アプリケーションサーバとは?Webサーバとの違いや4つのメリットを解説

株式会社GeNEE
監修者
株式会社GeNEE 代表取締役 日向野卓也
最終更新日:2024年07月29日
アプリケーションサーバとは?Webサーバとの違いや4つのメリットを解説
この記事で解決できるお悩み
  • アプリケーションサーバとは何か?
  • アプリケーションサーバとWebサーバの違いは?
  • アプリケーションサーバを導入するメリットは?

アプリケーションサーバは、構築されたアプリケーションプログラムを動作させるためのサーバです。Webサイトを構築するには必要不可欠です。

この記事では、アプリケーションサーバに興味を持つ方へ向けて、役割やWebサーバとの違い、選定ポイントまでをていねいに解説します。この記事を読み終わる頃には、システム開発におけるアプリケーションサーバに関して明確な理解が得られるでしょう。

「アプリケーションサーバの具体的な機能を知りたい」「仕組みや導入方法を理解したい」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

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アプリケーションサーバとは

ビジネス_パソコン

アプリケーションサーバは、構築されたプログラムを動かすサーバです。RubyやPHP、Javaなどのプログラミング言語で構築されたアプリケーションを実行します。Webサーバからのリクエストに応じてデータベースにアクセスし、データの取得や加工を行う役割を果たします。

アプリケーションサーバは、アプリケーションを実行するハードウェアではなく「サーバOSとプログラムの間」に位置するソフトウェアです。

代表的なアプリケーションサーバの種類は次が挙げられます。

  • Tomcat(Java)
  • Apache(PHP)
  • Unicorn(Ruby)

アプリケーションサーバは、役割の異なる「サーバOS」と「プログラム」を橋渡しすることが目的です。

アプリケーションサーバが果たす3つの役割

アプリケーションサーバが果たす役割は次の3つです。

  1. データベース接続をはじめとしたコネクト機能
  2. トランザクション管理機能
  3. ビジネスロジックの実装

1. データベース接続をはじめとしたコネクト機能

アプリケーションサーバはコネクト機能の役割を果たします。コネクト機能とは、プログラムからデータベースに接続する機能です。接続の切断や再接続を繰り返すと実行速度を低下させる原因になります。

事前にデータベース接続を行うことで、既存の接続を再利用して処理速度の向上が可能です。アプリケーションサーバはWebサーバとデータベースの中継地点に位置し、データベースを操作します。

データの読み書きや変更が可能なため、データベースとの連携を確保し、処理速度の向上が図れます。

2. トランザクション管理機能

アプリケーションサーバの持つ役割にはトランザクションの管理機能が挙げられます。トランザクションの管理とはデータの整合性を保ちつつ、複数の処理をまとめ、処理の完了を保証する仕組みのことです。

たとえば、銀行振り込みのシステムでは、トランザクションを使用することで途中で処理が止まってもデータの整合性を保てます。エラーの発生や同時にアクセスする際、不具合が起きないように制御するのがトランザクションの機能です。

プログラム側でトランザクションを制御すると処理に時間がかかります。アプリケーションサーバのトランザクション機能を利用することで、状態の同期や保存をサーバに任せられます。

3. ビジネスロジックの実装

アプリケーションサーバはビジネスロジックを実装しています。ビジネスロジックとは、データアクセスやWebサーバとのやり取り以外のプログラムで、データベースの読み書きをはじめとした具体的な処理手順を指します。

ビジネスロジックに実装されている機能は次のとおりです。

  概要
リモート通信機能 分離されたコンピューター同士の通信を行う
メッセージ機能 メッセージの送受信と非同期処理
ディレクトリ機能 ディレクトリサービスとの接続
認証機能 ユーザーの認証・接続の許可を管理

ビジネスロジックはシステムにおいてコアとなる部分を指しますが、明確な定義はありません。

アプリケーションサーバとWebサーバは役割が異なる

ビジネス 歯車

アプリケーションサーバとWebサーバは異なる役割を果たします。それぞれの役割は以下のとおりです。

アプリケケーションサーバ 動的なコンテンツの実現:Java、PHPなどのプログラム
Webサーバ 静的なコンテンツの実現:HTML、画像など

動的コンテンツは、訪問時間やデバイスなどユーザーごとの要因に基づいて変化するコンテンツです。ユーザーによって表示するコンテンツが変わり、リアルタイムで更新結果を反映させます。

静的コンテンツは、サーバに保存されている任意のファイルです。毎回同じものがユーザーに配信されます。

クライアント側からは、Webサーバ→アプリケーションサーバ→データベースの順番に配置されています。クライアント側に近いものが「Webサイド」アプリケーションサーバとデータベース側が「サーバサイド」と呼ばれます。

アプリケーションサーバは3層構造

ビジネスイメージ

アプリケーションサーバは下記の3層構造になっています。

  1. Webサーバ
  2. Webアプリケーションサーバ
  3. データベース

1. Webサーバ

Webサーバは、ユーザーのコンピュータにネットワークを通じて必要な情報や機能を提供するコンピュータやソフトウェアです。一般的にブラウザを使用して接続します。ユーザーと直接やり取りを行うサーバであり、Webブラウザからリクエストした内容を受けて処理します。

Webサーバの果たす役割は次のとおりです。

  • HTMLや画像などの表示を提供する
  • テキストや動画などWebサイトのコンテンツを保存する
  • 要求したクライアントにコンテンツを配信する

Webサーバは、GMOクラウドやさくらインターネットなど、ホスティング会社からレンタルして利用します。

2. Webアプリケーションサーバ

Webアプリケーションサーバでは、Webサーバからのリクエストを、プログラミング言語を実行して処理します。データベースにアクセスしてデータを要求し、実行した結果をWebサーバへと返します。

Webサーバとデータベースの間に位置し、さまざまな処理をおこなうことがWebアプリケーションサーバの役割です。

Webアプリケーションサーバで使用される代表的なプログラミング言語は次が挙げられます。

  • Java
  • PHP
  • Ruby

たとえば、Javaを使用したアプリケーションサーバでは、オープンソースの「Apache Tomcat」が有名です。

3. データベース

データベースは、主にデータの管理を行っているバックエンドです。バックエンドとは、ソフトウェアやシステムの構成要素において、ユーザーから見えない場所でデータの処理や保存などを行うことを指します。

データベースには、顧客情報や取引情報、在庫情報などのデータが格納されていることが一般的です。アプリケーションサーバがデータベースを管理し、読み出しや書き出し、変更などの処理を行います。

アプリケーションサーバを利用する4つのメリット

アプリケーションサーバを利用するメリットは次の4つが挙げられます。

  1. 開発工数を削減できる
  2. 分散処理によりパフォーマンスを向上できる
  3. メンテナンス・アップデート・トラブルシュートが容易になる
  4. セキュリティを担保しやすい

1. 開発工数を削減できる

開発工数の削減はアプリケーションサーバのメリットの1つです。アプリケーションサーバは、システムに必要な機能をあらかじめ備えているため、開発にかかる工数を抑えられます。

構築するシステムにあわせてアプリケーションサーバの種類を選ぶことで、幅広いシステム構築に対応が可能です。使用するプログラミング言語に応じて、適切なアプリケーションサーバを選ぶことが重要です。

2. 分散処理によりパフォーマンスを向上できる

分散処理によるパフォーマンス向上は、アプリケーションサーバのメリットです。アプリケーションサーバを複数台用意することで、外部ユーザーアクセスの分散が可能です。アクセス集中によるサーバダウンを未然に防ぎます。

分散処理をすることで、情報処理の負荷が軽減され、効率よく大量の処理が可能です。情報の処理スピードは、Webサイトのコンバージョン率や直帰率にも影響します。

サーバを用意するコストは必要になりますが、パフォーマンス向上を容易に実現できるでしょう。

3. メンテナンス・アップデート・トラブルシュートが容易になる

アプリケーションサーバを利用することで、メンテナンスやアップデート、トラブルシュートが容易になります。サーバを用途ごとに分けることで、アップデートの際の影響を最小限に抑え、システムトラブルの原因追求が容易になるためです。

たとえば、アプリケーションサーバを複数台用意することで、システムを停止させずに1台ずつメンテナンスをすることが可能です。サーバやソフトウェアをアップデートする際も、アップデートによる予期せぬ影響を最小限に抑えられるでしょう。

4. セキュリティを担保しやすい

アプリケーションサーバの利用は、セキュリティを担保しやすくなることがメリットです。外部ユーザーからのアクセスをアプリケーションサーバに一極化することで、他のサーバはアプリケーションサーバからのアクセスのみに限定できます。

たとえば、アプリケーションサーバのみを外部ユーザーに公開した場合、悪意を持った外部ユーザーのアクセスを防ぎ、データベースの情報を守ります。

アプリケーションサーバ導入時に注意すべき5つのポイント

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アプリケーションサーバを導入する際に注意するポイントは次のとおりです。

  • 利用用途に適したサーバを選ぶ
  • セキュリティ対策を徹底する
  • 安定性を考慮した運用設計を行う
  • 外部委託も視野に入れて検討する
  • 適したOSをインストールする

利用用途に適したサーバを選ぶ

アプリケーションサーバを導入する際は、利用用途に適したサーバを選びましょう。アプリケーションサーバの構築目的や用途を整理し、必要なスペックを把握することが重要です。

自社の洗い出しが不十分な場合、サーバが要件を満たせずダウンしたり、無駄な費用が発生したりするおそれがあります。既存システムとの相性や管理者のスキルも考慮し、自社の利用用途に適したサーバを選びましょう。

セキュリティ対策を徹底する

アプリケーションサーバの導入時はセキュリティ対策の徹底が求められます。個人情報や顧客情報などの重要データを扱う場合は、サイバー攻撃のリスクが発生するためサーバ稼働後のセキュリティ対策が重要です。

セキュリティ対策を徹底し、リスクマネジメントの計画を立てることが必要です。信頼性の高いサーバの提供会社を選び、セキュリティや災害対策を確認しましょう。

安定性を考慮した運用設計を行う

アプリケーションサーバの導入を検討する場合、安定性を考慮した運用設計を行いましょう。サーバの安定稼働は重要です。たとえば、新商品を発売したECサイトにアクセスが集中してサーバがダウンした場合、商品購入ができず企業の経営に影響が出ます。

運用設計は、運用ルールや運用方法、障害対応の方法などをまとめてフレームワーク化することを指します。

運用設計の内容には次が挙げられます。

  • トラブル発生時の復旧方法
  • トラブル発生時の報告先
  • ベンダへの連絡有無
  • 進捗報告のタイミング

監視ツールの利用や、専門の監視運用サービスの検討もサーバの安定稼働のために有効です。

外部委託も視野に入れて検討する

アプリケーションサーバの導入に不安がある場合は、外部委託も視野に入れて検討しましょう。個人情報を取り扱うサービスやシステムでは、専門的なセキュリティ対策や知識が求められます。

社内の人材だけで対応が難しいケースも多いため、サービスの重要性やセキュリティ要件に応じて、外部業者への委託を検討することも重要です。専門的な知識や運用リソースが不足する場合、外部委託は有益な選択肢となります。

適したOSをインストールする

アプリケーションサーバを導入する場合、適したOSをインストールすることが重要です。サーバ向けに設計されているOSを「サーバOS」と呼び、PCとサーバでは求められる機能が異なります。

「サーバOS」は、多数のユーザー向けに安定したサービス提供が要求されるため、高いネットワーク性能や安定性を重視して設計されています。OSの選定はセキュリティやアプリケーションの動作に影響を与えるため、慎重に選択しましょう。

まとめ

アプリケーションサーバは、企業内の業務システムや電子商取引、ECサイトの発注システムなど動的処理が多いWebサイトで活用されます。導入することで開発工数の削減や、分散処理によるパフォーマンス向上が見込める一方、安定した稼働をするためには専門的な知識が必要です。

アプリケーションサーバの導入は現場で対応できるものの、自社で対応できるリソースが不足している場合は、外注することも1つの選択肢でしょう。

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監修者のコメント
株式会社GeNEE
代表取締役 日向野卓也

東京工業大学環境・社会理工学院卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。MBA(経営学修士)取得。国内最大手SIerの株式会社NTTデータで大手法人領域(大手流通企業、大手小売企業)の事業開発、事業企画等の業務に従事。米国スタンフォード大学への研修留学を経て、システム/モバイルアプリ開発会社の株式会社GeNEEを創業。

あまり聞きなれない言葉に感じるかもしれませんが、アプリケーションサーバとWebサーバの大きな違いは「役割」にあります。アプリケーションサーバが動的なコンテンツを処理する役割を担う一方、Webサーバは静的なコンテンツを処理する役割を担います。

ここでの動的コンテンツとは、PHP、Java、Ruby(Ruby on Rails)、Pythonなどのサーバサイド言語で生成されたプログラムを指しています。大半の企業ホームページには問い合わせフォームが設置されているかと思います。

問い合わせフォーム上で必要項目を入力し、下端に設置された送信ボタンを押下すると、「問い合わせを受け付けしました。」などといった自動配信メールが返ってきますよね。あちらもPHPなどのサーバサイド言語で生成されたプログラムによって、機械的に配信されるもので、動的コンテンツの一種になります。

もう片方の静的コンテンツとは、HTML(主はテキストなどの文字情報)、CSS(主は色合い、見映えなどのデザイン)、画像といったブラウザ上で機械的な動き(プログラムによる操作)を伴わないものを指しています。2種類のサーバは「役割が違うもの」と覚えると良いのではないでしょうか。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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