物流コストが上昇している原因とは?コストの内訳や削減させるポイントを徹底解説

イノーブレック
監修者
イノーブレック 代表 松岡 さちこ
最終更新日:2024年04月19日
物流コストが上昇している原因とは?コストの内訳や削減させるポイントを徹底解説
この記事で解決できるお悩み
  • 物流コストが上昇している原因とは?
  • 物流業界の2024年問題とは?
  • 物流コストを削減させるポイントとは?

近年、物流コストが上昇を続けており配送業務を伴う企業の経営に大きな影響を与えています。ガソリン価格や人件費の高騰による物流コスト上昇の原因を把握し、コスト削減に向けた対策に取り組みましょう。

当記事では、配送業務を伴うビジネスを行っている企業の担当者に向けて、物流コスト上昇の原因を解説します。記事を読み終わった頃には、物流コスト上昇の原因を把握でき、自社に適した対策案を検討できるでしょう。

物流の2024年問題や物流コストを削減させるポイントも解説しているため、ぜひ参考にしてください。

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物流コストの推移状況

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全国的な売上高における物流コストの推移状況を解説します。

日本ロジスティクスシステム協会の調査によると、2023年度の売上高物流コスト比率は5.0%となり、前年度から0.31ポイント減少しています。物流単価は上昇していますが、それ以上に物流量が増加して売上高が伸びていることがわかります。

2021年度の売上高物流コスト比率の調査では、過去20年間で1番高い5.7%となりました。仕入価格・製造原価・販売管理費の上昇から、商品単価が上昇している状況が要因です。物流業者からの値上げ要請は80%以上の企業が受けており、長期的に上昇傾向にあると考えられます。

物流コストが上昇している3つの原因

物流コストが上昇している原因は、以下の3つです。

  1. 燃料の価格が上昇している
  2. 人件費が高騰している
  3. 需要が急増している

物流に必要な燃料や人件費が高騰すると、収益を維持するために物流コストが上昇する原因になるでしょう。

1. 燃料の価格が上昇している

物流に必要な石油やガソリンなどの燃料価格の上昇が物流コストに影響を与えます。新電力ネットが発表しているガソリン価格の推移によると、2024年2月時点で前年比5%から7%の推移でガソリン価格が上昇しています。

ロシア・ウクライナ問題による世界的な政治の不安定さや原油供給の減少などの要因も燃料価格の上昇につながっているでしょう。

2. 人件費が高騰している

物流業界では、ドライバー不足による人材確保の難しさが人件費の高騰につながっています。

長時間労働や低賃金などのマイナスイメージが若者の物流業界への興味を減少させていると考えられるでしょう。物流企業は賃金の増加や福利厚生の改善に対応しなければならず、この対応に伴い物流コストが増加しています。

3. 需要が急増している

物流コストが上昇している原因には、ネットショッピングの利用増加による需要の急増があります。コロナ禍による外出制限や都市封鎖により、ネットショッピングを新たに利用するユーザーが増えたことも要因でしょう。

需要の急増に対して供給が追いつかない状況が起こり、追加費用が発生するため物流コストが上昇します。たとえば追加コストには、運送手段の新たな手配や倉庫スペースの確保、労働者の新規採用や残業代が考えられます。

物流業界の2024年問題|ドライバー不足

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2024年問題とは、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって起こる問題です。

物流業界では、ドライバーの残業過多による過重労働が問題視されていました。時間外労働時間が制限されるため、ドライバー1人の業務量は減少し、コストが上昇する構造になると予想されます。

物流コストの内訳

物流コストは、以下の5つの内訳にわけられます。自社のコストを見直す際には、それぞれのコストを算出して比較してみましょう。

運送費用 商品を輸送する費用です。車両・船舶・航空機などの利用費用や燃料費・メンテナンス費用・運送業者へのコストを含みます。
保管費用 商品を保管するために倉庫を利用する費用です。倉庫の利用料・倉庫作業の人件費・商品の保険料などを含みます。
在庫コスト 商品を在庫として保管する費用です。保管費用とは違い、保管中の商品の減価償却費や在庫の購入費用などが対象です。
包装費用 商品を包装する費用です。包装材料の費用や包装作業をする人件費を含みます。
情報処理費用 物流プロセスで利用するシステム費用です。商品の追跡や消費者との連絡システム・情報システムの保守費用を含みます。

物流コストを削減する4つのポイント

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物流コストを削減するポイントは、以下の4つです。

  • 梱包を見直す
  • 運送会社の料金を見直す
  • チャーター便を利用する
  • アウトソーシングを利用する

運送会社の提示された料金が当たり前と考えず、企業の業績にあわせて価格交渉に取り組みましょう。

梱包を見直す

物流コストの割合は、実際に車両を使って運搬する輸送費が大きな割合を占めますが、物流施設内での梱包作業にかかるコストも無視できません。

梱包作業は、販売する商品の量に比例して増加する作業です。封筒・ダンボール・テープ・緩衝材など1つひとつのコストは微々たるものですが、数が数百、数千と増えるにつれ非常に大きなコストになります。

商品保護のために頑丈な梱包対応は大切ですが、簡易な梱包で済ませられないか見直してみましょう。

運送会社の料金を見直す

運送会社からの値上げ要請には応じざるを得ない企業が多くあります。いつも利用しているサービス内容を見直すことで少しでもコストを抑えられる可能性があります。

たとえば、これまで基本料金で利用していた場合は、大口の契約によって割引ができないかサービスを見直してみましょう。同じ宛先に毎月決まった量を送るケースの場合、割引に応じてくれる運送会社もあります。

チャーター便を利用する

通常の運送方法では、特定地域宛ての場合、複数の依頼主の荷物をまとめて運ぶ混載便を利用しています。同じ宛先に大量の荷物を送る場合は、混載便ではなくチャーター便の利用を検討してみましょう。

アウトソーシングを利用する

自社内でコスト削減や効率化に苦労している企業は、アウトソーシングの活用を検討しましょう。

外部に丸投げできる業務ができると、自社の人材をより重要な業務に集中させられます。物流業務のノウハウを失わないように、部分的なアウトソーシングはコスト削減につながるでしょう。

まとめ

物流コストの上昇は、燃料価格と人件費の高騰・ネットショッピングを活用した需要の急増などが原因です。2024年問題では、ドライバー不足により物流業界に更なるコスト上昇の懸念があるため企業は対策に追われています。物流コストを削減するためには、無駄な梱包の見直しや運送会社とのサービス体系交渉などが重要でしょう。

「比較ビズ」では、物流コスト削減の実績があるアウトソーシング企業を簡単に探せるため、比較して相談できます。物流コストに悩みや課題がある担当者は、ぜひ検討してください。

監修者のコメント
イノーブレック
代表 松岡 さちこ

2015年まで物流会社の役員・運行管理を経験。現在は全国組織の物流会社、車両を多く所有する製造業の輸送部門など「物流コスト改善・安全管理」等、コンサルティングを中心に活動している。

物流コスト上昇の原因のひとつに、深刻なドライバー不足があります。運送会社・自社物流、共に求人を出しても全く反応がない会社も多いです。

人件費、燃料代、求人広告費、人材派遣会社に支払う経費等全てが増えているため運賃は高騰しています。これからも荷主に対して値上げ要請は続くと思われます。

このままドライバー不足が続くと、最悪の場合は物流が破壊してしまいます。運送会社の倒産増加など既に影響がでてきています。

コスト削減のための具体的対策を実行して、
【調達⇨プレス⇨加工⇨組立⇨輸送⇨在庫⇨販売⇨顧客】
サプライチェーン全体を管理できる物流スタッフを育成しましょう。

将来的なリスクを考慮してバランスよく自社物流を構築して、物流コスト削減する方法もあります。キーワードは「本業は競争、物流は協業」です。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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