ファイルシステムの機能とは?種類や選び方も解説!

株式会社GeNEE
監修者
株式会社GeNEE 代表取締役 日向野卓也
最終更新日:2023年10月02日
ファイルシステムの機能とは?種類や選び方も解説!
この記事で解決できるお悩み
  • ファイルシステムとは何?
  • ファイルシステムにはどのような種類がある?
  • ファイルシステムはどのように選べば良い?

ファイルシステムとは、コンピュータで画像データや文書を保存・整理する際に使われているOS機能の一つです。

この記事では、ファイルシステムの機能や自社に合わせた選び方を紹介します。システムの概要や種類を知ることで、機能を最大限に活かせるでしょう。

新たなシステムの導入を検討している担当者の方はぜひ参考にしてください。

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ファイルシステムとはデータの管理方式のこと

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ファイルシステムとは、OSに搭載されているデータの管理方式のこと。データをファイル形式で扱うためにはファイルシステムが必要であり、保存や削除もシステムを通して行っているのです。

パソコンやスマートフォンをはじめとしたOSを搭載した機器は、文書や画像データなどをファイルシステムによって管理しています。

ファイルシステムが使われている場所

ファイルシステムが使われている場所は実にさまざまです。よく目にする場所としては次のような例があります。

  • WindowsやiOS
  • テレビ用HDDレコーダー
  • スマートフォン
  • HDDやSSD
  • USBメモリやSDカード
  • CD-ROMやDVD-ROM

これらのデータ記憶装置は、最初にフォーマットしてファイルシステムを選ばなければなりません。

フォーマットにより、ファイルシステムに合わせて記憶容量が区切られ、使用できるようになります。記憶装置を無駄なく使うために、ファイルシステムは不可欠なのです。

ファイルシステムとデータベースの違いについては以下の記事でくわしく解説しています。

ファイルシステムの機能

ファイルシステムには主に下記3つの機能があり、日常生活の中でもよく使用されています。

ファイルシステムの機能

1. ファイルを指定の場所へ保存できる

ファイルに任意の名前を付け、任意の場所に保存できるのもファイルシステムのおかげです。

データをファイルとして保存することで、他のパソコンやアプリケーションでも閲覧や編集が行えます。ファイルシステムでは、ファイルの形式やサイズなどの付加的な情報も保存され、閲覧できるアプリを判別するのに役立つのです。

2. ファイルに対して暗号化できる

ファイルシステムは、特定のファイルを暗号化する機能も搭載しています。重要なファイルは暗号化してアクセス権限を制限することで、セキュリティの強化や情報漏洩の防止が可能となります。

アプリケーションによってはファイルにパスワードをかけておくことができますが、この機能はアプリケーションに搭載されているものです。ファイルシステムの機能ではないので注意しましょう。

3. メモリ領域の圧迫を解消できる

ファイルを圧縮して保存し、メモリ領域の圧迫を解消できるのも重要な機能の一つ。記憶装置には容量の上限があるので、ファイルを圧縮できれば容量の節約が可能です。

ファイルシステムは、データ全体を同じ場所ではなく、バラバラにして保存して記憶容量を節約することもできます。これを「断片化」と呼びますが、ファイルシステムを経由すれば、ユーザーは1つのファイルとして扱えるのです。

ファイルシステムの種類

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ファイルシステムは、すべての記憶装置に共通ではなく、いくつかの種類が存在します。互換性のあるシステムもあり、使い勝手が変わってきます。 よく使用されているファイルシステムは以下の6つです。

  • FAT
  • exFAT
  • NTFS
  • HFS+
  • APFS
  • XFS

1. FAT

「File Allocation Table」の頭文字を取ったもので、Windowsで使用されているファイルシステムです。非常に古くから採用されており、機能を拡張しながら現在に至っています。

古い順にFAT12、FAT16と続いており、最新バージョンはFAT32。FAT32の特徴は、1つの領域として確保できる容量が最大2Tb、1ファイルの容量が最大4Gbと大容量な点です。

バージョンによって、対応しているWindowsのOSが異なる点に注意しましょう。

2. exFAT

exFATは、FATの一種ですが、USBメモリやSDカードなどのフラッシュドライブ用に開発されたファイルシステムです。WindowsとMac OSの両方に互換性があるのが大きな特徴。

フラッシュドライブ用のファイルシステムなので、内蔵ハードディスクには対応していないことに注意しましょう。また、古いガラケーやAV機器でも利用できない恐れがあります。

3. NTFS

「NT File System」の頭文字を取ったもので、FATをさらに進化させたファイルシステムです。Windows XP以降のWindowsに対応しているので、現在主流になっているファイルシステムといえます。現在Windowsを使っているのであれば、NTFSを使っていると考えてよいでしょう。

ファイルの変更履歴を保存するジャーナリング機能、FATよりも堅牢なセキュリティ機能、ファイル単位の暗号化機能などを備えているのが大きな特徴。ただし、他のOSとデータをやり取りすることができません。

4. HFS+

Windowsではなく、Mac OS 8.1で導入されたファイルシステムです。1985年からMac OSで使用されていた「HFS(Hierarchical File System)」に代わり、機能を拡張したHFT+が導入され始めました。ファイル単位の暗号化、強固なセキュリティなどの機能が搭載されています。

1つあたりのファイルの最大容量が8Eb(8エクサバイト=800万Tb)と大容量なのも特徴の一つ。 ただし、Mac OSにしか対応しておらず、Windowsからアクセスできないので注意しましょう。

5. APFS

2016年に発表されたAppleのファイルシステムです。2022年10月現在、最新のファイルシステムで、Apple社のOSは今後APFSに移行していきます。ファイルのコピー速度の高速化、レスポンスの向上が大きな特徴。情報を守る高度な暗号化機能も搭載されています。

ただし、Windowsでデータの読み書きができないので注意が必要です。

6. XFS

主にLinuxで使用されている歴史の古いファイルシステム。XFSで採用されている階層構造は、FATやNTFSでも使われています。最大の特徴は、ファイル変更の記録が残るジャーナリングシステムに対応しているため、セキュリティが強固な点です。

ファイル1つあたりの最大サイズは8Ebと大容量に対応可能ですが、OSの仕様によって最大16Tbまで制限されるので注意しましょう。データの読み書きの高速化を実現している一方、削除したファイルを復元できない点がデメリットです。

最適なファイルシステムの選び方2つ

数ある種類の中から、自社にあったファイルシステムを選ぶには、以下の2つの要素を考慮しましょう。

最適なファイルシステムの選び方2つ

1. 使用するOSに合わせて選ぶ

最適なファイルシステムを選ぶ際には、使用するOSを決める必要があります。ファイルシステムは特定のOSで作動するように開発されているからです。 WindowsとMac OSの両方でデータを使用するのであれば、どちらにも対応できるファイルシステムを選ばなければなりません。

使いたいデータが開けないトラブルを防ぐためにも、対応しているOSはしっかり確認しましょう。

2. ファイルサイズに合わせて選ぶ

ファイルシステムを選ぶ際には、扱えるファイルサイズを考慮する必要があります。大容量のファイルを保存・管理したいのであれば、最大ファイルサイズ容量の大きなファイルシステムが必要です。

ファイル1つあたりの最大容量が数Tb、数Ebと非常に大きなシステムもあるので、必要なファイルサイズを把握しておきましょう。

ファイルシステムの「変換機能」とは?

ファイルシステムの変換機能とは、使用するシステムを変更できる機能のことです。複数のファイルシステムに対応しているOSを使う場合、ファイルのサイズや形式によってシステムを変換すべきケースがあります。

たとえば、Windows10はFAT32とNTFSの両方に対応しているので、変換機能によって任意のファイルシステムを選べます。

ただし、OSが対応していない場合には変換機能が使えないので注意が必要です。Windowsの場合、まったく異なるiOSのファイルシステムへの変換はできないことがあります。

フォーマット機能を使った変換方法

フォーマット機能を使えば、ファイルシステムの変換が可能です。フォーマットというと、データをすべて消去するイメージがあるかもしれません。実際にはOSのファイルシステムに合わせて記憶領域を区切り、番号を設定しなおすことです。

通常のフォーマットはデータを消去したうえでファイルシステム変換します。フォーマットしてしまうと、消去したデータは元に戻せないので注意しましょう。

クイックフォーマットの方法

通常のフォーマットに対し、クイックフォーマットはデータ管理領域だけを消去する変換方法です。ファイルシステムの変換が短時間で終わること、ツールでデータが復元できるのが大きなメリット。

一方で、通常のフォーマットのように記憶容量を区切りなおして、容量を無駄なく使うことはできません。

コンバート機能を使った変換方法

コンバート機能を使うと、ファイルシステムをFATからNTFSに変換できます。ただし、FATから他のファイルシステムへの変更やNTFSからFATへの変更はできません。

フォーマットのように簡単な操作ではなく、コマンドプロンプトからコマンドを打ち込んで実行する技術が必要となります。記憶装置の空き領域が不足しているとコンバートできない点にも注意が必要です。一般的にはほとんど使われない変換方法です。

ファイルシステムが不要な場合ってあるの?

ファイルシステムは、パソコンやスマートフォンを使っている人にとってなくてはならない機能です。しかし、組み込みソフトウェアでは、ファイルシステムは不要です。

組み込みソフトウェアとは機械を制御する仕組みのことで、最小限の機能を搭載して高速で動くことが求められます。

また、組み込みソフトウェアの場合、視覚的に理解しやすくファイルを保存したり、圧縮したりする機能は不要で、ファイルシステムがなくても機能を十分に発揮します。

まとめ

この記事では、基本的なファイルシステムの解説、さらに様々あるファイルシステムの機能や特徴を紹介しました。

使用するOSやファイルのサイズに応じて、最適なファイルシステムを選びましょう。

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監修者のコメント
株式会社GeNEE
代表取締役 日向野卓也

東京工業大学環境・社会理工学院卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。MBA(経営学修士)取得。国内最大手SIerの株式会社NTTデータで大手法人領域(大手流通企業、大手小売企業)の事業開発、事業企画等の業務に従事。米国スタンフォード大学への研修留学を経て、システム/モバイルアプリ開発会社の株式会社GeNEEを創業。

ファイルシステムはOSの基本機能の一つなので、利用者は一切意識することなく利用できます。また開発側から見てもプログラミング言語がファイル操作用の仕組みを用意していますので、特別意識する必要はありません。

ただ、ファイルシステムの差異に限らず、OSや、OSが同じであっても動作環境毎に色々な差異が発生します。発注者側はファイルシステム同様に、それぞれの特徴の詳細まで理解する必要はありませんが、受注者(開発会社)側からすると、差異があればあるほど検討事項が増えますので、その分どうしても開発にかかるコストが上がります。

発注者側は、発注を意思決定する前に、システムやアプリをどのような目的で、どの範囲で活用するのか、といったことを社内関係者を含めてしっかりと議論することをおすすめします。「あれば便利だけれど、自社に本当に必要なものか」という考え方を持つことで初期の開発コストだけでなく、将来的なランニングコストを抑えることができる可能性があります。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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