駐車場経営では確定申告が必須?計上できる経費を解説!
- 駐車場経営で確定申告が必要なのはどのようなケース?
- 駐車場経営の確定申告で使用する勘定科目は?
- 駐車場経営の確定申告では何が経費になる?
「駐車場経営で得た収入の勘定科目は?」「駐車場経営の確定申告を怠ってしまった」とお悩みの方、必見です。個人事業主はもちろん、給与以外の所得が20万円を超える会社員は駐車場経営で得た所得を確定申告しなければなりません。
この記事では、駐車場の経営者へ向けて、駐車場経営の確定申告や勘定科目について解説します。最後まで読むことで、駐車場経営の確定申告を適切に行えるでしょう。
申告漏れに対するペナルティも解説するため、確定申告に不安がある方はぜひ参考にしてください。
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駐車場経営で確定申告が必要になる2つのケース
駐車場経営では、以下のどちらかのケースにあてはまると、確定申告が必要です。
- 会社員:給与以外の所得が20万円を超える
- 個人事業主:事業として駐車場経営を行っている
確定申告が必要なケースでは、所得税のみならず、事業税や消費税などの税金がかかる場合があります。
会社員:給与以外の所得が20万円を超える
会社員が駐車場経営で得た所得を含め、副業での所得が年間20万円を超えれば、確定申告しなければなりません。
会社員が自分の所有している土地を駐車場として貸し出し、毎月1万円で2人が契約しているとしましょう。計上すべき経費がなければ、所得が24万円となるため確定申告が必要です。駐車場経営の収入は年末調整で精算できないため、確定申告で納めるべき税額を決めなければなりません。
個人事業主:事業として駐車場経営を行っている
個人事業主が駐車場経営を事業として営んでいるケースでは、確定申告は必須です。事業として駐車場を経営している場合、所得区分は「事業所得」か「不動産所得」を用います。
事業所得と不動産所得の違いは主に以下の2点です。
- 管理責任があるか
- 事業的規模であるか
駐車場を管理会社に任せており、経営者本人は管理責任を負わないのであれば「不動産所得」に分類されます。経営者本人が管理責任を負うケースでは、通常駐車台数50台以上で事業的規模と見なされ「事業所得」が適用されるでしょう。
管理責任がない場合でも、駐車台数が50台以上あるケースにおいては青色申告特別控除額が変わるため注意が必要です。
駐車場経営の収入を申告する際の勘定科目
所得区分の差があっても駐車場経営で得た収入は、確定申告の対象になります。用いる勘定科目は主に以下の3つです。
- 事業所得
- 不動産所得
- 雑所得
どの勘定科目を使用するかは金額や事業的規模かどうかで分類できます。勘定科目によって損益通算に影響が出るため、正確な区分が必要です。
事業所得
駐車台数が50台以上の場合、管理委託方式かつ所有方式の時間貸し駐車場の場合は、事業所得と見なされるでしょう。所有方式とは、駐車場の主要な設備を土地所有者が購入しており、事業リスクも引き受けているケースです。
駐車場経営では、駐車場内で起こる車同士の接触事故や歩行者との接触事故などの管理責任を問われることがあります。国税庁「法第26条《不動産所得》関係」によると「自己の責任において他人の物を保管する場合の所得は事業所得又は雑所得に該当」すると記載されており、土地所有者が管理責任を負っている場合は事業所得といえるでしょう。
不動産所得
管理会社に管理を委託する「管理委託方式」かつ管理会社が設備を持ち込む「持ち込み方式」を採用している場合、不動産所得と見なされます。駐車台数が50台以上の駐車場経営をしている場合、収入は事業所得に思えますが、駐車場経営のリスクを管理会社が負っているため、不動産所得で確定申告しなければなりません。
以下のケースも、契約内容から判断して不動産所得になり得ます。
- 月極駐車場
- 一括借り上げ方式の時間貸し駐車場
不動産所得の場合、管理会社への支払いは発生しますが、事故や盗難の責任を土地所有者が負わなくて済むため、リスクを軽減できるのが特徴です。
雑所得
駐車場の規模が小さい場合、駐車場経営以外に主たる収入がある場合、雑所得に分類されます。基本的に駐車台数が50台未満であれば、事業所得とは見なされず雑所得に分類されるでしょう。
コインパーキングや管理会社に管理を委託しており、管理会社が事業リスクを負っているケースも同様に雑所得と見なされます。所得税法上、雑所得の合計が年間20万円を超えなければ確定申告は必要ありません。
駐車場経営の確定申告で経費にできる支出
駐車場経営の確定申告で経費にできる支出は、主に以下の3つです。
- 初期費用
- 運営費用
- 撤去費用
それぞれの費用は細かくわかれており、経費にできる支出はたくさんあります。節税のためにも、経費を漏れなく計上することが非常に重要です。
初期費用
駐車場経営の初期費用には、以下の15種類が含まれます。
残置物撤去費用 | ゴミや残置物の撤去費用 |
---|---|
整地費用 | 道路から駐車場へ入りやすくする費用 |
舗装費用 | アスファルト舗装やコンクリート舗装の費用 |
車室区画整備費 | ラインを引く、ロープを張る費用 |
車止めブロック | 後輪部分に置く車止め費用 |
料金案内看板 | 料金や緊急連絡先を記載した看板の設置費用 |
利用規約看板 | 利用方法が書かれた看板の設置費用 |
満空灯 | 「満車」「空車」を表示する「満空灯」の設置にかかる費用 |
看板照明 | 看板に設置する照明費用 |
料金精算機 | 料金精算用の機械設置にかかる費用 |
精算機用テント | 精算機に設置する屋根にかかる費用 |
場内照明 | 場内を明るくするための照明器具費用 |
ロック板 | 未精算車を防止するために設置する自動の板 |
防犯カメラ | 事故や防犯のために設置するカメラ代 |
フェンス | 不審者の侵入を防止するためのフェンス費用 |
駐車場経営を始める前にかなりの支出がありますが、経費に計上することで所得を圧縮し節税を実現できます。青色申告の場合は、赤字でも確定申告することで翌年から3年間損失を繰り越し、駐車場経営の黒字と相殺できるでしょう。
運営費用
駐車場経営の運営費用は主に以下の7つです。
管理費 | 管理会社に支払う費用 |
---|---|
光熱費 | 防犯照明や看板照明などにかかる電気代 |
損害保険料 | 賠償責任保険や火災保険などの保険料 |
緊急対応費用 | 利用者同士のトラブルやコールセンター・警備会社に対応を依頼するための費用 |
修繕費 | 駐車場設備の修理やメンテナンスにかかる費用 |
減価償却費 | 設備や消耗品のうち取得価額が20万円以上の資産の減価償却 |
借入金利息 | 融資を受けた場合に毎月支払う返済利息 |
領収書やレシートを保管し、確定申告に役立てましょう。
撤去費用
駐車場経営の撤去費用には、主に以下の3つが挙げられます。
舗装工事費 | アスファルトやコンクリート舗装を剥がす費用 |
---|---|
機器撤去費 | 設置した精算機を撤去する費用 |
看板撤去費 | 利用規約の看板や料金案内の看板を撤去する費用 |
駐車場経営をやめる際にも、多くのコストがかかります。経費として認められるものは確定申告ですべて計上することで、利益が少しでも多く手元に残せます。
駐車場経営の確定申告方法
駐車場経営の確定申告は、以下の方法で行います。
- 確定申告書を用意する
- 青色申告決算申告表・収支内訳書に記入する
- 書類を税務署に提出する
- 申告した所得税を納付する
工程をひとつずつ解説します。
1. 確定申告書を用意する
はじめに確定申告書を用意しましょう。確定申告書は税務署で取得するか国税庁ホームページからダウンロードできます。
国税庁 確定申告書等作成コーナーで電子申請(e-Tax)を利用することで、確定申告書を入手する必要はなく、自宅で確定申告が行えるでしょう。以前は確定申告書AとBがありましたが、2023年の確定申告から分類が廃止され、1種類のみになっています。
2. 青色申告決算申告表・収支内訳書に記入する
次に、申告方法によって青色申告決算申告書もしくは収支内訳書に記入します。青色申告決算申告書に記入する項目は以下のとおりです。
- 1ページ目:売上金額・経費・控除額・所得金額
- 2ページ目:月別売上金額・青色申告特別控除額
- 3ページ目:売上金額の明細・減価償却費・税理士への報酬など
- 4ページ目:資産・負債・事業主借
白色申告で使用する収支内訳書では、以下の項目を記入しましょう。
- 1ページ目:氏名や住所などの基本情報・売上金額・経費・所得金額
- 2ページ目:売上金額の明細・減価償却費
記載内容に間違いがあると確定申告が受理されないおそれがあるため十分な注意が必要です。作成した帳簿と照らしあわせながら、記載漏れがないか確認しましょう。
3. 書類を税務署に提出する
確定申告書と添付書類が完成したあと、書類を税務署に提出します。提出方法は主に以下の3つです。
- 税務署の窓口に提出
- 郵送
- e-Tax
税務署に直接提出すると、不明点を職員に尋ねられるメリットがあります。郵送であれば、税務署の開庁時間に関わりなく都合のいい時間に書類を提出できるでしょう。e-Taxは自宅で確定申告が行えるため非常に便利ですが、事前に利用者識別番号や電子証明書の取得が必要です。
4. 申告した所得税を納付する
駐車場経営の確定申告が受理されたあと、申告した所得税を納付します。現在では主に以下の6つの方法で納付可能です。
- 振替納税
- インターネットバンキング
- クレジットカード
- スマホアプリ
- コンビニ
- 窓口納付
自分の口座から所得税が引き落とされる振替納税は、事前に申請が必要です。インターネットバンキングやクレジットカード、スマホアプリは、自宅にいながら納付できます。コンビニでの納付も可能ですが、納付金額の上限が30万円と定められている点に注意しましょう。
駐車場経営の確定申告には「賃貸借契約書」の保管も必要
賃貸借契約書には、契約期間や契約金、保証金、契約の更新などの内容が記載されています。収支計算書の作成や所得税の申告に必要な情報です。駐車場経営の確定申告の資料として保管が求められています。
駐車場経営者が賃貸借契約書を紛失した場合、確定申告の内容が正確であると証明できずに追徴課税を受けるおそれもあります。
契約書の期限が切れても、最低7年間、可能であれば民法で一般債務の消滅時効として定められている10年間保管しましょう。
駐車場経営の申告漏れに対するペナルティ
駐車場経営の確定申告を忘れていた、もしくは納めるべき所得税を少なく申告していた場合、以下のペナルティが課せられるおそれがあります。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 重加算税
申告漏れの深刻さによって課されるペナルティの重さが変わります。可能な限りペナルティを軽くするため、必要に応じて税理士の助けを求めましょう。
過少申告加算税
確定申告で申請した所得税額が本来の税額よりも少なかった場合、過少申告加算税が課されます。確定申告の法定申告期限を過ぎて間違いに気づいた場合、本来の所得税額と申告した所得税額の差額を納めなければなりません。
過少申告加算税の税率は、通常差額の10%です。差額が最初の申告額を超えているケース、もしくは差額が50万円を超えているケースでは、超えている部分に対して15%課税されます。税務署から指摘される前に修正申告すると税率が5%になります。
無申告加算税
無申告加算税は、確定申告を怠っていた場合に課せられるペナルティです。納税額が50万円であれば15%、50万円を超える部分に対しては20%の重い税率がかかります。
法定申告期限後に自主的に確定申告した場合は、税率が5%に留められるため、過少申告加算税と同様に気づいた時点で早めに申告することが重要です。納税が遅れたことに対する延滞税が課せられることもあります。
重加算税
重加算税は、意図的な所得隠しや経費の架空計上など悪質なケースに課せられる追徴課税です。所得を隠して過少申告した場合は過少申告加算税に代えて35%、無申告の場合は無申告加算税に代わって40%の税率が適用されます。
加えて悪質なケースが繰り返されると、最大50%の重加算税が適用されるでしょう。税務署から所得を隠すことはほぼ不可能であるため、正確な申告を心がけることが重要です。
まとめ
駐車場経営では、所得区分によって確定申告が必要かどうか変わります。駐車場経営にはかなりの経費がかかるため、漏れなく計上することで節税しましょう。過少申告や無申告には重いペナルティが課せられるため、法定申告期限内に正確な申告を行うことが重要です。
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岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。
但し、駐車場経営で重要なことは、収益の計算を自身でしなければなりません。サラリーマンであれば、会社が税金計算をやってくれますし、納税も代行してくれます。
また、駐車場経営は、経費も定型化されており、わかりやすいです。固定資産税のように不動産に係る税金、駐車場施設の減価償却費そして駐車場開設のために借入を行った場合、その金利が中心になります。
税金申告は、個人の場合、確定申告で行い、納税も行います。例年、確定申告は3月15日(一部、コロナウイルス蔓延防止のため、延期等されていました)になりますので、忘れずに申告・納税をお願いいたします。
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