システム開発の流れや種類とは?プロセスを成功へ導くポイントも紹介

株式会社CHEAT
監修者
株式会社CHEAT セールスマネージャー 北居洋平
最終更新日:2024年05月07日
システム開発の流れや種類とは?プロセスを成功へ導くポイントも紹介
この記事で解決できるお悩み
  • システム開発プロセスの流れとは?
  • システム開発プロセスの種類とは?
  • システム開発プロセスを成功へ導くポイントとは?

システム開発のプロセスは要件定義や基本設計、テストなど、さまざまな工程を踏みます。各工程をスムーズに進めるには、どのような点に注意すべきでしょうか。

この記事では、システム開発プロセスの流れや種類、プロセスを成功へ導くポイントなどについて解説します。最後まで読むと、種類ごとのメリット・デメリットがわかり、最適な開発プロセスを選べるようになるでしょう。

新しいシステムの導入を検討している方、システム開発の依頼を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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システム開発プロセスの流れ

引用:pixabay

システム開発のプロセスは以下の手順に沿って進めていきます。

  1. 要件定義
  2. 基本設計
  3. 詳細設計
  4. プログラミング
  5. テスト
  6. リリース
  7. 運用・保守

システム開発プロセスのなかでもっとも重要な工程は要件定義です。自社の要望を外注先へ正確に伝えられないと、修正工数が増大し、追加費用の発生や納期遅延を招く確率が高まります。

最悪の場合は意図と異なるシステムが完成するため、時間をかけて外注先とコミュニケーションを取りましょう。

1. 要件定義

要件定義とは、ユーザーからの要望を開発側の視点で取りまとめる工程です。ヒアリングで聞き取った内容は要件定義書にまとめられ、設計やプログラミングは要件定義書に沿って進められます。要件定義での主な決定事項を以下の表にまとめました。

  概要 主な決定事項
機能要件 実装予定の機能やユーザーインターフェースに関する内容 ・検索
・データ分析
・操作画面
・操作方法
・票の出力形式
非機能要件 実装する機能以外で決めておくべき内容 ・パフォーマンス
・拡張性
・保守性
技術要件 どのような技術を活用し、開発を進めるかを提示 ・プラットフォーム
・フレームワーク
・プログラミング言語
インフラ要件 ・システムの継続的な安定稼働を実現
・利便性と安全性の両立が必要
・サーバー
・データベース
・ネットワーク機器
・SSL証明書
セキュリティ要件 ・情報漏えいのリスクを最小化
・顧客や取引先へ安心感を付与
・サイバー攻撃やマルウェア感染への防御対策
・機密情報の保護体制
・使用予定のセキュリティツール
その他要件 要件定義以降の開発プロセスに関する計画 ・スケジュール
・予算
・人員
・開発場所
・テスト環境

要件定義は、ユーザーが積極的に関与できる貴重な工程です。システムの完成度に大きく影響をおよぼすため、十分に時間をかけて仕様を固めましょう。

2. 基本設計

基本設計とは、要件定義書の内容をもとに実装予定の機能や操作画面に関して決定する工程です。操作しやすいか、操作画面が見やすいかなど、ユーザビリティを重視して設計を進めます。

他にもシステム全体の構成やハードウェアの設計などを決め、設計が終わると各種文書としてまとめられる流れです。基本設計で提出される主な文書を以下にまとめました。

  • 基本設計書
  • システム構成図
  • 機能一覧表
  • 画面設計図
  • 帳票設計図

ユーザーが内容を理解できるよう、専門用語の記載は極力排除されています。

3. 詳細設計

詳細設計とは基本設計書の内容をもとに、システム内部の構造や仕様に関して決めていく工程です。基本設計はユーザー向け、詳細設計は開発に携わるエンジニア向けの内容となります。詳細設計で作成する主な文書を以下にまとめました。

  • クラス図
  • シーケンス図
  • データベース設計書
  • 画面設計書
  • モジュール構造図
  • バッチ処理設計書
  • テスト設計書

機能の実装手順やデータ処理の流れなど、プログラムに関する内容がメインとなるため、作成した文書はテスト提出されません。

4. プログラミング

詳細設計書をもとに、プログラミング言語を使ってソースコードを作成します。プログラミング言語は開発者のスキルや開発対象によって、使い分けるのが一般的です。JavaやPHP、Pythonなど、複数の開発言語を使って開発を進めます。

5. テスト

開発したシステムを実際に運用するまでには、単体テスト〜運用テストまで、4段階のテストを実施します。各テストの内容を以下にまとめました。

  概要
単体テスト ・作成したプログラムが仕様どおりに動くかを確認
・機能単位で動作を確認
結合テスト ・複数の機能を組み合わせて、不具合が起きないかを確認
・インターフェースの乱れやシステム全体の連携も確認
総合テスト ・システム全体が問題なく動くかを確認
・データ処理の速さや大量アクセスへの耐久性も確認
運用テスト ・本番環境を想定し、システムが仕様どおりに動くかを確認
・トラブルや不具合が発生した場合の対応も想定

入念にテストをおこなう目的は、システムの安定稼働を実現するためです。テストが不十分ではバグを十分に除去できず、リリース後に不具合が発生する確率が高まります。利益損失の機会を最小化するためにも、テスト工数の削減を求めるのは避けましょう。

6. リリース

テスト結果に問題がなければ、システムの運用開始に向けた準備に移ります。既存システムがある場合、新しいシステムへのデータ移行が必要です。システムの種類によっては停止期間が長いほど、利益損失の額が大きくなります。

想定外のトラブルや不具合に見舞われることも珍しくありません。リスクを避けるため、旧システムと新システムを一定期間併用し、徐々に新システムへ切り替えていく順次移行を採用するケースも多いです。

社員が新システムの操作にすぐ適応できるよう、マニュアルの作成や研修会開催など、サポートを依頼しましょう。

7. 運用・保守

システムは完成して終わりではありません。安定稼働を実現するには、定期的なメンテナンスやアップデートが必要です。運用を開始した後、新たな課題や不具合が見つかるケースもあります。

システム開発会社の担当者と定期的に商談し、現状を共有することが重要です。どのような問題を抱えているかわかると早期に対処でき、不具合や機能不全に陥るリスクを最小化できます。

システム開発プロセスの種類

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上記で述べたシステム開発のプロセスは一般的な流れです。システムの開発規模やユーザーの希望納期、開発手法によっては、プロセスが変わることも珍しくありません。システム開発の手法は以下4種類に分類できます。

  • ウォーターフォール型
  • アジャイル型
  • プロトタイプ型
  • スパイラル型

各タイプの特徴をみていきましょう。

ウォーターフォール型

ウォーターフォール型は、システム開発の各プロセスを1つひとつ順番に進めていく開発手法です。

1つの工程が完全に終わらない限り次の作業に進まないため、進捗状況の可視化やスケジュール管理がしやすくなります。ユーザーがシステム開発の知識に乏しかったとしても、作業の流れや現在の進捗状況をイメージできるでしょう。

反面、工程の手戻りは想定しておらず、開発途中での仕様変更へは柔軟に対応できません。仮に仕様変更が必要になった場合は大幅な修正が必要となり、追加費用や納期遅れが生じる可能性が高まります。ある程度仕様が固まっているシステムの開発に適した手法といえるでしょう。

アジャイル型

アジャイル型は要件定義〜リリースまで、システム開発のプロセスを機能単位で進めていく開発手法です。一連のプロセスはイテレーションと呼ばれ、リリースまでの期間は1週間〜4週間に設定します。

開発途中での仕様変更を前提としており、要件定義では細部まで仕様は詰めません。機能単位で開発を進めていくため、手戻りの工数を抑えつつ開発のスピードアップを図れます。

反面、開発の全体像がブレやすく、進捗状況の把握や工数管理が難しくなる点がデメリットです。スマートフォンアプリやゲームアプリなど、開発のスピードと対応力を重視する案件に適しています。

プロトタイプ型

プロトタイプ型とは開発の初期段階から試作品(プロトタイプ)を作り、仕様を固めていく開発手法です。動作検証やユーザーからのフィードバックをもとに、改善点の抽出や試作品の改良に取り組みます。

プロトタイプ型は試作品の動作検証を通じてシステムの完成度を高めていくため、要件定義では細部まで仕様を詰めません。プロセスの途中で仕様変更が発生しても、柔軟な対応が可能です。

開発の初期段階からシステム完成後のイメージを描けるため、ユーザーと認識のズレが発生する可能性も低いでしょう。反面、試作品の作成回数が増えると、開発費の高騰や開発期間の長期化を招きます。

スパイラル型

スパイラル型は要件定義〜リリースまで、システム開発のプロセスを機能単位に分け、優先度の高い機能から開発を進めていく手法です。

プロトタイプ型と同様、開発の初期段階から試作品の動作検証を繰り返し、システムの完成度を高めます。プロトタイプ型と異なり、機能単位で開発を進めていくため、試作品には必要最低限の機能しか搭載されていません。

ユーザーから仕様変更や機能追加の要望があったとしても、柔軟に要望を取り入れられます。試作品の動作検証と改良を繰り返しシステムの仕様を固めていくため、手戻りを最小化できる点も魅力です。

反面、全体のスケジュール管理がしづらく、開発期間が長期化しやすい傾向にあります。

開発プロセスを立てる目的

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システム開発の際、開発担当者やユーザーに開発プロセスを提示する目的は以下3つの理由からです。

  • 開発担当者の認識を統一する
  • 開発の効率性とシステムの完成度を高める
  • ユーザーと共通認識を持つ

目的の内容をみていきましょう。

開発担当者の認識を統一する

システム開発は複数の担当者同士が協力し、各プロセスを進めていくのが一般的です。ザーの求める機能や品質基準を開発チーム内で共有できていないと、ユーザーが満足するシステムを提供できません。

担当者同士が共通認識を持ち、目的の達成に向けて任された作業へ取り組むためにも、開発プロセスが必要です。

開発の効率性とシステムの完成度を高める

開発プロセスを作成する理由に、完成度の高いシステムを希望納期に納品する目的も挙げられます。プロセスが明確に提示されていないと、いつまでにどの作業を終えるべきか、わかりません。

リリースまでにどの程度テストを重ねられるかもわからず、バグや欠陥を十分に取り除けないでしょう。プロセスごとに期限や優先順位が明示されていると、担当者が迷わずに作業を進められます。

開発手法にプロトタイプ開発やアジャイル開発などを選択すると、仕様変更があっても柔軟な対応が可能です。

ユーザーと共通認識を持つ

開発プロセスの流れや各工程の作業内容をユーザーに示しておくと、安心感を与えられます。開発プロセスの提示によって、現在の進捗状況やどのような作業に取り組んでいるのか、ユーザーがすぐ理解できるためです。

仮に予定より作業が遅れたとしても、遅れた原因がわかっていれば、不安を与える心配もないでしょう。開発プロセスを提示しておくと、開発着手後にユーザーとコミュニケーションが取りやすくなる効果も見込めます。

システム開発プロセスを成功へ導く4つのポイント

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システム開発を外注先に依頼する場合、以下4つの点を意識することが重要です。

  1. 外注先の得意分野を確認する
  2. RFPを作成する
  3. 要件定義に時間をかける
  4. 相性のいい担当者を選ぶ

作成したRFPは複数の会社に提出しましょう。1社に絞って提出した場合、開発費の相場や提案力を正確に見極められません。ミスマッチを避けるには、複数のシステム開発会社へRFPを提出し、見積を取得することが重要です。

外注先の得意分野を調べる際は、ビジネスマッチングの活用を検討してみましょう。ビジネスマッチングとは「発注先を探している企業」と「新規顧客を探している企業」を結び付けるサイトです。

「比較ビズ」を利用すると、約1,000社のなかから条件を満たした企業を見つけられます。得意分野や対応可能な業務など、各社の特徴がコンパクトにまとめられている点も魅力です。

ポイント1. 外注先の得意分野を確認する

自社が開発を予定しているシステムを得意としているか、事前に確認が必要です。基幹システムや受発注管理システム、予約管理システムなど、システム開発会社によって得意分野は異なります。

ユーザビリティに優れたシステムを開発するためにも、導入実績や得意分野を確認しておきましょう。導入事例がホームページで非公開の場合、見積依頼や商談の際に問い合わせます。

ポイント2. RFPを作成する

RFP(Request for Proposal)とは自社の要望をまとめた提案依頼書です。システムやアプリ開発の際、発注側から受注側へ提出します。RFPに記載する主な内容をまとめました。

  • システム開発に至った経緯
  • 現状の課題
  • 予算
  • 希望納期
  • 求める品質
  • 現行のハードウェアやソフトウェア

RFPを作成するメリットは、自社の要望を正確に伝えられる点です。システム開発の要望を書面に残せるため、認識のズレにともなう修正工数の増大を防げます。

RFPの完成度が高まるほど、外注先からの提案レベルや見積金額の正確性が高まる点も魅力です。複数のシステム開発会社へRFPを提出すると、各社の提案力や開発費を比較したうえで、外注先を決められます。

ポイント3. 要件定義に時間をかける

要件定義では外注先の担当者と納得いくまで話し合いをしましょう。要件定義でシステム完成のイメージを外注先と共有できていないと、追加費用や納期遅延を招く可能性が高まります。

最悪の場合は自社の意図と異なるシステムが完成し、開発前の課題も解決できません。多額の開発費が無駄になり、社員のモチベーションも下がるでしょう。

外注先と共通の認識を持つには、要件定義に十分な時間をかけることが重要です。外注先から提出された要件定義書の内容に納得できた段階で、本格的な開発に着手します。

ポイント4. 相性のいい担当者を選ぶ

コミュニケーションが取りやすい担当者を選ぶことが重要です。担当者と情報共有や意見交換がしやすいと、システム開発のプロセスをスムーズに進められます。運用後にトラブルが発生しても、早期解決が望めるでしょう。

システム開発は専門用語が多数登場するため、わかりやすい言葉で解説してくれるかどうかが、1つの判断基準です。問い合わせに対する対応の速さやていねいさなども、評価基準になります。

開発費の説明が曖昧な方、専門用語を多用する方はトラブルに発展するケースが高いため、開発を依頼するのは避けましょう。

まとめ

今回の記事では以下の4点に関して述べてきました。

  • システム開発プロセスの流れ
  • システム開発プロセスの種類
  • システム開発プロセスを立てる目的
  • システム開発プロセスを成功へ導くポイント

システム開発プロセスの成功には、RFPの作成や担当者との相性確認など、さまざまな点に気を配らなければなりません。開発予定のシステムを得意としているか、導入事例や実績を確認することも必要です。

ただし、既存業務を回すのに精一杯の企業もあるでしょう。社内リソースに不安を抱えている場合は、ビジネスマッチングを使って外注先を探すのがおすすめです。

「比較ビズ」を利用すると、必要事項を入力する2分程度で条件に合った企業を探し出せます。無料で資料請求や見積依頼ができる点も魅力です。外注先を探している方はぜひ利用してみてください。

監修者のコメント
株式会社CHEAT
セールスマネージャー 北居洋平

株式会社CHEATのセールスマネージャー。高校・大学在学中にIT系の資格を取り、卒業後は関東へ渡り某財閥系データセンタで勤務。大震災を経験後、地元へ避難しマルチメディア系電設会社で官公庁むけシステム開発(ハード・ソフト)の営業を経て現在に至る。IT業界の幅広い分野の知識を武器にクライアントの課題をワンストップで解決。相談可能な分野はWeb制作・アプリ開発・Webシステム開発・AR・VRなど多岐にわたる。

プログラムは文字で作ります。お客様に見ながら評価してただくには、文字だったプログラムを目に見える形にする作業(コーディング)や展開(デプロイ)が必要です。このコーディングやデプロイにもそれなりの工数がかかります。

どのプロセスセットも大なり小なり「設計・開発・テスト」を含みます。これをどの程度の大きさで行うのか、途中で戻れるようにしておくのか、最後まで作りきってから修正するのかの違い程度でしかありません。

しかし、価格面では大きく異なってきます。問題が何もなければ、間にテスト工程を挟まず全部を一気に最後まで作り切り、まとめてテストを行うウォーターフォール型が一番安価です。

プロトタイプは小規模構成で作成し、バージョンアップで機能を追加していく方式ですが、都度コーディングやデプロイの作業が間に入るため、工数が多くなります。スパイラルも同じで、完成までに何度も繰り返すので、工数はかなり多くなります。

ちょうどハンバーガーに例えるとわかりやすいですね。始まりと終わりをバンズに例え、中の具を設計・開発・テストとすると、ひとつの大きなハンバーガーがウォーターフォール、小さなハンバーガーがいくつも並べられているのがプロトタイプ、小さなハンバーガーが食べる度ボリュームアップしながらわんこそばのように何度も出てくるのがスパイラルです。

開発手法は一旦スタートしてしまうと戻ることができないものなので、制作するシステムの開発難度と予算によって、どの方式を採用するかは開発会社と相談し、しっかりと決めていきましょう。開発会社はしっかりと根拠をもってどの手法を選ぶべきか、教えてくれるはずです。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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