Accessでデータベースを構築する方法は?5つの手順や作成例を解説

株式会社GeNEE
監修者
株式会社GeNEE 代表取締役 日向野卓也
最終更新日:2024年09月13日
Accessでデータベースを構築する方法は?5つの手順や作成例を解説
この記事で解決できるお悩み
  • Accessによるデータベース構築の方法は?
  • Accessとほかのデータベース管理システムの違いは?
  • Accessによるデータベース構築の作成例は?

Microsoft社が提供する「Access」を用いると、エンジニア経験のない方でもデータベースの構築が可能です。

この記事では、Accessを活用してデータベースの構築を検討している方に向けて、基礎知識や構築手順、作成例を解説します。ほかのデータベース管理システムとの違いも解説するため、記事を読み終わった頃にはAccessの理解が深まるでしょう。

「Accessでどこまでできる?」「低コストで業務システムを作りたい」とお悩みの方はぜひ参考にしてください。

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Accessとは

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Accessは、Microsoft社が提供するリレーショナルデータベースアプリケーションです。リレーショナルデータベースアプリケーションは、企業の業務データの管理に利用されているデータベースの一種です。

Accessを活用するメリット ・ノンプログラムでデータベースを構築できる
・Microsoft Office製品として簡単
・安価に購入できる
・ExcelやCSVなどWindowsとの相性がいい
Accessを活用するデメリット ・複雑なデータベースが構築できない
・データベースのファイルサイズが2GBまでと決められている

Accessは、大量のデータを効率的に整理・管理し、必要な情報を見つけやすくします。業務システムではデータ共有が必須のため、Accessを利用することで効率的な開発が可能です。フォームやレポート作成機能も搭載しているため、データの分析や活用もスムーズに行えます。

Accessは導入コストが低く、Windowsとの連携がスムーズな点がメリットです。複雑なデータベースや複数人で利用する場合は、他のツールを検討する必要があります。

Accessとほかのデータベース管理システム(DMBS)の違い

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Accessとよく比較されるソフトやシステムは以下のとおりです。

  1. AccessとExcelの違い
  2. AccessとOracle・SQL Serverの違い

1. AccessとExcelの違い

AccessとExcelはどちらもMicrosoft社の製品ですが、得意分野が大きく異なります。Accessはデータベース管理ソフトであり、大量かつ複雑なデータの管理が強みです。Excelは表計算ソフトであり、小規模なデータ管理や分析に適しています。

主な違いは、以下の3点です。

  Access Excel
データ量 2GB以内までは行数・列数・入力文字数に制限なし ・最大約104万行
・約16384列
・最大入力文字数約3万文字
データの構造 テーブル・フォーム・レポートなどデータベースの主要な構成要素を構築 セルに自由に文字列を入力
データの管理 高度なデータ管理 簡易的なデータ管理

Accessは、データの分析や予測、顧客管理などExcelよりも多くのデータを効率的に管理したい場合に最適です。

2. AccessとOracle・SQL Serverの違い

Accessは、初心者でも使いやすい操作性と豊富な機能が特徴です。

OracleとSQL Serverは、大規模なデータ処理に特化した高機能なデータベース管理システムです。高いパフォーマンスが期待できますが、専門知識が必要となります。

AccessとOracle・SQL Serverの違いは、以下の3点です。

  Access Oracle SQL Server
操作性 簡単 難しい 難しい
データ量 2GBまで 数十GB〜数百TB 数GB〜数百TB
拡張性 ・Microsoft Power Automate
・Access Power Tools
・JET Engine
・Oracle Real Application Clusters (RAC)
・Oracle Partitioning
・Oracle Data Guard
・SQL Server Always On
・SQL Server Parallel Data Warehouse (PDW)
・SQL Server Analysis Services (SSAS)

Accessは、操作性とデータ量のバランスが優れています。小規模な業務システムを簡単に構築したい場合や、2GBまでの大規模なデータ処理に対応できる汎用性を求める場合に最適です。

Accessでデータベースを構築する5つの手順

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Accessでデータベースを構築する手順は、次の5つのとおりです。

  1. 具体的な目的・目標を決める
  2. 管理に必要なデータをピックアップする
  3. データをテーブルにまとめて属性ごとに分類する
  4. 各データの種類を決める
  5. データベースを操作するUI(ユーザーインターフェース)を作成する

1. 具体的な目的・目標を決める

Accessでデータベースを構築する際は、最初に具体的な目的や目標を決めます。自社の課題を分析し、データベースで解決したい課題を定義しましょう。具体的に決めることで無駄なコストを削減できます。

Accessを用いることで解決できる課題は、以下のとおりです。

  • 顧客情報の管理
  • 商品情報の管理
  • 案件情報の管理
  • 社員情報の管理
  • 財務情報の管理
  • 在庫管理

データベースで実現したい機能をリストアップし、優先順位をつけます。

2. 管理に必要なデータをピックアップする

目的や目標を決めた後は、管理に必要なデータをピックアップします。目的や目標に基づいて必要なデータ項目を洗い出し、データ項目ごとにデータ型や長さ、桁数などを決めます。

シートにデータを整理するだけではなく、データベースとして活用できるように「テーブル設計」を事前に行いましょう。

3. データをテーブルにまとめて属性ごとに分類する

必要なデータをピックアップし、データをテーブルにまとめて属性ごとに分類します。データを属性ごとに分類することで、データ管理が効率化されます。

データをまとめる際は、1つのテーブルに複数の属性を混在させず、属性ごとにテーブルを分割しましょう。たとえば、個人情報や給与情報などのデータ属性で分割し「社員番号」で紐付けることで、社員番号をキーにして情報が呼び出せます。

4. 各データの種類を決める

データを分類した後は、各データの種類を決めます。データの種類を正しく設定することで、データ分析や検索が効率化されます。数値型や文字型、日付型など、データの種類に応じて適切なデータ型を設定しましょう。

Accessでデータベースを構築する際は、入力データに応じて最適な種類の数値を設定する必要があります。たとえば、基本給フィールドを「金額」に指定することで、データを呼び出す際に「金額」と入力するだけで必要な情報を見つけられます。

5. データベースを操作するUI(ユーザーインターフェース)を作成する

最後は、データベースを操作するUIを作成します。UIはUser Interfaceの略で、ユーザーとコンピュータが情報をやり取りをする際に接する、機器やソフトウェアの操作画面のことです。

UI作成はノンプログラミングで直感的に実行可能ですが、配置したボタンにスクリプトを割りあてる際はVBAの知識やスキルが必要になります。

「フォーム」や「レポート」「マクロ」などを利用してUIを作成します。UIを作成することで、データベースを簡単に操作可能です。

以下の記事ではデータベース構築の流れやポイントを解説しているため、データベース構築の際にはぜひ参考にしてください。

Accessによるデータベース構築の作成例

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Accessによるデータベース構築の作成例には、下記の5つが挙げられます。

  1. 売上管理データベース
  2. 顧客管理データベース
  3. 在庫管理データベース
  4. 勤怠管理データベース
  5. 帳票作成業務データベース

1. 売上管理データベース

Accessでは売上管理データベースの構築が可能です。毎日の売上データを入力することで、売上情報が蓄積されてデータベースが完成します。過去データとの比較や現状の分析を行うことができるため、企業の業績拡大に役立つでしょう。

売上管理データベースの活用事例には下記があります。

  • 売上推移のグラフや分析レポート作成
  • 顧客別・商品別・時期別などの売上分析
  • 売上目標達成に向けた施策の検討
  • 過去の売上データに基づいた売上予測

2. 顧客管理データベース

顧客管理データベースの構築は、Accessの得意分野です。顧客の情報を管理するだけではなく、顧客との契約状況や受発注状況を紐づけて管理できます。

Accessを開くだけで、現在の顧客との状況を一目で確認することができるため、ミスの減少や時短につながるでしょう。

顧客管理データベースの活用事例には下記があります。

  • 顧客別アプローチによる営業活動の効率化
  • 顧客満足度向上のためのキャンペーン企画
  • 顧客の購買履歴に基づいた購買傾向の分析
  • 顧客満足度向上のためのCRMシステムとの連携

3. 在庫管理データベース

Accessでは、在庫管理データベースの構築ができます。変動するデータのため、Accessに代表されるデータベースソフトでの管理が一般的で、商品名、数量、出庫日などのデータを記録します。

リアルタイムで在庫状況を把握できるため、適切な受発注業務が期待できるでしょう。

在庫管理データベースの活用事例には下記があります。

  • 在庫状況のリアルタイム把握
  • 発注タイミングの最適化
  • 欠品や過剰在庫の防止
  • 複数倉庫の在庫状況を一元管理
  • 発注業務の自動化

4. 勤怠管理データベース

Accessは、勤怠管理データベースの構築に有効です。出勤・退勤の時間や休憩時間、休暇の申請などを総務が直接管理することは手間がかかります。

Accessで勤怠管理のデータベースを作成することで、各社員が自身で勤怠情報を入力することができ、勤怠状況が簡単に把握できます。

勤怠管理データベースの活用事例は下記のとおりです。

  • 勤怠情報の集計・分析
  • 労務管理の効率化
  • 残業時間の削減
  • 勤怠状況を可視化

5. 帳票作成業務データベース

Accessは、帳票作成業務データベースの構築に適しています。Accessでは、請求書や見積書、納品書などの帳票を作成する機能があり、複数枚の書式を登録・作成することが可能です。作成後は印刷やPDF化も容易に行えます。

帳票作成業務データベースの活用事例には下記があります。

  • データ連携による効率化
  • 誤入力防止
  • 正確な帳票作成
  • 帳票作成にかかる時間の削減
  • デザインの統一

Accessの知見がない場合はデータベース構築の外注も有用

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Accessの知見がない場合はデータベース構築の外注も有用です。Accessでデータベースを構築する際には、専門知識が必要となります。Accessの知見がない場合は、無理に自社で構築しようとせず、データベース構築の外注も検討することをおすすめします。

Accessによるデータベース構築を外注するメリットは下記のとおりです。

  • エンジニア不足を補える
  • 安全なデータ管理ができる
  • データ処理が楽になる
  • 帳票作成にかかる時間を削減できる
  • 理想的なデータベースを作成できる

データベース構築は、企業にとって重要な投資です。 外注を検討する際は、自社の状況に合った最適な方法を選びましょう。

Accessのデータベース構築を外注する際の費用相場

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Accessのデータベース構築を外注する際の費用相場は、下記の2種類があります。

  1. 勤怠管理データベース:70万円前後
  2. 経理管理データベース:300万円〜

1. 勤怠管理データベース:70万円前後

勤怠情報の管理中心のデータベースを外注する場合、約1カ月の開発期間で70万円前後の費用がかかります。開発費用はデータベースの複雑さにより変動します。

機能 勤務時間・休暇・残業時間などを管理
開発費用 70万円前後
開発期間 1カ月程度

開発費用を左右する要素は、以下のとおりです。

  • データベースを構成するテーブル数
  • データベースに搭載する機能
  • 管理するデータ量
  • 開発期間
  • 外注先の専門知識や経験(スキル)

2. 経理管理データベース:300万円〜

中小企業向けの経理システム構築を外注する場合、約4カ月の開発期間で300万円以上の費用がかかります。経理業務の複雑さに応じて、開発費用が異なるためです。

機能 経費・入出金・請求書などを管理
開発費用 300万円〜
開発期間 4カ月程度

シンプルなデータベースの場合は数十万円で構築が可能です。複雑なデータベースや大規模なデータ量を扱う場合は、数百万円から数千万円の費用がかかります。

以下の記事では、開発規模や開発工程別に詳細な費用相場を解説しているため、予算の参考にしてください。

Accessによるデータベース構築の外注先を選定するポイント

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Accessによるデータベース構築の外注先を選定するポイントは、次の3つがあります。

  1. Accessを用いた開発実績を確認する
  2. アフターサポートの充実度を確認する
  3. 複数のシステム開発会社を比較する

1. Accessを用いた開発実績を確認する

外注先を選ぶポイントの1つは、Accessを用いた開発実績を確認することが挙げられます。Accessを利用したシステム開発実績がある企業を選ぶことで、開発や運用のイメージがしやすくなり、依頼がスムーズに進むでしょう。

開発実績で確認すべき項目は下記の3つが挙げられます。

業種 自社の業種と近い実績がある会社を選ぶ
機能 自社のニーズに合致する機能の実績がある会社を選ぶ
運用 導入後の運用までサポートしてくれる会社を選ぶ

自社の業務形態ではAccessを用いたデータベースが構築できない場合は、Access開発実績のある企業を優先的に検討しましょう。

2. アフターサポートの充実度を確認する

外注先を選ぶ際には、アフターサポートの充実度を確認しましょう。データベースはシステムの構築だけではなく、システム導入後のサポートが重要です。導入後の運用やトラブル時の対応が円滑かつ迅速に行われるかどうかを確認しましょう。

確認すべきアフターサポートの種類には下記があります。

ヘルプデスク 電話やメールで質問を受け付けてくれる体制があるか確認する
保守サービス システムのバージョンアップやトラブル対応をしてくれるか確認する
セキュリティ対策 データ流出のリスク管理が対策されているか確認する

セキュリティに不安があるシステムを導入した場合、データが流出した際に企業としての信用を落とす可能性があります。セキュリティ対策やデータ流出のリスク管理を検討しましょう。

3. 複数のシステム開発会社を比較する

外注する際には、複数のシステム開発会社を比較することが重要です。複数の企業を比較することで、自社に最適な外注先を見つけられます。

システム開発会社を比較する際の項目は下記のとおりです。

見積もり 複数の会社から見積もりを取ることで費用相場を知ることができる
サービス内容 各社のサービス内容を比較することで自社のニーズに合致するサービスを見つけられる
費用 各社の費用を比較することで、予算内に収まる会社を見つけやすくなる

業種やサービス内容、費用などを総合的に比較し、企業選定を行いましょう。比較の手間を省くために、マッチングサイトの活用もおすすめです。

まとめ

「Access」を用いることで、エンジニア経験のない方でもデータベースの構築が可能です。複雑なデータ検索を作成するにはVBAや、リレーショナルデータベースに対する理解が必要です。知識やノウハウに不安がある場合は開発会社へ依頼することをおすすめします。

費用対効果やクオリティの高いデータベースの構築を求める場合、自社に合ったシステム開発会社に依頼することが重要です。

「比較ビズ」では、必要事項を入力すると2分程度で、目的や用途にあわせたITベンダーやシステム開発会社をスピーディーに探せます。ぜひ利用してみてください。

監修者のコメント
株式会社GeNEE
代表取締役 日向野卓也

東京工業大学環境・社会理工学院卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。MBA(経営学修士)取得。国内最大手SIerの株式会社NTTデータで大手法人領域(大手流通企業、大手小売企業)の事業開発、事業企画等の業務に従事。米国スタンフォード大学への研修留学を経て、システム/モバイルアプリ開発会社の株式会社GeNEEを創業。

Excelはデータ集計に強みを持つ一方、検索にはあまり強くありません。他方、DB(データベース)を活用するAccessは検索に強く、「データを手軽に検索したい。」、「検索したデータをさらに加工して使用したい。」といった要望がある場合、Accessの導入を検討してみて良いかもしれません。

Accessは一般的なユーザーが利用するMicrosoft Office製品のうちの一つなので、エンジニアでなくてもアプリケーション作成が可能なように作られています。テーブルが一つもしくは二つ程度のExcelでも用が足りる小さなデータ整理ができるアプリケーションの作成から始め、少しずつ機能追加しながらAccessのアプリケーション作成を学んでいくのも一つの選択肢です。

一方で、細かい画面制御や複雑なデータ検索を作成するにはVBAを駆使する必要や、リレーショナルデータベースに対する理解が必要になります。本記事の通り、具体的な目標を定めて目標への到達が難しい場合は開発会社に外注することを検討した方が良いでしょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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