セキュリティホールとは?脆弱性との違いや6つの対策をわかりやすく解説
- セキュリティホールとは?
- セキュリティホールと脆弱性の違いは?
- セキュリティホールの対策は?
「自社サイトのセキュリティ対策に不安がある」とお悩みのWeb担当者、必見です。セキュリティホールとは、ソフトウェアやOSの設計段階でのミスやバグにより発生する、システムの欠陥のことです。
近年、ホームページやWebサイトなどのセキュリティホールを狙うサイバー攻撃が増えています。企業にとって大きなリスクとなるため対策を取ることが大切です。
この記事では、個人情報保護やセキュリティ対策に関心のある方に向けて、セキュリティーホールの概要や脆弱性との違い、対策などを解説します。記事を読むことで、セキュリティホールの対策方法を把握でき、安全なシステム設計を行えるでしょう。
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セキュリティホールとは
セキュリティホールとはシステムの安全上の欠陥のことです。セキュリティホールは、ソフトウェアやOSの設計段階でのミスやバグにより発生します。プログラミングの不具合やミスによって、不正アクセスや情報漏洩などの攻撃に対し、脆弱になる可能性があります。
修正プログラムの遅れやOSが古い場合は、システムの安全性を脅かす重大なリスクとなるでしょう。
セキュリティホールと脆弱性の違い
セキュリティホールと脆弱性は異なる意味合いを持ちます。セキュリティホールは、ソフトウェアやOSの設計段階に生じる「不具合」です。
脆弱性は、システム全体における「弱点」を指し、セキュリティホールだけではなく、管理体制や人的ミスなども含まれます。
つまりセキュリティホールとは、脆弱性のなかの1つでプログラムの弱点のことです。
セキュリティホールの3つのリスク
セキュリティホールのリスクには、次の3つがあります。
- ハッキング
- マルウェア感染
- 情報漏洩
1. ハッキング
セキュリティホールのリスクには、ハッキングが挙げられます。ハッキングとはサイバー攻撃の代表的な手法の1つです。システムを損傷・破損させたり、ユーザーに関する情報を収集したりする不正行為です。
セキュリティホールがある場合、社内のコンピュータがハッキングされやすくなるリスクが高まります。リモートでコンピュータを操作されたり、Webカメラにアクセスされたりする危険性が高まるでしょう。
2. マルウェア感染
セキュリティホールの発生は、マルウェア感染の危険があります。マルウェア感染とは、コンピューターウイルスをはじめとするマルウェアがプログラムの一部を書き換え、自己増殖していくことです。
セキュリティホールがある場合、マルウェアがシステムに侵入し、機密情報を盗んだり、他のパソコンに攻撃を仕掛けたりする可能性があります。
3. 情報漏洩
情報漏洩はセキュリティホールにおけるリスクの1つです。セキュリティホールがあるシステムを使用した場合、個人情報や機密情報が盗まれる可能性が高まります。
情報漏洩は、企業の社会的責任を問われるだけではなく、損害賠償請求をはじめとした二次被害につながります。
セキュリティホールを狙うサイバー攻撃6種類
セキュリティホールを狙う代表的なサイバー攻撃には、次の6種類が挙げられます。
- バッファ・オーバーフロー
- SQLインジェクション
- クロスサイト・スクリプティング
- DNSキャッシュポイズニング
- 強制ブラウジング
- ゼロデイ攻撃
1. バッファ・オーバーフロー
セキュリティーホールを狙うサイバー攻撃には、バッファ・オーバーフローがあります。プログラムのバッファ領域に意図的に大量のデータを書き込むことで、システムの異常動作や不正なコード実行を引き起こします。
バッファ領域とは、コンピュータのプログラムが情報を格納するためのメモリ上の領域です。
プログラムのバッファ領域設計に脆弱性が存在する場合、攻撃者は不正なデータを入力し、本来の処理範囲を超えてデータを書き込めます。書き込まれたデータが不正なコードである場合、システムの乗っ取りや情報漏洩などの被害につながります。
2. SQLインジェクション
セキュリティホールへのサイバー攻撃には、SQLインジェクションが挙げられます。SQLインジェクションは、Webアプリケーションの脆弱性を悪用して、データベースに不正なSQLクエリを送り込み、情報漏洩や改ざんを行う攻撃です。
SQLは、データベース用のプログラミング言語です。構造化データの加工や集計などを行います。SQLを実行したときにデータベースに送る命令文をクエリと呼びます。
Webアプリケーションの入力フォームに、悪意のあるSQLクエリを埋め込むことで、データベースへの不正アクセスが可能です。攻撃者は、ユーザー認証情報の取得や顧客情報の窃取、データベースの破壊などの操作ができます。
3. クロスサイト・スクリプティング
セキュリティホールは、クロスサイト・スクリプティングによる被害を受けやすいです。クロスサイト・スクリプティングは、SNSやWebサイトの入力フォームを利用してユーザーを誘導し、個人情報やクレジットカード情報を盗み出す手法です。
Webサイトの入力フォームに、悪意のあるJavaScriptコードを埋め込むことで、ユーザーがサイトを閲覧した際に実行されます。攻撃者は、ユーザーのセッション情報やCookieの窃取、偽のログイン画面の表示などの不正操作を実行できます。
4. DNSキャッシュポイズニング
セキュリティホールを狙ったサイバー攻撃には、DNSキャッシュポイズニングがあります。DNSキャッシュポイズニングは、DNSキャッシュサーバーを標的にし、ユーザーを偽のWebサイトに誘導する攻撃です。
DNSサーバーは、ドメイン名とIPアドレスの対応関係を管理するサーバーです。攻撃者は、DNSサーバーに虚偽の情報を送り込み、ユーザーが正規のWebサイトにアクセスしようとした際に、偽のWebサイトに誘導します。
偽のWebサイトでは、フィッシング詐欺やマルウェア感染などの被害が発生する可能性があります。
5. 強制ブラウジング
セキュリティホールを狙った攻撃の1つは、強制ブラウジングです。強制ブラウジングは、ユーザーの意図に反して、特定のWebサイトを閲覧させる攻撃です。通常はアクセスできないファイルやディレクトリに強制的にアクセスし、情報漏えいのリスクを高めます。
強制ブラウジングによる被害には、フィッシング詐欺やマルウェア感染などがあります。
6. ゼロデイ攻撃
セキュリティホールがあることで、ゼロデイ攻撃を受けやすくなります。ゼロデイ攻撃は、セキュリティホールが発見されてから対策が確立されるまでの間に攻撃を行う手法です。
セキュリティホールが公開されていない段階で実行される攻撃のため、企業活動に深刻な被害をもたらす可能性があります。ゼロデイ攻撃は、対策プログラムが開発されていないため、非常に防御が困難です。情報漏洩やシステム停止など、重大な被害をもたらす可能性があります。
セキュリティホールへの6つの対策
セキュリティホールへの対策には、次の6つが挙げられます。
- セキュリティパッチが最新か確認する
- セキュリティ対策ソフトを導入する
- 社内に専門の担当者を置く
- 情報セキュリティの研修を行う
- ノウハウを持ったシステムベンダーに相談する
- セキュリティ診断を受ける
1. セキュリティパッチが最新か確認する
セキュリティホールへの対策として、セキュリティパッチが最新か確認します。セキュリティパッチとは、発見されたセキュリティホールを修正するためのプログラムです。
常に最新の状態を維持することで、システムに潜む小さなセキュリティホールも見逃しません。迅速に適用することで、脆弱性を悪用した攻撃を防げます。
公開されたセキュリティパッチの適用状況を定期的に確認し、OSやソフトウェアの自動更新機能を有効にしておきましょう。
2. セキュリティ対策ソフトを導入する
セキュリティホールには、セキュリティ対策ソフトの導入が有効的です。セキュリティ対策ソフトは、ウイルスやマルウェアなどの脅威からシステムやネットワークを保護します。
信頼できるセキュリティ対策ソフトを導入するとともに、ファイアウォール機能や侵入検知機能などを有効にしましょう。
3. 社内に専門の担当者を置く
専門の担当者を社内に置くことは、セキュリティホールへの有効な対策です。情報セキュリティに関する重要な業務を担当させましょう。社内の情報セキュリティのルール作りや従業員への教育なども業務に含まれます。
情報セキュリティに関する業務は責任重大であるため、信頼できる人材を担当者に選ぶことが大切です。
4. 情報セキュリティの研修を行う
セキュリティホール対策として、情報セキュリティに関する研修を実施します。従業員1人ひとりが情報セキュリティの重要性を理解し、適切な行動を取ることが重要です。
具体的な研修内容は下記のとおりです。
- フィッシング詐欺
- ランサムウェア
- パスワード管理
- 情報漏洩防止
情報セキュリティに関する意識を高める啓蒙活動を行い、従業員全体のリスクに対する意識を高めましょう。
5. ノウハウを持ったシステムベンダーに相談する
ノウハウを持ったシステムベンダーをはじめとする専門家に相談することも、セキュリティホールへの対策です。セキュリティ対策は専門性の高い分野であり、自社だけで対応するのは困難な場合があります。
システムベンダーやセキュリティ専門企業に相談し、セキュリティ診断や脆弱性診断を受けることで、適切な対策やソフトウェアを導入できます。
6. セキュリティ診断を受ける
セキュリティホールの対策としてセキュリティ診断があります。セキュリティ診断を受けることで、早期にセキュリティホールを発見し、対策を講じられます。
定期的にセキュリティ診断を受け、診断結果に基づいて、適切な対策を取りましょう。診断結果を社内で共有することで、情報セキュリティ意識を高められます。
セキュリティホールの被害事例
セキュリティホールの代表的な被害事例には、次の3つがあります。
- WannaCryランサムウェアによる世界的な被害(2017年)
- Yahoo!JAPANにおける情報漏洩事件(2013年)
- Log4jの脆弱性を悪用した攻撃(2021年)
1. WannaCryランサムウェアによる世界的な被害(2017年)
「WannaCry」による世界的な被害は、セキュリティホールにおける代表的な被害事例です。2017年5月に、Windows OSのSMBプロトコルの脆弱性を悪用したランサムウェア「WannaCry」が世界中で猛威を振るいました。
「WannaCry」に感染したコンピュータのファイルは暗号化され、150カ国以上の20万台以上のコンピュータに感染しました。使用不能状態となる被害を受けています。
復旧には多額の身代金が要求され、支払ってもデータが復旧する保証はありません。医療機関や企業、政府機関などは、業務停止やデータ損失による経済損失、個人情報漏洩による風評被害など、莫大な損害を被りました。
コンピューターネットワークで通信を行うための手順や約束事です。SMBプロトコルは、Windowsに実装されているファイル共有用プロトコルです。 ネットワーク内のファイルやプリンター、シリアルポートをWindowsPC間で共有するために用いられます。
2. Yahoo!JAPANにおける情報漏洩事件(2013年)
Yahoo!JAPANにおける情報漏洩事件は、セキュリティホールによる被害事件の1つです。2013年、Yahoo!JAPANのWebアプリケーションに存在していたSQLインジェクションの脆弱性が悪用され、約400万件の個人情報が流出する事件が発生しました。
流出した情報には、氏名や電話番号、メールアドレスなど、個人を特定できる重要な情報が含まれます。流出した個人情報は、フィッシング詐欺やなりすましなどの犯罪に悪用される可能性があり、被害者にとって深刻なリスクとなりました。
3. Log4jの脆弱性を悪用した攻撃(2021年)
セキュリティホールによる代表的な被害事件として「Log4j」の脆弱性を悪用した攻撃が有名です。2021年12月、Javaベースのオープンソースライブラリ「Log4j」に存在していた脆弱性が発見されました。
「Log4j」は、世界中の多くのシステムが利用していたため、深刻な影響を与えました。Log4jの脆弱性を悪用した攻撃には、システムへの不正アクセスや情報漏洩、ランサムウェアによるデータ暗号化などの被害があります。
ランサムウェアによる被害は、企業にとって大きな経済損失となりました。
まとめ
セキュリティホールの存在は、マルウェアの侵入や標的型メール攻撃など、セキュリティの脅威を呼び込むリスクがあります。
企業のサイトを狙った攻撃は日々進化しており、導入当時は最新のシステムであっても、数年後には脆弱性が発覚する可能性が高まります。不正アクセスにつながる可能性が考えられるため、しっかりと対策を取ることが大切です。
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脆弱性は情報の取り扱いに関わる組織やシステム、設備など様々な構成要素の中に存在します。大きく分類すると設備面、技術面、管理面、制度面の脆弱性があります。設備面の脆弱性は入退室管理の不備などを指します。また技術面の脆弱性はソフトウェアのバグやネットワーク構成の欠陥などです。管理面と制度面の脆弱性は情報セキュリティ規定の不備や教育の不備などです。
脆弱性対策を考える上で、「情報資産」と「脅威」と「脆弱性」の関係性を抑えておく必要があります。脅かされる存在である情報資産と、脅威を受け入れてしまう原因となる何らかの脆弱性があってはじめて実害を及ぼすものになります。この関係性を洗い出し、顕在化の確率や顕在化した場合の損失の大きさを測定し、有効な対策を導きだす必要があります。このようなリスク分析からリスク評価を行うことをリスクアセスメントといいます。
セキュリティホール(脆弱性)は設備面、技術面、管理面、制度面、さらには大中小と無数に存在しますので、リスクの大きさや影響度を把握して、効果的に対策する必要があります。限られた予算を有効活用して最大限の対策効果が得られるようにしていく必要があり、そのためには、リスクアセスメントについて知っておくことも重要だと思います。
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