ネイルサロンの開業・経営に必要な資金・費用は?〜成功のポイント〜

有限会社兼子経営
監修者
有限会社兼子経営 代表取締役 兼子俊
最終更新日:2023年10月02日
ネイルサロンの開業・経営に必要な資金・費用は?〜成功のポイント〜
この記事で解決できるお悩み
  • ネイルサロンの開業手順が知れる
  • ネイルサロンの開業資金が知れる
  • ネイルサロン経営のコツが知れる

ネイリストとして経験・スキルを積んだ方であれば、独立して自身のネイルサロンを経営してみたいはず。しかし、ネイルサロンを開業するためにはどのくらいの資金が必要なのか?なにから手をつけていいのか?わからない方がほとんどでしょう。開業してもネイルサロンの経営がうまく行かなかったら?そんな不安を感じる方も多いはずです。

そこで本記事では、開業に必要な資格・届け出・集客施策から必要な資金・運用経費・助成金まで、ネイルサロンの開業・経営にまつわる疑問を徹底解説!競合の多いネイル業界で成功するにはどうすべきか?ネイルサロンを成功に導くポイントも紹介していきます。

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ネイルサロン開業の手順

早速ですが、ネイルサロンを開業するまでの手順を以下の5つから大まかに紹介します。大まかな流れを頭に入れて、この後に続く詳しい説明を読んでいただければ、理解も早いかと思います。

  1. 開業形態を決める(店舗・自宅・出張)
  2. 開業資金・運用資金を用意する
  3. 開業・経営に必要な届け出をする
  4. SNSなどを活用して宣伝活動を行う
  5. サービスの提供を開始する

ネイルサロンは、他業種に比べて開業までのハードルは低いため気軽に始めることができるメリットを持っていることが分かります。

ただ、スタッフをどうするのか?どうやって必要な設備や備品を用意するのか?など、細かい部分はある程度の計画が必要になってきます。ここは多少は面倒かもしれませんが割り切って作業をしていきましょう。

ネイルサロン開業・経営に資格は必要?

まず知っておきたいのは「ネイルサロンを開業・経営するための資格はなく自由に起業できる」ということです。ネイリストとしての技量さえある方なら、気軽に開業・経営できるのがネイルサロンの魅力だといえるでしょう。逆に言えば、それだけ敷居が低いということはライバルが多い業界だということも頭に入れておきたいところです。

ただ、開業する場合、個人事業主になる必要があります(正確には「個人事業主になった方がお得)。ただの届け出のため身構える必要はありませんが、書類仕事があるということを理解しておきましょう。

ネイルサロンの開業形態

どのような形でサービスを提供していくのか、ネイリストのライフスタイルやニーズにあわせて開業形態を選べるのもポイントです。以下の5つの開業形態について、メリット・デメリットも併せてそれぞれ解説していきましょう。

  • 店舗型ネイルサロン
  • 自宅型ネイルサロン
  • 出張型ネイルサロン
  • 間借り型ネイルサロン
  • フランチャイズ型ネイルサロン

店舗型ネイルサロン

店舗型ネイルサロンとは、テナントやマンションの一室を借り、独立した店舗としてネイルサロンを開業・経営するスタイルのことです。それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。

開業形態 メリット デメリット
テナント ・自由度が高い
・ネイルサロン経営に適した環境を整備できる
・比較的集客に有利
・開業資金が高い
・賃料などの運用費用が高額
・場合によっては従業員の雇用が必要
マンション ・開業場所を自由に決められる
・ある程度自由に内装をアレンジできる
・ネイルサロン経営に集中できる
・開業資金・賃料がかかる
・密室のため安全面で不安がある
・集客が難しくなる傾向がある

物件取得費用などの初期投資がかかるという点ではテナントもマンションも同じですが、メリット・デメリットは若干異なります。ただし、どちらもサービス・営業に集中できる環境を創りやすいため、ネイルサロン1本で頑張っていきたい方におすすめできる開業形態です。

気を付けたいポイント

また、立地条件は非常に重要なポイントになります。薄暗く怪しさ満点のマンションを選んでしまえば、足を運んでくれる利用客は激減してしまいます。どこに店舗を置くか?は慎重に決める必要があります。

昨今では、空き家を利用するケースもあるようです。イノベーションや簡単なリフォームをして、ネイルサロン店舗にするわけです。ネイルサロンのコンセプトを出しやすいメリットがあり、ニーズが合致したときの集客能力は非常に大きいです。

自宅型ネイルサロン

自宅型ネイルサロンとは、自宅の一部を利用してネイルサロンを開業・経営していくスタイルのことです。自宅型ネイルサロンのメリット・デメリットは以下の通りです。

開業形態 メリット デメリット
自宅 ・初期費用を抑えられる
・賃料がかからない
・自身のスタイルにあわせて営業できる
・開業場所を選べない
・安全面で不安が残る
・集客が難しい

自由度は少ないものの、開業資金を大幅に抑えながらネイルサロン経営できるのが自宅型最大のメリットです。副業としてネイリストめ目指す方におすすめできる開業形態だといえるでしょう。

気を付けたいポイント

対して、常に自宅をキレイにしておかないといけないことも理解をしておきたいところです。自宅が古びており、まったくオシャレ感がないと客足が遠のくことは容易に想像ができます。こういったメンテナンスが必要になってきます。

出張型ネイルサロン

出張型ネイルサロンとは、実際にネイリストが利用客から指定した場所に足を運びサービスを提供するスタイルです。以下にメリット・デメリットを記載します。

開業形態 メリット デメリット
出張 ・初期費用を抑えられる
・賃料が不要(待機所を自宅にした場合)
・営業時間を自身の都合に合わせられる
・移動時間がかかる
・交通費がかかる
・渋滞など予測不可能なできごとが発生する

自宅型ネイルサロンと同様で「開業資金」を大幅に抑えることが可能な開業形態です。また、自身の都合で営業時間などを調整できる魅力もあります。ネイルサロンの中でも、最も開業ハードルが低い形態の1つといえるでしょう。

気を付けたいポイント

ただし、移動時間が多く必要となり、どうしても稼働時間が短くなってしまう(1日で受注できる量が減ってしまう)という大きなデメリットもあります。

さらに、交通費や車の維持費などが発生してしまうデメリットも。サービス料金に交通費を含める方法もありますが、ライバル業者よりも割高になってしまう可能性があり、料金設定のバランスが非常に難しくもあります。

間借り型ネイルサロン

間借り型ネイルサロンとは、ヘアサロンやエステなどの店舗の一部を間借りしてネイルサロンサービスを提供するスタイルです。メリット・デメリットは以下になります。

開業形態 メリット デメリット
出張 ・初期費用を抑えられる
・フリー客を確保しやすい
・間借り元の店舗とキャンペーンなどを実施して相乗効果を出せる
・間借り元の店舗の集客能力に売上が左右される
・間借りさせてくれる場所を探すのが大変
・急に間借りNGと切られてしまう可能性がある

大型ショッピングセンターの空いたスペースなどでも提供しているケースもあり、さまざまな場所でできます。場合によって歯科医院を曲がりして待ち時間にネイルをするスタイルなどもあり、工夫次第では、ライバル業者と差別化ができる魅力があります。

気を付けたいポイント

ただし、あくまでも間借りしているだけなので、貸してくれている側から急に「もう貸せません」と言われる場合もあります。次がすぐに見つかるものではないため、大きなデメリットになります。したがって、間借りしている最中に資金をさらに貯めて、店舗型・自宅型・出張型などの形態に変更していくのもよいでしょう。

さらにいうと、間借り型スタイルでサービス提供をしつつも、自宅型・出張型でもサービス提供をするなどの合わせ型も可能です。つまり、間借り型ネイルサロンは「いつ切られるか分からないデメリットはあるものの、アイディア次第では非常に魅力的な形態」といえるのです。

フランチャイズ型ネイルサロン

フランチャイズ型ネイルサロンは、親会社(大手ネイルサロン業者)の看板でサービス提供するスタイルです。こちらも、メリット・デメリットが当然あるため、以下にまとめます。

開業形態 メリット デメリット
出張 ・集客効果は抜群
・大手独自のスキルやノウハウを得られる
・スタッフも雇いやすい
・初期費用が高い
・ロイヤリティを支払う必要がある
・自由度が低い

大手ネイルサロン業者の力を借りることができるため、失敗する可能性は低いという大きなメリットもあります。集客効果は抜群ですし、利用客が喜ぶサービスの提供方法などのノウハウを教えてもらうことができるためです。

気を付けたいポイント

ただし、その分ロイヤリティを支払う必要があり、利益自体はそこまで高くないのが実情です(利用客の回転率を上げていくなどの努力が必要)。

オリジナリティを出してさらなる集客を目指したくとも、いろいろと制約が多いため、自由度が低いと言わざるを得ません。したがって大手のスキル・ノウハウを身に付けてから独立していく章という人も多いようです。

ネイルサロンの開業資金はどのくらい必要?

それでは、ネイルサロンの開業資金はどのくらい必要なのでしょうか。本格的に業界に参入したいネイリストの方に向け、店舗型ネイルサロンを例にして解説していきましょう。以下の4つが主な内訳です。

  • 物件取得費用
  • 内装工事費用
  • 機材・設備・備品費用
  • 広告宣伝費用

立地条件やこだわりによって開業資金は大きく変動しますが、10坪程度、月額賃料10万円のネイルサロンを開業するための平均的な例を紹介します。表にまとめたのでご覧ください。

項目 単価
物件取得費用 10万円  / 月 60〜130万円
内装工事費用 20〜25万円  / 坪 200〜250万円
機材・設備・備品費用 15〜65万円 15〜65万円
広告宣伝費用 25〜30万円 25〜30万円
合計 300〜475万円

10坪程度のネイルサロンであれば、おおよそ300万円からの開業資金が必要であることがわかります。それぞれの項目をもう少し詳しく見ていきましょう。

お金勘定が苦手な方へ

開業資金や運用資金などのお金勘定が苦手だという方に、開業コンサルタントをしてもらうという方法もあることを紹介しておきます。
やはりプロなので、この手の開業資金をどれくらい用意すればよいのか、助成金を始めお金の集め方に関してのアドバイスももらうことが可能だからです。
比較Bizでは、開業コンサルタントを始め、経営コンサルタントなどの業者を紹介することが可能なため、上手に活用をしていただければと思います。

ネイルサロンの物件取得費用

ネイルサロン開業に向けて物件の賃貸契約をする際に必要になるのが物件取得費用です。エリア・物件の広さ・種類によっても異なります

マンションの場合

「前家賃 + 敷金2ケ月 + 礼金2か月 + 仲介手数料1か月」で賃料の6か月分を、テナントを借りる場合なら「前家賃 + 保証金10か月 + 礼金1か月 + 仲介手数料1か月」で賃料の13か月分を請求されることが一般的

もちろん、内装工事の期間は営業できないため、プラス1か月分の余裕を見ておくと安心です。敷金や保証金は退出の際に戻ってくるケースがほとんどですが、開業資金として契約時に大きな負担がかかる費用だといえるでしょう。

先でも少し紹介した「空き家」の場合、無料または激安で手に入れることができるケースもあります。物件取得が厳しいと思った場合は、この方向でも少し調査してみるのもよいかもしれません。

ネイルサロンの内装工事費用

上図の例では、設計費用、材料費を含んだ内装工事費用を、坪当たり20〜25万円単価としたうえで総額を算出しています。

店舗の内装はネイルサロンの雰囲気を左右する重要な要素ではありますが、壁紙や床の工事が中心となるため、比較的費用を抑えられるのがポイントです。それでも10坪あれば200万円程度の費用は必要であり、インテリアにこだわればさらに坪単価は高額になります。

一方、内装工事費用を抑えるためには、過去にサロンとして営業していた「居抜き物件を探す」という方法もあります。都合のいい物件が見つかるとは限りませんが、内装工事を簡略化できれば総額で100万円違ってくることも。物件探しの際に念頭に置いておきたいポイントです。

ネイルサロンの機材・設備・備品費用

ネイルサロンに欠かせない機材・設備・備品の総額は、おおよそ15〜65万円程度です。ただし、これは顧客1名分を想定したものであり、受け入れる顧客数が増えれば、それだけ費用は高額になります。ネイルサロンの機材・備品は価格の幅も大きいため、こだわればそれだけ費用も高くなると考えておくべきでしょう。以下の表にまとめたのでご覧ください。

機材・設備・備品 費用目安
ネイルテーブル 3〜10万円
ネイルチェア 1〜10万円
照明器具 1〜10万円
ネイルチップディスプレイ 1〜3万円
家具 5〜30万円

ネイルサロンの広告宣伝費用

広告宣伝費用は、集客に不利なマンションも含め、開業したばかりのネイルサロンで必須です。

集客方法としてはホームページの開設、SNSの活用、地方紙・フリーペーパーなどの広告、ネイルサロン専門の予約サイト活用などが考えられますが、ホームページ制作だけでも10万円は見ておいた方が無難です。広告掲載も含め、広告宣伝費用の総額は25〜30万円程度は見ておきたいところです。

ネイルサロンの運用経費はどのくらい?

ネイルサロンを開業して経営していくためには、当然のことながら店舗を運用していくための「経費」が発生します。経費項目としては以下の4つがあります。

  • 賃料
  • 水道光熱費
  • ネイル商材費
  • 広告宣伝費

それぞれの経費が毎月どのくらいかかるのか?毎月の賃料10万円、月の売上100万円程度のネイルサロンを例に、経費の具体的な金額を算出してみました。

経費項目 売上に対するパーセンテージ 費用目安
賃料 10%前後 10万円
水道光熱費 2〜5%前後 2〜5万円
ネイル商材費 7〜8%前後 7〜8万円
広告宣伝費 8〜10%前後 8〜10万円
合計   27〜33万円

仮にオーナー店長として1人でネイルサロンを経営していくとしても、毎月約30万円前後の運用経費が必要であることがわかります。自身以外にネイリストを雇用するのであれば、さらに経費は膨らみます。

半年分程度の運転資金を確保しよう

広告宣伝費用でも触れましたが、ネイルサロンに限らず、どんな店舗であっても最初から充分な利益が確保できるほど集客できるわけではありません。開業当初は集客できる場合もありますが、知名度が定着するまでは売上が落ち込んでしまう月も出てくるでしょう。

こうしたケースでも安定的にネイルサロンを経営していけるよう、半年分程度の運転資金を確保しておくことが必要です。具体的には月の運用経費目安が30万円であれば、30 × 6 = 180万円程度の運転資金があれば安心です。

最小限の規模でネイルサロンを開業するのであれば、開業資金としての300万円をあわせ、総額で480万円程度の資金を確保しておくのがおすすめです。

ネイルサロン賠償保険

ネイルサロンの開業・経営で気を付けておきたいのが、万一の事故やトラブル時の対応です。施術中に誤って顧客の指を傷つけてしまった、店舗内での思わぬ事故、預かり品の損傷などが発生しないとも限りません。

こうしたトラブル時に備えておくためにも、賠償保険への加入は必須だといえるでしょう。JNA会員向けのネイルサロン賠償保険など、近年ではネイルサロンに特化したサービスも増えているため、ニーズにあわせて加入しておくのがおすすめです。リスクマネジメントも含めた運用資金の準備も重要になってくることが、ここで一番伝えたい部分です。

ネイルサロン開業に助成金も活用できる

比較的ハードルが低いとはいえ、ネイルサロン開業に必要な資金は決して少なくはありません。自己資金でネイルサロン開業を賄えればベストですが、足りない場合は融資・助成金を活用するという方法もあります。ここではおすすめの例を2つ挙げておきます。

  • 「新創業融資制度」

    日本政策金融公庫が用意している制度です。資金総額の1/10以上の自己資金があれば借入できます。実績のない起業者でも融資審査が比較的下りやすいのが特徴です。

  • 「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」

    自治体が実施する助成金制度です。申請から助成金獲得まで時間がかかってしまうケースもありますが、助成金は返済する必要がないことが魅力的です。自治体ごとに資格や条件が異なるため、社労士などにも相談しながら適切な助成金を探してみるといいでしょう。

ネイルサロン開業・経営に必要な届け出

保健所への届け出や許認可などは必要ないものの、ネイルサロンを開業して経営するということは、事業を開始することとイコール。ネイリストとして一定以上の収入があれば確定申告もしなければなりません。

法人としてネイルサロン開業・経営するなら会社設立が必要であり、個人事業主としてネイルサロン開業・経営するなら税務署へ開業届の提出が必要です。

税務署に個人事業の開業届を提出

多くのスタッフを雇用する中〜大規模ネイルサロンを開業する、あるいは複数のネイルサロンをチェーン展開するのであれば会社設立がおすすめですが、一般的には個人事業としてネイルサロンを開業するケースがほとんどです。その場合、所轄の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」に必要事項を記入して提出します。手数料などはかかりません。

また、開業届と同時に青色申告事業者としての申請もしておきたいところです。最大65万円の特別控除が得られるほか、赤字を最大3年間繰り越しできる、消耗品の経費計上、設備の減価償却などの大きな節税効果が期待できるからです。「青色申告承認申請書」を提出する必要がありますが、開業届と同時に提出すれば大きな手間はかかりません。

確定申告時には帳簿の作成・提出などが求められますが、自身で確定申告するのが難しければ税理士に依頼する方法もあります。税理士に支払う報酬以上の節税効果が得られるため、積極的に活用するといいでしょう。

屋号を決めておこう

屋号の記載がなくても開業届は提出できますが、ネイルサロンを開業・経営するのであれば、事前に「屋号」を決めておくのがおすすめです。ネイルサロンの看板として屋号を使えるのはもちろん、屋号名義の銀行口座を開設することも可能だからです。

プライベートとの境が曖昧になりがちな個人事業では、お金の流れを把握して事業とプライベートを分離させるのがポイントです。そのためにも屋号を決めておくことは重要です。

市場参入しやすいネイルサロンは競合も多い

特別な資格や届け出の必要ないネイルサロンは、開業・経営が容易であり、市場へ参入しやすい業種であるといえます。市場の競争が激しくなれば、他店舗との差別化を図っていく必要があるでしょう。ただ単にネイリストとして自信がついたから独立する、といった考えでは成功は望めません。

具体的に何をすればよいのか?と悩んでしまうところですが、重要なのは、ネイルサロン業界内での隙間産業的な立ち位置を狙っていくということです。常に「どうしたら顧客確保ができるのか?」を考えて実行に移していくことを心がけましょう。

また、「PDCA」は、やはり非常に重要であることも再認識をしたいところです。PDCAを知らない場合は、便利なツールなので勉強することを強くおすすめします。中でも重要視したいのは、Action(改善)です。実行した結果を反省・振り返りを行って、次はどうするのかを改善をしていくことで、他業者と差別化が図っていくことができるからです。

簡単なことではありませんが、これを積極的に繰り返して実行していくバイタリティを持って運営をしていってもらえれば幸いです。以下にPDCAやマーケティングについての記事リンクを用意したのでご覧ください。

ネイルサロン経営を成功させるポイントは?

それでは、ネイル業界に参入して、開業したネイルサロンを成功させるためにはどうすればいいのか?業界の動向も含め、ネイルサロン経営を成功に導くヒントとなるポイントが以下の5つになります。それぞれ解説していきましょう。

  • 固定客の獲得を図る
  • ターゲット客やお店のコンセプトを決める
  • ロゴを制作して覚えてもらう
  • 商圏・競合のリサーチをする
  • 効果的に集客できるよう施策する

固定客の獲得を狙う

美容サロン経営の学習サイト「ホットペッパービューティーアカデミー」の調査によれば、2019年上期までの年間市場規模は約1,700億円。金額から推察される市場規模はほぼ横ばいといえる状況ではありますが、男女ともに利用率がわずかに減っているのがポイントです。

つまり、利用率が減っている分を1人あたりの利用金額が増えたことによって補っているという図式が当てはまります。

これはネイルサロンを利用する顧客層として、リピート中心の固定客が増えつつある傾向にあることを意味します。増えつつあるリピート中心の固定客をいかに獲得するかは、経営を成功させるためのポイントだといえるでしょう。参考元は下記リンクにございます。

参照元:株式会社リクルートライフスタイル 美容センサス2019年上期

ネイルサロンのターゲット層や店舗コンセプトを決める

どのような顧客層をターゲットにするのか?ターゲットに設定した顧客にどのような価値を提供するのか?というような、ネイルサロン経営の軸となる「ターゲット」「コンセプト」を明確にしておくことが重要です。

たとえば、上述した調査結果によれば、ネイルサロンの利用金額が増えているのは女性、しかも20代、30代の女性の利用金額は過去8年で最高額に達しています。ハンドケア・ポリッシュのみの利用が減少する一方、ジェルネイルが増加しているのもポイントです。

トレンドばかりを追うのはリスクが高いともいえますが、全体的な傾向を見つつ、ネイリストとしてのスキルをどう活かしていくのかを念頭に置きながらコンセプトを決めていくのがおすすめです。

また、店舗コンセプトはそのままホームページデザインにも流用させましょう。ブランディングの観点からも、統一感が重要になります。以下、プライベートサロンの参考デザインです。

ロゴを作って覚えてもらう

ネイルサロンに限らず、何かしらの店舗を構えて運営していく場合、ロゴというアイテムは非常に重要な意味を持ちます。利用者に覚えてもらう効果があったり、ロゴの出来の良し悪しで集客効果をアップさせることすら可能です(可愛らしく愛着が湧くようなロゴの場合、初めてでも不安感を取り除いてハードルを下げてくれる効果があるため)。

キャッチーなロゴにすることで、ライバル業者との競争にも勝てる可能性が高くなります。ネイルサロンのコンセプトや雰囲気などが伝わるような「完璧なロゴ」を作れるよう検討することを強くおすすめします。

プロデザイナーに依頼

ロゴ制作は非常に難しい作業になります。どうしても自分自身で作りたいのであれば問題はありませんが、自信がない場合は、なかなかうまくいかないものです。
そこで、プロのデザイナーに依頼をすることも視野に入れておくとよいです。開業資金が多少高くなってしまうデメリットはあるものの、やはりプロが作るのでキャッチーなロゴを用意してくれます。開業後、ネイルサロンの成否を左右すると言っても過言ではない作業なので、十分に検討して決めていただければと思います。
比較Bizでは、プロデザイナーを探すことも可能なので、こちらも活用いただければ幸いです。

商圏・競合を含めたリサーチ

出店する立地の商圏調査、近隣の競合店の調査など、入念なリサーチをしておくこともネイルサロン経営を成功に導くためのポイントです。

どんなに優れたコンセプトであっても、近くに競合するネイルサロンがあれば「顧客の奪い合い」「施術料金のダンピング競争」が起こる可能性があります。ネイルサロンのターゲット・コンセプトに合致した商圏なのかどうか?物件取得の前に調査・検討しておくべきでしょう。

効果的な集客施策

開業資金の解説でも触れましたが、競争が激化するネイル業界では効果的な集客施策の実施が欠かせません。ホームページやSNSの活用は必須ではありますが、効果を感じられるまでに時間がかかるうえ、日々の更新・運用が必要です。ネイルサロンの知名度を高めていくためにも、ネイルサロン対応の予約サイト・検索サイトを併用するのがおすすめです。

たとえば、上述した「ホットペッパービューティー」は、サロン系の予約・検索サイトとして知らない方がいないほどの知名度を誇ります。ネイルサロン予約サイトの「ビューティーパーク」、ネイルサロン検索サイト「ネイルブック」を必要に応じて使い分ければ、大きな集客効果が期待できます。

持っておくと役立つ資格とは?

ネイルサロンの開業・経営を成功させるためには、顧客が安心して施術を受けられる環境を用意し、サービス業としての信頼を獲得する必要があります。ネイリストとして一定以上の技量・接客マナーを身につけていることを証明するためにも、主な資格は取得しておきたいところです。

開業するための資格は不要ではありますが、集客をするために有効な資格があると理解していただければよいです。利用者にとって「安心して利用できるか?」は非常に重要なポイントになります。以下の2つの資格について、それぞれ解説していきましょう。

  • JNECネイリスト技能検定
  • JNAジェルネイル技能検定

JNECネイリスト技能検定

ネイリスト技能検定とは、日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)が主催するネイリスト検定試験のことです。1997年にスタートした日本でもっとも知名度が高く歴史のある検定試験であり、1級〜3級までのレベルに応じて、正しい技術・知識を持つネイリストであることを証明できます。

一般的に、プロのネイリストとして活躍するためには「2級」が必要とされていますが、前提となる受験資格に3級の合格者であることが求められます。年4回実施される検定試験は「事前審査」「実技試験」「筆記試験」の3段階で行われるのが特徴です。

JNAジェルネイル技能検定

ジェルネイル技能検定とは、日本ネイリスト協会(JNA)が主催する、ジェルネイルに特化したネイリスト検定試験のことです。初級・中級・上級の3つのレベルに分かれており、顧客が安心して施術を受けられるネイルケア・ジェルネイルの普及を目的としています。

ネイルサロンのメニューの6割がジェルネイルといわれる状況から、ネイリスト技能検定とともに取得しておきたい資格です。プロとして活躍するには「中級」以上が望ましいとされていますが、初級合格者であることが受験資格となります。

年2回の検定試験は「実技試験」「筆記試験」の2つを実施しています。ネイリスト技能検定2級合格者は、ジェルネイル技能検定中級の「実技試験」が免除されます。

ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針

技能検定などの資格制度ではありませんが、ネイルサロンの開業・経営で非常に重要な要素となるのが「衛生面」です。それは、ネイルサロンを利用する方の関心事として「衛生面で安心できるのか?」が、常に上位にランクされていることからも明らかです。

届け出などは必要とはされないものの、厚生労働省が2010年に通知したガイドライン「ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針」の内容を把握・実践する必要があります。参考元は下記リンクにございます。

参照元:厚生労働省:ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針

まとめ

本記事では、開業に必要な資格・届け出・集客施策から必要な資金・運用経費・助成金まで、ネイルサロンの開業・経営にまつわる疑問に応えるとともに、ネイルサロン経営を成功させるためのポイントも紹介してきました。

ネイル業界への参入ハードルは高くはありませんが、その分競合が多くなるのも事実。重要なのは、ネイルサロンのコンセプトを明確にし、リサーチを含む事前準備をしっかり実践して失敗のリスクを最小限にすることです。

しかし、コンセプトの設定・リサーチ・集客など、経験がなければネイルサロンの方向性に迷ってしまうことがあるかもしれません。そんなときに頼りになるのが開業コンサルタントの存在です。

「比較ビズ」なら、必要事項を入力する2分程度の手間で、優良な開業コンサルタントをスピーディーに探せます。複数の会社に無料で相談できるのもポイント。ネイルサロンの方向性に迷うようなことがあれば、是非利用してみてください。

監修者のコメント
有限会社兼子経営
代表取締役 兼子俊

埼玉大学電気工学科卒業、同専攻科修了後、製造業に勤務し、広島で中小企業診断士の資格取得を機にコンサルティング会社を起業する。現在起業より24年目になるが、当初は経営の営業、製造等の個別の機能、ISO取得等をコンサルティング支援しており、約十年経過後ISO関連事業を協力者に譲り、当初独立の目標であった経営・事業支援を中心に事業活動をはじめ現在に至る。この間広島中小企業診断協会の理事、専務理事、現中小企業基盤整備機構のチーフアドバイザー、中国経済産業局の事業評価委員などを務めた。特に経済産業局の事業評価委員の6年の経験はのちのコンサルティングに大きな影響をのこす。経済産業省中国経済産業局、財務省中国財務局の認定になる「経営革新等支援機関」として昨年再認定をいただき、活動している。個人としては中小企業診断士、ITコーディネータの資格を持ちコンサルティングに勤めている。

この記事には、ネイルサロンはエステサロンよりもさらに参入障壁は小さい、資格も届け出も必要がなく、設備投資も少ない業界である、そのため開業形態も「テナント型」から「マンション型」、「自宅型」さらには「出張型」と小規模な開業形態が多くあること、しかし、だからこそと言えるかもしれないが、競争の厳しい業界でもあることが紹介されています。

競争が厳しい業界であれば、出店する立地の商圏、近隣の競合店調査が重要になってきます。次にそれらの情報に基づく差別化を図り、集客施策、具体的には広告、HP・SNSの活用は必須項目で、さらには知名度向上のためにネイルサロン対応の予約サイト等を併用するのがおすすめである、ことが強調されています。

またマクロな市場動向として、利用率は減少しているが、顧客単価は上昇している状況であることを踏まえ、近隣の地区の傾向を加え、ターゲットとコンセプトを確立するよう勧めています。

まさに事業者がネイルサロン市場の中で成果を出し続けていくためには、通常企業や組織が行う事業活動を漏れなくやり抜くことが必要といえます。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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