レベニューシェアとは?利益分配比率の相場と成功事例3選を詳しく解説

株式会社シャイオス
監修者
株式会社シャイオス 代表取締役 鄭 光錫(テイ コウシャク)
最終更新日:2023年06月22日
レベニューシェアとは?利益分配比率の相場と成功事例3選を詳しく解説
この記事で解決できるお悩み
  • レベニューシェアとは?
  • レベニューシェアのメリットやデメリットは何?
  • レベニューシェアの成功事例は?

レベニューシェアとは、契約に基づく比率で利益を分配する契約形態です。メリットはクライアントとベンダーの双方にビジネスチャンスがあること、デメリットは事業継続できなければ利益が薄いことです。

この記事では、レベニューシェアを検討している方向けに、レベニューシェアの仕組みや利益分配比率の相場、成功事例を解説しています。記事を読み終わった頃には、失敗しないポイントを理解でき、継続的なノウハウが得られます。

「そもそもレベニューシェアって何?」「レベニューシェアを成功させたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

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レベニューシェアとは

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レベニューシェアとは契約に基づき利益を分配する契約形態です。下記の2つの観点から詳しく見ていきましょう。

  • ビジネスの契約形態の1つ
  • レベニューシェアの仕組み

1. ビジネスの契約形態の1つ

レベニューシェアとは「収益の分配を契約に基づき行うことで、双方が有利な形でビジネスを行う」形態です。成果報酬型であるレベニューシェアは、収益が増加することで受け取る報酬も増加します。

レベニューシェアは、新しいビジネスモデルとして取り入れられています。最近では、小規模なビジネスから大企業まで、幅広く採用されている契約形態です。

プロフィットシェアとの違い

プロフィットシェアとレベニューシェアの違いは、下記のとおりです。

レベニューシェアプロフィットシェア
定義事業で得た売上をあらかじめ決めた配分率に応じて分配する収益モデル売上から諸経費を引いた利益をあらかじめ決めた配分率に応じて分配する収益モデル
分配対象売上高利益
契約期間短期から中期が一般的中期から長期が一般的
業界の利用インターネット広告やSaaSサービスなどコンサルティングや不動産仲介など
リスク分担リスクを負うのは発注側リスクを負うのは受注側
利点発注側は初期費用を抑えられる 受注側は高い報酬を得られる可能性がある発注側は初期費用を抑えられる 受注側は高い報酬を得られる可能性がある

レベニューシェアとプロフィットシェアの共通点は、収益の一部を分配する契約であることです。相違点は分配対象が売上高か利益か、契約期間や業界の利用、リスク分担です。契約が自分のビジネスに適しているかを慎重に検討しましょう。

2. レベニューシェアの仕組み

レベニューシェアは、ベンダー側が無償、もしくは安価で業務を請け負う仕組みです。活用例として多いものは、Webサイトの作成やアプリの開発、システム開発です。

クライアント側は、作成されたECサイト制作サイトの活用により発生した収益をベンダー側に報酬として支払います。報酬は、クライアントとベンダーで締結した契約内容に基づき支払われます。

レベニューシェアの5つのメリット

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レベニューシェアは、クライアント側とベンダー側の双方にメリットがあります。代表的なものは、下記の5つです。

  • クライアント側は初期投資を抑えられる
  • ベンダー側はビジネスチャンスにつながる
  • 目標を共有できる
  • 継続的にノウハウを得られる
  • 開発技法と相性がいいサービスを開発できる

1. クライアント側は初期投資を抑えられる

レベニューシェア契約では、クライアント側は初期投資を抑え、ビジネス開始時のリスクを軽減できます。

自社アプリケーション開発のために開発会社とレベニューシェア契約を結ぶと、初期のアプリケーション開発費用を抑えられます。アプリケーションが成功した場合、開発会社に一定の収益を支払わなければなりません。

2. ベンダー側はビジネスチャンスにつながる

レベニューシェア契約では、開発した成果物により収益が発生した場合、ベンダー側のビジネスチャンスにつながります。ベンダー側はクライアント企業のビジネスモデルを理解し、協力することが求められます。

企業が成長するために必要なプログラミングの知識や経験を持つ技術者がいない場合、リソースの提供者であるベンダーとの協力が必要です。保守も請け負うことで、継続的に収入が得られます。

IT業界における「リソース」とは

パソコンやサーバー、CPU・メモリをはじめとする構成要素の性能・容量や開発プロジェクトの人的資源や予算があてはまります。

3. 目標を共有できる

レベニューシェア契約では、クライアント側とベンダー側は共通の目標を設定することで、プロジェクトの進捗状況や成果物の品質を確認し、適宜改善できます。

ベンダー側は、自社の技術力をやサービス提供力を発揮し、クライアント側は自社のビジネス拡大が図れます。

4. 継続的にノウハウを得られる

長期的な関係を築くことで、クライアント側はベンダー側のビジネスに関する深い理解を得られます。ビジネスに必要なノウハウを継続的に蓄積し、改善が可能です。

顧客がサービス提供者に対して支払う金額が増加するにつれて、提供するサービスの品質の維持と改善ができます。継続的なサービスの改善を行う過程で得たノウハウは、クライアント側とベンダー側の双方に活用できます。

5. 開発技法と相性がいいサービスを開発できる

開発技法との相性がいいサービスを開発するために、レベニューシェア契約は有効な契約形態です。

クライアント企業のビジネスにあわせた開発技法を採用しECサイトやアプリケーションを開発できます。クライアント側が自社の技術が使えることは、効率的にサービスが適用できることにつながります。

レベニューシェアの5つのデメリット

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レベニューシェアには、いくつかのデメリットがあります。下記に挙げる5つが代表的です。

  • クライアント側はシステムの使用ができなくなる
  • ベンダー側はコスト倒れのリスクがある
  • 意思決定のスピードが遅くなる
  • 事業を継続できなければ利益が薄い
  • 信頼関係の維持が必要

1. クライアント側はシステムの使用ができなくなる

レベニューシェアでは、システムの使用が継続的に必要です。クライアント側は、ベンダー側に開発費用を支払うことでシステムの使用権が得られます。

クライアント側が支払いをしなければ、ベンダー側は使用権の取り消しが可能です。そのため、クライアント側は開発費用を支払う必要があります。

2. ベンダー側はコスト倒れのリスクがある

レベニューシェアでは、クライアント側が負担するコストの増加があります。コストが予算を上回る場合、ベンダー側が差額の費用を負担します。初期投資費用やシステム開発費用が高額な場合、クライアント側のリスクも高まります。

コスト増加により、クライアント側が赤字に陥る「コスト倒れ」のリスクがあるため、注意が必要です。

3. 意思決定のスピードが遅くなる

レベニューシェアでは、双方が利益を得るために、合意形成や決定プロセスに時間がかかります。

顧客ニーズや利益の確認が必要な際、意思決定のスピードが遅くなる可能性があります。意思決定のスピードは、ビジネスの進捗に影響が出るため注意しましょう。

4. 事業を継続できなければ利益が薄い

事業を継続できない場合、クライアント側の利益が薄くなります。レベニューシェアでは、一時的な利益だけではなく、長期的なビジネスの安定性を求める必要があります。

事業の持続性を考慮したうえで、レベニューシェアの導入を検討することで事業の継続につながるでしょう。

5. 信頼関係の維持が必要

レベニューシェアは、信頼関係が維持できなければシステムが使用できなくなります。長期的にシステムを使用する際には、システムの使用権が必要であるためです。

信頼関係を維持するためには、パートナーとのコミュニケーションや信頼関係の構築に力を注ぐことが必要です。

レベニューシェアにおける利益分配比率の相場

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レベニューシェアの利益分配比率は、業種や事業規模などにより異なるため、明確な相場がありません。契約時に期間や上限額が条件として設定されていることもあり分配率に影響を与えます。

クライアント側が開発費を支払わなかった場合、ベンダー側はリスクを負うことになります。

クライアント側がマーケティング費用を負担し、ベンダー側が開発費を負担する場合、リスクを分担していることになります。

以下の記事では、利益分配の対象・比率をわかりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。

レベニューシェア契約で失敗しない3つのポイント

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レベニューシェア契約をする際には、成功のためのポイントを理解する必要があります。代表的なものは下記の3つです。

  • 実績があるベンダー企業を選ぶ
  • 共同運営を前提とした長期契約を結ぶ
  • 相乗効果が得られる相手を選ぶ

1. 実績があるベンダー企業を選ぶ

実績があるベンダーを選択することは、プロジェクトが成功する確率を高くします。実績のあるベンダーは、成功事例も多く経験しているためです。プロジェクトのリスクを抑えるために必要な知識や経験があります。

実績があるベンダーであれば、プロジェクトが必ず成功するとはいえません。

2. 共同運営を前提とした長期契約を結ぶ

クライアント側とベンダー側が長期的な関係を築くことで、プロジェクトの成功につながる可能性が高まります。長期契約により、互いのビジネスに対する理解が深まり、明確な目標を共有することにつながります。

ベンダー企業は、プロジェクト成功のために必要なリソースの確保に時間を割くこともできます。

3. 相乗効果が得られる相手を選ぶ

レベニューシェア契約を結ぶ際には、相乗効果が期待できる相手を選ぶことが重要です。

小規模なベンダーと大手企業との間でレベニューシェア契約を結んだ場合、大手企業の広い顧客層に認知が拡大し、ベンダーの事業拡大が見込めます。大手企業側も、新たな技術やサービスを提供し、顧客の満足度向上や競合他社との差別化が図れるでしょう。

単にシステムの提供や販売に留まらず、ノウハウや経験などの共有が求められるため、相手選びには重要です。

レベニューシェアの成功事例3選

レベニューシェアは、業種や企業規模に関係なく、さまざまな分野で採用されています。下記に挙げる3つの事例は、レベニューシェア契約で成功した代表例です。

  • あべのハルカスの入退管理サービス
  • 日本ユニシスのECサイト
  • 電子書籍の印税

1. あべのハルカスの入退管理サービス

あべのハルカスが採レベニューシェア契約で委託開発したものとして、入退場管理サービスがあります。「レベニューシェア型のクラウドサービス」といわれています。

入場者ゲートや発券端末設備、情報システムの利用料金を入場者数から得る収入に応じて、毎月支払う契約です。

関連設備やシステムを提供したのは、パナソニック系の情報サービス会社であるパナソニック インフォメーションシステムズです。何らかのリスクを負う可能性はありますが、クラウド型で提供しリスクを最小限にしました。

参照:パナソニックインフォメーションシステムズ株式会社 プレスリリース 「ハルカス300(展望台)」「あべのハルカス美術館」にチケッティングシステムをクラウドサービスで提供

2. 日本ユニシスのECサイト

日本ユニシスは、システムベンダー側として量販店と契約しECサイトを構築しました。自社のクラウドサービス「U-Cloud」を提供し、ビジネスの共同経営者として関係を構築しています。

3. 電子書籍の印税

電子書籍の販売でも、レベニューシェア契約を適用しています。電子書籍の場合、電子書店から出版社への入金額をもとに売り上げを分配しています。このときの分配額の決め方がレベニューシェアです。

紙の書籍は電子書籍と異なり、刷部数で印税額が決まる「刷部数印税」を採用していることが一般的です。レベニューシェア契約での計算方法ではなく「本体価格×印刷部数×印税率」という計算式を使用します。

まとめ

レベニューシェア契約は、ビジネスを展開するうえで有益な方法のひとつです。適切な利益分配比率の設定と、相乗効果をもたらすパートナーの選択がポイントになります。取引実績がない企業や短期間の契約の場合は慎重に検討しましょう。

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監修者のコメント
株式会社シャイオス
代表取締役 鄭 光錫(テイ コウシャク)

同志社大学理工学部卒業。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科 MBA取得中。国内大手ITコンサルティング会社を経て現職。ITスキルと経営知識を持ちつつ、顧客企業の業界やビジネス構造、業務を深く理解してのITコンサルティングが得意。情報技術で企業の持続的成⾧を促進することをパーパスとしてシャイオスを創業。

レベニューシェアは、一種の成功報酬型の契約形態で、クライアントとベンダーがアライアンス(業務提携)を結ぶことになります。

経営戦略の視点からで考えると、自社が補完的経営資源(ITに関するノウハウ)を所有していない新規事業を開始する際に、採用を拡大して自社開発及びITベンダーに業務委託をすることが多いと考えられます。

一方、ITベンダーの経営資源(ノウハウ)を活用し、市場へ素早く参入することもあります。また、自社の競争優位を築くために、アライアンスからM&Aに切り替える事例もあります。

そのため、上記のメリットとデメリットを踏まえて、相手企業との相性(経営者同士、企業文化等)と相手企業のコア技術を確認した上で、経営判断がすべきだと考えております。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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