給料未払いにどう対処する?相談先や回収方法を6ステップで解説
- 給料未払いの対処方法は?
- 未払いの給料を回収する具体的な方法は?
- 給料未払いの相談先は?
給料未払いは通常起こり得ないことですが、当事者になる可能性もゼロではありません。給料未払いが起こったときは、会社に請求するための証拠を集める必要があります。しかし「会社とのトラブルを避けたい」「どうやって解決したらいいか分からない」と悩む方が多いのが現状です。
本記事では給料未払いが起こったときの解決方法や相談先を解説します。給料未払いの回収が見込めない場合や疑問点の解決につながるでしょう。給料未払い時のよくある質問も解説しているため、ぜひ参考にしてください。
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給料未払いが起こる原因は?
給料未払いとは、本来支払われるはずの給料が未払いのままになっている、あるいは、一部しか支払われていない状態のことです。「給料未払い問題」は給与所得者である限り、だれの身にも起こり得るトラブルであり、決して人ごとではありません。
給料未払いが起こりうる要因は以下の2つです。
- 経営不振
- ワンマン経営
経営不振
1つめは、経営不振によって従業員に支払うべき給料を用意できない場合です。とくに、不況の影響をダイレクトに受けやすい中小企業で起こる可能性があります。
業績悪化のしわ寄せが、給料未払いの形で従業員に影響を及ぼすことが多いでしょう。グローバル化によって経済市場の動向が大きく変動する現代では、大企業といえども安泰ではありません。
ワンマン経営
もう1つは、ワンマン経営の身勝手な判断で、従業員に支払うべき給料を支払わない場合です。たとえば「会社に損害を与えたから給料を支払わない」「損害分を勝手に差し引く」「残業代を支払わない」などのケースが考えられます。
従業員への支払いを意図的にしなかったり、遅らせたりする悪質な会社も存在し、対処が難しくなる場合も少なくありません。
給料未払いは労働基準法違反
雇用主である会社側にいかなる事情があろうとも従業員への給料未払いは「労働基準法第24条」に違反する行為です。労働力を提供した従業員は、未払いの給料を請求する正当な権利があります。
請求権を正当に主張するためにも、給料未払いの判断基準となる労働基準法第24条による賃金の4つのルールを知っておくことが重要です。
通貨支払いの原則 | 給料の支払いは日本の通貨・日本銀行券が原則 |
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直接支払いの原則 | 給料の支払いは労働者への直接支払いが原則 |
全額支払いの原則 | 給料の支払いは全額支払いが原則 ※源泉徴収、社会保険などの各種控除は除く |
毎月1回以上一定期日支払いの原則 | 期日を指定した毎月1回以上の給料支払いが原則 ※臨時給与・賞与などは除く |
労基法24条のルールから「全額または一部の給料未払い」「残業代の未払い」「給料から損害分を差し引く」などは、すべて給料未払いに該当することがわかります。もちろん、退職後に「働いた分の給与が支払われない」場合も該当します。
給料未払い請求を早めに取り組むべき理由
給料未払いの当事者となった場合、すぐにでも解決に向けた行動を起こすべきです。給料未払いに対する請求権には「本来支払われるべき給料日から3年間」に定められた時効があるためです。たとえば、2021年9月25日に発生した給料未払いに関しては、3年後の2024年9月25日に請求権が消滅します。
請求権の時効が3年に延長されたのは、2020年4月1日の法改正以降のことです。それ以前の給料未払いに関しては時効が2年に定められているため、2020年3月31日までの給料未払いがある方は、今すぐ行動に移りましょう。
未払いの給料を回収するには?
未払い給料を回収するためにはいくつか方法があります。正当な請求権を行使するため訴訟を検討する方も多いですが、最初に裁判に持ち込んだ場合、会社との関係ががこじれてしまう場合があります。
状況に応じた適切なステップで行動を起こしていくことが肝心です。以下から具体的に解説します。
- 請求に必要な証拠を揃える
- 会社と給料の支払いを交渉する
- 内容証明郵便で請求する
- ADR(裁判外紛争解決手続)をする
- 労働基準監督署へ申告する
- 訴訟・調停
1. 請求に必要な証拠を揃える
まずは正当な請求権を持つ当事者であることを証明するためにも、給料未払いに関連する証拠を集めることが先決です。
未払い給料の請求が妥当なものであることが明確に証明できることが重要です。具体的には、以下の書類をそろえておく必要があります。
本来の給料が判断できる書類 | 就業規則、雇用契約書など |
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実際の給料が判断できる書類 | 給与明細、源泉徴収票、振込口座の記録など |
勤務事実が判断できる書類 | タイムカード、勤怠表、業務日誌など |
タイムカードや勤怠表などは個人で管理するものではないため入手が難しく感じますが、メモやExcelなどで勤怠時間を記録しておけば有効な証拠として利用できます。
2. 会社と給料の支払いを交渉する
証拠を集めることと並行して、未払いの給料を支払ってもらうよう会社側と交渉することも重要です。できるかぎり会社のトップと交渉する機会を設け、給料未払いの正当な請求権があることをしっかりとアピールしましょう。
この時点で給料未払い問題を解決できればベストで、外部の第三者に頼る必要もありません。「それでも給料の支払いを拒否される」「支払う様子がない」場合は次のステップに進みましょう。
3. 内容証明郵便で請求する
会社と直接交渉しても給料が支払われない場合、次のステップとして「内容証明郵便」で未払い給料を請求しましょう。内容証明郵便に法的な拘束力はありませんが、どのような内容の手紙を誰に送ったのかを郵便局が証明してくれます。
1,500円程度の費用がかかるものの、内容証明郵便を活用して請求することで、給料未払いの時効を6カ月間停止させることが可能です。調停・訴訟に発展した場合にも、内容証明郵便は有益な証拠となります。金額・支払期限などを含め、必要な情報はすべて記載しておくことがおすすめです。
内容証明郵便の利用方法・料金などを知りたい方は、郵便局のサイトを参照してください。
4. ADR(裁判外紛争解決手続)をする
内容証明郵便で請求しても状況が変わらない場合、ADR(裁判外紛争解決手続)での解決を模索することも1つの方法です。
給料未払いの雇用者・被雇用者間の紛争は、民間型ADRが採用されるケースが多いです。メリットは「手続きが簡単で費用を抑えられる」ことが挙げられ、訴訟よりも手軽に活用できます。
原則非公開で実施されるため、会社側も応じてくれる可能性が高いです。ただし、一般的なあっせん・調停ADRでは解決策を相手に強制できないため、相手が同意しなければ、ADR手続きが成立しないデメリットもあります。
ADRは以下の記事でもくわしく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
5. 労働基準監督署へ申告する
内容証明郵便での請求以降に取るべきステップは、労働基準監督署へ申告する方法です。給料未払いの会社が労基法に違反していると判断されれば、労働基準監督署が是正勧告・行政指導を実施してくれるでしょう。そのためにも証拠集めは重要です。
会社側の対応が悪質と判断されれば、刑事事件として立件してくれる場合もあります。そのため、労働基準監督署ができるのはあくまでも「是正勧告」「行政指導」であり「命令」ではないことは覚えておきましょう。
6. 調停・訴訟
会社側がADRや労働基準監督署の勧告・指導にも応じない場合、給料未払い請求を調停・訴訟に持ち込むステップに移ります。考えられる調停・訴訟にはいくつかありますが、それぞれの概要をメリット・デメリットとともに解説します。
民事調停
民事調停とは、主に簡易裁判所で実施される「司法型ADR(裁判外紛争解決手続)」の1つです。当事者同士の話し合いを基本に、1名の裁判官および2名以上の民事調停委員で構成された調停委員会が、解決策を提示しながら問題の解決を図ります。
民事調停のメリット | 民事調停のデメリット |
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・手続きが簡単で期間を短縮できる ・申立手数料が訴訟の約半額で済む ・弁護士に依頼する必要がない |
・相手方の同意がないと手続きできない ・譲歩を求められる場合がある ・弁護士に依頼する必要が無いため、意見を聞けない |
提示された解決策に強制力はありません。民事調停で給料未払い問題が解決出来ない場合は、別の方法を模索する必要があります。
労働審判
労働審判とは、労働紛争を迅速に解決することを目的に2006年から開始された審判制度です。民事調停と同様に、1名の労働裁判官および2名の労働審判員が参加し当事者同士の和解を目指します。民事調停との違いは、最終的に「法的効力のある審判を下す」点です。
労働審判のメリット | 労働審判のデメリット |
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・手続きが簡単 ・強制力のある解決策が提示される ・弁護士に依頼する必要がない |
・審理を有利に進める証拠が必要 ・不利な審判でも従う必要がある ・異議申し立てすると通常訴訟に移行される |
支払督促
支払督促とは、簡易裁判所に申立てて、給料未払いを請求する文書「支払督促」を会社に送ってもらう手続きです。支払督促申立書を手数料とともに簡易裁判所に提出するのみで手続きも簡単です。証拠の提出も求められません。
支払督促のメリット | 支払督促のデメリット |
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・手続きが簡単で証拠も必要なし ・弁護士に依頼する必要がない ・差し押さえなどの強制執行が可能 |
・異議申し立てされると通常訴訟に移行される ・ほとんどの場合で異議申し立てされる |
少額訴訟
少額訴訟とは、簡易裁判所で行われる「60万円以下の金銭請求」に関する訴訟のことです。原則として、1回のみの裁判期日で審理・判決が下されるため、通常訴訟よりも手続きが簡単でスピーディーに紛争を解決できることが特徴です。
少額訴訟のメリット | 少額訴訟のデメリット |
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・判決までがスピーディー ・弁護士に頼らずに手続きできる |
・給料未払いが60万円以上では利用できない ・異議申し立てされると通常訴訟に移行する |
少額訴訟で勝訴した場合は、相手側の資産を差し押さえる強制執行も可能です。ただし、相手が少額訴訟に同意していること、明確な証拠があることなど、訴訟に持ち込むまでにクリアすべき条件があることは覚えておきましょう。
少額訴訟の流れや費用相場は、以下の記事を参考にしてください。
通常訴訟
通常訴訟とは、主に財産権の紛争解決を目的とした、民事訴訟の1つです。必ずしも代理人を立てる必要はありませんが、審判を有利に進めるため、相手側の弁護人に対抗するためにも、弁護士への依頼が欠かせません。
通常訴訟のメリット | 通常訴訟のデメリット |
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・納得いくまで裁判で争える | ・手続きが複雑で弁護士報酬に高額な費用がかかる ・判決までに時間がかかる |
弁護士の報酬は、10%程度の着手金と、勝訴した場合の成功報酬15〜20%が相場です。裁判所への訴訟手数料、各種実費が必要であることを考えると、給料未払いで収入の断たれた方にはハードルが高い選択です。
労働基準監督署に給料未払いで動いてもらうためには?
給料未払いが発覚したとき、労働基準監督署に相談しても動いてもらえない可能性があります。労働基準監督署が動くのは、企業側の違反事実が相当明白な場合に限られるためです。
しかし、以下のポイントを押さえておけば労働基準監督署に動いてもらえる可能性が高くなるため押さえておきましょう。
- 申告(通報)する
- メール・電話で相談しない
- 給料未払いの証拠を用意する
- 弁護士に意見書を書いてもらう
申告(通報)する
1つ目のポイントは、労働基準監督署には相談ではなく申告(通報)することです。労働基準監督署は雇用者の法令違反を是正する機関のため、相談に行くのは趣旨からずれています。
具体的には「給料未払いの企業を処罰してください」と申告(通報)するのが適切な行動です。申告することで、労働基準監督署が対応してくれる可能性が高くなります。
メール・電話で相談しない
2つ目のポイントは、メールや電話で相談しないことです。労働基準監督署は、労働者からの申告をメールや電話でも受け付けています。しかし、対面での相談と比較すると細かいニュアンスが伝わりにくく、給料未払いに関する書類を十分に提出できない可能性があります。
労働基準監督署での面談は平日のみのため不便ですが、申告するために必要な行動といえるでしょう。平日の時間が難しいときは「労働条件ほっとライン」を利用することで夜間・土日祝日でも電話相談が可能です。
給料未払いの証拠を用意する
3つ目のポイントは、給料未払いを証明する証拠を用意することです。労働基準監督署に動いてもらうために、給料未払いの証拠をできるだけ多く集めておきましょう。たとえば、給料が振り込まれていた通帳や内容証明郵便が挙げられます。会社からの返答(音声データやメール)も証拠になりますが、場合によっては証拠が集められないこともあります。
そのようなときは弁護士に相談して証拠を集めるのが効果的です。
弁護士に意見書を書いてもらう
4つ目のポイントは、弁護士に意見書を書いてもらうことです。複雑な状況になれば自分で説明するのは難しくなります。その場合、弁護士に相談して事案の説明書や意見書を書いてもらうのが効果的です。
弁護士に意見書を書いてもらうときは「意見書を持って労働基準監督署に行く」のか「代理で給料未払いの請求をしてもらう」のかを考える必要はあります。
あくまで労働基準監督署へは給料未払いの申告をしているだけの状態です。給料未払いを請求してほしい場合は、弁護士への相談が有利でしょう。
労働基準監督署に相談・申告するときの注意点
給料未払いを労働基準監督署に相談・申告するときには、注意するポイントが3つあります。
- 是正勧告に強制力はない
- 会社に申告したことが発覚するリスクがある
- 他の機関を紹介されることがある
是正勧告に強制力はない
労働基準監督署は法令違反が認められた企業に対して是正勧告や指導をします。しかし、是正勧告や指導には強制力がありません。悪質な法律違反であれば刑事事件として送検しますが、最終的な命令権があるのは裁判所です。
労働基準監督署に申告したからといって、必ず未払いの給料が戻ってくるわけではないため注意してください。
会社に申告したことが発覚するリスクがある
労働基準監督署に申告すると、誰が通報したか企業側に知られる可能性があります。
労働基準監督署への申告を理由に解雇されることはありませんが、申告したことで社内の立場が悪くなり、働きにくくなる可能性もあります。今後も現在の会社で働く意思がある場合は、慎重に動いたほうがよいでしょう。
他の機関を紹介されることがある
労働基準監督署に申告しても、他の機関を紹介される可能性があります。労働基準監督署には給料未払いでの民事的な問題解決能力がないためです。労働者と企業の仲介ができるのは都道府県の労働局です。
労働基準監督署では対応が難しいとき、労働局の和解あっせんを紹介されることが多いでしょう。和解あっせんの利用は無料のため、会社と話し合いたい場合は利用する手もあります。労働基準監督署に申告せずに直接和解あっせんを申し込むことも可能です。
労働基準監督署以外の相談先
会社と交渉する、労働基準監督署に申告するなど、自分自身でもできる解決方法があるのも事実ですが、デリケートな問題のため「専門家に相談したい」と考える方がほとんどでしょう。
そこで以下では、給料未払いトラブルで頼りになる相談先を紹介します。
- 総合労働相談コーナー・法テラス
- 弁護士
- 司法書士
- 社会保険労務士
総合労働相談コーナー・法テラス
もっとも気軽に給料未払いトラブルを相談できるのが、労働基準監督署や労働局などに設置されている「総合労働相談コーナー」や「法テラス」などの公的機関です。未払い給料の請求を代行してくれるわけではないため、注意が必要です。
自分自身でトラブルに対処するため相談やアドバイスが欲しい場合に利用してみるとよいでしょう。
無料で相談できる総合労働相談コーナーと異なり、法テラスでは「収入・資産が一定以下の方」のみ無料相談可能です。
訴訟に発展しそうなケースであれば、法テラスへの相談がおすすめです。
弁護士
給料未払いトラブルの相談先として、もっとも頼りになる存在であるのが弁護士です。タイムカード・勤務表など、自分自身で集めることが困難な証拠も、弁護士に依頼することでスムーズに開示してもらえるケースも少なくありません。なによりも、金額の大小に関わらずどのような訴訟の代理人にもなれるのが最大のポイントです。
どのような場面でも頼りになる分、報酬が高額になる傾向にあります。そのため、未払い請求をするなかで「会社側との関係がこじれてしまった」「訴訟に発展しそう」などのケースに発展した際は弁護士への相談がおすすめです。
司法書士
訴訟・登記をはじめとした法律事務のスペシャリストである司法書士にも、給料未払いトラブルを相談できます。司法書士の行うADR機関を利用することも可能であり、弁護士よりも低い報酬で訴訟の代理人を務めてくれることもあります。
ただし、司法書士では140万円を超える訴訟の代理人にはなれません。その場合でも、裁判所への提出書類作成などをサポートしてもらうことは可能です。
社会保険労務士
労働・社会保険のスペシャリストとして人事・労務問題を取り扱う社会保険労務士も、給料未払いトラブルを相談するのにおすすめの専門家です。
人事・労務の経験が豊富な社労士の場合、給料未払いトラブルの初期段階から相談することで、有効な解決策を提示してくれる可能性が高まるでしょう。特定社会保険労務士であれば、あっせん・調停ADRの代理人を依頼することも可能です。
ただし、社労士は訴訟や労働審判の代理人にはなれないことに注意が必要です。給料未払い問題が大きなトラブルに発展しないうちに、社会保険労務士への相談を検討することがおすすめです。
未払い給料の回収が見込めない場合の解決法は?
給料未払いトラブルを解決するため、会社側と交渉する複数の手法・頼りになる相談先などを解説してきました。
しかし、交渉相手となる会社が倒産する可能性があったり、社長の所在が不明などで未払い給料の回収が見込めない場合はどうしたらいいのでしょうか?未払い給料の回収が見込めないときには以下の方法があります。
労働組合を結成・加入する
会社が倒産状態にある場合、複数の従業員に給料が支払われない可能性が高いです。その場合は労働組合を結成(加入)してください。
労働組合には団体交渉権があるため、賃金や労働条件に関して効果的に話が進められます(憲法第28条)。
未払賃金立替制度を利用する
未払賃金立替制度とは、労働基準監督署・労働者健康安全機構で実施されている「倒産により賃金が支払われていない労働者に未払い給料の一部を立て替えて支払う」制度です。
この制度を利用することにより、未払い給料の最大8割を政府が負担して支払ってくれます。条件は以下のとおりです。
雇用者(会社)の条件 | 被雇用者(労働者)の条件 |
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・1年以上事業活動を行っていたこと ・倒産したこと(法律上・事実上の倒産) |
・倒産の事実の6カ月〜2年の間に退職した者 |
給料未払い請求でよくある質問
複雑かつデリケートな給料未払いトラブルは、自分自身が不利にならないためにも知っておきたいポイントがあります。よくある質問のなかから、簡単に解説します。
Q1. 給料未払い中でも勤務すべき?
給料未払いトラブルは、会社に勤務中の方にも起こり得ます。給料を支払ってもらえないのにも関わらず、勤務し続けるのは精神的にもつらいものです。しかし出社拒否はおすすめできません。
会社側からは「職務放棄」とみなされ、逆手に取って損害賠償を請求されるケースもあるためです。会社側からの請求を避けるためにも、自身の判断だけで出社拒否するのではなく、専門家のアドバイスを得ながら慎重に行動すべきでしょう。
Q2. 給料未払い請求の時効を止めるには?
給料未払いに関する請求権には3年までの時効があります。内容証明郵便で請求することにより、時効を6カ月停止することはできますが、2度送っても時効が1年延長されるわけではありません。
訴訟となれば審理だけでも約9カ月、判決までには数年を要するケースもあります。その場合、労働審判を起こせば時効が2年間延長することが可能です。訴訟を起こした時点で時効はリセットされます。
判決が下される前に時効を迎えてしまうことはないと考えて問題ありません。
Q3. 未払い給料の利息は請求できる?
給料未払いの請求権は、労働者にとって正当なものではありますが、未払い期間が長期に渡っていれば、それだけ労働者は大きな損害を被ることになります。こうした損害を保障するために設けられているのが「損害遅延金」制度であり、未払い給料に利息を追加して請求できます。
損害遅延金の利率は以下のとおりです。
労働者が会社に在籍している場合 | 本来の給料支払日の翌日から年率6% |
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労働者が会社を退職した場合 | 本来の給料支払日の翌日から年率14.6% |
労働者の正当な権利として認められている制度のため、給料未払いトラブルが調停・訴訟まで発展した場合は覚えておきたい制度です。
まとめ
本記事では給料未払いトラブルに対して、法的な根拠を含めた基礎知識や具体的な解決方法を解説しました。給与所得者であればだれでも可能性があるのが給料未払いトラブルです。感情的なこじれも起こりやすく、複雑かつデリケートな問題です。
スムーズに解決するには、自分自身で判断するのではなく専門家の意見・アドバイスを得ましょう。社会保険労務士・司法書士・弁護士など、状況にあわせた適切な専門家を探すことがおすすめです。
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1980年3月23日生まれ。社会保険労務士・1級FP技能士・CFP認定者。令和3年度 中小企業・小規模事業者等に対する働き方改革推進支援事業(専門家派遣事業) 派遣専門家。大学卒業後、外資系生命保険会社の営業、資格の専門学校の簿記・FPの講師、不動産会社の経営企画を経て現在に至る。
相談先として、弁護士や社会保険労務士などに相談することが多く、的確な対応を迅速に行うことで対処する会社が増えています。
給与等の未払いは労働基準法違反となるため、問題を先延ばしにすると、労働基準監督署から何らかの処罰を受けるだけでなく、官報にも掲示されるため、社会的信用を失うリスクもあるため、早めの対応が必須とも言えます。
給与未払いの解決方法としていくつか挙げられていますが、それぞれの方法においても、しっかりとした証拠を準備しておかなければ、解決することが長期化する恐れもあるため、弁護士や社会保険労務士などの専門家と協力の上で対処することが必要といえます。
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もしも今現在、
- どの社会保険労務士に依頼したらいいかわからない
- 労働法に詳しい社会保険労務士に依頼したい
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