FXの確定申告で経費になる支出16選!申告時の注意点とは?

竹中啓倫税理士事務所
監修者
竹中啓倫税理士事務所 税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
最終更新日:2024年01月22日
FXの確定申告で経費になる支出16選!申告時の注意点とは?
この記事で解決できるお悩み
  • FXで確定申告が必要なケースとは?
  • FXの確定申告で経費にできる支出は?
  • FXの確定申告で注意すべき点は?

FXで利益を上げた方で「FXは確定申告が必要?」「FXにかかった費用は経費にできる?」とお悩みの方、必見です。

FXの確定申告は、会社員、個人事業主、FX以外に収入がない人により必要かどうかが変わります。確定申告では、取引手数料、ソフトウェア代、図書費をはじめ16種類の費用を経費計上可能です。

この記事では、FXで利益を題している方向けに、FXの確定申告で経費計上可能な費用を解説します。記事を読み終わる頃にはFXの確定申告を適切にできるでしょう。

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FXの確定申告が必要なケース3つ

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FXで確定申告が必要なのは主に以下の3つのケースです。

  1. 会社員:FXの所得が20万円を超えた場合
  2. FX以外に収入がない人:FXの所得が48万円を超えた場合
  3. 個人事業主:すべての所得の合計が48万円を超えた場合

ケースによって確定申告すべき金額が異なる点に注意が必要です。確定申告をしなかった場合、重いペナルティが科せられるケースもあるため、確定申告すべきかどうか必ずチェックしましょう。

1. 会社員:FXの所得が20万円を超えた場合

会社員の方は、FXの所得が20万円を超えた場合に確定申告をする必要があります。所得は収入と異なり、収入から必要経費を差し引いたものです。

会社員がFXで20万円を超える収入を得ても、経費を差し引いて所得が20万円以下の場合は確定申告は必要ありません。

2. FX以外に収入がない人:FXの所得が48万円を超えた場合

FX以外に収入がない人の場合、FXの所得が48万円を超えると確定申告が必要になります。すべての人が一律受けられる「基礎控除」が48万円であるため、FXの所得があっても48万円までは確定申告が不要です。

FX以外に収入がない人として専業主婦や専業主夫、学生などが該当するでしょう。FX以外に収入がある場合は、すべての所得の合計が48万円を超えるかどうかで確定申告が必要か判断しましょう。

3. 個人事業主:すべての所得の合計が48万円を超えた場合

個人事業主の場合、事業やFXを含むすべての所得の合計が48万円を超えると確定申告しなければなりません。個人事業主の所得が48万円以下である状況は考えにくいため、ほとんどのケースで確定申告が必要でしょう。

FXの赤字は事業の利益と損益通算できない点に注意が必要です。FXの利益は日経平均先物やTOPIX、商品先物など「先物取引に係る雑所得等」と損益通算できます。

FXの確定申告で経費にできる支出16選

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FXの確定申告の際、経費にできる支出は主に以下の16種類です。

  • 取引手数料
  • ソフトウェア代
  • 図書費
  • マーケットデータの配信料
  • 旅行交通費
  • 会議費
  • 事務用品費
  • 借入金の利息
  • 家賃・光熱費
  • パソコン購入費
  • パソコン周辺機器の購入費
  • スマートフォン・タブレット端末の購入費
  • 通信費
  • 税理士への相談料・税務処理の依頼料
  • 固定資産税
  • レンタルサーバー代

1つひとつは少額の経費でも、漏れなく計上することで大きな節税につながります。確定申告の際には、可能な限りすべての経費を含めることが重要です。

1. 取引手数料

FXで経費にできる支出の1つが取引手数料です。FX取引では、日本円や米ドルなどの通貨の購入や売却の際にFX業者に対し手数料を支払うことがあります。FXで上げた利益を口座から出金するのに手数料が求められるケースもあるでしょう。FX業者が設定している手数料は、すべて経費にできます。

取引手数料がスプレッド(通貨の売値と買値の差)に転換されている場合は経費にできません。スプレッドは通貨の価格に反映されていると見なされるため、経費として認められないでしょう。

2. ソフトウェア代

FX取引のために自動売買システムや他のソフトウェアを購入した場合は、購入金額を経費にできます。FXでより多くの利益を上げるため、自動売買システムを使うトレーダーは少なくありません。

自動売買システムやトレンドを予測するソフトウェアの購入代金は高額になることも多く、かなりの出費となるでしょう。ソフトウェアをレンタルしている場合、レンタル料金も経費計上できます。

3. 図書費

FXの確定申告の際、図書費も経費として認められます。現在では多くの情報をインターネットで検索できるものの、本や雑誌、新聞を使い勉強や情報収集する方も少なくありません。

FX取引との関係性を証明できれば、本や雑誌の購入費用や新聞の購読費用は経費として計上できます。経済や政治の動向が詳細に取り上げられている新聞や英字新聞などは、FXに関連していると判断されやすいでしょう。FX取引をしていない人も購読しているような新聞や雑誌は経費にならない可能性があります。

4. マーケットデータの配信料

FXの確定申告では、マーケットデータの配信料も経費計上できます。有料の配信サービスを利用してFXに活かしている場合、配信料を忘れずに経費にしましょう。

マーケットデータの配信サービスを利用し、その情報を使わなかったケースでも配信料は経費に含められます。情報を見たうえで取引しないと決定する場合もあるため、取引に情報を反映する必要はありません。

5. 旅行交通費

FXで成果を上げるため、勉強会やセミナー参加に使用した旅行交通費は経費として申告できます。勉強会やセミナーが遠方の場合、参加費用だけではなく電車代やバス代、タクシー代、ホテル代なども経費として計上が可能です。FXのアドバイザーを訪ねた際の交通費も経費になるでしょう。

ホテルの宿泊費は経費として認められやすいですが、ホテル代に含まれない飲食代、とくにアルコール飲料の費用は経費にできない可能性が高いため注意が必要です。

6. 会議費

FX取引に必要な打ち合わせや会議で発生した費用は、会議費として経費を計上できます。情報収集のため、セミナーを主催する企業の社員と飲食したとしましょう。FXについての話し合いが行われていれば、会議費を経費に計上することが可能です。

どのような飲食でも経費にできるわけではなく、1人あたりの費用が比較的低額で、会議をしたと認められる場所での飲食に限られます。居酒屋での飲食や、アルコール飲料が提供された食事であることがわかると、経費が否定されるおそれがあるでしょう。

7. 事務用品費

FX取引では筆記用具やノート、印刷用紙などの購入費用が経費にできます。FXのデータの記録や計算、必要な情報の記録にノートや筆記用具は必須でしょう。

取引のデータを印刷するためにはプリンターや印刷用紙を購入しなければなりません。プリンター代やインク代なども事務用品費に含まれます。印刷したFX取引の記録や資料などを保管し、FXに関係していることを証明できれば確定申告の際に経費にできるでしょう。

8. 借入金の利息

FXのために金融機関から融資を受けている場合、借入金の利息は経費になります。借入金の元本は経費にできませんが、返済の際に支払っている利息は確定申告で経費にしましょう。

FXの資金として融資を受けるのは簡単ではありません。加えて融資でFXを行うのは非常にリスクが大きいことも覚えておきましょう。

9. 家賃・光熱費

FXの確定申告では、家賃や光熱費を家事按分して経費処理できます。 家事按分とは、FX取引のために自宅を使用している場合に、家賃や光熱費を経費とプライベートの支出に分配することです。

自宅でFX取引をしている場合、住居の床面積のうちFXに使用している床面積の割合で経費を計上できます。たとえば、床面積100?の住居に家賃15万円で住んでいるとしましょう。FXのために使用している部屋が10?であれば、家賃の10%である1万5,000円を経費計上できます。合理的に説明できる割合でない場合、税務署から指摘されるおそれがあります。

10. パソコン購入費

FX専用のパソコンは、購入費用を全額経費にできます。他の仕事やプライベートで同じパソコンを使用している場合、家事按分が必要です。使用時間で家事按分するのが一般的ですが、正確に計算できない場合は3割〜4割であれば経費として認められます。

パソコンは取得価額によって処理方法が変わる点に注意しなければなりません。主に以下の3つのケースにわかれます。

  • 10万円未満の場合:他の経費と同様に按分して処理する
  • 10万円以上20万円未満の場合:一括償却もしくは減価償却する
  • 20万円以上の場合:減価償却する

パソコン購入費の処理方法をさらに知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

11. パソコン周辺機器の購入費

FX取引に使用しているパソコン周辺機器の購入費も経費として認められる可能性が高いといえます。たとえば、キーボードやマウス、大型のモニターなどが挙げられます。

他にもFXに使用している机、椅子、モニターを固定する機材なども確定申告の際に経費にできる可能性があります。税務署から指摘されたときに説明できるよう、FX取引をしている際の状況を画像で残しましょう。

12. スマートフォン・タブレット端末の購入費

FXをスマートフォンやタブレット端末で行っている場合、購入費用を経費計上可能です。副業でFXをしている方や専業主婦の方は、スマートフォンを使うことも多いでしょう。

スマートフォンやタブレット端末はプライベートでも使うため、家事按分が難しいです。経費計上する場合は、税務署から尋ねられたときに説明できるようにしましょう。パソコンと同様、スマートフォンやタブレット端末も取得価額によって処理の方法が変わります。

13. 通信費

FXにはインターネット接続が不可欠であるため、インターネットの通信費を経費にできます。FX専用のネットワーク接続を構築している場合、通信費を全額経費にできるでしょう。FX取引に使用した電話料金も同様に経費にできます。

自宅のインターネット回線を使用してFXをしている場合、使用時間で家事按分しなければなりません。どの程度の通信費がFXの経費として認められるか、税理士や税務署の職員に尋ねてみるといいでしょう。

14. 税理士への相談料・税務処理の依頼料

FXの確定申告に関して税理士に相談や税務処理代行を依頼した場合、相談料や依頼料を経費として計上できます。FXを副業として行っている方は、本業が忙しくて確定申告ができないことも少なくありません。

税理士に相談する際の電話代、事務所に行くための交通費も経費にできます。確定申告書の作成代行などは数万円が相場のため、漏れなく経費に計上することで所得税を抑えられるでしょう。

確定申告を税理士に依頼する際の費用相場について、以下の記事も参考にしてください。

15. 固定資産税

FXを持ち家で行っている場合、固定資産税も家事按分によって経費計上できます。家賃と同様に、FX専用の持ち家がある場合は固定資産税を全額、持ち家の一部を使用している場合はFXに使用している割合を経費にできるでしょう。

固定資産税は、年4回支払う必要がありかなり高額になることも珍しくありません。漏れなく経費に計上することで、効果的な節税を実現しましょう。

16. レンタルサーバー代

FXではレンタルサーバーを使用してソフトウェアを動かすトレーダーもおり、費用を経費に計上できます。とくに自動売買のソフトウェアを24時間稼働させるためにレンタルサーバーはよく用いられるでしょう。

契約の形態によって月払い・年払いがありますが、どのケースであってもFXに使用していることが証明できれば全額経費に計上できます。

FXの確定申告で注意すべき点4つ

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FXの確定申告では、以下の4つの点に注意しなければなりません。

  1. 領収書・出金伝票を保管する
  2. 雑所得は他の所得と損益通算できない
  3. 赤字でも確定申告すべきである
  4. 経費が認められないことがある

どのポイントも確定申告で大きなトラブルを防ぐために重要なポイントです。

1. 領収書・出金伝票を保管する

FXの確定申告では領収書やレシートを保管することが非常に重要です。経費を計上する際、税務署に対してFXに関連する支出であることを証明しなければなりません。

領収書やレシート以外にも、クレジットカードの引き落とし明細書や銀行口座からの引き落とし明細書、振込明細書、スマートフォン画面のスクリーンショット、出金伝票なども経費の証拠になります。支出の目的や数量、支払先を明記することが重要です。

2. 雑所得は他の所得と損益通算できない

FXで得た利益は雑所得に分類され、他の所得と損益通算できません。損益通算とは、ある所得の黒字と別の所得の赤字を相殺することを指します。たとえば、ある人の給与所得が500万円、賃貸経営の不動産所得が200万円の赤字だったとしましょう。このケースでは500万円の黒字と200万円の赤字が相殺され、課税所得は300万円になります。

節税に効果的な損益通算ですが、FXに関しては「先物取引に係る雑所得など」と同じ区分でないと損益通算できません。給与所得とFXの赤字を相殺することはできないため注意しましょう。

3. 赤字でも確定申告すべきである

FXで20万円もしくは48万円を超える所得がある場合は確定申告が必須ですが、赤字でも確定申告すべきです。青色申告している場合、FXの損失を3年にわたり繰り越せるメリットがあります。

翌年FXが好調で大きな利益が出ても、前年の損失と相殺して課税価格を減らせるでしょう。他の所得と相殺できないFXの利益ですが、損失を繰り越すことで効果的な節税が可能です。

4. 経費が認められないことがある

FXの確定申告では多くの経費を計上可能ですが、ケースによっては経費として認められないことがあります。

経費を認めてもらうために重要なのが領収書やレシートの保管、家事按分の根拠です。客観的に見て問題ないと思える範囲で経費を計上しましょう。少しでも不安がある場合は、税理士にアドバイスを求めることも1つの手です。

まとめ

FXの確定申告では主に16種類の支出が経費に計上可能です。経費として認めてもらうため、領収書やレシートの保管を徹底しましょう。確定申告に不安がある場合は、税法のプロフェッショナルである税理士に依頼することも検討すべきです。

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監修者のコメント
竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

近年、確定申告時にFXをされてみえるクライアント様が増えてきております。さすがに、FXをやられる方は投資経験も多く、経費についても知識を多くお持ちですので、費用の取捨もうまくできているようです。

そんな中でも、若干気になるのが飲食代の経費計上です。情報収集のために同業者との食事代です。確かに、同業者から得られる情報には有益なものも多く、一見合理的にも見えます。

見方を変えれば、顔見知りの挨拶程度ともとらえられかねません。頻繁な利用はプライベートとみなされかねません。ましてや、お酒が入っていたり、そもそも、酒場での利用であった場合は、否認の可能性は非常に高くなることは免れません。常識を持った経費計上が、重要でしょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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