【給付終了】家賃支援給付金とは?600万円まで受給可能な条件を解説
- 家賃支援給付金の対象は?
- 家賃支援給付金の給付額は?
- 家賃支援給付金の申請方法は?
家賃支援給付金は、新型コロナウイルスの影響で資金繰りに困窮する事業者に向け経済産業省主導で打ち出された支援策です。現在は新型コロナウイルスの位置づけが2類相当から5類に引き下げられたこともあり、この給付事業は終了しています。
この記事では、経営者や個人事業主向けに家賃支援給付金の受給要件や支給額の計算方法、申請方法などを解説しています。この記事を読み終わった頃には、家賃支援給付金に関する情報がつかめるようになるでしょう。
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家賃支援給付金とは【給付事業終了】
2020年7月3日に経産省から発表された家賃支援給付金は、コロナ禍で売上減に苦しむ事業者の支援策の1つです。現在は給付事業は終了しています。(2023年5月時点)
最大で法人には600万円、個人には300万円が支給され持続化給付金よりも支給額が大きいため、多くの事業者が注目していました。
この給付金は要件を満たしていれば受給できるため、売上減に苦しむ事業者は事業の継続のために申請しておくことが重要です。支給額は毎月支払っている賃料によって算定され、算定方法もしっかり押さえておきましょう。
家賃の負担を軽減する給付金のこと
家賃支援給付金は、新型コロナウイルスの感染流行により、売上の減少に直面する事業者を支えるために設けられました。目的は、賃借人である事業者に対して給付金を支給することで、地代・家賃の負担を軽減することです。
家賃支援給付金は、賃借人が家賃の支払いに苦しんでいる状況を考慮し、迅速に給付されます。
家賃支援給付金のメリット
家賃支援給付金のメリットは、家賃の一部を補填できることによる「住居の安定化」と、経済的困難に直面した事業者の「事業継続支援」の2つです。家賃の補填により住居を失うリスクが減り、生活の安定が期待できます。
事業者にとっても経済的な困難に対して支援を受けることで、倒産や失業を防止し、地域経済の安定に寄与することができます。家賃支援給付金は、住居の安定と事業の持続を支える重要な手段ともいえます。
家賃支援給付金の対象は?
家賃支援給付金の対象は、新型コロナウイルスの影響によって売上が減少した中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主です。医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人も対象に含まれます。
中堅・中小企業や個人事業主
家賃支援給付金の申請対象には、法人と個人事業主の両方が含まれます。それぞれ法人と個人事業主の場合を見てみましょう。
法人の場合
法人の場合、資本金が10億円未満で、従業員数が2,000人以下であることが条件です。特定の業種に属さない法人であれば、医療法人や農業法人、NPO法人、社会福祉法人なども対象になりますが風俗関連事業者や宗教団体は対象外です。
個人事業主の場合
個人事業主とは、フリーランスを含む個人で事業を営む方のことを指します。申請するための条件は、2019年12月31日以前から事業収入を得ており、将来も事業を継続する意思があることです。
UberEatsの配達パートナーやライターなど、雑所得や給与所得として確定申告した事業者も家賃支援給付金の対象となります。支給申請をする際には、確定申告書の提出が必要です。
業種の制限はなし
特別家賃支援給付金の対象業種に明確な基準は設けられていませんが、以下のように一部給付対象外の業種もあります。
- すでに家賃支援給付金を受け取った方
- 国や法人税法別表第一に規定される公共法人
- 性風俗関連特殊営業や接客業務受託営業を行う事業者
- 政治団体
- 宗教上の組織もしくは団体
- 中小企業庁長官が給付金の趣旨・目的に照らして適当でないと判断する者
参照:家賃支援給付金申請要領
2020年に開業した事業者
法人、個人事業主ともに2020年12月31日時点での登記があることが対象です。事業の開始が2020年4月1日以降から、賃貸借契約も2020年4月1日以降に締結されている必要があります。家賃の支払いが困難であることが認められることも対象条件の1つです。
家賃支援給付金を受け取るための条件とは?
家賃支援給付金を受け取るためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 事業の規模
- 売上高の減少
- 家賃の支払い義務
1. 事業の規模
家賃支援給付金を受けるためには、事業規模の条件を満たす必要があります。家賃支援給付金を対象事業者の事業規模は、資本金額または出資総額が10億円未満であることです。資本金額などの明確な規定がない場合は、常時使用する従業員数が2,000人以下であることが条件です。
従業員には、解雇予告を必要とするパート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員、出向者などが含まれます。
2. 売上高の減少
家賃支援給付金を申請するためには、売上高の減少が特定の条件を満たしている必要があります。1カ月の売上比較や3カ月の売上合計比較を通じて、前年同期比の割合が一定以上減少している場合に申請が可能です。売上高の減少には、以下の2つの条件があります。
- 1カ月で前年同月比50%以上の売上減少
- 連続する3カ月の合計で前年同期比30%以上の売上減少
1カ月で前年同月比50%以上の売上減少
2020年5月から2020年12月の各月の売上を比較し、前年同月比が50%以上減少している月を選択できます。具体的な計算方法は、2020年の特定の月の売上が、2019年の同じ月の売上× 0.5よりも減少していれば、支援給付金の申請が可能です。
連続する3カ月の合計で前年同期比30%以上の売上減少
2020年5月から2020年12月の各月の売上を合計し、連続する3カ月の売上合計が30%以上減少している期間を自由に選択できます。算出方法は、2020年の連続する3カ月の売上合計が、2019年の同じ期間の3カ月の売上合計× 0.7よりも減少していれば申請が可能です。
3. 家賃の支払い義務
家賃支援給付金を受けるためには、自らの事業のために占有する土地や建物の賃料を支払っている必要があります。支援の対象となる費用は賃料・管理費・共益費ですが、光熱費や保険料は含まれません。
家賃支援給付金は、賃貸借契約を結んでいる場合に支給されるもので購入した土地や家に関わる売買契約には適用されません。給付金を受けるためには、以下の条件がすべて該当している必要があります。
- 2020年3月31日時点で有効な賃貸借契約があること
- 申請日時点で有効な賃貸借契約があること
- 申請日から直近3カ月間に賃料を支払っていること
建物を購入しローンを支払っている場合や、自分自身や親族に対して支払っている賃料は対象外です。
家賃支援給付金申請の流れとは?
家賃支援給付金の申請方法は、インターネットによるオンライン上での申請が原則です。申請する際には申請書類が必要なため漏れがないようにしましょう。
- 専用サイトでWEBからおこなう
- 家賃支援給付金事務局で確認する
- 登録口座に振り込まれる
参照:家賃支援給付金申請要領
1. 専用サイトでWEBからおこなう
家賃支援給付金の申請手続きは、専用のポータルサイトを利用してオンラインでおこないます。PCやスマホから家賃支援給付金ポータルサイトにアクセスして、メールアドレスを使用してマイページを作成します。
申請はマイページから必要な書類を添付して手続きをする流れです。
2. 家賃支援給付金事務局で確認する
マイページで申請が完了した後は、家賃支援給付金事務局で申請内容を確認します。不備がある場合には、マイページに連絡がきます。
3. 登録口座に振り込まれる
申請内容に不備がなく承認された場合は、家賃支援給付金が申請者の指定した口座に振り込まれます。
家賃支援給付金の申請に必要な書類は?
家賃支援給付金を申請する際には、本人確認書類や売上情報が確認できる書類が必要です。種類も複数あるため、事前に準備しておくことで申請がスムーズにおこなえるでしょう。
申請に必要な書類は、下記の5つです。
- 誓約書
- 売上確認のための書類
- 賃貸借に関する書類
- 給付金の振り込みに関する書類
- 本人確認に関する書類(個人事業主のみ)
参照:家賃支援給付金申請要領
1. 誓約書
申請手続きの際、申請画面上にて複数の項目に関する宣誓をおこなう必要があり、別で指定の様式による自署の誓約書も必要です。
2. 売上確認のための書類
申請の際には、売上に関する入力を求められます。売上の確認をするためには以下の書類が必要です。
- 2019年分の確定申告書別表の控え
- 法人事業概要説明書の控え
- 受信通知(e-Taxでの申請の場合のみ)
- 売上減少の期間の売上台帳
3. 賃貸借に関する書類
家賃支援給付金は、テナント家賃に関する給付金のため賃貸契約や内容を証明する書類の提出が求められます。賃貸借の証明をするためには以下の書類が必要です。
- 賃貸借契約書
- 直前3カ月の支払いを証明する書類(振込明細や領収書など)
4. 給付金の振り込みに関する書類
給付金を受け取る際に必要な口座情報の書類も必要です。法人であれば該当法人名義、代表者名義の口座が対象です。個人事業主であれば申請者本人名義の口座が対象です。
ネット銀行を利用していて紙の通帳がない場合は、電子通帳などの画像や必要な情報が表示されている画面データを画像として添付します。
- 通帳の表面(コピー)
- 通帳を開いたページ(1.2ページ目)
5. 本人確認に関する書類(個人事業主のみ)
本人確認書類の写しには、以下のいずれかの画像ファイルが必要です。
- 運転免許証(両面)
- マイナンバーカード(表面のみ)
- 写真付きの住民基本台帳カード(表面のみ)
- 在留カード、特別永住者証明書、外国人登録証明書(両面)
家賃支援給付金の支給額は?
家賃支援給付金の給付額は6カ月分が支給され、法人に最大600万円、個人事業主に最大300万円が一括支給されます。
支払い賃料によっては給付額の上限が変わる
支給される給付額は一律ではなく、法人、個人事業主それぞれ申請時の直近1カ月に支払った月額賃料に基づいて算定されます。
計算は給付率を適用しておこなわれ、給付率は月額家賃の3分の2で、企業の場合の給付額上限は50万円、個人事業主の場合は25万円です。特例措置として支払い家賃が多い事業者や経営店舗数の多い事業者には、給付上限超過額の3分の1が追加で支給されます。
最大月額は法人で100万円、個人事業主で50万円が支給されます。
支払賃料(月額) | 給付額(月額) | |
---|---|---|
法人 | 75万円以下 | 支払賃料×2/3 | 75万円超 | 50万円+(支払い賃料の75万円の超過分×1/3) ※100万円(月額)が上限 |
個人事業主 | 37.5万円以下 | 支払賃料×2/3 | 37.5万円超 | 25万円+(支払い賃料の37.5万円の超過分×1/3) ※50万円(月額)が上限 |
参照:家賃支援給付金申請要領
法人での給付金額
法人での家賃支援給付金の算出例は以下のとおりです。
(月額支払い賃料×2/3)×6
例)賃料50万円:50万×2/3×6=約200万円
(50万円+(支払い賃料の75万円を超える額×1/3))×6
例)賃料150万円:(50万+(75×1/3))×6=約450万円
個人での給付金額
個人事業主における家賃支援給付金の算出例は以下のとおりです。
(月額支払い賃料×2/3)×6
例)賃料30万円:30万×2/3×6=約120万円
(25万円+(支払い賃料の37.5万円を超える額×1/3))×6
例)賃料60万円:(25万+(22.5×1/3))×6=約195万円
家賃支援給付金のよくある質問
最後に、家賃支援給付金に関するよくある疑問をFAQ方式で以下から4つ解説します。
- 新規開業の場合は受け取れるか?
- 代理でも申請できるか?
- 引っ越しをして賃料が変わった場合は?
- 複数店舗を運営している場合は?
参照:家賃支援給付金申請要領
Q. 新規開業の場合は受け取れるか?
A. 2020年1月1日から2020年3月31日に創業・新規開業した方も家賃支援給付金は受け取れます。新規開業した場合は、売上の減少率を把握できないため2019年の月・期間の売上を基準とします。具体的には、開業日から2020年3月31日までの間の月平均の売上を申請に利用できます。
新規開業の場合、開業日を証明する書類を提出する必要もあります。具体的には、開業届、事業開始等申告書や、開業日、所在地、代表者、業種、書類提出日が記載されている書類のいずれかを選んで提出します。
2020年新規開業特例を利用する場合には、家賃支援給付金に係る収入等申立書(個人事業主等向け)も必要です。
Q. 代理でも申請できるか?
A. 申請は本人に限り、代理人名義での申請は認められていません。電子申請では身近な方や日頃手続きを相談している方に無償で支援を受けることができます。有償で申請を代行する場合は行政書士法に抵触する可能性があるため、注意が必要です。
Q. 引っ越しをして賃料が変わった場合は?
A. 2020年4月1日以降に賃料が変更された場合、給付額の算定には2020年3月31日時点で有効な賃貸借契約書に記載されている1カ月分の金額と比較します。この比較により、より低い金額が給付額の基礎となります。
引っ越しをした場合でも家賃支援給付金の対象となります。ただし、この場合は新しい賃貸借契約書と旧契約書の両方が必要となります。
Q. 複数店舗を運営している場合は?
A. 複数店舗を持つ事業者は、合算した賃料額が給付金の計算基準となります。連結納税をおこなっている親会社と子会社が1つの企業と見なされる場合、各子会社ごとに申請が可能です。
たとえば、子会社を4社連結納税している場合は、子会社Aと子会社Bは給付要件に該当しなければ申請対象外となり、C社とD社は要件を満たしている場合は子会社ごとに申請できます。
まとめ
家賃支援給付金は、新型コロナウイルス感染症による自粛で売上が減った事業者への支援金です。給付金は地代や家賃の負担を軽減し、中小企業や個人事業主にも支給され、法人では最大で600万円の支給があります。
多店舗や高額賃料を抱える事業者にとって重要な助成金であるため、家賃支援給付金の受給は、経営を維持するための重要な手段です。
『比較ビズ』では、コロナに関係する助成金・補助金・給付金などの解説記事を掲載しています。ぜひ情報源として参考にしてください。
1980年3月23日生まれ。社会保険労務士・1級FP技能士・CFP認定者。令和3年度 中小企業・小規模事業者等に対する働き方改革推進支援事業(専門家派遣事業) 派遣専門家。大学卒業後、外資系生命保険会社の営業、資格の専門学校の簿記・FPの講師、不動産会社の経営企画を経て現在に至る。
昨今の新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっていた2020年の5月から12月の売上高が一定割合以上に下がった場合に支給申請を行うことができるものとなるため、現状では、ほとんどの事業においては、申請をしていると考えられます。
持続化給付金と比べると、補助金の額が高く、申請の要件についても、要件をしっかりと満たしてしまえば支給されることになるため、申請から支給までのハードルは家賃支援給付金の方が低いとも言えます。
しかし、要件の対象期間が2020年の5〜12月となっているため、現時点で申請を行う場合は、売上のデータだけでなく、家賃等の支払いに関する契約書などの書類の準備が困難となってしまうケースも十分考えられるものとなります。
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