、スムーズな進行や受給率の向上が望めます。
給与計算や社会保険の加入手続きなど、労務管理業務の代行を依頼できる点も魅力です。豊富な知識にもとづく正確な仕事ぶりが望めるため、労務担当者の負担を軽減できます。
中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルタントの能力を客観的に示す唯一の国家資格です。資格保持者は中小企業の経営や実務内容に精通していると判断できます。
中小企業診断士に助成金や補助金申請を依頼するメリットは、事業計画の策定を得意としている点です。会計や法律、人事など、企業経営全般に関する分野に精通しており、自社の実情を反映した計画の策定が望めます。
事務局の審査員には中小企業診断士の資格保持者も多いです。審査員の傾向や評価基準も熟知しており、自身で事業計画書を策定するよりも審査での通過率が高まるでしょう。
中小企業診断士への依頼は、事業計画書の策定が苦手な方におすすめの選択肢です。
行政書士
行政書士は企業や個人から依頼された公的機関への提出書類作成を代行している専門家です。各種法律や制度に精通しており、正確かつ素早い書類の作成が望めます。
行政書士を活用するメリットは、助成金と補助金申請に関する書類作成を確実に依頼できる点です。税理士や中小企業診断士の場合、依頼先によっては書類作成のアドバイスにとどまるケースも珍しくありません。
行政書士への依頼により書類作成の手間が省け、業務に集中して取り組める環境が整います。
行政書士に依頼する場合、行政書士により得意分野が異なるため、ホームページ上で補助金や助成金手続きの実績を確認しましょう。
まとめ
個人事業主が利用できる助成金や補助金制度は多く、用途に合った選択が重要です。どの制度を利用する場合でも、書類作成や事業計画書の策定など、さまざまな作業に対応しなければなりません。
ただし、申請手続きに十分な時間を割けないケースもあるでしょう。補助金や助成金の申請手続きを効率的に進めたい場合は、専門家に依頼するのがおすすめです。
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社会保険労務士法人ルーティング代表社員阪井亮太。1988年三重県伊勢市出身。趣味は将棋。慶應義塾大学経済学部卒業。ベアリング製造工場の工場長、社労士法人、上場企業の労務担当などを経て2021年1月社会保険労務士として独立。新宿(新宿御苑駅徒歩3分)でスタートアップ企業を中心にを支援を行う。顧問契約40社、助成金申請実績90件、セミナー、研修会講師年間30回。
国民年金や国民健康保険料の減免措置について、個人で申請することが難しい場合は最寄りの年金事務所や市町村の窓口にご相談ください。各種補助金について、個人で申請するのは調べる時間や申請書類の作成にとても時間がかかります。その場合は行政書士、税理士、中小企業診断士が専門家になります。
補助金の中でもものづくり補助金・事業再構築補助金は金額が大きく獲得できた時は1000万円以上になることも少なくありません。その分難易度は高いので専門家に相談してみるのが良いでしょう。

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