人材派遣の手数料相場は?手数料の内訳・具体例や料金相場も解説
- 派遣手数料の相場はどのくらい?
- 派遣料金の相場はどのくらい?
- 派遣料金の内訳にはなにがある?
採用コストを抑えながら必要な人員を確保するために、人材派遣は優秀な手段の1つです。しかし手数料が発生するため「マージン率が高すぎないか」「悪徳業者にぼったくられてしまわないか」など不安になることも少なくありません。
この記事では、派遣手数料の相場や内訳、実際の企業の例を徹底解説!人材派遣の利用を検討している方はぜひ参考にしてください。
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人材派遣の手数料について
人材派遣を利用する際は、派遣社員への賃金とは別に派遣会社へ手数料を支払わなくてはいけません。
手数料の相場を判断する基準は、「マージン率」という派遣料金全体に占める派遣手数料の割合です。以下の計算で求めることができます。
マージン率 = ( 派遣料金平均額 - 賃金平均額 ) / 派遣料金平均額 ×100
手数料の相場は20〜30%
派遣手数料の相場は派遣料金の20〜30%程度です。
7,000〜8,000円程度が賃金として派遣労働者に支払われ、2,000〜3,000円程度が手数料として派遣会社に残ります。
また平成24年10月1日の改正労働者派遣法により、派遣事業者はマージン率の公開を義務付けられました。したがってすでに依頼したい派遣会社の目星がついている場合は、ホームページや書面などで調べられます。
参照元:改正労働者派遣法
手数料の内訳
派遣会社に支払われる派遣手数料の内訳の目安は以下の通りです。
項目 | 派遣料金に占める割合 |
---|---|
営業利益 | 1.2% |
派遣会社諸経費 | 13.7% |
派遣社員有給休暇費用 | 4.2% |
社会保険料 | 10.9% |
参照元:【一般社団法人 日本人材派遣協会】3. 賃金・社会保障
手数料が20〜30%と聞くと高すぎるように感じたり派遣会社が搾取しているように思えたりもしますが、実際のところ経費や社会保険料が大部分を占めます。
営業利益として派遣会社に残るのは派遣料金のうち1.2%に過ぎません。例えば派遣料金が1日あたり2万円の場合、派遣会社の営業利益は240円です。
派遣会社が経費や社会保険料を肩代わりしていることを考えれば、20〜30%という手数料も高すぎることはないでしょう。
手数料の具体例
派遣手数料について、大手人材派遣会社パソナの例を用いて具体的に見ていきましょう。2020年度のパソナの派遣料金平均額・賃金平均額・マージン率を示した表が下記です。
派遣料金平均額 | 27,363円 |
---|---|
賃金平均額 | 18,878円 |
マージン率 | 0.31 |
参照元:【株式会社パソナ】労働者派遣法第23条第5項及び同法規則第18条の2第3項に基づく情報提供
パソナに人材派遣を依頼した場合は平均して1日あたり27,363円の派遣料金を支払い、うち31.0%にあたる8,485円が手数料に該当します。派遣手数料の相場が20〜30%ですので、パソナはおおむね相場どおりと言えるでしょう。
また18,878円という平均賃金額について、1日の労働を8時間+残業1時間として時給換算するとおよそ時給2,040円です。会社員の平均時給が2,000円前後と言われているため、こちらも平均程度。
人材派遣会社を利用して人員を確保する場合、パソナの例が手数料の目安として有用と言えます。
派遣会社によって手数料にばらつきがある理由
派遣会社によって手数料にばらつきがあるのは、教育体制や福利厚生に差があるためです。必ずしも「派遣手数料が相場よりも高い=搾取している悪徳会社」ではありません。厚生労働省は派遣会社のマージン率について下記のように述べています。
マージンには、福利厚生費や教育訓練費なども含まれていますので、マージン率は低いほどよいというわけではなく、その他の情報と組み合わせて総合的に評価することが重要です。
例えば先ほど手数料の内訳で紹介した「派遣会社諸経費」には、優秀な人材の採用やスタッフの教育にかかる費用も含まれます。手数料のうち諸経費が占める割合が高いほど、スタッフのレベルにも期待できるということです。
また派遣社員の福利厚生は派遣会社の負担であるため、派遣元の会社によって待遇も異なります。待遇がよければ意欲が高まり、業務への貢献が大きくなるでしょう。
したがって手数料が相場よりも高い会社は、不当に搾取しているわけではなく教育体制や福利厚生が整っている優良会社という可能性もあるのです。
他社と比較して派遣手数料が安すぎる場合、教育プログラムや福利厚生をカットしスタッフの待遇を悪くすることでコストを抑えている会社の可能性があります。20〜30%という手数料相場よりも大幅に低い人材派遣会社は注意しましょう。
人材派遣料金の相場
派遣料金は手数料だけを把握すればいいわけではありません。料金全体の相場も知っておきましょう。人材派遣料金が、業種・職種・地域別によって相場が変動するかを解説します。
業種別の料金相場
同じ業種でも担当する業務内容によって派遣料金が異なるため、人材派遣の料金に業種別の相場は存在しません。
例えば医療業界(病院)にスタッフを派遣する場合はどうでしょうか。医師・看護師・事務・清掃員などさまざまな職種が存在し、医師は高く清掃員は安いといったように派遣料金に差があります。職種を横断して料金を平均することは可能ですが、有意義でないことは明白でしょう。
実際、厚生労働省が派遣料金等をまとめ発表している『労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)』にも業種別の料金相場は記載されていません。
職種別の料金相場
職種別の派遣料金相場について、具体例をピックアップして解説します。
職種 | 1日8時間の平均派遣料金 |
---|---|
情報処理・通信技術者 | 31,359円 |
一般事務従事者 | 15,808円 |
営業職業従事者 | 21,632円 |
接客・給仕職業従事者 | 13,564円 |
建設従事者(建設躯体工事従事者を除く) | 26,211円 |
全業務平均は23,629円で、雇用形態別に見ると無期雇用派遣労働者が24,776円、有期雇用派遣労働者が19,426円です。
派遣料金も正社員給与と同様に、専門的な技術職ほど単価が高く、事務職や接客職は単価が安いと言えます。また1日8時間の平均派遣料金が最も高いのは「医師・歯科医師・獣医師・薬剤師」で41,069円、最も安いのは「清掃従事者」で12,713円でした。
上記の表は派遣料金、つまり賃金と派遣料金を合計した金額です。派遣労働者に支払われる賃金については下記の表を参考にしてください。
職種 | 1日8時間の平均賃金 | 時給換算 |
---|---|---|
情報処理・通信技術者 | 19,439円 | 2,430円 |
一般事務従事者 | 10,836円 | 1,355円 |
営業職業従事者 | 21,632円 | 1,820円 |
接客・給仕職業従事者 | 13,564円 | 1,188円 |
建設従事者(建設躯体工事従事者を除く) | 26,211円 | 2,116円 |
地域別の料金相場
派遣の営業職と一般事務職の平均時給を地域別に比較した表が下記です。
地域 | 営業職の平均時給 | 一般事務職の平均時給 |
---|---|---|
東北 | 1,376円 | 1,162円 |
東京23区 | 1,826円 | 1,686円 |
東海 | 1,571円 | 1,376円 |
関西 | 1,607円 | 1,380円 |
中国・四国 | 1,411円 | 1,194円 |
参照元:【リクナビ派遣】平均時給チェック
派遣料金相場を地域別に見ると、都市部ほど高く地方ほど安いことがわかります。上記の例では、東北と東京23区を比較すると時給ベースでおよそ500円もの差です。また営業職・一般事務職以外の職種に関しても同じ傾向が存在します。
また上記の表は平均時給を示しているため、派遣料金ではなく労働者に支払われる賃金です。手数料を相場の20〜30%と仮定して、派遣会社に支払う派遣料金は上記の金額の1.3〜1.5倍を想定しておきましょう。
人材派遣料金を抑える方法
派遣手数料および派遣料金は安ければいいわけではありません。しかし、現実問題として会社や事業を運営するうえでコスト削減は重要です。
人材派遣料金を抑えるには相見積もりを請求しましょう。相見積もりを請求し複数の派遣会社を比較すれば、相場の範囲内で安い会社を選べます。
また派遣料金や手数料の割合は派遣会社との交渉によって決まることが一般的です。他社の見積もりは交渉を有利に進める材料となるため、値下げ要求が通るかもしれません。
相場から極端に離れた怪しい会社を避けるためにも、人材派遣を依頼する際は忘れずに相見積もりを請求してください。
【まとめ】派遣手数料の相場を知って適切な会社に依頼しよう
この記事では派遣手数料や派遣料金の相場について解説しました。下記にあらためてまとめます。
- 派遣手数料の相場は20〜30%
- 手数料の大部分は教育整備や福利厚生に使われるため、「手数料が高い=悪徳会社」ではない
- 派遣料金の相場は職種と地域で決まる
人材派遣を依頼する際は、相場を把握したうえで信頼できる会社を探すことが重要です。
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2000年に社会保険労務士資格を取得後、人材派遣会社の本店に入社し官庁対応や労務相談を主担当で約9年勤務。2007年には人材派遣会社の監査役に就任。独立後、2008年に大阪の玉造にドラフト労務管理事務所を設立。数々の企業向け官庁対応・労務相談に加え、派遣元責任者講習や職業紹介責任者講習講師や内部監査の代行業務など活動は多岐に渡る。外部セミナー講師を複数実施しており、かゆいところに手が届く現場に即した講義には定評がある。また、海事代理士として陸上のみならず海上労働者の労務相談も適時運営している。
動員力のある派遣会社をお求めの派遣先会社は多いと思いますが、就労人口の急激な減や法改正による派遣社員の賃金上昇などの事情により配属がうまくいかないことも多いでしょう。改善策は発注人数を納期通りに配属した派遣元会社にはインセンティブを付与するなどを検討することもご一考ください。
人材不足の昨今、派遣元会社も配属をする派遣先会社を選別してくるケースも多く耳にします。そういう意味では派遣先会社は発注者であるという優位性も薄れつつあるなと日々の相談をうけていて感じることが多いです。
派遣元会社に選別してもらえるような派遣先会社になるという今までにない意識改革をしないと予定通りの人員を確保できないこともあるでしょう。人員を集められない派遣元会社を責めるのは簡単ですが、選ばれる派遣先会社になっているのかを今一度見直すというを逆の発想も念頭に発注を検討してみてはいかかでしょうか。
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