キャリアアップ助成金の6つのコースや手続きの流れを解説!注意点も紹介
- キャリアアップ助成金のコース別の概要とは?
- キャリアアップ助成金の手続きの流れは?
- キャリアアップ助成金を利用する際の注意点とは?
キャリアアップ助成金とは、有期雇用契約者の待遇改善や正社員への転換などに取り組む企業を支援する制度です。取り組み内容ごとに、6つのコースが用意されているため、コースごとの概要を正確に理解しなければなりません。
この記事を読むと、キャリアアップ助成金のコース別の概要や手続きの流れなどに関して、理解できます。有期雇用契約者の待遇改善に取り組んでいる方は、最後までご覧ください。
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キャリアアップ助成金とは
キャリアアップ助成金とは、有期雇用契約者のキャリアアップや待遇改善に取り組む事業主を支援する制度です。有期雇用契約者が自社内で経験やスキル、実績を積める環境を整えるために必要な経費の一部を援助します。
職場環境の整備によって、優秀な人材の流出防止や組織力向上につなげるのが目的です。キャリアアップ助成金には以下6つのコースが用意されています。
- 正社員化コース
- 障害者正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 賃金規定等共通化コース
- 賞与・退職金制度導入コース
- 社会保険適用時処遇改善コース
コース別の概要に関してみていきましょう。
正社員化コース
正社員化コースとは、パートや契約社員などで働く従業員を正社員雇用に転換した際、費用の一部が助成されるコースです。
助成額は正社員雇用に転換する前の従業員の契約形態や企業規模によって変動します。以下の表に助成額をまとめました。
有期雇用→正社員 | 無機雇用→正社員 | |
---|---|---|
中小企業 | 80万円 | 60万円 |
大企業 | 40万円 | 30万円 |
参照:厚生労働省
正社員の転換には、多様な正社員(勤務地限定や職務限定、短時間正社員)も対象の範囲です。対象の従業員がシングルマザーの場合は9.5万円、シングルファーザーの場合は4.5万円の助成金が加算されます。
派遣社員を自社で正社員として直接雇用する場合、1人あたり28.5万円の助成金が加算される仕組みです。
障害者正社員化コース
障害者正社員化コースは、障害を抱えながら働く従業員を正社員雇用に転換した際、助成金が支給されるコースです。
対象従業員の障害の重さや契約形態、自社の企業規模によって、助成額が変動します。障害者正社員化コースの助成額の推移を以下の表にまとめました。
重度障害を持つ従業員 | 重度以外の障害を持つ従業員 | |
---|---|---|
有期雇用→正社員 | 120万円(大企業:90万円) | 90万円(大企業:67.5万円) |
有期雇用→無期雇用 | 60万円(大企業:45万円) | 45万円(大企業:33万円) |
無機雇用→正社員 | 60万円(大企業:45万円) | 45万円(大企業:33万円) |
参照:厚生労働省
重度障害には身体的・知的・精神障害のいずれも含まれ、重度障害者を正社員雇用に転換した場合、最大120万円が支給されます。
正社員化コースと同様、地域限定正社員や短時間正社員など、多様な正社員も助成金の支給対象です。
賃金規定等改定コース
賃金規定等改定コースは、有期雇用契約者の基本給に関する規定を増額改定し、適用した場合に利用できるコースです。
助成金を受給するには最低3%以上、基本給の増額改定に踏み切らなければなりません。助成額は以下の表のように増額分によって変動します。
増額率 | 中小企業 | 大企業 |
---|---|---|
3%以上5%未満 | 1人あたり5万円 | 1人あたり3.3万円 |
5%以上 | 1人あたり6.5万円 | 1人あたり4.3万円 |
参照:厚生労働省
賃金規定等共通化コース
賃金規定等共通化コースは、有期雇用契約者と正社員の共通賃金規定を新たに設け、適用した場合に助成金が支給されるコースです。
これまでのコースと異なり、1事業所単位で助成金が支給されます。助成額は中小企業が60万円、大企業は45万円です。
賞与・退職金制度導入コース
賞与・退職金制度導入コースは、有期雇用契約者向けの賞与または退職金制度を新たに導入し、実際に支給または積み立てた際に利用できるコースです。
こちらのコースも要件を満たした際は、1事業所単位で助成金が支給されます。助成額は中小企業が40万円、大企業は30万円です。
賞与と退職金制度を同時期に2つとも導入した場合は、中小企業が16.8万円、大企業が12.6万円の助成金が加算されます。
社会保険適用時処遇改善コース
社会保険適用時処遇改善コースは、社会保険に加入した有期雇用契約者の待遇を改善した場合、助成金が支給されるコースです。待遇改善の内容には対象労働者への手当支給や賃上げ、労働時間の延長が該当します。
労働時間を延長して社会保険に加入させた場合も支給対象となりますが、待遇改善と比べると助成額は少ないです。助成額に関して以下の表にまとめました。
中小企業 | 大企業 | |
---|---|---|
手当支給 | 50万円 | 37.5万円 |
併用 | 50万円 | 37.5万円 |
労働時間延長+社会保険加入 | 30万円 | 22.5万円 |
参照:厚生労働省
キャリアアップ助成金を利用する際の手順
キャリアアップ助成金は正社員化支援と有期雇用契約者の待遇改善、どちらに該当するコースを選ぶかによって、申請手続きの内容が変わるのが特徴です。
今回の記事では、正社員化コースまたは障害者正社員化コースを選んだ場合の流れを紹介します。
- 要件を確認
- キャリアアップ計画の作成
- 就業規則の見直し
- 正社員として雇用
- 6カ月の継続雇用と賃金の支払い
- 助成金の支給申請
プロセスごとの作業内容をみていきましょう。
要件を確認
どのコースを利用する際も、以下の共通要件をすべて満たしていない限り、助成金は受給できません。
- 雇用保険適用事業所の事業主
- 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を配置
- 事業所ごとにキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長から受給資格を認定済み
- 選択するコースの対象労働者に関して労働条件や勤務状況、賃金の支払い状況を証明する書類の準備
- 申請時点で各コースに定めるすべての支給要件を満たしている状態
参照:厚生労働省
4に関しては対象労働者へ支払う賃金の算出方法に関しても、明示する準備が必要です。過去1年以内に法令違反や労働保険の滞納などが発覚した場合、助成金の受給は認められません。
キャリアアップ計画の作成
キャリアアップ計画書とは、有期雇用契約者のキャリアアップをどのように進めていくか、自社の方針を示す計画書です。計画書には対象労働者や実施期間、選択するコースでの取り組み内容などを記載します。
キャリアアップ計画書を作成する際は、以下の点に注意しなければなりません。
- キャリアアップ管理者を選出する
- 3年以上5年以内の計画期間を定める
- 選択するコースの内容に沿って、目標達成に向けた取り組みを記載する
- 事業所における「すべての労働者の代表」から意見を聴く
参照:厚生労働省
キャリアアップ管理者とは、有期雇用契約者のキャリアアップに必要な知識や経験を習得している者を指します。人事課長や部長などが該当し、事業所での取り組みをスムーズに進めるのが役割です。
作成したキャリアアップ計画書はコースの内容を実施する前日までに、管轄の労働局長に提出しなければなりません。
就業規則の見直し
正社員または無期雇用への転換に関する規定が就業規則にない場合、見直しが必要になります。就業規則とは従業員と企業、双方が守るべき内容をまとめた職場内のルールブックです。
労務トラブルの発生を防ぐため、労働条件や労働時間、賃金など、さまざまな内容に関する規定を定めます。
仮に正社員への雇用転換に関する規定がないまま就業規則を運用した場合、正社員転換の条件や転換時期、決定者などがわかりません。有期雇用契約者のキャリアアップを支援する職場環境が整っている状況とはいえません。
就業規則は以下の手順に沿って見直しを進めましょう。
- 就業規則の見直し案を作成
- 過半数労働組合または労働者の過半数を代表する従業員から意見を聴取
- 従業員代表の意見書とともに就業規則を所轄の労働基準監督署に提出
- 就業規則を従業員に周知
正社員として雇用
就業規則の内容をもとに、パートやアルバイト、契約社員などで働く従業員を正社員として雇用します。正社員として雇用する際は労働条件を明示したうえで、改めて雇用契約を締結しなければなりません。
6カ月の継続雇用と賃金の支払い
対象労働者を正社員として6カ月間継続雇用したうえで、雇用契約締結時に明示した労働条件にもとづく額の賃金を支払います。有期雇用契約の時と比べて、賃金を3%以上増額させなければなりません。
助成金の支給申請
6カ月の継続雇用と賃金の支払いが終わった翌日を基準と定め、基準日から2カ月以内に助成金支給の手続きを済ませなければなりません。申請時はキャリアアップ助成金支給申請書をはじめ、主に以下の書類提出が必要です。
- 正社員化コース内訳
- 正社員化コース対象労働者詳細
- 支給要件確認申立書
- キャリアアップ計画書のコピー
- 正社員化前後の就業規則のコピー
- 対象労働者に関する正社員化前後の雇用契約書のコピー
- 対象労働者に関する正社員化前後の労働通知書のコピー
- 対象労働者に関する正社員化前後の賃金台帳と増額分の計算方法に関する書類のコピー
- 対象労働者に関する正社員化前後のタイムカードのコピー
参照:厚生労働省
提出書類が多いため、早めの準備と慎重な対応を心がけましょう。
キャリアアップ助成金を利用する際の注意点
キャリアアップ助成金の申請手続きをはじめる前に、以下4点を理解しておきましょう。
- 中小企業事業主の範囲を確認する
- 申請手続きは6カ月の給与支払い後に実施する
- 助成金受給のハードルが高くなっている
- 対応すべき作業が多い
上記の内容を把握しておくと、申請手続きでのミスやトラブルのリスクを軽減できます。
中小企業事業主の範囲を確認する
キャリアアップ助成金は中小企業への支援が手厚い制度です。企業規模によって助成額が大きく変動するため、自社が中小企業の対象に当てはまるか、確認しておきましょう。
キャリアアップ助成金では、以下の表に該当する企業を中小企業とみなします。
資本金または出資金額 | 常時雇用する労働者の数 | |
---|---|---|
小売店または飲食店 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
参照:厚生労働省
労働者数に関しては、資本金のない事業主が助成金申請をした際の判断基準です。常時雇用する労働者とは、2カ月以上継続して雇用され、週の所定労働時間が40時間の者を指します。
申請手続きは6カ月の給与支払い後に実施する
キャリアアップ助成金は対象労働者を正社員として6カ月雇用し、6カ月分の賃金を支払ったあとに手続きを進めます。キャリアアップ計画の提出後、すぐに助成金の申請手続きを進められるわけではありません。
有期雇用契約時と比べて増額した分の賃金は、一旦自社で負担しなければならないため注意しましょう。書類の記載漏れや添付忘れ、賃上げ率の計算ミスなどは、一度書類を提出すると後から訂正できません。
申請期間は6カ月分の賃金を支払ったあとから2カ月以内に設定されているため、慎重に作業を進めましょう。
助成金受給のハードルが高くなっている
キャリアアップ助成金は不正受給が相次いで発覚したため、以前と比べて審査が厳しくなっています。会計検査院の調査によると、2022年度に支給された50件の支給のうち22件が不正受給でした。被害総額は4,300万円です。
仮に不正受給が発覚した場合は5年間助成金を受給できません。受給翌日から返還を終了するまでに、年間3%の延滞金+返還額×20%の違約金の支払いが必要です。
労働局のホームページに会社名と代表者氏名、不正受給の金額など、不正受給の内容が公開されます。取引先や顧客、従業員が自由に閲覧できるサイトのため、社会的信用の低下やイメージダウンは避けられないでしょう。
対応すべき作業が多い
キャリアアップ助成金を受給するには、キャリアアップ計画の策定や雇用契約の再締結など、さまざまな作業が必要です。
従業員に申請手続きを任せた場合、通常業務と並行して作業を進めなければなりません。経営者自身が申請業務に取り組んだ場合は慣れない作業に戸惑い、想定以上に時間がかかるケースもあるでしょう。
担当業務や企業運営に集中できる環境を整備するには、専門家に手続きを依頼するのがおすすめです。申請の流れや書類作成のやり方を熟知しており、正確かつスムーズな仕事ぶりが期待できます。
キャリアアップ助成金の手続きは社労士に相談するのがおすすめ
キャリアアップ助成金の申請手続きに十分な時間を割けない場合、社労士への相談を検討してみましょう。社労士は労働や社会保険関連の法律に精通した専門家です。
就業規則や労使協定、福利厚生など、助成金申請に必要な手続きや職場環境に関するさまざまな内容を相談できます。スポットで業務代行や相談に対応している社労士事務所も多く、必ずしも顧問契約を締結する必要はありません。
助成金の申請手続きは社会保険労務士法にもとづき、社労士の独占業務です。スムーズな手続きや助成金の受給率向上を実現するため、助成金の支援実績が豊富な社労士に依頼しましょう。
まとめ
キャリアアップ助成金のコースは、正社員化支援と有期雇用契約者の待遇改善、大きく2つに分けられます。いずれのコースを利用する際も、提出書類やキャリアアップ計画の作成など、さまざまな準備が必要です。
ただし、担当業務や経営状況によっては、準備に十分時間を割けないケースもあるでしょう。助成金の申請手続きを効率的に進めたい場合は、社労士に依頼するのがおすすめです。
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