コンプライアンス研修のネタはどうやって探す?効果的な見つけ方を解説
- コンプライアンス研修に使えるネタには何がある?
- コンプライアンス研修のネタはどうやって探せばいいの?
- 効果的なコンプライアンス研修を行うにはどうすればいい?
コンプライアンス研修を行ってほしいと依頼を受けた場合、従業員の興味を引くネタを探すのはなかなか大変だと感じている担当者は少なくないでしょう。
この記事では、コンプライアンス研修で使えるネタを10個ご紹介します。テーマの集め方や、効果的な実地ポイントについても解説するので、会社の法務部に勤務する方や研修を任された方はぜひ参考にしてみてください。
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コンプライアンス研修で使える10のネタ
コンプライアンス研修で使えるネタは以下の10個です。
- ハラスメント
- SNSの使用
- 情報漏洩
- 働き方改革
- 著作権・意匠権・商標権
- 社内での不祥事
- 社風づくり
- リスクマネジメント
- ルールを守る職場づくり
- 社内通報
コンプライアンス研修で使えるネタをある程度カテゴリー分けしておくと、どのようなテーマが会社に適しているかがわかるので、研修する時にすぐに準備に取りかかれます。
1. ハラスメント
2020年6月には通称パワハラ防止法と呼ばれる改正労働施策総合推進法が施行され、パワハラを防止するための措置を取ることが企業に義務付けられています。ハラスメントは多様化しており、以下に例を4つあげておきます。
- セクシュアルハラスメント
- パワーハラスメント
- マタニティハラスメント
- リモートハラスメント(オンライン上で行われる)
放置していても罰則は適用されませんが、必要に応じて厚生労働省から企業に対し助言・指導・勧告が行われます。企業名が公表されたり、企業イメージを大きく損なう恐れもあるでしょう。
ポイント
ハラスメントの加害者や被害者にならないよう、どんなケースがハラスメントに該当するのかについてしっかり教えなければなりません。
2. SNSの使用
従業員のSNSへの書き込みに顧客情報が含まれていたり、社内の機密情報が漏洩したりすれば、企業のイメージを著しく損なうでしょう。
従業員が個人的にSNSに投稿した場合でも、会社の愚痴や悪口が不特定多数の人に閲覧されれば会社の評判を落とします。嘘の書き込みをしたり、悪意を持って他の人や会社の評判を貶めたりした場合には名誉棄損罪や偽計業務妨害罪などの罪に問われるかもしれません。
ポイント
SNSは会社側がずっと監視できないものなので、従業員に不適切な投稿をしないように促したり、どんなペナルティが科せられるか説明したりすることが重要です。
3. 情報漏洩
情報漏洩や情報セキュリティもコンプライアンス研修のネタとして活用できます。会社にはさまざまな機密情報があり、顧客情報も厳重に保管されています。情報漏洩に対する危機感や情報セキュリティの知識がない状態で機密情報を扱うと、大きな問題を起こしてしまうかもしれません。
情報セキュリティの知識不足が原因で、パソコンがコンピューターウイルスに感染したり、システム障害を引き起こしたりする恐れもあります。もっと根本的な部分で、顧客情報をUSBメモリに入れて社外に持ち出したり重要な書類が入ったカバンを通勤電車に置き忘れたりするミスも起こりえるでしょう。
ポイント
情報漏洩によって企業が受けるダメージは計り知れないので、従業員にも情報セキュリティの重要性を理解してもらわなければなりません。自社や他社の事例を用いて、従業員に危機感を持たせることがポイントです。
4. 働き方改革
働き方改革もコンプライアンス研修で使えるテーマの一つです。働き方改革はどの企業でも重要な課題で、従業員の協力が必要になります。できるだけ定時で帰れるよう業務の効率を高めたり、タイムマネジメントを行ったりする必要性を強調できるでしょう。
ポイント
以前はできるだけ残業して会社に貢献すべきという考え方が主流でしたが、現在ではワークライフバランスを向上させることに重きが置かれています。働き方改革の意識を従業員に持たせるうえでコンプライアンス研修を役立てましょう。
5. 著作権・意匠権・商標権
著作権や意匠権、商標権などの法的に認められた権利もコンプライアンス研修のネタとの一つです。著作権や意匠権を侵害すれば、莫大な損害賠償金を請求される恐れがあります。悪質と判断されれば、個人に対して罰金や懲役などの刑事罰が科されるかもしれません。
ポイント
第三者が書いた文章をコピペして使ったり、登録されているロゴマークを黙って自社で使ったりしていれば著作権や商標権の侵害にあたります。従業員が悪意なく行ったことでも、企業に甚大な被害をもたらす恐れがあることを理解させなければなりません。
6. 社内での不祥事
社内で起こりえる不祥事には以下の5つのようなものがあります。
- 横領
- 背任
- 窃盗
- 誹謗中傷
- 従業員のサボり
社内で不祥事が起こるメカニズムを説明し、予防方法についてしっかり教えることで従業員に危機感を持たせられるでしょう。管理職に対しては部下とのコミュニケーションの取り方を学ぶ機会となります。
7. 社風づくり
会社によって不正が横行しやすい社風もあれば、コンプライアンスを順守する風土が構築されている場合もあります。現在の社風でいいのか、従業員各自がどのように社風を変えることに貢献できるかを教えられるでしょう。
ポイント
コンプライアンス違反が多く見られる企業の場合、従業員を刷新したり社内改革を行ったりして社風を大きく変えることが必要かもしれません。
8. リスクマネジメント
コンプライアンス研修で扱うべき別の課題がリスクマネジメントです。リスクマネジメントは、不祥事が起こる原因を極力排除し、万が一起きてしまった時に被害を最小限に抑えるための対策を指します。
ポイント
不祥事の原因をどのように取り除くか、ミスしてしまった時にどのように謝罪しリカバリーするかなどを従業員に理解させることが重要です。
9. ルールを守る職場づくり
社風とともに重要なのが、職場全体にルールを守るべきという意識があるかどうかです。従業員各々にコンプライアンスを徹底する意識を持たせ、具体的な実践方法を解説します。
ポイント
コンプライアンス違反を犯した場合にどのような被害を受けるのか、違反しないために上司に相談すべきなのはなぜかといった重要なポイントを解説しましょう。
10. 社内通報
コンプライアンス研修で使えるネタとして社内通報も挙げられます。社内通報は、会社内で起こっている問題や不正を社内の窓口に通報することです。社内通報が制度化されていなければ、会社の暴走を止められずより大きな問題につながりかねません。
ポイント
社内通報を扱う場合には、問題を社外に通報する「内部告発」との違いや、社内通報によって制裁を受けないことなどを説明する必要があるでしょう。コンプライアンスを順守する社風を作り上げるためにも、社内通報をテーマとして扱うのは適切です。
コンプライアンス研修のネタを探す6つの方法
コンプライアンス研修のネタを探すのは簡単ではありません。急に研修が入っても慌てないように、上記6つの探し方について知っておきましょう。
同業種における事例収集
同業種の他社事例を集めるとコンプライアンス研修のネタが見つかります。自社とは異なる業務の進め方をしていても、同業種であれば抱えるリスクや発生しやすいトラブルは共通しているでしょう。同業種の成功事例や失敗例は他業種と比較して手に入りやすいのもメリットです。
同業種の事例であれば従業員にとっても問題やリスクがイメージしやすく、自社に当てはまる対策を従業員自身が考え出す助けにもなります。自分の状況とコンプライアンス違反が直接結びつきやすいので、従業員の学ぶ意欲を起こさせることもできるでしょう。
法務部から情報収集
コンプライアンスが順守されるように取り組んでいる法務部からの情報も貴重なネタになります。とくに自社内で発生したコンプライアンス違反があれば、より身近な例として取り上げられるでしょう。
法務部は関連法規の改正や新たな法律の施行に通じているので、コンプライアンス研修に含めるべき法律の知識を教えてくれる場合もあります。最新の情報をコンプライアンス研修で扱うために、法務部と協力することは重要です。
関連書籍
関連書籍を読むと、コンプライアンス研修で扱うネタを探しやすいでしょう。コンプライアンスに特化した書籍は数多く出版されており、ネタの宝庫といえます。業種別の事例が取り上げられていることも多いので、自社に当てはまるコンプライアンス違反の例を簡単に見つけられるでしょう。
弁護士や危機管理の専門家が書いた本であれば、法律の知識や裁判の判例なども併せて得られる可能性があります。ただし、関連書籍を読むための時間を取らなければならないのがデメリットです。
Webサイト
コンプライアンス研修のネタを短時間で集められるのがWebサイトです。コンプライアンス違反の例や、リスクマネジメントの方法、職場での体験談など具体的な情報がすぐに見つけられます。法律の専門家が今まで扱ってきた例をブログで取り上げていることもあるでしょう。
Webサイトはネタ集めに非常に有効ですが、信頼できる情報かどうかを見極めることが重要です。根拠が曖昧だったり個人的な見解が入っていたりすると、情報の信頼性が揺らぎます。誰が、いつ、どんな根拠で発信した情報なのか確かめてコンプライアンス研修で使用しましょう。
ニュースで取り上げられた著名企業の事例
コンプライアンス研修では、最近取り上げられた著名企業の事例をネタとして取り上げるのも有効です。メディアで取り上げられると、世間の関心が集まり研修でも従業員を集中させるのに役立ちます。自分の行動がどのように会社や社会に影響を与えるのか理解しやすくなるでしょう。
ただし、ニュースで取り上げられた著名企業の失敗事例は従業員も詳しく知っている可能性があります。コンプライアンス研修ではより詳しい情報を付け加えたり、より深く考察したりすることが必要です。
関係省庁からのアナウンス
コンプライアンスについては関係省庁からの通達やお知らせがホームページに掲載されることがあります。関係省庁のホームページをチェックすると、コンプライアンスに関する最新の情報を手に入れられるかもしれません。コンプライアンスの関係省庁はたくさんあるので、いくつかに絞って調査すると効率的です。
厚生労働省
ハラスメントの防止の旗振り役となっているのが厚生労働省です。厚生労働省のホームページにはハラスメントの防止方法や労働基準法の適用方法などが掲載されています。Q&A形式で解説されている部分もあり、コンプライアンス研修にそのまま使用できる情報も多いのでぜひ参考にしましょう。
経済産業省
経済産業省のホームページには、外国企業との取引や為替取引を行う際の不正についてのコンプライアンス違反の事例が取り上げられています。外国貿易法や不正競争防止法に違反しないよう従業員を教えるのに役立つでしょう。
消費者庁
消費者庁のホームページには、商品やサービスを購入した消費者とのトラブルの事例が多く掲載されています。企業側のコンプライアンス違反が原因の場合もあれば、消費者の側に原因があるケースもあるでしょう。消費者目線で物事を考えるよう従業員を教えたり、トラブルを避けるためのリスクマネジメントの方法を理解してもらったりすることが重要です。
その他の関係省庁のwebサイト
厚生労働省や経済産業省、消費者庁の他にも、コンプライアンス研修で使えるネタを探せるwebサイトが多くあります。以下はその一例なので、ネタを集める時に利用してみましょう。
HPのURL | 主な内容 | |
---|---|---|
文化庁 | https://www.bunka.go.jp/ | 補助金の不正受給 |
公正取引委員会 | https://www.jftc.go.jp/ | 独占禁止法、反競争的行為 |
一般社団法人安全保障貿易情報センター | https://www.cistec.or.jp/ | 武器や技術の不正輸出 |
日本音楽著作権協会 | https://www.jasrac.or.jp/index.html | 音楽著作物に対する著作権違反 |
著作権情報センター | https://www.cric.or.jp/ | 文芸・美術などの著作物への著作権違反 |
コンプライアンス研修の準備の仕方
コンプライアンス研修で使うネタを集めると同時進行で、研修の準備を進まなければなりません。従業員が集中して学べる研修を準備するポイントは上記の3つです。
対象者のカテゴリー分け
コンプライアンス研修では、研修の対象者をカテゴリー分けしなければなりません。全従業員に同じ内容の研修を行う必要はないのです。たとえば、新入社員はコンプライアンスとは何か、なぜ遵守しなければならないのかを教える必要があるでしょう。
管理職の従業員には、自分の管轄している範囲でコンプライアンス違反が起きた時の対処法や上層部への報告の重要性などを学ばせなければなりません。外国人の従業員であれば、日本の文化や働き方、母国とは異なるルールについての説明が必要です。
研修の目的の明確化
コンプライアンス研修では、どんな目的で研修を行うか明確にしておかなければなりません。目的が曖昧だと、用いる事例や協調すべきポイントが的外れになります。
不祥事が起こらないように従業員の意識を高めることが目的なのか、すでに大きなトラブルが起こってしまった後の対応を教えるのかによって内容は大きく異なるでしょう。意欲的に学ぶ態度の従業員と、コンプライアンス研修になれていない従業員とでは、研修内容の難易度を変えなければなりません。
業務ごとの事例想定
コンプライアンス研修では、実際起こった事例が自分に関係していると感じさせることが重要です。ただ事例を述べるだけでなく、業務ごとにどんなコンプライアンス違反が起こりえるか想定して、研修の内容に落とし込まなければなりません。
事例や法令、学べる教訓をバラバラに述べるのではなく、業務や分野ごとにまとめると情報が整理されて理解しやすくなります。資料作りでも情報をまとめることを意識すると、従業員がコンプライアンス研修の復習をするのに役立つでしょう。
効果的なコンプライアンス研修の実施ポイント4つ
コンプライアンス研修を実施する際にはいろいろな課題があります。準備が大変だったり、従業員の理解度が分からなかったりするかもしれません。こうした課題を解決し効果的な研修を行うための実施ポイントは上記の4つです。
アウトプットを取り入れた研修
従業員の理解度を深めるために効果的なのが、アウトプットを取り入れたコンプライアンス研修です。ただ話を聞くだけのインプット学習では、興味が薄れてしまう恐れがあります。
少人数のグループを作りコンプライアンスについて意見交換させたり、どんなリスクが考えられるかアイデアを出してもらったりすれば、より活発な研修になるでしょう。従業員同士のコミュニケーションが図られるのもメリットの一つです。
社外からの講師による研修
社内の人間ではなく社外から講師を呼ぶと、研修に新鮮味が生まれます。弁護士やリスクマネジメントに通じた専門家を呼んで研修を行ってもらうと、より深い知識を得られたり専門家ならではの経験を聞けたりするかもしれません。
費用がかかるので毎回の研修で行えるわけではありませんが、従業員の興味を引き付けるのに役立ちます。
オンライン研修・eラーニングの積極的な活用
対面のコンプライアンス研修だけでなく、オンライン研修やeラーニングを使った研修も一般的になっています。オンライン研修であれば社内にいなくても参加可能なので研修の参加率を高められるでしょう。eラーニングは、時間も場所も選ばずに研修を受けられるため、とても便利な方法です。
オンライン研修やeラーニングは、紙の資料を用意しなくてよいため準備の時間も節約できるでしょう。ただし、eラーニングは研修を聞くだけになるため、従業員の集中が続かなくなる恐れもあります。
問題行動の動画の活用
コンプライアンス研修では、問題行動が具体的にわかる動画を活用すると、従業員の理解が深まったり活発な意見交換が誘発されたりします。コンプライアンス研修用の動画を利用すれば解説も含まれているため、どの部分がどのように問題だったのか理解できるでしょう。
まとめ
コンプライアンス研修のネタは、同業他社の事例や関係省庁からのアナウンスを活用すれば短時間で見つけられます。研修を受ける従業員の属性や持っている知識を理解することで、効果的なコンプライアンス研修の準備が行えるでしょう。
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ここで書かれていたとおり、インプットした内容をアウトプットしてメンバーで共有することで効果が高まります。インプット主体で行う個人的なEラーニングなどの継続実施やメンバーでディスカッションなどが出来るアウトプットに注力した集合型などを不定期に入れるなど組み合わせて教育をするのも効果的です。
また、概念を学ぶことに加えて芝居型の動画などでも、油断して「ついやってしまった」という人の事例も知ることが出来て「自分もやってしまうかもしれない」と、より「自分ごと」として意識が高まると思います。ぜひ、色々なタイプの研修を比較検討されてみて下さい。
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